日常

日常系の原点回帰「デキる猫は今日も憂鬱」レビュー

4.0
デキる猫は今日も憂鬱 日常
デキる猫は今日も憂鬱
スポンサーリンク

評価 ★★★★☆(60点) 全13話

TVアニメ「デキる猫は今日も憂鬱」PV

あらすじ 吾輩は猫である。しかしただの猫ではない。空前絶後の「デキる猫」である。引用- Wikipedia

日常系の原点回帰

原作は月刊少年シリウスで連載中の4コママンガ。
監督は工藤進、制作はGoHands

GoHands

GoHandsは2023年夏アニメにこの作品を含めて
2本のアニメを制作しているが、好きな子がメガネを忘れたと同じく、
この作品でもかなり癖のある1話冒頭から始まる。

きらびやかな背景、ライティング処理、CGによる背景描写は
TVアニメというよりは劇場アニメに感じるほどであり、
そんな中で描かれる「朝の風景」も異様だ。
美味しそうな朝ごはんを作るシーンをなめらかにえがき、
そんな朝ごはんをお弁当に詰め込みながら、目覚ましのベルが鳴る。

「好きな子がメガネを忘れた」ほどではないものの、
ローアングルなカメラワークや構図、
魚眼レンズを使ったようなシーンの描き方など、
GoHandsという制作会社らしいアニメーションが描かれている。

「好きな子がメガネを忘れた」もかなり特徴的だったが、
この作品もそれに近いものが有るが、
「好きな子がメガネを忘れた」ほどではないという印象だ。
ただ普通のアニメ制作会社に比べると、
かなり異質であることは間違いない。

GoHandsだからこその作画、カメラワーク、構図、CGが
作品の世界観を彩っている。

くそデカ猫

主人公は猫を飼っている。だが、普通の「猫」とは違う。
言葉こそ喋れないものの知能は人間並みであり、
しかも、おそらくは2メートル近くある巨体であり
二足歩行で家事をこなしている(笑)

ずぼらで家事ができない主人公に変わって
猫は完璧に家事をこなしており、彼女の世話に励む日々だ。
彼の作る料理はどれもこれも美味しそうであり、
見ているだけでよだれがたれそうになるほどだ。

そんな彼の料理や家事に甘えながらも、
彼女は日々、働き続けている。
デカすぎる猫である「諭吉」が
なんなのかということは気になりつつも、諭吉との生活に満足している。

「世話やきキツネの仙狐さん」も似たような雰囲気があったが、
あの作品とは違い、キャラクターの「萌え」的な可愛さはない。
諭吉の純粋な動物的な可愛さがこの作品の肝にもなっており、
家事もろくにできないダメ人間な主人公と
完璧すぎる猫とのいい対比になっている。

彼女の生活をささえつつつも、諭吉もまた彼女の
「収入源」に頼っている。
捨て猫だった彼にとっては彼女は恩人であり、
そんな恩に報いるためにも、生きるためにも家事に勤しむ毎日だ。

家の中だけでなく、当たり前のように買い物にも赴いており、
周囲の人間は「リアルすぎるキグルミ」を着ている変質者か、
でかすぎる猫都して認識している(笑)

このゆるい世界観とキャラクターの愛くるしさが、
1話ごとの愛くるしさを産んでいる。

日常

あくまでも、この作品は日常系だ。
諭吉の謎ががっつりと掘り下げられるわけでも、
主人公の恋愛模様があるわけでもない。
毎日、1日1日を綴るように1話1話が描かれており、
その何気ない日常をクスクスと笑いながら楽しめる作品だ。

水族館にいったり、誕生日パーティーに参加したり、
こたつでぬくぬくしたり。
ときおり、諭吉が普通の猫以上にでかいことを
知られないように悪戦苦闘したりする場面も有るものの、
あくまでも日常系だ。

そんな一人と一匹の日常が尊い。
一緒に暮らしている光景が微笑ましく、一人と一匹の関係性が尊く感じるほど、
しっかりとしたキャラクター描写が在り、終盤で主人公が社員旅行にでかけたときの
展開など思わずニヤニヤしてしまう。

