評価 ★★★☆☆(40点) 全12話
あらすじ艦船の名を冠した少女たちが居る、ちょっと違う世界。色々な組織が協力して作った学園で少女たちの元気で楽しい共同生活が始まります! 引用- Wikipedia
名誉挽回
本作品は「アズールレーン」のスピンオフ作品。
原作は4コママンガ。
監督は神保昌登、制作はYostar Pictures、studio CANDY BOX
1話10分ほどの短編アニメ。
ベタベタ
画像引用元:アズールレーン びそくぜんしんっ! 1話より
© Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./
ホリ, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.
アニメにおける1話の始まり。いろいろな展開がある中で
この作品は「主人公の朝の目覚め」から始まる。
昭和の頃から存在するこのベタ中なベタの始まりは
逆に安心感すら感じさせてくれる始まり方だ。
朝起きてシャワーを浴びて歯磨きをして着替えをする。
開始30秒足らずで主人公のセクシーな姿をみせることで
男性諸君の紳士心を刺激し、主人公の魅力と可愛らしさ、
いわゆる「萌え」な感情をくすぐられる。
「ジャベリン全力で行きまーすです!」
彼女が「ジャべリン」という名前であることも認識させ、
そんな彼女を主人公に置いた日常が描かれてるのがこの作品だ。
1話からメインであるジャベリン、綾波、ラフィー、Z23という
4人をきちんと魅せ、それぞれがどんなキャラで
4人の中ではどんな立ち位置なのかをきちんと認識させてくれる。
ベタな始まりからきちんとまるで教科書通り、
言い方は悪いがテンプレート的な見せ方をすることで、
逆にキャラクターの「魅力」という名の可愛さを際立たせている。
やや「あざとい」とすら感じる描写は多いものの、
いい意味で割り切ったキャラのあざとさがあることで、
日常萌えアニメとしての面白さをしっかりと感じられる。
ソシャゲ原作アニメ
画像引用元:アズールレーン びそくぜんしんっ! 2話より
© Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./
ホリ, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.
ソシャゲ原作アニメといえばキャラクター数の多さだ。
「ガチャ」というシステムの都合上、キャラクターは無限に増え続け
それをアニメ化してしまうと1クールで40名近いキャラクターが
所狭しと画面の中に押し込められることも少なくない。
「アズールレーン」もスピンオフではない前作は
ソシャゲ原作アニメ特有のキャラの多さに加え、
視点がコロコロと切り替わるせいでゴチャゴチャした
作品になってしまっていた。
しかし、この作品ではその反省を生かしてか
メインは4人のキャラであり、そこに毎回違うサブキャラクターが
登場し絡む形で日常ストーリーが描かれている。
いわばギャグアニメ方式だ。
オムニバスでキャラクターをとにかく登場させるような
ソシャゲ原作ミニアニメもある中で、
この作品は丁寧に一人ひとりの「キャラクター」の印象を
深めようとしている工夫がしっかりと感じられる。
露骨なあざとさとセクシー要素がキャラクターの印象を
わかりやすく見ている側に印象づけることで、
1話しか出ないサブキャラクターでも印象に残りやすい。
メインの4人に対し毎話一人か二人のサブキャラクターが絡み、
あとは背景に他のキャラクターが映っているという感じだ。
「キャラクターの扱い」の格差は生まれるものの、
ただキャラクターを出してワチャワチャさせるだけの作品と違い、
キャラクターの印象はしっかりと見ている側に残るようになっている。
ワチャワチャはしているがゴチャゴチャはしていない。
話の中に出てくるキャラクターの人数を制限することで
1話1話が見やすくなっている。
原作ファン向けとしてはキャラの格差で不満を感じる部分は
あるかもしれないが、その分、新規層でもキャラを覚えやすくなっている。
ストーリー
画像引用元:アズールレーン びそくぜんしんっ! 5話より
© Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./
ホリ, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.
1話1話のゆるーいストーリーはちょうどよく、
緩いストーリーではあるものの、
4人のメインキャラの母港での日常という主体性が生まれている。
各話で4人の掘り下げを行いつつ、サブキャラの紹介も行っている。
部活をしたり、お菓子作りをしたり、海で遊んだり、掃除したり。
日常アニメらしい日常ストーリーは起承転結がスッキリしたものが多く、
爆笑こそできないもののクスクスと笑える内容になっており、
きちんとオチのある話も多く、その中でキャラクターの
可愛さを際立たせるための展開を生んでいる。
「あざとい」シーンを作るための展開は多く、
見ているとIQが下がりそうなストーリーではあるものの、
何も考えずにそういったキャラの可愛さを味わえるようになっており、
「指揮官ラブ」な彼女達の日常を楽しめる。
作画
画像引用元:アズールレーン びそくぜんしんっ! 6話より
© Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./
ホリ, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.
