評価 ★★★☆☆(56点) 全13話
あらすじ 北海道、函館。ヨーロッパと日本文化が融合した、華やかな建物が並ぶ街――函館の大学生・七星 蓮は、幼い頃に見たライブステージの熱狂を忘れられないまま毎日を孤独に過ごしていた。引用- Wikipedia
真面目なのにどこかシュール?
原作はブシロードのメディアミックスプロジェクト、
がーズルバンドな「BangDream!」の関連企画の1つであり、
本作品はボーイズバンドを扱う。
OP
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 1話より
©ARGONAVIS project.
1話そうそうOPから始まる。
ぬるぬるに動く各キャラクターの演奏と歌唱、
この作品がボーイズバンドを扱う作品であり、彼らの曲も主軸だからこそ
いきなりOPから始めている。
主人公は子供の頃、父親に連れられて行ったフェス。そこで受けた衝撃。
彼は大学生になってその時の衝撃を忘れられないままだが、
バンド活動をしているわけではない。カラオケで一人練習をしていると、
漏れた彼の声を聞いて、バンドメンバーを募集している二人が部屋に
いきなり入ってくる(笑)
非常にわかりやすい始まりだ。唐突な感じの展開ではあるものの、
キャラクターたちが言うように「運命」だ。
いきなりヒトカラしていたら
「お前は砂漠で水を求める旅人だ!お前には俺達の船に乗ってもらう!」
とバンドに誘われる。やや詩的な表現のあるセリフは多いものの、
ストーリー自体はシンプルにわかりやすく、
彼らがバンドを組んで、どんな曲を作り、どんなバンドになり、
どんな活動をするのか。
主人公が断る流れもこの手の作品としては王道というかベタだが、
主人公のある種の「歌バカ」みたいな設定のインパクトはある。
彼は中有学生の頃からガチであり、歌が練習したい、歌がうまくなりたい、
子供の頃受けた衝撃にたどり着きたい。だから誰にも邪魔をされたくない。
そんな主人公だ。
ただ、1話で一緒に歌っておいてようやく入る展開かと思ったら
結局まだ保留という展開はやや謎だ。そこまでして引っ張るのは
ちょっと引っかかってしまう。
バンドメンバー
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 2話より
©ARGONAVIS project.
基本的にメインキャラクターはかなり癖のあるキャラクターが多い。
主人公もそうだが、2話で出てくるピアノを担当するキャラは
「俺は天才だからな」と初対面の人に言うヤバいやつだ(笑)
3話ではドラム勝負を仕掛けてきて金稼ぎが目的のやつも現れる。
一人ひとりのキャラクターを掘り下げながらバンドメンバーが集まってくる。
やや淡々とはしている。だが、メインキャラクターがバンドをやる理由、
彼らが入るまでの過程を地味ながらも丁寧に描くことで、
癖のあるキャラクターの一人ひとりのキャラクターに
しっかりと感情移入できる。
青臭く、まっすぐだ。
そんな彼らが色々な思いを抱えながらバンドをやりたいと、
バンドをやろうとする流れはベタではあるものの王道なストーリー展開だ。
初ライブ
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 4話より
©ARGONAVIS project.
