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「BLACKFOX」レビュー

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評価 ★★★☆☆(42点) 全100分

あらすじ 近未来の大都市の一角にたたずむ忍者屋敷に暮らす、忍者一族の石動家。長女の律花は研究者である父親に憧れ、平凡で幸せな生活を送っていた。引用- Wikipedia

目指すは日本版マーベル?

本作品は劇場オリジナルアニメ作品。
監督は野村和也、製作はStudio 3Hz。

忍者屋敷


引用元:© PROJECT BLACKFOX

映画は始まって早々に忍者屋敷で何者からから逃げる少女が映し出される。
少女を追いかける謎の忍者、絶体絶命のピンチかと思いきや
少女は自ら小刀を抜き戦う。無力な少女に思わせておいて、
実は彼女も「忍者」であり、この作品の主人公である「律花」だ。

日本のアニメーションらしい活劇ともいわんばかりの忍者アクションは
小気味よくキビキビと動き、見ていて楽しい。
「アニメーション」としての面白さと冒頭からひしひしと感じさせてくれる。

シリアスな雰囲気に見せつつ、実は祖父による孫の修行だ。
物語の雰囲気のメリハリが非常に素晴らしく、
無力な少女が実は忍者少女であり、命の危険があり追われていたのかと思いきや。
祖父と孫の修行とたった5分で目まぐるしく状況が変化する。

彼女たちは忍者の一族であり、平和な日々を暮らしているという所から
物語が始まる。
たった5分でこの作品に対する期待感をしっかりと感じさせてくれる。

物語の始まり


引用元:© PROJECT BLACKFOX

ただ冒頭野激しいアクションが終わると淡々とした日常が描かれる。
「律花」の家族関係や日常描写、そして時系列が流れて
成長した「律花」が大学から家に帰ってくると家が何者かに襲われ、
父は娘をかばい死ぬ。

彼女は復讐を誓い、過去を捨て名前を捨て「リリー」と名乗る。
まるで2クールや4クールのアニメの始まりを彷彿とさせるような序盤であり、
ちょうどTVアニメの1話のような内容が冒頭の30分ほどで描かれる。
やや淡々とした部分はあるものの、海外のアメコミのヒーローのような過去や
ストーリー展開は王道の面白さを感じさせる。

劇場アニメにしては淡々としたストーリー展開は気になる部分ではある。

可愛らしいキャラクター


引用元:© PROJECT BLACKFOX

父を殺した犯人たちを探るために彼女は探偵事務所に務める。
動物型ドローンを使い、科学技術を駆使したアイテムを使い、
正体と目的を同居人にも隠しつつ、日々を暮らしている。

そんな中で可愛らしい同居人や「敵」である少女と
可愛らしいキャラクターが多く、
話の展開としては王道であるがゆえに読みやすい部分はあるものの
その王道をしっかりと可愛らしいキャラクターで魅力づけている。
主人公も主人公で復讐に燃えつつも、人の命は奪えない。

自分自身の復讐心に戸惑いつつも、彼女は命まで奪い取らない。

盛り上がるようで盛り上がらない


引用元:© PROJECT BLACKFOX

ただストーリー的に盛り上がるようで盛り上がらない。
本来は主人公と敵である少女も、
TVアニメならばもう少し仲良くなるような描写があってこその
敵対関係からの共闘関係という盛り上がりが生まれる。

しかし、劇場版アニメであるがゆえに90分しか尺がなく、
主人公と敵である少女は軽くチェスをシたくらいだ。
それくらいで殺せなくなるほど彼女に情が写ってしまうのも
イマイチ納得が出来ず、展開的にやりたいことは分かるのだが、
そのための描写が明らかに足りていない。

探偵事務所でのエピソードも殆ど描かれず、
探偵事務所のキャラクターとの絡みもほぼ無い。
これが劇場アニメではなくTVアニメならもっと活かされるキャラクターや、
設定や要素がありそうなだけに総集編チックな感じになってしまっているのは
やや残念でならない。

サイキックバトル


引用元:© PROJECT BLACKFOX

序盤こそこの作品は忍者活劇と言わんばかりのアクションを見せてくれたのだが
中盤からは超能力というふわっとしたものを敵が使い出し、
終盤は敵と敵であった少女が主人公そっちのけで超能力で戦い出す。
アニメーションとしての面白さを感じられたのは序盤だけで
中盤以降は演出だよりのアクションシーンが増えてしまうことが残念でならない。

終盤の仇である敵とのバトルも、いきなり出てきた「謎の衣装」で
強くなった主人公という謎要素と、いきなり超能力を使い出した仇という謎要素の
謎要素VS謎要素みたいなバトルになってしまい、
更にそこから超強化された敵であった少女と主人公とのバトルが描かれるが、
どうにも盛り上がりきれない。

お約束なストーリー展開ではあるものの、そのお約束の範疇を出ず、
序盤の期待感を超えないまま終わってしまうような感じだ。
しかもタチが悪いことに話はきちんと終わらない。
「続編」を匂わすような中途半端なところでストーリーが終わってしまっており、
消化不良感が余計に残るだけで終わってしまう作品だった。

総評:素材は良いのに…


引用元:© PROJECT BLACKFOX

全体的に見てこの作品を構成する要素と面白くなりそうな期待感はある。
忍者の末裔である主人公が復讐を誓い、敵とはしらずに少女と仲良くなりつつ、
自らの親のかたきを討つために奔走をする。
「アメコミヒーロー」のような世界観とストーリー展開は素晴らしく、
キャラクターも可愛いのだが、圧倒的に尺不足だ。

やりたいことはものすごく伝わってくる。
マーベルやDCコミックスといったいわゆる「アメコミヒーロー」を
日本の制作会社がアニメとして忍者な主人公でお届けする。
少女同士の百合な雰囲気も匂わせる部分もあり、狙い自体は悪くない。

だが、それをやるには尺が足りない。
1本の映画というよりはただ2クールのアニメの「5話」だけ
見せられたようなストーリーになっており、
ここから話が盛り上がりそうなところで終わってしまっている。

これを何故劇場アニメにしてしまったのか謎でしか無い。
それこそNetflixあたりに企画を持ち込めば、
長期クールでのアニメ化が通りそうな要素の数々なだけに、
中途半端に90分の尺に収めてしまったことが残念でならない。

決してつまらないわけではない、面白い要素はたくさんあるのに
それが明確な面白さにはならずに終わってしまったような作品だった。

個人的な感想:好きな要素だらけ


引用元:© PROJECT BLACKFOX

キャラクターデザインは非常に可愛らしく、序盤は期待感もあったが
結局その期待感を超えてくることがなかった作品だった。
好きな要素は非常に多い作品なだけに本当に色々ともったいない。

制作サイドとしては続編を狙ってるのかもしれないが、
あからさまに海外受けを狙った作りなので、
本当にNetflixあたりで続編が作られる可能性はあるのかもしれない。

色々と消化不良なだけに、続編がしっかりと作られて
この作品を「あくまで序章だけど続きを含めれば面白い作品」という評価の
作品になることを期待したい。

「」は面白い?つまらない?

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