評価 ★★☆☆☆(20点) 全12話
あらすじ 2018年、10月。ある地方都市に住む少女たちが、とある儀式を行っていた。彼女たちは「鉱石ラヂオ研究会」引用- Wikipedia
結局なんだったんだ…
本作品はアニマックス開局20周年記念作品として製作された
アニメオリジナル作品。監督は玉村仁、制作はアニマックス。
なお監督である玉村仁さんはTVアニメでは初監督、
演出畑の人であり、そういった人が監督をすると総じて駄作になるという
ジンクスが私の中にはある。
巨匠のキャラ原案を殺すキャラデザ
引用元:©Akanesasu Anime Project
見出して感じるのはキャラクターデザインの古臭さだろう。
桂正和、浅田弘幸などの有名な漫画家がキャラ原案をしているのだが、
いわゆる「らしさ」みたいなのを感じない。
特に桂正和さんなどは絵柄的に見れば言われなくてわかると思うが、
この作品のキャラデザは言われないとまるでわからない。
公式サイトにも乗っているキャラクター原案を見ると
確かに「桂正和」デザインのキャラクターなのだが、
アニメ本編ではその特徴が消えてしまっている。
はっきり言って作画が悪い。
1話の時点からカメラのアングルがやけに遠くアップになると絵が硬く、
2話以降になると更に作画の質が悪くなる。
せっかく桂正和、浅田弘幸など起用しているのに、
彼らの良さをまるで活かしきれていないのは残念でならない。
唐突すぎるストーリー展開
引用元:©Akanesasu Anime Project
4時44分に神木の前でとある周波数に合わせると異世界への扉が開く。
そんな嘘か真かわからないような情報を信じて、
メインキャラのJK5人が儀式を行うと本当に並行世界へと行けてしまう。
これでメインキャラが小学生の高学年ならば、
都市伝説を信じたら本当になっちゃった的なノリも理解できるのだが、
「女子高生」という設定の割には行動や言動が稚拙だ。
しかも、いきなり「バトル」が始まる。
並行世界で謎の生物が襲いかかってきて、
主人公そっくりな人物が「ウォークマン」で変身して戦う。
どこの仮面ライダーかなと言いたくなるほど既視感しか感じない。
1話の時点でかなり怒涛の展開が繰り広げられるのだが、
怒涛の展開の割には「見たことのある設定」の組み合わせでしか無い。
斬新な設定でしょという制作側の主張は強いのだが、
見ている側は滑りまくっている既存の要素の組み合わせのせいで、
シーンとしては盛り上がってるのに、その熱量にまるでついていけない。
何処かで見たことのあるキャラデザのキャラと、
何処かで見たことのある設定の世界観。
オリジナルアニメなのに「オリジナル性」というのをまるで感じない。
拍子抜けするストーリー展開
引用元:©Akanesasu Anime Project
並行世界や変身して戦うバトル要素を見せていおいて、
2話からのストーリー展開はまるで盛り上がらない。
毎回5人のメインキャラのうちの誰かがメインとなり並行世界での話が描かれる。
並行世界は普通の世界とは常識や状況が少し違い、
その中の話でキャラクターを掘り下げつつ話を展開するのだが、
どうでもいい話を1話にまとめるのではなく、
各キャラクターごとに2話構成にしているためぐだぐだだ。
一応「ロードムービー」的要素を作品に入れたかったことは
wikipediaにも記載されていたが、それならある程度以上、
訪れる世界の設定や世界観の面白さがなければならない。
ウェスタンな世界観だったり、結婚の年齢が決められていたりと、
何処かで見たことのある世界観はオリジナル性を感じない。
せっかく1話で怒涛の展開を描いたのに、
2話と3話はヒロインの1人が異世界で結婚するしないの
本当にどうでもいい話が描かれてしまう。
仮面ライダー
引用元:©Akanesasu Anime Project
1話で感じた仮面ライダー感は見れば見るほど強まる。
メインキャラが訪れる並行世界には「クラッター」と呼ばれるものがいる。
彼らは黄昏の王と呼ばれる存在とつながっており、
クラッターがいることで世界に「ノイジー」が増え、
やがて世界が終焉を迎えてしまう。
訪れる世界でクラッターは何らかの悪事を働いており、
それを見つけてメインキャラの誰かが変身して倒す。
仮面ライダーや戦隊モノのようなお約束展開だ。
戦闘シーンや変身ポーズなど明らかに仮面ライダーを意識しており、
オマージュするのは構わないが、それが面白さにつながっていない。
特に戦闘シーンの作画はあからさまに「CG」です!と
わかり易すぎる3DCGの戦闘シーンは面白さなんてものはまるでない。
CGの欠点である軽さが目立ってしまっており、
演出畑の監督なのに演出があまりにも軽く、
高速戦闘シーン過ぎてよくわからないうちにあっという間に終わってしまう。
せっかく変身してまで戦う戦闘シーンがあるのに
「じっくりと戦闘シーンをみせる」ということができていない。
少女たちのお悩み
引用元:©Akanesasu Anime Project
メインキャラはそれぞれ何かしらの悩みを抱えている。
その悩みを並行世界の自分になることで向き合い解決する。
普段の世界とは違う常識の並行世界だからこそ、
改めて自分自身を向き合えるというストーリー自体は悪くはない。
ただメインキャラが5人と多いせいで、
前半から中盤までがほとんど同じ流れで3人のキャラ回を描いており、
パターン化してしまっている。
メインの物語として必要なのは主人公とあとは2人くらいだ、
使いこなせないキャラクターは削って、
もう少し各キャラを掘り下げるべきだっただろう。
最終話など主人公しかほぼ活躍しない。
キャラクター数はそこまで多くないのに、それでもきちんと使いこなせていない。
弟と黄昏の王
引用元:©Akanesasu Anime Project
主人公の弟は幼い頃に「行方不明」になっている。
これはどの並行世界でも同じだ。
おそらく多くの視聴者はこれを「伏線」と思うはずだ。
なぜ行方不明になったのか、弟はどうなっているのか。
そして同時に「黄昏の王」というものが、
いわゆるボス的な存在として示唆されている。
黄昏は並行世界で起こる世界の終焉そのものであり、
その終焉を総ているのが黄昏の王という風に言われている。
これは物語の中で重用な2つの要素でありキーワードだ。
予想しやすくベタな展開ではあるものの、
弟=黄昏の王なのか?という予想ができるようになっている。
裏切り
引用元:©Akanesasu Anime Project
だが結局、弟も黄昏の王も投げっぱなしだ。
1クールというストーリー構成の中でキャラクターの成長を描き、
黄昏のせいで終わりをつげる並行世界を主人公は見たのに
結局、何も解決していない。
解決したのは主人公の悩みくらいで、違う世界の自分と向き合うことで
自身を見つめ直し自己肯定する。
まるでエヴァンゲリオンの碇シンジみたいなことをして終わる。
黄昏の王は自然現象そのものであることが分かってしまい終焉は終わらないし、
そんな自然の摂理を主人公がどうにかする様子もない。
主人公の弟も行方不明のままだし、原因も不明だ。
他にも細かい伏線や最終話なのに出てこないキャラも居て、
終わった後に「え?アレは結局なんだったんだ?」という要素があまりにも多い。
物語的にはきれいに終わってるように見えるのだが、全くキレイに終わってない。
見終わったあとに何かもやもやとしたが残る作品だった。
総評:おのれあかねさす少女め
引用元:©Akanesasu Anime Project
全体的に見て制作側がやりたいことを詰め込んだは良いものの、
詰め込みすぎて作品としてまとめきれていない作品だ。
並行世界を巡るロードームービー、仮面ライダー的変身要素、並行世界のSF設定、
5人のメインキャラの青春ストーリーとこの4つの要素が
全部違う方向に向いていてまとめてきれていない。
フル3DCGで描かれたバトルシーンは演出がかるすぎて派手で早いだけで
見ごたえは一切なく、通常シーンの作画は時折作画崩壊をおこしかけている。
優秀なキャラクター原案があるのに、それをアニメでは活かしきれていない。
最終話は戦闘シーンすら無い。
1クールのストーリーの中で並行世界を巡るロードームービーを描くのは良いが、
基本的に2話構成でグダグダになってしまっている感じは否めず、
これが1話完結でもっといろいろな世界を巡るなら印象は違ったかもしれない。
結局、世界の終焉たる黄昏の王の存在はふわっとしたままで、
どの並行世界でも行方不昧な弟の伏線は未回収のまま、
考察できる要素はあるが答えはない。
これで2期があるならば納得できたかもしれない。
だが、ソーシャルゲームはサービス終了、BDも巻数を減らされると、
明らかに2期が出来ない状態だ。
やりたいことをつめこむのはいいが、詰め込んだらそれをきちんと活かし、
まとめあげて初めて作品として見れるものになる。
この作品は思わせぶりな設定を思わせぶりなまま見せて、
「なにかある」風なまま終わってしまった作品だ。
1つ1つの要素としては悪くなかったが、
その1つ1つを1つの作品としてまとめられなかった。
そんな作品だった。
個人的な感想:ジンクス
引用元:©Akanesasu Anime Project
演出家が監督をやるとこうなるという典型的な作品だった。
詰め込みだけ詰め込んで活かしきれずに、
本来は1番できが良いはずの演出部分の力不足が目立つ。
アニマックス開局20周年記念作品と銘打って
気合が入りすぎて空回りした感じのある作品だった。
メインキャラの悩みとその解決がテーマでもあったが、
そのテーマの割には「黄昏」という世界の終焉が重すぎた。
主人公が最後まで変身しないのも「魔法少女まどか☆マギカ」的な要素だが、
まどマギは最終的に変身することで自己犠牲でルールを変え物語を締めた。
しかし、この作品は最後まで変身しない。
終演を迎える世界のシステムに干渉するわけでも、黄昏を終わらせるわけでも、
滅びた世界を救うわけでもない、行方不明の弟を見つけるわけでもない。
なんだかなーという感じの作品だった。
私の中のジンクスは拭い去られる日は来るのだろうか(苦笑)
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