スポーツ

脚本も作画もガバガバエイム「僕らの雨いろプロトコル」レビュー

僕らの雨いろプロトコル スポーツ
©Team KITSUNE/「ぼくあめ」製作委員会
スポンサーリンク

評価 ★☆☆☆☆(15点) 全12話

TVアニメ『僕らの雨いろプロトコル』本PV│2023年10月7日(土)より好評放送中

あらすじ 母と妹との3人で暮らす高校2年生・時野谷 瞬。事故による父の死と、妹の怪我をきっかけに、熱中していたゲームをやめて、今はeスポーツカフェ「FOX ONE」で働いている。幼引用- Wikipedia

脚本も作画もガバガバエイム

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は山本靖貴、制作はQuad

ガビガビ

タイトルからはわかりにくいが、本作品はeスポーツを題材にした作品だ。
ここ数年、eスポーツ業界は一気に盛り上がりを見せており、
主にFPSや格闘ゲームなどで大会も開かれ、ファンも増え、
プロゲーマーも増えている。

コロナ禍もあった影響も大きいと思うが、
FPSやTPSなどの銃を撃つゲームだけでも
PUBGやAPEX、フォートナイト、VALORANTなど
様々なゲームが賑わっている。
多くの人にとってFPSやTPSというものが
馴染み深いものになっている印象だ。

そんな時代だからこそeスポーツを題材にした作品をアニメで制作する。
挑戦的な作品であり、期待感も自ずと募るのもだ。
しかし、この作品は冒頭の1秒でそんな期待感を台無しにしてくれる。

「ガビガビ」だ(苦笑)
昨今のゲームはパソコンゲームが主流になってきているが、
そんなPCゲーはスペックを求められる。
ヌルヌルと動くキャラクターと高画質な画面で迫力のある
大戦を描くためにはスペックが必要だ。

しかし、この作品の冒頭で描かれる作中のFPSゲームのシーンの
ガビガビ感には呆れ返ってしまう。
この作品の時代設定がいつかはわからないが、
2000年代前半のカウンターストライクオンラインかそれ以下の画質だ。
64やPS2くらいのグラフィックでしか無い。

おそらくゲーム性を考えるとルール的には
VALORANTをモチーフにしているのはわかるが、
肝心のグラフィックがガタガタすぎてそっちのほうが気になってしまう。
eスポーツが題材になってるのに、肝心のeスポーツのクォリティが低い。
冒頭1分ほどで期待感が粉々に砕かれる感じだ。

メインキャラたちが作中で楽しそうにやっているのに、
見ている側からすれば全く楽しそうに見えない。
作品への没入感を強烈に削られてしまう感じだ。

メインキャラの一人はわざわざパソコンを水冷で冷やしているが、
絶対に水冷は必要がないグラフィックでしかない。

再び

かといってキャラクターの作画がいいというわけでもない。
キャラクターデザイン自体はキービジュアルを見る限り悪くないのだが、
そんなキャラデザの良さを活かしきれていない感じが凄く、
全体的に予算が少ないがゆえに、ゲームの画面も
キャラクターの作画が悪くなってしまっている感じが強い。

主人公は貧乏な家庭だ。
3年前に事故で父がなくなり、妹は足が不自由だ。
学生の身でありながらバイト漬けの日々を送っており、
お金を稼がないといけない生活を送っているがゆえに夢を見ることが出来ない。

そんな主人公は幼馴染のeスポーツカフェでバイトしている。
そんな幼馴染の父はプロゲーミングチームを運営しているものの、
借金に追われている。金の問題ばかりだ(苦笑)
幼馴染の父を助けるためにも、彼は金のない生活ゆえに
離れていたゲームの世界に、eスポーツの世界に踏み出すことになる。

3年のブランクがあるのにゲーム内で圧勝できるという
ご都合主義にもついていけない。脳内で3年間プレイしてた!と言うが、
eスポーツの世界はそんな甘いものではないだろう。

やりたいことはわかり、王道なストーリーなのはわかるが、
作画の悪さとゲームの描写の仕方のせいで、一切盛り上がらない。
主人公がゲーム内で活躍しても、そんなゲームの描写が
ガタガタすぎて一切の面白みを感じない。
本当に酷い。

メンバー集め

序盤はプロゲーミングチームのメンバー集めが描かれる。
借金と資金難によって幼馴染の父のプロゲーミングチームに
もともと居たメンバーは居なくなってしまっている。
だからこそのメンバー集めだ。

部活系アニメのようなノリで序盤は描かれているものの、
「舐めた」考えのモブキャラが多いせいで難航する。
そんな中で主人公はかつてともにゲームを遊んだ
「ばくれつ君」を誘うものの、彼女は芸能人であるがゆえに
その誘いになかなか乗ってくれない。

そんな中でいかにもなオタクキャラや、
顔をマスクで隠した謎のキャラも現れ、メンバー集めが進んでいく。
顔をマスクで隠した謎のキャラの正体も
あっさり「芸能人」であり「ばくれつ君」である
三枝 悠宇であることが明らかになる。