彼らは決して知名度があるわけじゃない。素人が5人集まっただけだ。
だからこそ50人のライブハウスでさえ、自分たちの友人や家族を招待する。
それでも箱は埋まらない。北海道に住む彼らは小さい箱すらうめられない。
あまり人とのコミュニケーションが得意とはいえない主人公が
雨の降りしきる中で必死にチラシ配りをする姿、誘った友人も来ない。
たかが口約束、たかが友人のライブ、しかも有料だ。
彼らが必死にチラシを配るさまは心苦しいものがあるものの、
彼らは決してそれでギスギスしたりはしない。
最初のライブは大赤字だ。だけど、それはみんなの責任だ。
みんなで考えて、みんなが数機でやろうとしているバンドだ。
だからこそ、みんなの責任だ。最初からうまくは行かない。当たり前だ。
最初から成功するご都合主義ではなく、きちんと苦労する過程を描くことで
「アルゴナビス」というバンド、彼らに感情移入できる。
「アルゴナビス」というバンドのファーストライブのお客さんはたった一人だ。
演奏後に拍手も完成も起こらない。そんな彼らのライブだが、
たった一人に向けたライブは彼らの足掛りになる。
きちんと彼らが成長し、売れるまでの過程を描いている。
この作品は非常に丁寧なストーリーだ。
やや丁寧すぎて淡々としている感じはあるものの、
一人ひとりのキャラクターをしっかりと描いている。
だからこそ最初はキャラクターのくせに驚かされるが、
話が進めば進むほどのその癖に慣れ、彼らを好きになれる。
キャラクターを大事に描いているストーリーと言えばわかりやすいかもしれない。
ほとんど毎話の終わり、彼らの演奏シーンが必ず入るのも製作の愛がゆえだろう。
毎話で彼らは悩みあがき、答えを出し、そしてそれをライブという形で表現する。
3話では歓声も拍手もなかった彼らが前座とはいえ4話では歓声をもらう。
その変化と成長が積み重なることで面白さになる。
挫折
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 6話より
©ARGONAVIS project.
ときには挫折することもある。
周りのメンバーが技術があり実力があり才能があるからこそ比較してしまい、
過去の失敗もあるからこそ逃げようとしてしまう。
音楽をやめようと思った、だけどギターを弾きたい。
彼の思いは音楽をやったことがある人ならば強い共感を生むはずだ。
そんな彼の背中を押すのもバンドのメンバーだ。
嗚呼、青臭い。本当に青臭いまでの青春模様は思わずにやにやしてしまうほど
微笑ましく、若くまっすぐな彼らの物語とバンド活動が染み渡る。
彼らのライバルとも言うべき「GYROAXIA」もそうだ。
天才的なボーカルである旭那由多はその才能が故に暴君のようにメンバーに当たる、
そんなメンバーも彼についていくのが必死だ。
彼自身も主人公の存在が頭にちらつき、自らを更に高みに至らせようとあがく。
互いに互いを刺激しながら、良いバンドになっていく。
ややシュールな展開があったりするものの、
そのシュールさが癖になる絶妙な面白さがある。
特に8話の対バン、二人のボーカルのぶつかり合いは
この作品の最大の盛り上がりどころかもしれない。
バンドという題材だからこその主人公とライバルキャラのぶつかり合い、
グリグリと動くカメラワーク、モーションキャプチャーを利用した
ライブシーンのヌルヌル感と彼らの歌声の重なり。
思わず観客と同じように黄色い歓声をあげたくなるライブだ。
ただ主人公たちのバンドと違ってライバルキャラのバンドのキャラは
あまり深く描かれないことが多く、
癖のあるキャラの癖だけが目立ってしまっており深く描写されないのは
尺的に仕方ない部分はあるかもしれないがやや残念な所だ。
終盤には他のバンドも顔見せ程度で出てくるものの、
あくまで顔見せ程度だ。
悔しさから逃げちゃ駄目なんだ
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 10話より
©ARGONAVIS project.
主人公たちは音楽業界の事情で大きなフェスに出れなくなってしまう。
実力だけでなく、後ろ盾もない彼らは運も味方にしなければならない。
そんな運に見放されるときもある。だが彼らはそこで諦めたりはしない。
逃げず、前に進もうとする。
主人公にはソロデビューの話が来たりもする。彼は才能あふれるボーカルだ。
だからこそ注目が集まれば引き抜きの話も来る。しかし、彼は悩まない。
交通事故で体調不良のメンバーも居る。彼らは決して諦めない。
「アルゴナビス」というバンドで彼らは上を目指す。
一人ひとりのキャラをきっちりと掘り下げ、関係性を深め、
「アルゴナビス」というバンドをより強固なものにしていく。
いろいろな困難や壁が立ちふさがるが、彼らの絶対に切れない絆を
そのたびに感じさせる。
ときにはライバルに背中を押されながら、彼らは大きな舞台へと立つ。
区切り
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 13話より
©ARGONAVIS project.
