評価 ★☆☆☆☆(12点) 全12話
あらすじ ギャグ漫画の金字塔であり、赤塚不二夫の代表作とも言える「天才バカボン」が、前作から18年ぶりに、細川徹監督のオリジナルストーリーでTVアニメ化決定!引用- Wikipedia
本当に、本当にこれでいいのか?
原作は赤塚不二夫氏による漫画作品。
過去にも何度もアニメ化されているが、
この作品は2018年の深夜アニメとして制作された作品。
おそ松さんのヒットを受けて制作された感じが強く、
本作の監督を務める 細川徹 さんがツイッターで
「おそ松さんのアイデアは自分」とツイートしたことで、
放送中よりも放送前のほうが悪い意味で話題になっていた。
https://www.j-cast.com/2018/07/06333168.html?p=all
メタネタ、時事ネタ、風刺、パロディetc…
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
1話からYOSHIKIが出る(笑)
最近、ありとあらゆる番組に出てて、逆にレア感のなくなってきた
XJAPNのYOSIHIKIさんを御本人として登場させる。これが別に面白くはない。
YOSHIKIさん自体のプレミア感は散々バラエティ番組で出ているため
薄れてしまっており、出ても意外性があまりない。
他にもバカボンのパパ自体の声優オーディションに野沢雅子さんや、
福山潤さんを出したり、バカボンのパパを今どき風に整形するために
ブラックジャックが出てきたりと、いわゆるカオスな状況だ。
ただこれは視聴者にツイッターで「カオス」とつぶやかせるための
内容であり、そうつぶやかせたい制作側の意図が見え隠れしすぎている。
正直「都知事のバッグに五千万を入れる」ネタなど、
2018年のアニメなのに2014年の事件のネタを取り入れるのも、やや古く、
時事ネタを扱う上で後に問題になる時間が経つと笑えないという要素を、
放送中に起こしてしまっている。
「おそ松さん」の1話は色々な問題から配信停止にまでなったが、
この作品は似たようなカオス感を出してはいるが、誰にも怒られていない。
悪い意味で「おそ松さん」の2番煎じというイメージは拭えない。
見づらい画面
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
1話こそ4:3のレトロ調の作画で通していたのだが、
2話からは16:9でやたらビビットな色合いになる。
基本の色が紫であり、正直目に優しくない色だ。
おそ松さんが青をベースとした色合いだった為意識してるのかもしれないが、
意識しすぎた結果、紫を採用するのは意味がわからない。
この辺は好みの部分もあるかもしれないが、
このビビットすぎる色彩設計は人によっては見づらさを
強く感じてしまうだろう。
当たり外れと間延び
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
本作品はギャグアニメであるがゆえに「ネタの当たり外れ」がある。
ギャグに関しては笑える笑えないが個人個人によって異なるものの、
その個人個人のセンス以前の問題の話も多い。
それだけならいいが、その笑えないネタを「だらー」っと描く。
ギャグアニメは基本的にテンポが命だ。
たとえネタがつまらなくても勢いでごまかすこともできるのだが、
この作品はたとえネタがつまらなくてもだらーっと尺を掛けて描いてしまい、
ただでさえ笑えないネタを永遠と聞かされているような感覚になる。
30分のアニメなのに1時間のアニメを見てるような気分だ。
ツッコミキャラがあまりいないせいか、つっこみも弱く、
1つ1つの話もダラーッと始まり、ダラーッとぼけて、
ダラーっと終わってしまう感じが強い。
ギャグにおけるメリハリが甘く、笑えそうで笑えない感じだ。
芸能人出しすぎ
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
この作品はしらけるほど芸能人が出てくる。
1話はYOSIHIKIだったが、その後も高橋克典や遠藤憲一、片平なぎさと
なぜか俳優陣が多く出ている。
ただ、基本的にはそれが面白さにつながっていない。
漫画家もあだち充先生ややくみつる先生が出たりするのだが、
そういう「有名人」に頼ってるだけで、
「あの有名人がアニメに出てるwwカオスww」みたいに、
SNSでつぶやいてほしかったのかもしれないが、
見てる側としては芸能人が出るたびに白ける感じだ。
内輪ネタ
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
コンプライアンスやテレビ東京、BPOなど
制作陣に関わるのあるネタを頻繁に出す。
作画崩壊ネタなどいわゆる「内輪ネタ」をバンバンに出してくる、
それが面白いか?と聴かれると判断に困るところだ。
ネタも使い方次第だとは思うのだが、
この作品は脚本家の頭の中で脚本家が面白いことをやってるだけであり、
