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キラキラドキドキ中毒「BanG Dream!」レビュー

1.0
青春
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評価 ★☆☆☆☆(18点) 全13話

BanG Dream! <バンドリ!> アニメ化決定 Trailer 1

あらすじ 桜舞う出会いの季節。明るさ元気さ前向きさだけは空回るほどあるごく「普通」の少女・戸山香澄は、花咲川女子学園に入学する。キラキラしたい。ドキドキしたい。引用- Wikipedia

キラキラドキドキ中毒

本作品は、『月刊ブシロード』で
連載された同名の漫画作品をもとにした
メディアミックスプロジェクトによるアニメ作品。
監督は大槻敦史、制作はISSEN × XEBEC。

キラキラしたい!

1話冒頭はかなりベタな始まりだ。
かつて「星の鼓動」とやらをきいたことがある主人公は
「キラキラしたい!」という漠然とした夢を抱えている。

そんな主人公の登校シーンから始まり、
入学式で出会った女の子と何気ない会話を繰り広げている。
この手の作品としてはベタ中のベタのはじまりであり、
あまり新鮮味はないもののテンプレート的な展開の安心感が有る。

作画はやや癖がある。
「光源」を意識した影の描写はリアルでは有るものの、
そこにこだわって描かれているせいか、作画に癖が生まれており、
少しキャラクターが動くだけで影の位置が変わり、
キャラクターが明るく喋ってるのにキャラに影ががっつりとかぶる。

しかも、主人公もかなり癖がある。
「キラキラドキドキしたい!」というのが主人公のある種の哲学だが、
そんな思いを主人公はクラスの中での挨拶でも堂々と公言する。
底抜けの明るさ、星のような女の子であることはわかるのだが、
どこか空気が読めていないような感じもあり、見る人によって
好き嫌いが分かれそうな感じを1話の序盤から感じてしまう。

部活探し

そんな主人公は「キラキラドキドキ」するために
入学した高校で部活探しをしている。
「キラキラドキドキしたい」という漠然とした思いはあるものの、
キラキラドキドキするためにどうしたらいいのかがわからない。

ふわふわした状況で1話のAパートが終わってしまう。
1話の段階からややテンポの悪さを感じてしまい、
主人公の部活探しもなかなか決まらず、方向性が見えてこない。
そんな中で主人公は下校中に「星」をみつける。

道路のあちこちにおちていたり、貼っていたりする星。
そんな星を回収しながら追い続けると、
彼女は「流星堂」という質屋にたどり着き、
星のシールが張ってあるギターを見つけるところで、
ようやく話が動き出す。

1話から主人公の突拍子もないセリフや行動に
やや引いてしまう感じだ。キラキラドキドキ中毒、星厨ともいえる彼女だからこそ、
星のシールが張ってあるギターに興味を持つ(苦笑)
もし、星のシールが張ってあるバットだったら彼女は野球をしたのだろうか?

星を追いかけて勝手に住居に不法侵入をし、
星のシールの張って有るギターを見つけたら勝手にひきだしたかとおもえば、
ギターを引くために「ライブハウス」にいきなり行く。
話の展開が強引すぎて頭を抱えるレベルだ。

しかも、ライブハウスに行ったら行ったで
オーナーに誘われて、いきなりライブを見る流れになり、
そこでみたライブに主人公は心を奪われる。

色々と展開が唐突かつ強引で1話の段階から
見ている側が蚊帳の外な感じが生まれている。
1話で主人公が見るライブは「ガールズバンド」のライブなのだが、
客が女性客しか居ないのも強烈な違和感が生まれている。

この手の「萌え」作品の場合は男性キャラを極力出さない作品も多いが、
この作品もそうだ。
そのわりにはメインキャラの弟は出たりするため、
出さないなら出さないで統一してほしいと感じてしまう。

バンド

偶然星のシールを追って見つけた質屋で見つけた
星のシールが張ってあるギターをみつけ、
流れるまま何故かライブハウスにいき、主人公はバンドをやることをきめ、
そんな彼女は質屋の女の子とともにバンドを組むくことになる。
ちなみに質屋の女の子の意思は無視である。