ストーリーとしてはベタであり、
選考の中で各キャラの凄さをゲームで表しているのはわかるが、
ガタガタなグラフィックのせいでそれが一切伝わらない。

ある程度以上、FPSやこの手のゲームに対しての知識なり
経験があればこの作品のゲームも理解できるとは思うが、
そういった知識がなければルールの説明が4話までないため
「何をやっているかわからない」シーンでしか無いだろう。

大会

4話では大会が始まる、相手はかつて
幼馴染の父のチームに居たプロゲーマーが所属するチームだ。
主人公たちのチームは急造のものだが、相手チームもプロとはいえ急造だ。

大会が始まっても相変わらずゲームのクォリティは低い。
4話でようやくゲームのルールが解説されるものの、
VALORANTそのものだ。

もともとVALORANTに許諾をとってVALORANTを
扱ったアニメにしたかったが許諾が降りなかった。
そんな事情があったのでは?と思うほど
VALORANTそのもののゲームだ。

そんなゲーム内の映像とプレイしているキャラの映像が
交互に描かれるのだが、ゲーム内の映像とキャラの映像の
作画の差がすごく、没入感も損なわれている。
VALORANTには各キャラにスキルなどがあるが、
この作品の中ではそれを使っている感じはみられない。

メインキャラたちは熱のこもったプレイをしつつ、
声優さんもそれっぽく演技はしているものの、
ゲーム画面がチープすぎて、見ている側に面白さがまるで伝わらない。
ゲーム内で何をやっているかが分かりづらく、
キャラのセリフで補完しているのはわかるが、見る側に伝えきれていない。

結局大会も序盤は苦戦するものの、後半で流れを掴み、
プロゲーミングチームに勝利を掴み、その後も連勝で
Aブロック1位になる。
トントン拍子すぎて話についていきづらい。

人間ドラマ

そんなゲーム内容よりも、描きたいのは人間ドラマなのだろう。
主人公の母はゲームについてよく思っていない。
なぜ主人公の母はゲームについてよく思っていないのか。
そのあたりは気になってくるところだ。

序盤を過ぎると主人公の妹の掘り下げも行われる。
足が不自由が故に彼女はある種、主人公に依存している。
若干メンヘラな感じすらある妹だ。
幼馴染も明らかに主人公に好意をもっており、
芸能人であり「ばくれつ君」なヒロインも主人公に好意を持っている。

序盤はゲーム要素がノイズでしかないのだが、
中盤くらいからこの作品がやりたい人間ドラマ部分が顔を見せ始める。
そんなドラマが顔を見せ始めると、順風満帆だった
主人公たちのチームも敗退してしまう。

「ばくれつ君」も引きこもってゲームをしている時に
主人公に助けられた過去がある。だからこそ彼に想いを寄せている。
そんな中で主人公の妹がリハビリ施設に入るかどうかの問題も発生する。
だが、その問題を解決するのに必要なのは「お金」だ。

妹のためにゲームをやめた主人公が、
今度は妹のためにゲームに力を入れる。
もともと父と妹の事故も、本来は妹の代わりに主人公が行くはずだったものだ。
ゲームの大会に出るために妹に代わりに行ってもらった、
だからこそ、彼にはゲーム自体に罪悪感がある。

プロゲーマーになることで、賞金を稼ぐことで、
いろいろな問題を彼は解決しようとしている。
だが、妹は兄と離れたくない。
むしろ足が不自由なままでいいとすら思っている。
どこかヤンデレじみた妹に目を離せない。

幼馴染、芸能人、妹が主人公を獲得するために争い出す。
ゲームの内容よりもこっちのほうが気になってしまう。
本末転倒だ。

eスポーツなにそれおいしいの?

彼らは連続で敗戦してしまう。
原因は敵と自分たちの研究不足だ。
きちんとした「監督」を迎えることで自分と他者を
第三者の目線で見てもらうことでチームとしての力が上がっていく

このあたりの描写は丁寧ともいえる。
ゲームの世界にもコーチングや監督が存在し、
そういったことをさり気なく描写している部分だ。
ただ、そのあたりを指摘しても、相変わらずのゲーム画面であり、
ゲームの面白さは伝わりづらい。

主人公はゲーマーとしてお金も稼げるようになっていく。
プロゲーマーに慣れれば安定した収入も望める。
ただ賞金の規模がでかすぎて(総額4億超えにくわえ毎月20万)、
ちょっと非現実的なことは否めない。

妹のリハビリの費用が稼げるようになるものの、
妹はリハビリを拒否している。
足が不自由であることが兄とのつながりだ。
それが兄にとっての負担になっていることはわかりつつも、妹と兄の鎖だ。

ドロドロとした人間関係が終盤には描かれており、
eスポーツそっちのけだ(苦笑)
主人公の母親が主人公がゲームをすることに対して反対していた件も
いつの間にかなくなっている。
お金の問題がなくなったからかもしれないが…