脚本家は笑えるのかもしれないが、
見てる側はひたすら無表情になってしまう。
テレビ業界の規制に関する風刺ネタという意味合いもあるのだろうが、
それをやるのは構わないが、最低限笑いにつなげてほしい。
これが全12話のうちの中の1話ならば内輪ネタだらけの
エピソードとして笑えたかもしれないが、
全12話の中でまんべんなく内輪ネタを入れられると笑えるものも笑えない。
下品なネタ
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
話が進んでくると下ネタが増えてくる。
「おそ松さん」でも自家発電などの下ネタはあったものの、
こちらはそういう感じでなく、単純に下品な下ネタが多い。
素っ裸で街を歩いたり、有名なミラーの車だったり、排泄物だったり、
「面白い」というよりも「下品さ」が際立つネタが多く、
かなり好みが分かれるだろう。
ただ下ネタに関しては原作のバカボンも
小学生レベルの下ネタが多い作品であるため、
このレベルの下ネタはアリなのかもしれないが、
下ネタギャグというよりは「悪ふざけ」に近いノリであり、
ずーっと空回りしてる下ネタを見せられて痛さみたいなものも感じてしまう。
笑い始める3秒前
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
制作側のやりたいことも伝わり、面白くなりそうな要素もある。
だが、1つ1つのネタが笑える一歩手前でとどまってしまってる感じであり、
笑えそうで笑えない感じが1クール続いてしまう。
メタネタをやるのはいいが多すぎであり、
芸能人を出すのは良いが出し過ぎであり、
風刺ネタをやるのは良いが内輪ネタすぎでありと、
下ネタをやるのは良いが下品すぎだったりと、
制作側が「カオスさ」を求めるあまり加減を間違えてる感じも強い。
もっとカオスになれば「ポプテピピック」のような
カオス&シュールな作品になったかもしれないが、
制作側としては「やりすぎw怒られるぞw」というようなネタのつもりでも、
見てる側としてはやりすぎ一歩手前でしかない。
おそ松さんは1話が怒られて配信停止になってしまったが、
バカボンは似たようなことをしていても怒られてはない。
この差が作品全体の面白さを決定づけてしまった感じもある。
結局の所、最後まで見ても「おそ松さん」の二番煎じ感が
拭えない作品だった。
総評:カオスに見えてカオスじゃない
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
全体的に見て笑えそうで笑えない作品だった。
話によって当たり外れが大きく、当たりの話でも爆笑には至らず、
全話に渡って似たようなことをしているような感じも強まってしまい、
ハズレの話は無表情で見てしまう。
特にメタネタや風刺ネタに関しては多すぎだ。
基本となる話やエピソードがあって、
その中でメタネタや風刺ネタがあるならばいいが、
「メタネタありき」になってしまってる部分も強く、正直飽きる。
制作側も冒険してるつもりなのかもしれないが、
作画崩壊ネタやソシャゲネタなど見たことのあるものが多く、
「リアルなバカボン」もおそ松さんでみたことのあるようなネタであり、
この作品だからこそのネタがほとんどなく、
カオスに見えてカオスじゃない。
1話30分の尺もうまく使いこなせておらず、
1話30分のアニメなのに1話1時間位に感じてしまうほど、
話にメリハリがなくツッコミも弱い。
「おそ松さん」はいい意味でキャラクターのバランスが取れていたが、
バカボンはツッコミ役が少なく、ツッコミ役だったはずのキャラまで
ボケに回ってしまうことも多く、ボケが飽和状態だ。
話によっては笑える話もあり、ギャグに関しては好みはあるものの、
少なくとも1クールのうち半分は外れな作品だった。
個人的な感想:なぜおそ松さんが受けたのかわかってるのか?
引用元:赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
制作側は二匹目のドジョウを狙ったのかもしれないが、
見事にダダ滑りだった。
おそ松さんが女性にアレだけ受けたのは丁寧なキャラクター描写と、
六つ子のキャラの立ち位置を活かしたギャグが面白かったからだ。
しかし、この作品は制作側が「おそ松さん」がなぜ受けたのか?
と考えて作ったのではなく、
「俺のほうが赤塚不二夫作品を面白くできる」という思い込みから、
制作を行っており、結局は自己満足で自己完結な作品になっている。
売上的には300枚以下と大爆死。
上下巻のBOX売りでイベント優先販売申込券をつけて、
この売上はかなり厳しいだろう。
個人的に最大の謎だったのはエンディングテーマが
ケツメイシだったことだ(苦笑)
なぜ、ケツメイシだったのだろうか…
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