1話でもすでに「やべーやつ」だった主人公だったが、
話を追うごとにそのやばさはましていく。
2話では堂々と不法侵入をかまし、朝、
質屋の女の子が寝ている所に入り込んでいる。
一応、祖母に許可を得ているようだが、質屋の女の子すれば恐怖体験だ。

しかも、別に彼女はバンドをやるなんて一言も言ってない。
出会って数時間も立たない女の子をバンドに誘い、
翌日には家に入り込んでいる。怖いなんてものではない。

「バンドバンド!バンドやろう!!!」

と、迫ってくる様子はなんらかの精神障害があるのでは…?と
感じるほど、ある種の「躁状態」な主人公が怖すぎる。

例えば2話では「自販機」の前で何を買おうか悩んでる女の子がいる。
そんな子に音もなく忍び寄ったかと思えば、
「どれにすんの?」と話しかけ、頬ずりしてくる。
話しかけるだけならまだ納得できる、だが「頬ずり」という行為が怖い。

そんな主人公は星のギターが欲しくてたまらないが、お金を出すわけでもない。
ただひたすら質屋の女の子の手伝いをしたり、近づいたりしながら、
「ほしい」という顔をするだけだ。

そんな中で主人公がギターを落としてしまう。
すると、落としただけで大号泣だ。
「躁鬱」があまりにも激しく、そんな主人公の行動に
主人公以外のキャラも視聴者も振り回される印象だ。

部員集め

そんなぶっ飛んでる主人公を中心に、
どんどんとバンドメンバーが集まってくる。
この手の部活アニメ系としてはベタではあるものの、
少しずつメインキャラを掘り下げながら、各キャラの事情や
性格を描きつつ、バンドメンバーが集まってくる。

ストーリーの展開だけ見ればベタだ、
しかし、内容がぶっ飛んでるのがこの作品だ。
3話で主人公が初めて見たバンドであり、
メインキャラの姉のバンドがライブに遅れてしまい、
彼女たちが来るまでの間、時間稼ぎをしないといけない状況になる。

主人公はまだろくにギターも弾けず、バンドメンバーも集まっていない。
バンド名も当然決まっていない。ライブハウスに出る権利すらない状態だ。
それにも関わらず、彼女はいきなり一人でステージにあがる。
一体何をするのか、一体何ができるというのか

「きらきら星」である(苦笑)

楽器の演奏もなく、マイクの前に立ち、
アカペラできらきら星をかましてくる。
バンドメンバーには「カスタネット」をもたせ、きらきら星を歌う。
ただただひたすら「6分」近くきらきら星を聞かされる。

共感性羞恥どことの騒ぎでない、
あまりにもぶっ飛んだ主人公の行動に頭を抱えるしか無い。
画面を直視もできず、耳を塞ぎたくなるような6分間だ。
これで2,3分ならまだ我慢できたが、6分だ。拷問に近い。

遅れてきたバンドが登場しても「きらきら星」を歌っている始末だ。
何度も何度も「きらきら光るお空の星よー」と聞かされ、
夢に見そうなレベルできらきら星を脳細胞に叩き込まれる。

あまりにも意味不明すぎる脚本はひどい、面白くないという話ではない。
一体何を考えて6分近くきらきら星を歌う脚本になったのか、
脚本会議を覗いてみたくなるほど、ぶっ飛びまくった脚本だ

バンド、音楽というものを扱ったアニメで
オリジナル曲ではなく「童謡」を、たった1話で
きらきら星(アカペラvre.)、きらきら星(カスタネットver.)
きらきら星(デュエットver.)、きらきら星(ベース&カスタネットver.)
きらきら星(バンドver.)と三木道三のアルバムもびっくりな
セトリで聴かせてくる。

4話でようやく主人公がギターの練習をするのだが、
ここでも「きらきら星」を弾いている。
主人公だけでなく、見ている側もキラキラドキドキ中毒にしたいのか、
まるで洗脳のように「きらきら星」を聴かせてくる。

嫉妬

そんなキラキラドキドキ中毒な主人公の洗脳、もとい影響によって
他のキャラクターも楽器を始めたり、
バンド活動をやりたくなってくる。
展開としてはベタなはずなのに、描かれてる内容や
主人公の行動のぶっ飛び具合についていけない。