独身が猫を飼うと結婚しなくなる。
そんな言葉は有名だが、まさにこの作品はそれを体現している。
種族も違う、恋愛感情などない、だが、家族以上の、
血の繋がった関係性以上の関係性が生まれている。

サブキャラクター

あくまでこの作品は主人公と飼い猫である諭吉の日常が綴られている。
そんな日常にご近所さんや、スーパーの店員、
主人公が努めている会社の人間なども絡んでくる。
あくまでサブキャラはサブキャラとしての立ち位置で収まっており、
メインの2人を邪魔をしない程度に、ときおり話のスパイスになっている。

イケメンな上司などもいるものの、決して恋愛関係には発展しない。
一応、スーパーの店員が主人公のことを中盤以降に
気になりだしてはいるものの、特に発展することもない。
ほのかに百合なテイストをにおわせているだけだ。

作品を構成する要素が全て「ほどよい」くらいに
抑えられているのが特徴的だ。

一宿一飯の恩義

ときおり、諭吉が拾われてきた過去が描かれる。
最初は一宿一飯の恩義からの行動だ。
汚部屋を片付けるために、少しずつ口にくわえてゴミを捨てたりしながら、
彼女の日常を改善していく。

だが、食生活までは改善できていなかった。
彼女を元気にしたい、元気でいてもらいたい。
そんな彼の思いが「おにぎり」を作る。
その過程が可愛らしく、若干では有るものの涙腺を刺激されるほどだ。

彼女がいたからこそ、野垂れ死なずにすんだ。
自分のことよりも、寝坊しても朝ごはんを用意してくれた彼女の
優しさに、恩返しするように彼もまた彼女に恩返ししている。

そんな日々が優しく描かれている作品だった。

総評:でかい猫は好きですか?

全体的に見てまっすぐな日常系だ。
あくまでも人間である主人公と飼っている猫の諭吉の
日常に焦点を絞っており、強いギャグや恋愛要素などもほぼなく、
1クール淡々と日常が綴られている。

この作品の良さはそこにあるのかもしれない。
日常系という一時は大ブームが巻き起こり、
そこに部活や趣味要素をたした「きらら系」アニメが
多く生まれてきたものの、最近はそのブームもすっかり落ち着いた印象だ。

しかし、この作品は一周回って原点に帰るような
日常系アニメの良さをひしひしと感じさせてくれる。
諭吉が非常識にデカく、知能も人間並みというファンタジー要素はあるもの、
それ以外を除けばあくまで日常系だ。

その日常系からはみださずにこの作品は描かれている。
わざとらしいギャグやつっこみもない、
あくまでも一人と一匹の生活の中で起る物事が笑いに繋がり、
クスクスと楽しみつつ、癒やされる。

恋愛要素もほとんどなく、低刺激なまま1クール描かれている。
だが、マンネリを感じず、飽きも感じず、
1クールどころかもっと見たいと感じさせてくれる。
これぞ「日常系」といわんばかりの原点回帰な
作品だったと言えるかもしれない。

個人的な感想:GoHands

「好きな子がメガネを忘れた」では暴走気味なまでの
作画とカメラワークを見せつけてくれたGoHandsだが、
この作品はそこは抑え気味だ。
そこも日常系だからこその抑え方なのかもしれない。

著作権トラブルで一時期はヤバい状態にあったGoHandsだが、
2023年夏の2作品はどちらも素晴らしく、
GoHandsだからこその作品の「世界観」と「雰囲気」を
うみだしており、それがピタっとハマっている感じだ。

著作権トラブルが起こってしまったせいもあり、
GoRAとの関係性は切れてしまったようだが、
むしろ、それで正解だったのでは?と同時期に放送していた
AYAKAを見ると感じてしまうものも有る。

今後のGoHandsがどういう作品を手掛けるか。
気になるところだ。

「デキる猫は今日も憂鬱」に似てるアニメレビュー

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください