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「バーナード嬢曰く。」レビュー

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評価 ★★★★☆(61点) 全12話

あらすじ 町田さわ子は、学校の図書室の常連だが、本を読まずに読んだ気になって語りたいグータラ読書家引用- Wikipedia

ギャグアニメ?読書あるあるアニメ?いいや、百合だ!

原作は月刊ComicREXで連載中の漫画作品。
監督はひらさわひさよし、制作はひらさわひさよし。
なお、原作とアニメではキャラデザが大きく違うことが
ある意味ネタになっていた(笑)
1話あたり5分の短編アニメ。

字ばっかりの本つまんない!


画像引用元:バーナード嬢曰く。 1話より
©施川ユウキ/一迅社・ド嬢図書委員会

冒頭からとんでもない量の台詞が詰め込まれている。
1話5分という尺だからこそではあるものの、
その5分という尺に対してあまりにも多いセリフ量を
超絶な「早口」で喋ることに酔って詰め込みまくった内容になっており、
その詰め込みまくったセリフと内容が素晴らしいギャグに成っている。

主人公である「バーナード嬢」こと町田さわ子は、
字ばっかりの本が嫌いなのだが「読書通」ぶりたい女の子だ。
知ったかぶりで図書室に居座り、読書家の同級生たちと日々本について語り合う。

読書通ぶりたい女子と、読書通の女子、本好きの男子、図書委員の女子。
この4人だけでこの作品は構成されており、
そんな4人だからこその「読書あるある漫才」をやっているのがこの作品だ。

あるある


画像引用元:バーナード嬢曰く。 3話より
©施川ユウキ/一迅社・ド嬢図書委員会

内容的にはいわゆる「読書家あるある」や、小説や小説家に関する小ネタなどだ。
内容的にも本好きにはたまらない内容だ(笑)
村上春樹作品と距離感、ドグラ・マグラ好きのサブカル感など、
読書家ならば「あるあるw」と思わず思ってしまうネタの数々だ。

本好きじゃなくても分かるネタも多い。
この作品の主人公はあくまで読書通ぶりたい女の子である事を忘れてはならない。
だからこそ、読書好きあるあるネタであると同時に
読書が苦手な人あるあるネタでもある。

読書が苦手な人ならば確実に共感できる意見が多く、
彼女が紹介する本は「さまぁ~ずの悲しいダジャレ」だったり、
映画化しそうな小説を読んで「原作通ぶりたい」などと
彼女の「読書通」ぶりたいがゆえの行動がきちんとギャグになっている。

それに対し読書通の女子である神林しおりが読書通として彼女に対応する。
「濃すぎる」SF小説愛好家の彼女の愛は深く重い。
小説に対する愛は思いが故にその愛が読書通特有の面倒くささを生んでおり、
その面倒くささが「ギャグ」になっている。
彼女に純粋に「SFってなに?」って聞いただけで逆ギレしてくる(笑)

百合


画像引用元:バーナード嬢曰く。 9話より
©施川ユウキ/一迅社・ド嬢図書委員会

読書が苦手な女子と、読書が好きな女子。
そんな二人が徐々に仲良くなってくるのもこの作品の魅力だ。
読書が苦手な女子に読書が好きな女子が「本をすすめる」という行為は
ある種の告白に近い。

本が好きではあるものの彼女は決して「押し付ける」ということをしない。
読書が苦手な主人公に対して、ある種の歩み寄りをきちんとし、
主人公が読んだり、おすすめしてくる本を彼女は好意的に受け入れる。
さまぁーずの悲しいダジャレだろうと、彼女は受け入れる。

押し付けがましくなく、他人の好きなものも受け入れる。
だからこそ読書が好きな女子である「神林」に愛着がわき、
主人公との関係性が徐々に深まっていくさまが微笑ましい。
特に「9話」は素晴らしい百合だ。
1話では感じさせなかった関係性の変化が百合という要素を自然と生んでいる。