主人公だけでなく他のキャラも割と面倒くさい。
質屋の娘であり、主人公のキラキラドキドキ中毒に
初めて影響された人物でも有る彼女は友人が少ないがゆえに、
ある種、主人公に依存している。

そんな主人公が別の子と仲良さそうにしていると嫉妬にかられ、へそを曲げる。
こういう面倒くさいストーリー展開が多い。

中盤で登場する「花園妙」というギターの子も、
独特の性格をしており、キャラとしてはそこまで悪くないものの、
演じている声優さんがシンガーソングライターが本業のせいもあって
演技がかなり気になるところだ。

作画もお世辞にもいいとはいえない。
作画崩壊こそしていないものの、ライブシーンなど
決定的なシーンの作画のクォリティが低く、
ライブシーンという本作品においての盛り上がりどころが
作画のせいで繋がってない部分がある。

中盤でようやく主人公を中心としたバンドが組まれて
オリジナル曲を演奏することになるのだが、
本来は中盤の最大の盛り上がりになって然るべきのハズなのに、
無駄に彼女たちが演奏している「蔵」の外観を映したりもする。

視聴者が見たいのは彼女たちの演奏と歌だ、
決して蔵ではない。

学園祭

中盤には学園祭で演奏するという流れになる。
だが、彼女たちにはまだ「ドラム」がいない。
序盤から出てくる「紗綾」というキャラは過去にバンド活動してたものの、
家庭事情故にバンドを続けることができず、
主人公に誘われても、なかなかバンドに入らない。

そんな事情を知っても主人公は強引に誘う。
基本的に彼女の行動やセリフは自分本位の塊であり、
相手の事情を知っても、そんなことは関係ねぇ!と
ワンピースのルフィばりに空気を読まずに突っ込んでくる。

「紗綾」の母は病気がちで、過去に倒れた経験もある。
幼い兄弟もおり、母にすべてを任せてはおけない。
だからこそバンド活動をしたい気持ちはあれど、できない。
そういう事情にも関わらず、主人公は無責任に彼女を誘ってくる。

紆余曲折あって彼女もバンドに入ることになるのだが、
これでバンド活動中に母親が倒れて亡くなったりしたら
大後悔しそうなのだが、主人公の押しと彼女自身のやりたい気持ちを
優先してしまう。

彼女がバンド活動を再開する、バンドに入る入らないの
話も3話ほどかけて描いており、かなり間延びしている印象だ。
3話のきらきら星もそうだが、全体的に1つ1つの要素が
「くどい」印象を覚える。

感動的な展開で視聴者を泣かせたいのはわかるものの、
前提条件がかなり厳しく、主人公の空気を読まない言動もあいまって
感情移入することができないため、泣くに泣けない。

しかも、ろくにドラムな紗綾と合わせていないのに、
学園祭でいきなり彼女が参加しても完璧だ。
色々と突っ込んでしまいたくなる。

肝心のライブシーンも微妙だ。
それまで使っていないCGを使いだしたかと思えば、特に面白みがない。
確かにそれぞれの演奏は細かく動いているものの、
よく動いてるだけで「アニメーション」としての面白みが足りず、
CGでの演奏中に普通の作画の回想シーンや止め絵の
観客の盛り上がってる様子を映すだすため、中途半端になっている。

CGでやるなら観客もCGで動かせばいいのに、それはしない。
曲自体も盛り上がる感じがなく、
キャラクターたちのバックボーンも主人公のぶっ飛び具合のせいで
感情移入の余地がなく、中盤の盛り上がりである学園祭ライブでの
盛り上がりを一切作れていない。

閉店

終盤になると主人公が1話で訪れていた
「ライブハウス」の閉店問題が勃発する。
そんな問題をつゆ知らず、ライブハウス出演のための
オーディションに参加し、曲を披露するが、肝心のライブシーンは止め絵だ。
8話で予算を使い尽くしてしまったのか?と思うほど作画も劣化している。

オーディションには残念ながらオチてしまう。
どのあたりがだめなのかすら、見ている側には
止め絵ばかりのライブシーンでは伝わらず、
そんな彼女たちの演奏技術云々の前に閉店問題のほうが中心になってしまう。

