評価 ★★★☆☆(58点) 全95分
あらすじ 裏社会屈指の始末屋、シティーハンターこと冴羽リョウは、モデルの進藤亜衣からボディーガードを依頼される。引用- Wikipedia
新宿の種馬が現代に蘇った!
本作品はシティーハンターの劇場版アニメ。
監督はこだま兼嗣、制作はサンライズ。
約20年ぶりのシティーハンターの新作アニメとなっている
これだよこれ!
引用元:©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
おそらく多くのシティーハンターファンにとって冒頭から
この作品が醸し出す「空気感」で懐かしさに涙あふれるかもしれない。
新宿の街を爆走するミニクーパー、もはやミニクーパーだけで懐かしい。
そんな香の運転するミニークーパーを追いかける車両と、
その車両を撃ち抜く「冴羽獠」の姿に帰ってきたことを強く感じさせる。
約20年だ。
時代も変わり、この作品を見たことがある、読んだことがある人も
多くが大人になり、おじさんとおばさんになってしまってることだろう。
それは私も例外ではない。デジタルな作画できれいになってはいるものの、
北条司らしさを感じるキャラクターデザインのキャラと、
おなじみのキャラクターたちが画面に映るたびにウキウキしてしまう。
そして「伝言板」、シティハンターといえば「XYZ」だろう。
冴羽獠に依頼するためには新宿の伝言板に「XYZ」と記入する必要がある。
しかし、今は時代には実際の新宿には伝言板はない。
そんな時代の変化にどう合わせるのか?まさかのAR技術だ(笑)
新宿駅の一角にスマホで映すと画面に伝言板が浮き上がり、
そこに書き込むことで冴羽獠へ依頼することができる。
時代の変化を自然に技術を用いて変化させており、妙な感動すら覚える。
冴羽獠
引用元:©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
そして依頼人の前にさっそうと現れる「冴羽獠」。
ポケットに手を突っ込んだまま壁走りしながら、
依頼人に襲いかかろうとする傍観を長い足で蹴り上げて退治し、
そこからキメ台詞が飛び出す。
「XYZ,確かに後はなさそうだ、俺を呼んだのは君だろ?」
もはや男子か女子など彼の前では些細なことだ。
冴羽獠のかっこよさに甲高い悲鳴にようなものを思わず上げそうになるほど
20年ぶりにスクリーンに帰ってきた冴羽獠の姿がかっこよすぎる(笑)
神谷明の声も20年の月日を一切感じさせない。
そんな黄色い声援が思わず上がりそうな姿を見せた後に
冴羽獠らしさ全開のキャラクター描写だ。
もっこりである(笑)
もはや「モッコリ」といえば冴羽獠、冴羽獠といえば「モッコリ」と
言っても過言ではない彼の代名詞なセリフを、
かっこいい姿を見せてくれた後にすぐに披露してくれる。
今作のヒロインに対してあっさりと顔を緩め、眼をハートにし、
「もっこりちゃーん」と迫る様はシンプルに笑ってしまう。
そして、そんな彼に香の2019トンハンマーでの制裁だ。
映画公開記念と書かれたハンマーと
「時代を考えんかい」という彼女のメタ的なセリフは
懐かしさと笑いに包まれている。
一言で言えば
「そうそう、これなんだよ、これがシティハンターなんだよ」と
うなずきながら見てしまうような感覚だ。
20年経っても変わらない彼らを開始10分も立たないうちに味わえる。
ウィットにすら感じるセクハラ
香が言う通り、冴羽獠のセリフや行動は今の時代に当てはめると
いわゆる「セクハラ」であり、色々と大問題な時代錯誤な行為だ。
冴子のお尻は触ろうとするわ、
彼女への借りという名の一発回数券などシモネタも満載だ。
しかし、逆にここまで堂々と昔ノリのままやられてしまうと、
むしろ「ウィットに飛んだジョーク」にすら感じてしまうから不思議だ。
20年経っても変わらないノリで繰り広げられる日常会話が
面白くも懐かしく、昔と同じように笑えてしまう。
風呂を覗こうとする冴羽獠の姿に様式美まで感じるほどだ。
キャラクターたちが冴羽獠の行動や言動に呆れて
「トンボ」が飛ぶ演出すらも懐かしい。
細かい部分まできちんと20年前と同じ演出になっているため、
20年経ったことを感じさせないような変わらなさだ。
きちんとヒロインの「シャワーシーン」まであるのは
ある意味でお約束であり、セクシーなシーンなのに
シティハンターらしさのせいで笑えてしまう。
現代のコンプライアンスなど無視した
冴羽獠の姿はさすがとしか言えない。
ストーリー
引用元:©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
ある意味でいつもどおりのシティハンターとも言える。
何故か狙われている女子大生の依頼を受け彼女のボディガードをする冴羽獠、
そんな中で新宿を狙う奴らや、香の幼馴染の怪しげな実業家などの
キャラクターが絡み合っていく。
なぜ女子大生は狙われているのか?新宿を何故狙っているのか?