声優


画像引用元:バーナード嬢曰く。 4話より
©施川ユウキ/一迅社・ド嬢図書委員会

この作品を30分、いや15分でやってしまえば確実に間延びする。
だが5分という尺に無理矢理押し込めて、詰め込みまくることで、
ややギャグものとしては硬いネタを硬いと感じさせず、
勢いで笑わせに来ている。

しかし、勢いだけではない。
怒涛な勢いが急激に「ピタッ」と止まることで、ギャグに強烈な緩急をつけており、
勢いがいきなり止まることによる静寂が面白さにつながっており、
決して勢いだけで笑わせるアニメになっていない。

演じている声優が実力派なのも功を奏しており、
声優の演技と声質がキャラクターにピタっとはまっており、
よりキャラクターの魅力とギャグにキレが出ている。

主人公を演じる「喜多村英梨」さんの素晴らしい早口、
彼女に突っ込む男子を演じるのは市来光弘。
勢いで笑わせに来る主人公やヒロインたちに比べて、
冷静かつ淡々としたツッコミや語りをしている。

しかし、ツッコミだけではなくひねくれた発言のお陰で、
ツッコミだけでなくボケにもなっており、不思議と愛着が湧くキャラだ。
そんな彼に恋心を抱く女子を演じるのは洲崎綾、
可愛らしく恋する女子を演じている。

正統派ともいえる読書家の女の子を演じるのは小松未可子。
ガチな読書好きなキャラの読書家あるあるを語るキャラであり、
読書家好きで気持ち悪さすら出ているキャラだ。
そんな読書家ゆえのブツブツとした知識の語り方や、
好きな本を悪く言われたときの怒りの演技など、
「小松未可子」さんの素のような演技とキャラが見事にあっていた。

登場人物が少ないからこそ、きちんとした演技力のある声優が演じており、
彼らが短い尺の中で怒涛の台詞を詰め込むからこそ、
この作品の面白さもよりギュッと詰め込まれたものになっている。

総評:ラブライブラリー


画像引用元:バーナード嬢曰く。 2話より
©施川ユウキ/一迅社・ド嬢図書委員会

全体的に見て素晴らしいギャグアニメだ。
読書家あるあるを基本としながら、読書通ぶりたい女子を主人公にすることで、
「読書」というものを肯定的にも否定的にも捉えることのできるギャグにしており、
たしかにこの作品はギャグであり、何度も爆笑してしまうのだが、
意外ときっちり「読書」というものをきちんと考証している、

読書というものの面白さと欠点をきちんと見ている側に伝えて、
面白さと欠点を誤魔化さずにきちんと描くからこそギャグになっており、
1話5分という枠に詰め込むことによって勢いをつけて、
笑いにきちんと変えている。

作品に出ている本は実際に出ている本だけだ。
キャラクターたちの会話の中に出てくる本を思わず読みたくなる、
読書欲をここまで刺激されて、笑える作品はこの作品くらいだ。

ぜひ読書が好きな方には見ていただきたい。
思わず「あるある」と思ってしまうネタが詰まっている作品だ。

個人的な感想:やっぱり本が好き


画像引用元:バーナード嬢曰く。 8話より
©施川ユウキ/一迅社・ド嬢図書委員会

個人的には、あらすじを読んだだけで原作は読まずにアニメを見たが、
その先入観をいい意味で裏切ってくれた。
ただ、私が読書好きなので本を全く読まない人がこの作品を読んで
どれくらいの面白さを感じられるのかがちょっとわからない。

ある程度以上の本好きなら爆笑できるが、
本が苦手な人にとってはクスクスくらいしか笑えないかもしれない。
個人的な評価は物凄く高いのだが、普段を本を読まない人が
この作品を見た時にどれくらい面白さを感じれるのか?というのが
わからないのが難しいところだ。

OVAなどでもいいので、続きがもっと見たいと感じる作品だった。

「」は面白い?つまらない?

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