この手のショートアニメの場合はSDキャラで描かれることが多いが、
この作品はSDではなく普通の頭身で描かれており、
なおかつセクシーなシーンが多いおかげでフェチズムあふれる
こだわりのある描写が目立つ。
腹筋だったり、胸だったり、ほくろだったり。
キャラクターごとの身体的特徴をセクシーに見せることで、
よりキャラクターの印象も深まる。
露骨なセクシー描写は人によっては好みが分かれるところではあるものの、
そういった要素が嫌いでなければ楽しめる要素だ。
狙ったようなカメラアングルもさり気なく見せることで
ほどよい「エロス」を追求しており、
胸の大きなキャラの「揺れ」もしっかりと楽しめる。
キャラクターの表情もコロコロと変わり、
それがキャラの可愛さを後押ししており、
強調されたキャラの可愛さとセクシーさが、
よりキャラの印象につながる。
キャラクター数を制限したからこそ、
一人ひとりのキャラの印象を深めようとする制作側の
努力と愛を感じられる。
陣営
画像引用元:アズールレーン びそくぜんしんっ! 5話より
© Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./
ホリ, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.
本来、アズールレーンの世界は陣営が別れており、
対立してたりゴタゴタしてたりと色々とあるのが本家だ。
前作はそのあたりを中心にシリアスなストーリーを展開したが、
今作では陣営は関係ない。
ゲームや前作では対立してたり戦ってた彼女達も
この作品ではそんなことはつゆ知らず、
「他の陣営だから」と気にする子はいれど、
結果的にはみんな仲良く日常を送っている。平和だ。
1クール、本当に平和な日常が淡々と描かれ終わる。
このまったり感もふくめて
「これでいいんだよ」と感じられるショートアニメだった。
総評:ファンも新規も楽しめる
画像引用元:アズールレーン びそくぜんしんっ! 10話より
© Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./
ホリ, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.
全体的に見てソシャゲという原作があるショートアニメとしては
完成度の高い作品だった。メインキャラを4人に絞り、
そこに毎回、サブキャラが絡むことでストーリーを生み出しつつ、
キャラクターの印象をしっかりつけている。
ワチャワチャ楽しそうな日常ではあるが、
キャラを絞ったことでごちゃごちゃしておらず、
1話10分という尺の中でゆるーい日常を描いており、
1話1話の話とキャラクターの可愛さをたっぷり味わえる。
あざとい要素はかなり強く、セクシーな要素も萌え要素も
強調されており、それがよりキャラクターの印象を強めている。
このあざとさに関しては好みが分かれるところではあるものの、
あざといからこそのキャラの印象づけと話に刺激が生まれており、
この要素がなければ退屈な日常アニメでしかない。
萌えとセクシーさをわかりやすく描くことで
一人でもキャラクターを覚えてもらいたい。
そんな制作側の作品に対する思いがしっかりと伝わる作品だった。
個人的な感想:期待していなかったが…
画像引用元:アズールレーン びそくぜんしんっ! 1話より
© Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./
ホリ, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.
アズールレーンは前作の印象が悪すぎたため、
ショートアニメはそれほど期待していなかったが、
予想以上に楽しめた作品だ。
この手の作品は高い評価はしづらいものの、
アズールレーンのファンも、アズールレーンという作品をあまり
知らない人でも楽しめる作品に仕上げているのは評価したいところだ。
1期の汚名を見事に返上したといえるスピンオフ作品だったかもしれない。
原作運営元である「Yoaster」は前作の
出来栄えには納得できなかったようで、
わざわざ自社のアニメ制作会社まで立ち上げており、
この作品が初制作作品だったが、安定した出来栄えだった。
Yoasterは他のソシャゲも多く運営しており、
ショートアニメではない1クールアニメが制作されるかもしれない。
ソシャゲ原作アニメはその媒体故に微妙な作品が多いが、
そんな汚名を返上するようなアニメが作られることを期待したい。
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