香の幼馴染の目的とは?とシンプルでまっすぐなストーリーであり、
良い意味で「いつもの」シティハンターだ。
ただ、どちらかというと本筋の部分はシンプルであるがゆえに薄く、
見ごたえのあるストーリーとは言い難い部分もある。
20年ぶりだからこそ奇をてらったことをせず、
なるべく多くのキャラクターを出し、いつものシティハンターを
いつものストーリーで描きたいという制作側の意思はわかるものの、
キャラ数の多さが故にストーリーが散らかってしまってる部分もある。
特にファンサービス的な意味合いが強い「キャッツアイ」の登場も、
確かに「北条司」ファンとしては嬉しい部分が大きいが、
ファンサービス的にちょこっと出るのではなく、ちょっと出過ぎてる感じが強い。
ドローン兵器
引用元:©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
今回の敵はかなり壮大なことをしている。
彼は武器商人であり、武器を売るために新宿にドローン武器をばらまく。
かなり壮大なことをしているのだが、狙っているのは冴羽獠とヒロインであり、
一般市民は狙われていない。
ドローン兵器VS冴羽獠という構図も妙に地味であり、
ショットガンで淡々とドローンを撃ち落とすというのも冴羽獠らしくなく、
途中からいきなりショットガンから、いつもの愛銃に変えるのもよくわからず、
それで撃ち落とせるなら最初から愛銃を使っておけばよかったのでは?
と感じてしまう。
「反射」を利用してドローンを撃ち落とすアクションなど
本来は冴羽獠らしいアクションではあるのだが、
どうにも地味な演出になってしまっており、やや残念な部分だ。
ドローン兵器もあからさまな3DCGで描写されており、
テカテカとした違和感のある軽い3DCGだ。
派手な銃撃戦になるほどシーンの見ごたえがややもの足りず、
映画冒頭の冴羽獠登場シーンのほうが見せ方がしっかりしていた部分があり、
やや残念なところだ。
敵も敵で脳波でドローンを操ってるらしいのだが、
いまいち凄さが分かりづらく、
壮大なことをしてるようなのだが、どうにも小物であり、
わかりやすい「敵」ではあるものの、もう一歩深みが欲しかったところだ。
GetWild
序盤から気になるのがBGMだ。
キャラクターが会話していても、戦闘をしていても、
いついかなるときでもBGMが鳴り響いており、
これがかなり気になってしまう。
雰囲気にあってはいるものの、BGMの音量が大きく、
そのせいでどうにもシーンがしまらなくなってしまっている。
特に戦闘中のBGMは歌詞まであるため、
余計に耳障りに聞こえてしまう。
作中で過去のシティーハンターの曲や、
ゲスト出演するキャッツアイの曲なども使われており、
それらの曲自体は気にならないのだが、
それ以外のBGMがどうしても気になってしまう。
しかし、逆に最後はそんなBGMがシティーハンターだからこその
締めにつながる。
「GetWild」だ(笑)
ある意味、この曲を聞くために映画を見たと言っても過言ではない。
エンディングへの入りも含めて完璧と言っても良い。
過去の名シーンがダイジェストとともに流れるGetwildは
この作品を見てきたファンだからこそ深く刺さるものがある。
更にラストシーンでは「次回作」を予感させてくれる終わり方になっている。
決してコレがシティハンターの最後の作品ではなく、
もしかしたら、またあるかもしれない。
そういう余韻がしっかりと残るラストだった。
総評:細かい部分は気になれど
引用元:©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
全体的に見てストーリーやアクションシーンの物足りなさなど
細かい部分で気になるところはいくつかあるものの、
「20年ぶり」のシティハンターをしっかりと1時間半の中に凝縮して描き、