芸能人なヒロインもマネージャーに
プロゲーミングチームに入っていることがバレてしまう。
このまま芸能活動を続けるか、それともプロゲーマーになるか。

eスポーツ云々よりも、人間ドラマのほうが完全に主軸だ。
各キャラが色々と悩むというシリアスな終盤なのだが、
そんなシリアスな表情の作画が圧倒的に悪い。
序盤から作画は悪かったが中盤からさらに悪くなってしまう。

終盤

兄に依存する妹と、そんな妹に罪悪感を抱えている主人公。
妹は強烈に彼に依存している。
負け続ける主人公を責め、歩けというなら勝てと彼女は言いつけ、
同時に主人公は「勝たないともう妹に会わない!」と宣言する。
ドロドロである(苦笑)

そんな二人のドロドロな会話が繰り広げられつつ、
芸能人なヒロインは週刊誌にゲーマーとして活動してることを
すっぱ抜かれそうになる。
芸能人を続けるか、主人公のそばでゲーマーになるか。
答えを決め兼ねる中、彼女は最後の試合に挑むことになる。

芸能人名ヒロインの問題はあるにしろ、
主人公の問題は試合に勝てば解決する。
わかりやすい流れではあるものの、無理やりeスポーツに
結びつけている感じが強く、
これが別に野球やサッカーでも問題ない感じだ。

当然

最終話は因縁のチームとの戦いだ。
苦戦を強いる中で兄を応援する妹が立ち上がる、
芸能人なヒロインも素顔をさらし、それぞれが覚悟を決める展開だ。

色々とご都合主義全開な感じではあるものの、
ストーリー自体は王道と言える、
だが、肝心のゲームの描写が最終話でもっとも最悪だ。

終盤、主人公はライバルともいえるキャラと
1対1の状況になる。二人とも遮蔽物に隠れずに
真正面に向かい合い打ち合う。
その状況自体もFPSにおいては異様ではあるものの、
こういう状況で物を言うのはエイム力だ。

互いにゲーマーとしての腕が有る二人だ。
だからこそ勝ち上がっている、
そんな二人が打ち合うなら一発でヘッドショットを決めるかどうかの
勝負になるコットは必須だ。

だが当たらない(苦笑)
ふたりとも棒立ちでろくに動いてないのに、
何発も撃ち合っても当たらないというのは意味不明でしか無い。
エイム力がガバガバだ(笑)

最後はそんなガバガバエイムでは駄目だと悟った主人公が
近接勝負を仕掛けて勝ちを掴むのだが、
色々とガバガバ過ぎてアホみたいなシチュエーションだ。

終盤の展開もご都合主義の塊だ。
芸能活動かプロゲーマーかなやんでいたヒロインではあるものの、
事務所がチームごとマネージメントをやることで解決し、
幼馴染の父の借金の問題も解決、妹の足の問題も解決だ。

幼馴染と芸能人と妹との主人公を巡る三角関係も
結局結末を描かず、色々と最後にはうまいことが行き過ぎている。
作品全体がガバガバな作品だった。

総評:いつの時代のFPSだ!?

全体的に見て「eスポーツ」という題材をアニメで描くというのは
挑戦的で面白い部分ではあるものの、
その意欲とは裏腹に技術が追いついていない感じだ。

肝心のゲームの描写もガタガタなCGで描かれており、
いつの時代のゲームなんだろうと思うほどクォリティが低く、
ある程度FPSゲームの知識を持っていないと
何をしているかわかりにくい描写が多いうえに、
全く持ってゲーム自体が面白く見えない。

元になっているのはVALORANTであることはわかるが、
終盤のゲーム内容のガバガバさは凄まじく、
棒立ちで撃ち合ってるのに弾が当たらないという
ガバガバエイム試合を見せられて終わってしまう。

中盤から盛り上がってくる人間ドラマ部分は面白いとは言えるのだが、
そんな人間ドラマ部分はラストでご都合主義全開で解決してしまい、
恋愛事情もなんの解決もしていない。

eスポーツを題材にするという部分は面白かったが、
アニメとしてそれを面白く出来ていない。
色々と残念な作品だった。

個人的な感想:失笑

1話冒頭から嘘だろ?と思うほど古臭いゲーム画面に
失笑してしまったが、最終話の試合の内容は
呆れ返ってしまうほどFPSというものを制作陣が
わかっていないのでは?と感じてしまう。

作画のクォリティがもう少し高ければ評価も違ったかもしれないが、
ゲーム画面といいキャラの作画といい、
ガタガタな感じで描かれており、脚本もガバガバだ。

母親のゲーマーに対する嫌悪感も結局流されて終わってしまっており、
もう少し練り上げてほしかったと思ってしまう作品だった。

「僕らの雨いろプロトコル」に似てるアニメレビュー

「僕らの雨いろプロトコル」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください