評価 ★★★★☆(67点) 全12話
あらすじ ふたりを繋ぐ“勇気” 人型装甲兵器『ティタノストライド=通称TS(ティーエス)』が発達した時代。各国軍は“ハワイ オアフ島”に集結。陸上自衛隊所属 イサミ・アオと アメリカ海兵隊所属 ルイス・スミスのふたりは戦闘の最中出逢う。引用- Wikipedia
濃厚濃密、これが令和的ロボットアニメ
本作品はCygamesPicturesによるオリジナルアニメ作品。
監督は大張正己、制作はCygamesPictures。
リアルロボット
この作品はタイトル詐欺ならぬ、キービジュアル詐欺を噛ましている。
放送前の段階でのキービジュアルでは男二人と無骨なロボットが映るのみであり、
タイトルがかつての勇者シリーズを彷彿とさせるような
熱血ロボットなタイトルであるにも関わらず、
キービジュアルや1話の途中まではリアルロボットな世界観だ。
この作品の世界では「TS」という二足歩行の兵器が導入されている。
そんな二足歩行の兵器はおそらく世界中で導入されており、
日本の自衛隊とアメリカの軍がハワイで演習しているところから
物語が始まる。
この1話の冒頭の戦闘シーンは「さすがは大張正己さんだ…」と
唸るような戦闘シーンだ。
細かい動きと「重さ」を感じさせる演出を織り交ぜながらも、
そこにパイロットたちの腕前を感じさせる動きの面白さをしっかりと感じる。
一言で言えば「無骨」な戦闘シーンだ。
わかりやすいド派手さはないものの、ロボットアニメが隙ならば、
思わず「おぉ!」と叫びたくなる動きの面白さ、
アニメーションに対するこだわりを強く感じる。
自衛隊に所属するイサミ、米軍に所属するルイス、
この二人が今作品の主人公だ。
主人公であるイサミは優秀なパイロットであり、
米軍よりもスペックとしては劣る機体を使用しているのに、
彼の腕前でスペックの差を埋めてしまう。
そんなイサミがルイスは気になってしまう。
同じパイロットとして、ヒーローに憧れるルイスは、
イサミとの不思議な縁を感じている。
二人の主人公のデザインはシンプルではあり、
最近のアニメっぽさは薄い。
だが女性キャラクターのデザインは非常に可愛らしく、
ロボット大好きなメカニックなど思わず目を奪われる魅力を醸しだしている。
襲来
そんな演習の最中、宇宙から突如飛来物が舞い降りる。
いわゆる「宇宙人」だ。唐突に地球に謎の塔を落とし、そこから無数の敵が現れる。
彼らが何の目的で地球にやってきたのかもわからないまま、
地球人は彼らとの戦いを強いられる。
だが、そこには圧倒的な戦力差がある。
1話冒頭でTSのかっこよさを描いたものの、そんなTSでは
敵の無人兵器に対して相手にならないほどだ。
謎のシールドで遠隔武器はあっさりとふせがれ、
3体のTSで1体のTSを抑えるのがやっとだ。
あっという間に人類は滅亡の危機に陥ってしまう。
無人兵器はなんとか抑えられても、巨大な戦略兵器で
あっさりと戦場は火の海へと変わってしまう。
人類はこのまま滅亡するのか。
そんな絶望が人類を襲う中で現れるのが
「ブレイバーン」だ(笑)
1話の中盤まではリアルロボットな世界観だったのに、
1話の終盤で一気にスーパーロボットな世界観へと変わってしまう。
ロボットの操縦方法もTSの場合は車の運転のような形だが、
ブレイバーンはスーパーロボットな操縦方法だ。
しかもブレイバーンは喋りまくる(笑)
怒涛の勢いでイサミに話しかけ、イサミを何故か知っている。
そんな彼に流されるままイサミは乗り込み、
必殺技を叫び、敵を倒す。
この1話の衝撃は本当に素晴らしく、
意味不明な状況に主人公も視聴者も陥ってしまう。
ブレイバーンとはなにものなのか、敵はなんなのか。
どうしてイサミのことを知っていたのか。
どうして戦ってる最中にスピーカーで主題歌を流すのか(笑)
荒唐無稽なロボットアニメの幕が上がる。
イサミィィィ!
1話ではブレイバーンが登場したことで
作品のジャンルそのものが変えられたような感覚になる。
2話でも、ブレイバーンは相変わらずだ。
イサミのことが大好きなのはわかるが、
重要な部分は話してくれず、肝心のイサミは拷問を受けている。
当たり前だ、人類は唐突に宇宙人のような存在に攻撃を受け、
地球が滅亡しかねない状況だ。
そんな中で同じく宇宙から飛来してきたブレイバーンは
なぜかイサミを知っており、イサミは彼に乗っている。
情報が足りない人類はたとえ拷問をしてでも
イサミから情報を引き出したい。
多くのものが死に、主人公たちが居るハワイ以外の状況はわからない。
「デスドライヴス」という宇宙人、無機物な存在が知能を持ち進化し、
地球人類を滅亡しようとやってくる。
ブレイバーンはそんな彼らと戦うためにやってきた。
それくらいしか説明してくれない。
ブレイバーンにとってはイサミが重要だ。
2話ではイサミへの愛を語ってくれる。
「私の動力源は熱いパルスだった、私にとって初めての体験、
それが結ばれるということだったのか」
言葉は通じる上に多言語を操るブレイバーンではあるものの、
「会話」というものは成り立たない。だからこそ、どこか怖さすら感じる。
そんな怖さを感じながら、イサミは困惑しながらも、
敵は大人しくしてはくれない。
どこかBL的なニュアンスも感じるほどだ。
イサミへの愛を叫ぶブレイバーンではあるものの、
イサミが載っていないと弱くなってしまう。
だが、「イサミ」自体は彼にのリたくない。
得体のしれない存在に乗る彼を前に「逃げる」イサミは
どこかエヴァの碇シンジを彷彿とさせるほどだ。
ブレイバーンから逃げるイサミに対し、
ヒーロー願望のある「スミス」は彼の乗ろうとするものの、
ブレイバーンは「生理的に無理」と断ってしまう(笑)
地球を守るために、人類を救うためにはイサミが乗るしかない。
人類にとって未知の敵とたたかう唯一の手段がブレイバーンであり、
未知の敵の情報も彼しか持っていない。
そんなブレイバーンが恋焦がれるイサミをなんとか
乗せることでしか地球は守りきれない。
しかし、イサミは大人だ、だからこそ彼は逃げずに自分のやれることを、
自分の正義をなそうとする。困惑しながら、やけくそになりながら、
ブレイバーンに言われるがまま必殺技を叫び、敵をうつ。
その姿が可哀想に見えつつも笑えてしまう。
ロボットアニメとしてのお約束を描きつつも、
それを主人公に「強制」させることでギャグにしているような印象だ。
ちなみにエンディングはイサミとスミスが半裸で歌う。
もう意味がわからない。
謎が謎を呼ぶ中で謎の美女も出てくる。
ちなみにイサミはコックピットで真っ裸だ(笑)
ルイス
ルイス=スミスはヒーロー願望のある男だ。
子供の頃からヒーローに憧れ、大人になりヒーローが居ないことを
実感し、自らヒーローになるために軍へと入隊している。
そんな彼の前に現れたブレイバーンはヒーローへの足がかりだ。
子供の頃に憧れたヒーローのようになれるかもしれない。
だが、そんな思いは生理的に無理とあっさり拒否されている。
そんなブレイバーンは完全に人類の信頼を得ている。
彼の情報をもとに動き、彼の特訓まで受ける始末だ。
イサミ以外の人類は完全に彼を信頼している、
どこか恐怖すら感じるほどの展開だ。
イサミだけは彼に対して怒りすら向けている。
もうヤケクソで投げやりだ。
唐突にロボットに載せられ、拷問され、素っ裸にされる。
おこらないほうが無理な話だ。
ルイスはルイスで謎の美女に振り回されている。
二人の主人公が未知の存在に振り回されまくりなのが序盤だ。
二人の主人公が二人の未知の存在に振り回さながら、
戸惑いつつ、二人の関係性も複雑なものになっていく。
そんな中でも戦闘シーンは相変わらずノリノリであり、
地上戦だけでなく水中戦もしっかりとみせてくれる。
なお、ブレイバーンは溺れる(苦笑)
テンポ
ブレイバーンの謎は深まるばかりだ。
謎の美女である「ルル」は、なぜかブレイバーンをスミスと呼び、
ブレイバーンも何かを隠しているような雰囲気がある。
そんな謎がなかなか明らかにならず、序盤を過ぎると
ややテンポはおちる印象だ。
特にハワイから日本に行くという展開になったかと思えば、
そこから、もう1話挟まって日常回が2話連続してしまうのは
1クールのアニメとしてややテンポの悪さを感じてしまった。
特に色々と謎が多い作品なだけに、
それが明らかにならないモヤモヤ感も生まれてくる。
だが、キャラを掘り下げるためには必要な回ではある。
特にイサミは迷いっぱなしだ。
序盤から無理やりブレイバーンにのせられ、流されるまま戦っている。
自分しか受け入れない彼を受け入れるしかない、
地球がピンチだからこそストレスを受け入れるしかない現状だ。
そんな彼が日常の中、戦いの合間の中でのひとときで、
自分が救った人間を前にすることで、
自分がやったことの正しさを認識することで戦う理由ができる。
理由ができたからこそ「壊滅状態」の日本の映像を前にして
彼は奮起する。
イサミという男にかかった重圧、そんな重圧を
唯一理解しているのはルイスだ。
拳で語り合い、本気でぶつかりあったからこそ生まれる友情。
戦っているのは自分ひとりではない、信頼できる仲間がいる。
ぶっ飛んでる世界観を序盤で見せつつも、
展開自体は王道だ。
日本
日本の東京は壊滅状態だ。
多くのTSが破壊され、生き残りの姿も見えない。
イサミが焦る中で、爆撃作戦の時間も迫っている。
時間のギリギリまで、予定の時間を超えても彼は叫ぶ。
そこに現れるのが味方だ。日本が壊滅状態になっても生き残っていた仲間、
それがイサミにとっての希望となる。だが、希望が見えれば絶望も現れる。
倒したはずのデスドライヴスの幹部ともいえる
「スペルヴィア」が再び姿を表す。
スペルヴィアを倒したあとに現れたルル、
序盤の段階では、もしかしたらルルはステルヴィアなのでは?と
感じさせる伏線があったが、ルルはある種の生体ユニットだ。
スペルヴィアはブレイバーンのことを知らないが、
ブレイバーンは彼のことを知っている。中盤になっても謎が謎を呼ぶ展開だ。
スペルヴィアだけでなく、別のデスドライヴスの幹部も現れる。
ブレイバーンとイサミは
別のデスドライヴスの幹部であるクピリダスを相手にし、
ルイスはスペルヴィアと相まみえる。
生体ユニットの居ないスペルヴィアならTSでも相手になる。
序盤以外、ほとんど活躍のなかったTSが
この7話にて再び活躍する展開は純粋に熱い。
中盤はややテンポの悪さを感じたが、この7話から再びテンポが上がりだす。
何度倒しても再生する敵を何度も何度も1発で倒すブレイバーン、
敵は「理想的な死」を望んでいる。クピリダスの目的は最高の爆発だ。
ブレイバーンが「こんなときのために」作っておいた武器で
クピリダスを倒す展開はロボットアニメのお約束であり、
そんなお約束を見せながらも謎を呼ぶ
「みなさん、死の望みを叶えたくばブレイバーンのもとに」
デスドライヴス、彼らは理想的な死のために戦っている。
彼らはルルという生体ユニットを生産し、
そんな生命体の力を利用して理想的な死を求めている。
そんなスペルヴィアとにあえてスミスは乗り込もうとする(笑)
生体ユニットとして使われたものの末路を見ても、
彼はヒーローになることを諦めていない。
だが、スペルヴィアにすら彼は生理的に無理で拒否される始末だ。
お約束のネタを重ねることで天丼なギャグへと変えつつ、
SF的な要素をきちんと匂わせることで、
物語の先の展開を気にならせ、自然と考察したくなる内容になっている。
ブレイバーンは常に意味深ですべてを知っているかのように、
だが重要なことをあえて隠している。
それを告げてはいけないからこそ、彼は隠している。
この作品はスーパーロボットな作品であり、リアルロボットな作品であり、
同時に「SF」だ。
嵐
終盤で一気にデスドライヴスが3体も現れる。
残りの話数でいったいどうやって複数存在する
デスドライヴスを倒すのか時になっていたのだが、まさかの3体同時だ(笑)
ロボットアニメのあるあるやお約束を描きつつも、
時にそんなお約束を破るのがこの作品でもある。
ブレイバーンとイサミは2体のデスドライヴスを相手にし、
残りの1体はスミスが相手をすることになる。
だが、基本的にこの世界のTSはデスドライヴスの相手にはならない。
デスドライヴスの一人である「クーヌス」は自らの理想的な死のために
スミスに固執している。
次々と仲間を殺し、時空すら操る敵に特別ではないスミスがどう挑むのか。
それは「命の輝き」だ。無機物だったデスドライヴス、
彼らは母艦を壊さない限りは何度でも蘇る生命体だ、
そんな彼らにたった1つしかない命を「スミス」はぶつける。
己の勇気を爆発させ、敵を倒す。彼こそまさにヒーローだ。
真相
9話で真実が明らかになる。
ルイスは「クーヌス」を巻き込み自爆をし、死を迎える。
死後の世界で自らの魂が消え去りそうなとき、
彼は後悔を叫ぶ、友との約束「世界を救う」というそんな約束、
そんな約束とヒーローへの願望へとつながる。
ブレイバーンの誕生だ(笑)
これはある種のタイムパラドックスだ、
1話の段階での未来「8話」でルイスは死に、
9話で死後の世界でクーヌスと交わることで「ブレイバーン」へと変化し、
1話の時系列の時点へと舞い戻っている。
だからこそ1話は自分の武器すらよくわからず、
混乱している中でタイムパラドックスを防ぐためにも
歴史を変えるわけには行かないが故に余計なことも言えなかった。
ヒーローに憧れた男が時空さえ捻じ曲げてヒーローになった。
己の勇気を爆発させ、たとえ肉体が滅びようとも友との約束を
守るために、二人で世界を守るために舞い戻ってきたヒーローだ。
ヒーローはいつだって遅れてやってくる。
9話以降の「未来」はルイスもブレイバーン自身も知らない。
二人の気持ちが真に一つになったとき、
2つの勇気が爆発し、交わるとき
「バーンブレイブバーン」は現れる
ロボットアニメにありがちな強化展開だ(笑)
ゴテゴテの装備を身に着けた姿とデザインによる戦闘シーンは
「大張正己」監督色全開であり、思わずニヤニヤしてしまう。
ルル
終盤は怒涛の伏線回収だ。
序盤から中盤、さんざん匂わせていたSF要素を終盤で綺麗に回収していく。
ルルもまた未来からきた存在だ。
イサミとルイスが戦い続けた未来は「敗北」の未来だ。
ただの生体ユニットでしかなかったルルはイサミとルイスから
「正義」を学び、敗北したブレイバーンから時空を超える力を取り出し、
ルルは過去へと戻った。
彼女もまたヒーローだ、ルイスとイサミを救うヒーローになるために
長い時間を旅し、記憶すら失いながらも過去へと、
未来を変えるために彼女はやってきた。
二人も時間逆行するキャラが居るのはやや複雑であり、
タイムパラドックス問題もややつきまとうものの、
そこは勢いでごまかしている部分がある。
おそらくはクーヌスの力によって何周もループしてるのかもしれない。
彼女が理想的な死を迎えるために、その相手を探し出し、
その過程でこの世界線へとたどり着く中で、
タイムパラドックスが生まれない状況になったのかもしれない。
このあたりは考察しようと思えばできるが、
勢いに流されるのがこの作品の正しい楽しみ方だろう。
この物語はヒーローを目指した3人がヒーローになるための物語だ。
ヒーローは悪を倒し、最後には生きて帰らなければならない。
たとえ肉体を失っても、たとえ時間を遡ってでも、
他人も自分も救ってこそ、生きて帰ってこそヒーローだ。
ちなみに最終決戦を前にイサミはブレイバーンに押し倒されている(笑)
ブレイバーンが話が通じないのも、若干気持ち悪いのも
「淫蕩のクーヌス」と合体した影響であることもわかるのだが、
気持ち悪いことは序盤も終盤も変わらない。
最終決戦
終盤になっても、この作品はギャグを忘れない。
強敵に見えたデスドライヴスは一瞬で倒され、
敵を放っておいてスペルヴィアとブレイバーンが戦い出す(笑)
だが、それだけギャグをやっておきながら
唐突にシリアスになるのがこの作品だ。
本当の強敵が現れ、ブレイバーンは大破する。
かなり忙しい終盤だ、展開がつめに詰め込まれ、
怒涛の展開が襲いかかってくる。最終話は更に怒涛の展開だ。
イサミはなりたいものがなかった男だ。
だが、ブレイバーンが現れたことで彼はヒーローになった。
自身の存在を確立し、生きる意味を、価値を与えてくれたのがブレイバーンだ。
ブレイバーンに振り回されながらも彼はヒーローになろうとしてきた。
だが、最終話で彼は限界を迎える
「俺はもうだめだ」
拷問され、裸にされ、仲間も死にまくり、
ブレイバーンすら失った彼のメンタルが持つわけがない。
むしろ、最終話までよく持ったと言いたくなる展開だ。
壊れたイサミは情けない。白旗を上げ、敵に媚びを売る始末だ。
ただヒーローに憧れただけの男、ブレイバーンがいたからこそ、
ヒーローになれただけの男だ。誰ひとり救えなかった、
だが、彼はすでにヒーローだ。
救えなかったものは居る、だが、救えたものも居る。
ブレイバーンがスミスであることを知った彼の中に
再び勇気の炎が湧き上がる。
バーンブレイブビッグバーン
イサミが真の意味でヒーローになった姿はあまりにも眩しい。
なにせ全身金ピカである(笑)
どこぞのGガンダムな姿を彷彿とさせる金ピカな姿は
真の意味でブレイバーンと合体したイサミだ。
だが、最後の敵を倒し、地球に平和が訪れたかと思った矢先、
ラスボスが現れる。ちょっとこの最終話の展開は
慌ただしいどころの騒ぎではない。
終盤はかなり詰め込んだ感は否めない。
デスドライヴスは様々な死を求めた。8つの死を経験し、
生まれいずる存在は、もっと様々な死を求めている。
そういった事情なのはわかるが、
その事情すらギャグシーンの中に盛り込んでいる。
最後は「みんなのチカラ」を集めて敵を倒す。
これまた王道の展開だ。最終話はお約束的展開を詰め込みまくっており、
ややご都合主義的な展開はあるものの、
この勢いに飲み込まれてしまう作品だった。
総評:濃厚濃密、これが令和的ロボットアニメ
全体的に見て色々とぶっ飛んだ作品だ。
序盤はリアルロボットな世界にスーパーロボットが出てくることによる
逆転劇という強烈なインパクトを感じ、ブレイバーンの
独特な気持ち悪さと怪しさ、BL的要素やロボットアニメあるあるを
ギャグにしたシーンの連続に思わず笑ってしまう。
中盤からはややテンポが落ちるところは気になるものの、
終盤に差し掛かると物語の伏線が綺麗に回収されていく気持ちよさがあり、
いわゆるタイムパラドックスな部分はあるものの、
濃厚なSFストーリーが描かれている。
ただ終盤は1クールという都合もあってか、
かなり詰め込んでいる感じは否めない。
とにかくギャグを詰め込み、とにかくロボットアニメあるあるを
詰め込み、それを怒涛の勢いで見せられている印象だ。
もう少し、この終盤の詰め込み加減がなければ
もっと高い評価をできたかもしれないが、
最近のアニメは1クールがほぼお約束の中で
タイパなどと囁かれる時代だからこそ、
現代においてロボットアニメをやるなら、このくらい
詰め込まないといけないということなのかもしれない。
最近のアニメはいわゆるバズリを狙った作品も多い。
この作品もそれをあえて狙っており、1話から
放送されるたびにトレンドに入っていた。
そういったトレンドを意識したストーリー構成の見せ方は
現代的であり、革新的だ。
まだ見ていないという人は試しに1話見てみてほしい。
この作品だからこその荒唐無稽ともいえる
ロボットアニメをぜひ味わっていただきたい
個人的な感想:2クール
アニメーションのクォリティも素晴らしく、
大張正己監督だからこそのロボットアニメの描き方は
1ロボットアニメ好きとしてたまらなかったが、
やっぱりロボットアニメはせめて2クールくらいで
じっくり見てみたいと感じる部分もある。
特に終盤はかなり詰め込んでいるが、
もっとじっくりと描こうと思えば描ける部分は多い。
イサミ、ルイス、ブレイバーン、ルル、この4人を主軸に
物語が進み、他のキャラの掘り下げはほとんどない。
それがあまりにももったいない。
これが平成初期ならば4クールくらいかけてじっくりと描けたはずだ。
そういうもったいなさは感じるものの、1クールだからこその
荒唐無稽さは他作品では味わえない魅力もあり、
1度見たら絶対に忘れられない作品だ。
余談だが、いつか
スーパーロボット対戦にブレイバーンが登場するのが
楽しみで仕方ない(笑)
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