評価 ★★☆☆☆(37点) 全103分
あらすじ 東京都西多摩市の国立東京微生物研究所が、7人組の武装グループに襲撃される事件が発生する。武装グループは研究所に厳重保管されていた殺人バクテリアを強奪し、研究所を爆破して逃走した。引用- Wikipedia
火事場泥棒
本作品は名探偵コナンの映画作品、コナンとしては14作品目の作品。
監督は山本泰一郎、制作はトムス・エンタテインメント
なお、本レビューはネタバレを含みます。
壮大な事件
始まってそうそうに大事だ。
テロリストが「微生物研究所」を襲い、そこから危険な細菌を盗み出す。
今までのコナン映画の中でも1番危険な犯罪者といえるだろう。
なにせバイオテロだ、基本的にコナンの犯人は殺人か爆破が主な手段だが、
バイオテロというのは斬新かつ、壮大だ。
細菌兵器を使うテロリストと高校生探偵で、
今は子供の体になってるコナンが一体どうやって戦うのか、
冒頭の期待感は凄まじい。
コナン映画の中でも「とんでもねぇ事件」が始まってしまった感じがある。
今までの犯人たちが小物に見えるくらいだ。
下手したら黒ずくめの組織よりヤバそうな感じがある(笑)
そんなテロリストがコナンたちが乗り込んだ飛行船に潜り込み、
飛行船という閉鎖された空間、空という逃げ場のない場所で
細菌兵器をバラマキ、次々と感染者が現れる。
もはや高校生探偵の手に負えないレベルの事件が巻き起こっている
テロリストの目的は何なのか?コナンは果たして止められるのか?と
まるでハリウッド映画並みのストーリーだ。
怪盗キッド
本作品には怪盗キッドも出演する。
過去作品ではコナンと対決することも多くキザなキャラだったが、
今作ではテロリスト相手に協力する立場になっている。
ただ、あまり活躍所はない。
蘭にあっさりと正体を見破られそうになったり、ヤギと戯れてたり、
コナンに体を弄られたりと「かっこいい」というよりは
コミカルなキャラ扱いになっており、一応、コナンのピンチを救う展開はあるものの
ストーリーがバイオテロというシリアスなだけに閑話休題的な癒しになっており、どちらかというとギャグ要員だ。
同時に西の高校生探偵である「服部平次」もでているものの、
活躍自体は少なく、居ても居なくても余り問題なかったのでは?と感じる部分だ。
ゲストキャラを演ずる「大橋のぞみ」さんの登場シーンを
増やすためだけの存在に鳴ってしまっている感じは否めない。
名探偵コナンもシリーズが長くなっており、そのせいで登場人物も増えたせいで
映画で色々なキャラをなるべく登場させようとしているのはわかるものの、
やや一人ひとりのキャラの扱いが雑になってる感は否めない。
VSテロリスト
物語の中盤になると飛行船にテロリストが銃を持って乗り込んでくる。
テロリストは7人ほど居るうえに、全員銃で武装してる傭兵だ。
そんな中でコナンは彼らが仕掛けた爆発物を解除してしまい、
それがバレるとテロリストはコナンを外に放り投げる(笑)
とんでもない凶悪犯である。
子供だろうが容赦しない、
ある意味で「プロ」な残酷なテロリストであるキャラ描写もであり、
細菌をばらまくは爆発物はしかけるは、
子供でも容赦しないはととんでもない凶悪犯だ。
そんな彼らの目的が何なのか。
わざわざ飛行船をハイジャックし、細菌兵器をばらまき、
大阪へ向かう彼らの行動理由はなんなのか
はっきりしないままに進むストーリーはミステリーというよりも、
パニックサスペンスといったほうがいい感じだ。
弱すぎるテロリスト
テロリストは7人ほどいるが、そのうちの4人はコナンが単独撃破する。
いくら彼が博士の発明道具を持っているとしても、
銃を持った傭兵を4人も倒すさまはもはやギャグだ(笑)
コナンがテロリストを大半を一人でやっつけるシーンは無茶苦茶だ。
最初の一人は分かる。いつも使う麻酔針はテロリストにも有効的だろう。
しかし、麻酔針は一発しかない。
そんな必殺技を早々に使ったかと思えば伸縮ベルトで吊し上げ、
室内でスケボーを使って爆走し、狭い通路で
何発も撃たれてるのにまるで当たらない。
これが小型の拳銃ならまだ当たらないのも分かるが、
自動小銃的なもので何発も撃ち込まれてるのにすべて避ける。
テロリストの射撃能力があまりにも低いのかもしれないが、
とんでもない主人公補正とアクションシーンだ。
せっかく戦闘要員になれる「怪盗キッド」もいるのに、
怪盗キッドはほとんど戦わない。
あくまでも主人公たるコナンが撃破する(笑)
とんでもないギャグシーンだ、こんな非現実的な戦闘は大爆笑するしかない。
衝撃の目的
終盤になるとあっさりテロリストの目的が発覚する。
このテロリスト、コナン映画の犯人史上もっとも「バカ」な犯人だ。
目的と行動が全く見合ってない。
なぜ、赤いシャム猫と呼ばれるテロリストが細菌を盗んだのか?
なぜ、細菌をわざわざ飛行線に持ち込んだのか?
と今回は殺人事件ではなく、誰も犠牲者と呼べる人物が居ないため、
犯人の行動目的がコナンが推理する部分だ。
これほどまでに大事を起こしたのだ、
よっぽどの理由がなければ納得できない。
彼らの目的はものすごくシンプルだ。
「奈良の仏像を盗むため。」
このレビューを読んでる人は果たして納得できるだろうか(笑)
バイオテロ、ハイジャック、傭兵テロリストという
国家犯罪レベルの犯罪を犯しておきながら
目的が「誰も居なくなった寺から古美術品を盗み出す」ためというのは
あまりにも陳腐すぎる。
犯人たちの行動はシンプルに2行でまとめられる。
「細菌を空中からばら撒くぞー!だから避難しろー!
そのスキに仏像盗みまくるぞぉ!」
という、いわば火事場泥棒を行うためのテロだ(苦笑)
あまりにも馬鹿げた行動はコナン史上、
もっとも理解出来ないバカすぎる犯人だ。
絶対に普通にお寺に銃を持って乗り込み仏像を盗んだほうが早い。
わざわざバイオテロを起こして、火事場泥棒を起こして
盗むのが仏像なのもがっかりだ。
一応、鈴木財閥の会長への恨みもあっての事件なのはわかるが
それにしてもやることが大げさだ。
肝心の細菌も実際は盗んでいない、盗んだふうに見せかけただけだ。
そのためだけに、仏像を盗むために細菌研究所を爆破している。
もう手間がかかりすぎる(笑)
コナン映画史上、もっともお馬鹿な犯人をぜひご覧いただきたい。
コナンのありえないほどのアクションも含めて、
この作品は最高に笑える作品だ。
総評:目的のためなら手段を選ばず私の苦手な言葉です
全体的に見て最高のギャグアニメ映画ではある。
バイオテロ、ハイジャック、銃撃戦とこの作品の要素だけを抜き出すと
まるで「ダイ・ハード」か「24」のようなクライムアクション作品だ。
しかし、肝心のストーリーがそんなシリアスな要素を台無しにしてる。
これだけ大事を起こしておきながら仏像盗むためだけというのは拍子抜けだ
コナンとテロリストの戦いも、まさに人知を超えたアクションの数々だ。
特に飛行船という場所でわざわざスケボーを持ち出すコナンは流石でしかなく、
コナン映画におけるスケボーアクションの要素の重要さを
コナン自身も良く分かっているようだ(笑)
コナン映画は基本的に映画にするために派手な要素を入れがちだ。
特に爆発は其の要素の1つでもあるが、この作品の場合は、
派手な作品にするためにストーリーに無理がでてしまっており、
ファンサービスあふれるキャラクター描写は多いものの、
流石にコナンの戦闘能力を高くしすぎだ。
真面目に見たら損をする作品だが、「ギャグ」としてみると
この作品は非常に楽しい作品だ。
ある意味でこの作品はコナン映画のもう1つの顔である「ギャグ」を
味わえる作品であり、コナン映画の楽しみ方が分かる作品かもしれない。
もっとも本来のミステリー作品としては駄作でしかないが(笑)
個人的な感想:バカバカしさ
7年ぶりに改めて見返した作品だったが、
7年越しでも色々な意味で楽しめた作品だった。
このガバガバ感はコナン映画だからこそ許されるエンターテイメントだ
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