シティハンターを好きだった人が楽しめる作品に仕上がっている。
20年ぶりでも変わらない冴羽獠のかっこよさともっこり、
香のハンマー、ベタではあるがわかりやすいストーリー、
20年経ってもしっかりと「シティハンター」の面白さを感じることができる。
コンプライアンスなど気にしない「もっこり」なシーンの数々や、
冴羽獠の行動や言動は冴羽獠だからこそ許されるシモネタだ(笑)
残念なのは敵キャラの小物感やドローンとの対決がやや地味だったことだが、
それを除けば「シティハンター」らしさをしっかりと楽しむことのできる作品だ。
20年前に楽しんだ人ならば間違いなく、同じように
20年後の今だからこそのシティハンターを楽しめる、そんな作品だった。
個人的な感想:もっこりは健在
引用元:©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
全体的にコミカルに作られており、非常に見やすい作品だった。
終盤のシリアスな状況の中でもギャグ的なシーンも多く、
そういった部分からも「お祭り感」の強い作品だったと言えるかもしれない。
個人的にはシリアスとギャグのメリハリをもう少しきっちりとつけてほしいと
感じてしまったが、今回はお祭り作品だからこそ許容範囲と言えるかもしれない。
キャッツアイの登場や、ギャグシーンばかりの海坊主など、
ついつい笑ってしまうシーンも多かった。
もし次回作があるならばと期待したい部分は大きい。
ファンも多く、2019年の今、海外で実写化されるほどの作品だ(笑)
この根強い人気が続き、もう1度シティハンターを劇場で楽しむことができることを
期待したい所だ。
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
YouTubeでのレビューを見てコメントさせて頂きました。
たまにラーメン屋でボロボロになった単行本を
「懐かしいなー」なんて見返すくらい、映像作品なんて軽く20年は見ていない状況で、
今作で一気にシティーハンターの世界に引き戻す作品の構成や声優さん達の演技に感動しました。
「ラーメン屋でラーメン~」の例えは確かにその通り!と思わされましたw
でも、やはりと言うか動画レビュー内のコンプライアンスじゃないですが、表現に規制を感じる部分があったり
声優さん達の加齢を感じる演技だったり、大人(おっさん)になったから感じる違和感と言うか、非リアル感と言うか。
りゅうさんがレビュー内で言われていたショットガンについては、戦闘用ドローンに対してはスラグ弾で攻撃力重視で~とか思ったりもしましたが、
むしろ冒頭でのミニが3ナンバー扱いになってる方が自分は気になってしまってw
非合法職業のスイーパーが、通常5ナンバー登録のミニをわざわざ陸運局に行って3ナンバーに登録しなおすなんて・・・とは思ってしまいました。
銃器や小物に関して、もう少しリアルに、もしくは説得力のある感じにして欲しかったです。
シティーハンターは元から少々ファンタジーでざっくりだったとも思いますがw
思い出補正含めて、面白かった!とは思いますが、
どうしても制作陣の「これが貴方達が見たかったシティーハンターでしょ?これでしょ、これも!どうだ!」って感じが少し鼻につきました、(トンボ)・・・のシーンの多さとか。
そんな中、ARを利用した掲示板やドローン、上手に現代版シティーハンターへと昇華していたと思います。
あまり言いたくありませんが、ルパン三世のとりあえず流行りの何かを作品に入れておく、みたいなお寒い感じになっていないのは好感でした。
次回作も期待してしまいますが、上記のルパンのようにとりあえず上澄みだけ再現して
あとは流行りのテーマで何となく・・・なんてのは勘弁です。
長文失礼しました。
毎回のレビュー楽しみにしております。