そして最終話、彼らは大きなフェスで自分たちの曲をぶつける。
最初のライブハウスでは考えられないほどのお客さんと、声援に包まれる。
彼らがここまでやってきたからこその反応だ。
しかし、そんな中でバンドメンバーの一人が事故の後遺症で倒れてしまう。
そんな中で彼らのバンドには「東京進出とデビュー」の話も持ちかけられる。
ラストで倒れてしまったキャラクターが目をさます所で終わるものの、
いまいち区切りが良いとは言えず、もやもやしたストーリーで終わってしまう。
どうせなら事故の後遺症で倒れてしまったがゆえに大きなフェスに
参加できなかったが、目を覚まし、復帰して大きなフェスに改めて参加し
東京進出の話が来たという所で終わりで良かったのではないのだろうか?
なんだか端切れの悪さが残ってしまい2期を想定しているのかもしれないが、
え?ここで終わり?と感じるような中途半端な感じが残ってしまったのは残念で。
総評:正統派バンドストーリー
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 10話より
©ARGONAVIS project.
全体的に見てすごい真面目な作品だ。
キャラクター自体は癖があるキャラは多いものの、
そんな癖のあるキャラのファーストインパクトを解きほぐしながら
丁寧に王道なストーリーを進めつつ彼らのキャラクターを掘り下げ、
一人ひとりにしっかりと愛着を湧かせ、同時に「アルゴナビス」という
バンドにも愛着が湧くようになる。
決して最初から成功するわけではない。失敗や挫折、壁にぶつかり合い、
ときにはメンバーやライバルキャラとぶつかり合いながら成長し、
バンドとして徐々に人気が出てくるストーリーはまっすぐだ。
青臭いまでのキャラクターたち一人ひとりの物語もも微笑ましく、
しっかりと腰を据えた面白さを感じさせる作品だ。
基本的にフルCGかつ、ライブシーンはモーションキャプチャーを使うことで
ヌルヌルに動いており、そんなヌルヌルなライブシーンをほぼ毎話描き、
8話の対バンのシーンは素直に熱くなれるライブだ。
ただ、そんな丁寧な作品なのに最終話の端切れの悪さは残念でしか無い。
明らかに2期を想定した感じの最終話になってしまっており、
せっかく盛り上がった12話なのに肝心の最終話で消化不良になってしまう。
ストーリー自体も淡々としていてやや地味な部分は否めず、
淡々としてしまっており派手さに欠けてしまっている。
しかしながら、そんな淡々と地味に積み重ねるストーリーと
キャラ描写がこの作品の良さでもあり、
序盤で切らずに中盤まで見てくると味わいが深まっていく作品だ。
2期があるならば期待したい。
なんだか癖のあるバンドも色々いるようで、そんばバンドが
多くでてくるであろう2期があれば
1期の評価ももう少し高くすることができるかもしれない。
残念ながら2期の情報がなく、2期の情報があれば
この歯切れの悪いラストも受け入れられもっと高い評価が出来たのに
2期の決定情報もないままのあの最終話のせいで
評価をガクッと落とさざる得なくなってしまった作品だ。
個人的な感想:2期があるなら期待
画像引用元:アルゴナビス from BanG Dream! 6話より
©ARGONAVIS project.
アプリもまだいつ出るかは正式に決まってないようなので、
少しアニメ化が早かったのでは?と感じる作品だ。
アプリリリースと同時に連続2クール、
ないし分割2クールくらいでこの作品が放送されるならば
もっと人気が出た作品かもしれない。
個人的に調べたらあまりレビューや感想を書いている人も少なく、
Twitterではもともとのファンの方が実況していたりしたものの、
なぜかいまいち盛り上がらずに終わってしまってるのがもったいない作品だ。
たしかに地味な部分はあるものの堅実に作られておりキャラにも魅力がある。
曲も印象に残る曲が多く、
悪くないはずなのになぜあまり盛り上がっていないのだろうか(汗)
少なくともアニメからその要因を掴みなかったが、
同時期にA3やアイドリッシュセブンなど、いわゆる女性視聴者層をメイン層にした
多かったために視聴者層が分散してしまったのだろうか?
ちょっと疑問に感じるところではあるものの、
2期があるならば色々と期待したい作品だ。
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