そもそも、なぜ「ライブハウス」を閉めるのかという理由もふわっとしている。
経営状況は悪くなさそうなのだが、
オーナーが「やりきったから」という漠然とした理由でしかない。
そんなオーナーは主人公に現実を叩きつける。

「あんたが1番できてなかった」

やる気だけで、はじめたばかりで技術もない。
当たり前の指摘で、彼女は落ち込んでしまう。
躁鬱状態で躁状態ばかりの主人公だったが、
終盤でようやく鬱状態に入る。

3話では恥も外聞もなく「きらきら星」を歌ってた主人公なのに、
終盤にはちょっとした指摘で声すら出なくなってしまう。
主人公のメンタルの不安定さは躁鬱病だからこそなのかもしれない。
そういうふうに納得しないと彼女の心理状態を飲み込むことができない

オーディションに落ちた原因は自分であり、
出たいライブハウスのオーディションも閉鎖が決まっており、残り少ない。
そんなあせりが彼女を追い詰め、
自分の中できめた「ライブハウスに立つ」ことができないということが
彼女には耐えきれない、それが「声」を奪わせている。

自分の中に収めてた思いをバンドメンバーにはなし、
バンドメンバーからの励ましの声が彼女を
再び「躁状態」へと変化させる。
この終盤の流れ自体は悪くないものの、ライブハウスの
オーナーの閉鎖理由がふわっとしているせいでいまいち飲み込めない。

最後のオーディションのライブに関しても、
手書きとCGが入り乱れており、統一感が出ていない。
最終話のライブシーンはCGで統一されており、
しっかり描かれていたものの、全体的なクォリティの低さが
気になってしまう作品だった

総評:これほど主人公に恐怖したことはない

全体的に見てストーリーの流れ自体は王道の部活系アニメであり、
主人公がギターに初めて触れてバンドメンバーを集めながら、
序盤で目指したライブハウスのステージを目指すまでの物語が
しっかりと描かれており、終盤のシリアス展開はきちんと描かれ
最後まで見るとしっかりと話しもまとまっている作品だ。

しかし、問題なのが主人公だ。
1話から「キラキラドキドキしたい!」という名の哲学のもと
他人の家だろうが、なにか事情があろうが関係なしに
ズケズケと突っ込んでいくさまは狂気をはらんでおり、
パーソナルスペースなど関係なしに頬ずりまでしてくる。

このぶっとんだ主人公の行動とセリフに恐怖すら感じる。
母親が病気がちでバンドを諦めたキャラが居ても、
「大丈夫!」と無責任に迫り、最終的にはバンドメンバーにしてしまう。
そんな彼女が本来はライブハウスに立つ立場でもないのに、
勝手にステージに上がり6分間もきらきら星を歌うのはきついものが有る。

作画に関してもあまり良くない。
ライブシーンもカットしたりすることも多く、
CGで描いたかと思えば手書きの作画の止め絵を多用したり、
CGと手書きを入り混ぜたりと統一感がなくなってしまっており、
きちんとライブシーンという盛り上がりどころに共感できない。

全体的に冗長なシーンも目立ち、
ぐだーっとしているのも気になるところだ。
丁寧といえば聞こえはいいが、丁寧に描いても
躁鬱な主人公の行動やセリフについていけず、
最後まで物語の主人公を消化しきれない作品だった

個人的な感想:うぅーん..

けいおん!やラブライブ!などを色々な作品を彷彿とさせる部分があり、
そこを下地に起きつつ声優さん達がリアルでも楽器を演奏し、
歌うコンテンツを作りたいというのはわかるのだが、
もう少し主人公のキャラクター描写をなんとかできなかったのだろうか(苦笑)

3話の6分間に渡るきらきら星は拷問に近いものがあった。
あれが3分くらいならまだ耐えられたが、流石に6分はきつい。
のちに再放送などでは6分ではなく半分くらいに編集したりしたようだが、
6分のきらきら星を1度聞いてしまうと、
この作品の印象が「きらきら星」で埋め尽くされてしまう作品だ

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