評価 ★★★☆☆(50点) 全8話
あらすじ 「俺」は、事故で死亡し、恋愛ファンタジー小説『銀の王子と聖なる花嫁』の世界に、当て馬キャラのロニールとして転生してしまう引用- Wikipedia
乙女小説が、まさかのBLに?!
原作は「BLスクリーモ」レーベル(スクリーモ)で連載中の漫画作品。
監督はあきこんち、制作はstudio HōKIBOSHI。
1話5分ほどの僧侶枠な作品。
血を吸うトラック
ここ4,5年は異世界転生モノ、いわゆるなろう系が大ブームで
色々なキャラクターが異世界へと転生している。
僧侶枠でもBL作品は転生要素を取り込んだ作品が多く
巨人族の花嫁や魔王イブロギアに身を捧げよなど、
僧侶枠の名作BL作品に転生要素は不可欠だ。
この作品も転生要素のある作品だ。
物語冒頭で主人公は「トラック」に轢かれてしまう(笑)
数々のなろう系主人公がこの血を吸うトラックの犠牲になってきたが、
この作品の主人公も血を吸うトラックの犠牲者になってしまうところから
物語が始まる。
彼が血を吸うトラックの犠牲になって気づくと
自分自身が前世で営業をしていた乙女向けの恋愛小説の中の世界の
キャラクターに転生している。
転生したキャラは幼馴染を襲い「断罪」される当て馬キャラだ。
物語どおりなら死んでしまう運命にあるキャラクターだが、
彼は先の展開を知っているがゆえに、幼馴染を襲うことをせず、
原作をかえないようにヒーローとヒロインが結ばれることを
草葉の陰から望んでいる。
惚れ薬
しかし、物語という運命は強制力をもって彼を襲う。
そんな大ピンチの中で、とっさに彼はスパダリ王子である
「アレク・レイ・ガルシアム」に薬品をぶっかけてしまう
その薬品こそが「惚れ薬」だ(笑)
暴走したスパダリ男子に襲われかけたものの誤解は解けたものの、
スパダリ男子が惚れ薬によって同性愛者になってしまう。
とんでもない原作改変である。
惚れ薬に影響されたスパダリ男子は本来のゲームの
ヒロインそっちのけで主人公にぐいぐいだ。
本来のヒロインとの婚約もあっさり解消しようとする始末で、
主人公はそんな彼の行動やセリフに振り回されまくってしまう。
グイグイくる男子と、それに振り回される男子、
それを楽しむ作品だ。
主人公が転生してしまったキャラクターは断罪されるはずのキャラであり、
原作ではあまり登場していないキャラクターだ。
それゆえに情報が少ない部分もあり、実はスパダリ男子である
王子の敵だったりと隠された設定にも主人公が振り回されていく。
原作の流れに戻さないといけない。
そんな思いが主人公の中にはあるのだが、
それはスパダリ男子とゲームのヒロインが恋仲になってこそ叶うものだ。
肝心のスパダリ男子は主人公に夢中であり、
ヒロインの方は申し訳程度しか出番がなくなってしまう(笑)
作画のクォリティも高く、キャラクターデザインもしっかりしており、
僧侶枠でありながらBLだからこそ、かなり気合が入って描かれている。
僧侶枠だからこそ1話5分ほどであり、
サクサクとストーリーが進んでいくのは悪くない。
嫉妬
主人公も原作改変しているとは分かってはいるうえに、
原作の流れに戻さないといけないとは分かっているのだが、
スパダリ男子にグイグイとこられたせいもあって、
彼への恋心が芽生えてしまっている。
断罪はされたくない、ヒロインの立場も奪いたくないはずなのに
スパダリ男子に主人公も夢中だ。
そんな恋心ゆえに本来はヒロインが目覚める力に主人公が目覚めてしまう。
ラストでは衝撃の事実も明かされる、
なんと主人公が惚れ薬と思っていた薬は惚れ薬ではない。
つまりはスパダリ男子は最初から同性愛者ということになる。
もはや意味不明だ(笑)
ストーリー的には全8話ということもあり、
色々と謎や伏線が残っている状態になってしまっているのが
残念ではあるものの、僧侶枠らしいBL作品の面白さを
たっぷりと味あわせてくれる作品だった。
総評:ヒロイン完全放置
全体的に見て僧侶枠のBLらしい面白さが詰まった作品だ。
アニメーションとしてのクォリティはそこまでではあるものの、
1枚1枚の作画のクォリティは高く、キャラクターデザインも洗練されている。
そんな美男子たちのBLな世界が異世界で繰り広げられている。
断罪される運命のあるキャラに転生してしまった主人公が、
断罪はされたくはないが原作も改変はしたくない、
そんな思いを抱えつつも、惚れ薬によって自分に夢中になってしまった
スパダリ王子に振り回され、ゲームのヒロインを完全放置で
二人の世界を作り上げているさまにクスクスと笑えてしまう。
ラストではスパダリ男子の思いが惚れ薬によるものではなかったという
衝撃の事実も明かされることで、そもそもスパダリ王子は
同性愛者だったという原作でも明かされていないような設定が
出てくるのは驚きだ。
色々と伏線や謎もばらまかれており、王子を狙う勢力がいたりもして、
今後のストーリーを気にならせるところで終わっているのが残念だ。
ストーリーの展開も異様に早く、ややダイジェストチックになっているのも
少し残念なところであり、きりの良いところまで話をすすめたかったのは
わかるが、テンポが早すぎる印象も覚える。
それでも僧侶枠以外ではめったにお見かけしなくなった
BL作品であるがゆえに、BLを欲している人には
ぜひ楽しんでもらいたい作品だ。
僧侶枠は最近、2期を制作する作品もたまにあるため、
過去の作品と同様にこの作品の2期もあれば期待したいところだ。
個人的な感想:僧侶枠のBLにはずれなし
僧侶枠のBLは本当にハズレといえるものがほとんどない、
初のBL作品だった「パパだって、したい。」はやや厳しかったが、
その後のBL作品はどれもきちんと面白さが有り、
先が気になる作品ばかりだ。
個人的にはそろそろ巨人族の花嫁の2期を見てみたいのだが…
僧侶枠さん、いかがでしょうか?(笑)
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