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ポリコレメイクライ「Devil May Cry」レビュー

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Devil May Cry netflix アクション
画像引用元:netflix
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評価 ★★☆☆☆(23点) 全8話

『Devil May Cry』予告編 – Netflix

あらすじ バチカン市国の美術館で凶悪な強盗事件が発生し、世間に動揺が走る。そんな中、デビルハンターのダンテは知らぬ間に、2つの世界を結ぶ次元の裂け目を開こうと企む邪悪な陰謀に巻き込まれていく。

引用- Wikipedia

ポリコレメイクライ

原作はカプコンによるゲーム作品。
2007年にマッドハウスによりTVアニメ化されたこともあるが、
本作品はnetflixオリジナルアニメとして制作された。
監督はアディ・シャンカル、制作はスタジオミール

作画

1話早々から非常に独特な印象を受ける。
キャラクターデザインもそうだが、作画の雰囲気や色合いが
日本のアニメにはない独特の雰囲気を醸し出している。
制作会社は韓国の制作会社であり、そのあたりも関係しているのだろう。

1話からデビルメイクライの世界観を把握させるために
「悪魔」による戦闘シーンが描かれ、
netflixだからこそ規制のない血液表現と戦闘シーンは
シンプルなかっこよさがあるものの、
独特のぬるっとしたアニメーションとキャラデザにはクセがある。

特に主人公である「ダンテ」は若く、ゲームの印象とはやや違う。
私自身、デビルメイクライに関しては2までは確実にプレイし、
3以降に関してはやや記憶があやふやでやったかどうか定かではなく、
ストーリー自体もそこまで記憶しているわけではない。
ふわっとした感じで見始めていることをご承知いただきたい。

便利屋として悪魔を狩るダンテではあるものの、
ゲームの印象と違ってかなり軽く、若い。
ストーリーに関しても完全にオリジナルであり、
悪魔という存在が急に現れ、それに対する世論も描かれている。

いかにもアメリカ・アメリカした大統領及び政府は
悪魔の存在を認識し、平行世界に悪魔が存在し、
悪魔が宣戦布告し、デビルハンターを集結することを決める
という所から物語が始まる。

1話からアクション、戦闘シーンも多く
カメラワークを切り替えながら流れるような戦闘シーンは素晴らしく、
海外のアニメっぽさはあるものの、それがデビルメイクライっぽさを
感じさせる部分もある。

ファンサービス的にゲームに登場したエンツォやルシオなどの
キャラがどんどん出てくるが、
全8話しかないせいもあり、ほぼ掘り下げのないキャラも多い。

悪魔たちはこの世界にもっと悪魔を呼ぶためにも
ダンテがもつアミュレットを狙っており、
アメリカ政府も悪魔たちの野望を阻止するためにダンテを狙い出す。
ストーリー自体は原作同様わかりやすい。

レディ

2話になると政府のデビルハンター組織に所属する
「アーカム中尉」がでてくる、原作ではレディと呼ばれているが
同一人物だ。彼女は本来、名前を捨てたキャラなのだが
本作ではそういった要素はなく、謎のアーマーを着て
悪魔に対して下品な言葉遣いを使っている。

政府のデビルハンター組織に所属するデビルハンターは
悪魔に対して特殊な銃弾を使っており、
普通の人間に対しては普通の銃弾だが、
悪魔のDNAと反応する液体が仕込まれ、悪魔に当たると爆発する。

当然、半分悪魔の血を引くダンテに当たれば爆発する。
しかし、彼自身はそれをしらない。
このあたりも私の記憶が正しければ原作にはなかった設定だ。
ダンテ自身も妙に弱く、あっさりと捕まり体内に爆弾まで仕込まれる。

悪魔側も強敵であり、序盤に出てきた
デビルハンター組織のキャラはほぼ死ぬ。
悪魔に対する特殊な銃弾も強い悪魔にはほぼ効果がないかとおもえば、
あっさりと特殊な銃弾一発で死ぬこともある。

悪魔

今作の黒幕的な存在であるホワイトラビットは
悪魔たちのために戦っている、
彼いわく主人公の父であるスパーダによる封印結界のおかげで、
悪魔たちは向こうの世界に閉じ込められてしまっている。

悪魔の世界は弱肉強食であり、弱い悪魔は虐げられる存在だ。
しかも、魔界の空気は基本的に毒であり、
強い悪魔でなければ息すらろくにできず、強い悪魔が支配する世界だ。
弱い悪魔にとっては最悪な環境であり子供は1年も生きられない。

そんな弱い悪魔を助けるためにホワイトラビットは奮闘し、
一部の弱い悪魔こと魔界人を人間世界に連れ込んでいたのだが、
人間側は悪魔というだけで魔界人を殺してしまっている。

つまりは移民問題である(苦笑)
この弱い悪魔を移民に置き換えるとわかりやすい、
母国では強者による搾取でまともに生きられず他国に移民してくるが、
移民した先でも移民というだけで差別されることもある。

アメリカが抱えている問題をアニメに、
デビルメイクライという作品に悪魔という言葉に置き換えて盛り込んでいる。
ちなみにゲームにはそんな設定は一切ない。
いかにもアメリカ的な政治的思想、ポリコレ的思想が盛り込まれている。

ゲームにおける悪魔は悪い奴らであり人間の敵だ。
ここまで複雑な設定はなく、唐突に弱い悪魔や
弱い悪魔にとって魔界の空気は毒という謎の設定もでてきて、
中盤あたりから方向性が明らかに変わってくる。

そんな弱い悪魔にレディが出会ったことで
「悪魔というだけで差別するのは良くないかも..」
みたいな考えが湧き上がる。

そんな弱い悪魔たちをレディは保護しようと動くのだが、
アメリカ政府は「移民!?悪魔だろ!?殺せ!」と虐殺命令を下す。
露悪的なアメリカ政府の描き方に政治的思想が透けて見えてしまう。

物語の主軸であるはずのダンテよりもレディ目線の
ストーリー進行も多いうえに、ダンテがせっかく悪魔化して戦っても、
あっさり負けて、とどめをレディが持っていくみたいな展開まである。
どうにもスッキリとした戦闘シーンが少なく、露骨にダンテの活躍を
女性であるレディに奪わせる印象だ。

終盤

今作の黒幕として動いていたホワイトラビット、
彼は元々人間であり、魔界に迷い込み、危ないところを
弱い悪魔たちに救ってもらい、強い悪魔という支配者の存在を知り、
弱い悪魔たちの状況を知り、彼らを人間の世界へといざなった。
しかし、人間たちは悪魔たちを殺して回っていたという過去がある。

そんな中でホワイトラビットは悪魔の皮を被っている。
ホワイトラビットのバックボーンに関しては悪くないが、
肝心のダンテは飛行機から落ちてたり、閉じ込められてたりと、
レディが主人公のように物語を展開してしまう。

終盤の展開はよくわからない感じになっている。
ダンテは強い悪魔の力を持ってるがゆえに政府にも狙われ、
完全に悪魔になったホワイトラビットと戦い、
実は双子の兄が生きてることを知り、
ホワイトラビットを倒して終わりかと思ったら、
レディにダンテが眠らされてコールドスリープされて終わる。

結局、人間による悪魔に対しての偏見意識はなくなっておらず、
それどころかアメリカ政府は魔界への侵略に乗り出し、
魔界にミサイルをアホみたいに打ち込んで終わる(苦笑)
ラストでは2期を匂わせまくりなシーンも有り、
よくわからない作品になってしまっていた。

総評:泣きました、僕は悪魔で弱者で移民です

全体的に見てある意味、アメリカらしい改変と言えるかもしれない。
序盤はデビルメイクライらしい部分があるものの、
中盤くらいからはダンテが活躍せずレディが活躍する展開ばかりで、
「弱い悪魔」を「移民」のように描きつつ、
制作側の政治的思想がゴリゴリに盛り込まれている。

露悪的なアメリカ政府の描き方はむしろ清々しさすらあるが、
これをオリジナル作品でやるなともかく、
デビルメイクライでやられるのは流石に厳しいものがある。

こういった創作物に政治的思想を持ち込みがちなのがアメリカではあるが、
シンプルにストーリーが微妙で、
ダンテのカッコさを感じられないというのはかなり致命的だ。
女性のメインキャラということでレディを際立たせたかったのはわかるが、
なんとも微妙な印象が残ってしまう。

2期を匂わせまくりな展開も2期があれば気にならないが、
果たしてどうなることやら…

個人的な感想:ネトフリ

ターミネーター0も実写版白雪姫もそうだったが、
あちらの国は政治的事情やポリコレ思想を
既存のIPにまで盛り込まないと気がすまないのだろうか(苦笑)

オリジナルでやるならともかく、ターミネーターしかり
デビルメイクライしかり、すでにあるコンテンツに
そういった要素を盛り込むせいで変な感じになる印象だ。

2期があればダンテも解凍され、あの人との物語も描かれるのかもしれないが、
このまま1期だけだった場合はぶん投げ具合も凄まじい作品だった。

「Devil May Cry」に似てるアニメレビュー

監督:板垣伸, プロデュース:マッドハウス, Writer:井上敏樹, 出演:森川智之, 出演:福圓美里, 出演:大塚明夫, 出演:折笠富美子, 出演:田中敦子, 出演:野沢那智

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