評価 ★★☆☆☆(21点) 全12話
あらすじ 主人公・大好真人は若過ぎる見た目の実母・真々子を「母親」と思えず苦手意識を持っていた引用- Wikipedia
バブみを感じてオギャれない
原作はライトノベルな本作品。
監督は岩崎良明、制作はJ.C.STAFF
癖のあるキャラクターデザイン
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
見出して感じるのは癖のありすぎるキャラクターデザインだろう。
「目」の描写はかなり特徴的であり、古臭さすら感じてしまう目の描写だ。
原作の絵を意識したものであることはわかるが、
J.C.STAFF特有の作画のクォリティのせいで、癖の強さだけが残ってしまっている。
目以外のデザインはかなり普通であり、
特徴を出すための癖のある目のデザインなのはわかるが
特徴を出すための癖を強くしすぎてしまっており、
瞳孔が開いているような目の描写は慣れるまでやや違和感が残る。
若すぎる母親
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
タイトルにもあるようにこの作品は「お母さん」が主軸の話だ。
主人公の母親は、アニメ特有の「若すぎる母親」であり、
年齢こそ明かされてないものの、実母だ。
主人公の年齢が15歳であることを考えると少なくとも30代オーバーだが、
主人公と同じ年代と言われても納得できるほどの若すぎる母親だ。
主人公のことを「まーくん」と呼び、ベタベタとくっつく。
これで「義母」ならば理解できる部分は大きいが、実母だと色々ときつい。
そんな母親と主人公は内閣府が開発しているオンラインゲームに強制参加させられ、
しかもゲームの世界へと入り込んでしまうところから物語が始まる。
「ソードアート・オンライン」的な世界観で、母親と旅をする。
この基本的な設定が「面白い」というよりはキツイと感じてしまう部分が大きく、
人によっては開始5分で拒否感が生まれやすい要素だ。
そんな母親のセクシー要素も多いだけに見てるこちらも色々と複雑だ。
薄ら寒い
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
この作品はギャグな部分も大きい、主人公がツッコミに回ることも多いのだが
無駄にハイテンションかつ大げさに突っ込むため、はっきり言って滑っている。
大したボケでもないのに、過剰なまでの突っ込みをするため、
見てるこっちがその過剰なツッコミに対して「引いてしまう」感じだ。
しかもたちの悪いことに「ノリツッコミ」を多用する。
一度、その理不尽な状況や言動を飲み込んだふりをしたあとに、
それに対して突っ込む。これが心底寒い。
大したボケでもないのにノリッコミをされるとただでさえ滑ってるのに、
よりそのボケをつまらなくしている。
もう少し抑えたツッコミなら笑えるかもしれないボケすらも、
ツッコミで殺してしまっており、つまらない突っ込みをする主人公を
いつまでたっても好きになれず、くどい台詞回しまであるため
余計に主人公に「嫌悪感」をいだきやすい。
主人公以外のキャラクターも台詞が長く「くどい」事が多く、
長いだけでそれを笑いにしきれていない。ただ長いだけだ。
ギャグにおける間というものを考えておらず、
ただ長いだけでくどく、笑えない。そんな長台詞が多い。
二回攻撃なお母さん
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
この作品のお母さんはチートである。
2本の伝説の武器を最初から持ち、振れば全体攻撃とタイトル通りな設定だ。
ちなみに主人公の武器は真空の刃を飛ばすことくらいしかできない。
主人公ではなく「母親がチート」という設定自体はかなり珍しいものの、
はっきり言って出落ちだ。
主人公が自分自身の力と母親の力の差に
「なんで母さんが通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃なんだよ!」と嘆く。
タイトルの意味をあっさりと回収し、
主人公の薄ら寒いツッコミでそれを使ってしまう。
そんな母親に対して主人公は辛く当たる。
たかがゲームの世界なのに母親に対し普通に「親子の縁を切る」とまで宣言する。
母親は母親でそんな言葉で号泣してしまう始末であり、
母親のなく姿で息子は日和って土下座する始末だ。
何事も母に頼るべし
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
本来はこういう異世界やゲームの世界に主人公が行ってしまった場合、
主人公の行動や言動で自然に仲間ができていく。「主人公」に選択肢がある。
しかし、この作品の主人公には選択肢はほぼない(苦笑)
主人公がギルドで仲間を選んでも「お母さん」が面接して、
「お母さん」の合格をもらわなければならない。
お母さんは暴力的な騎士は嫌いだし、アイテムを盗むような盗賊は嫌い、
エルフは「よくわからない」から不合格だ。とんでもない面接である。
しかし、この2話の「面接」でこの作品のやりたいことが分かってくる。
この作品の主人公に見える少年は主人公ではない、
この作品は彼の母である「真々子」こそが主人公だ(笑)
主人公たちが参加しているゲームの世界も「MMMMORPG」だ。
ママの ママによる ママのための ママと
息子もしくは娘が 大いに仲良くなるためのRPG
らしい(苦笑)
つまり、この作品のゲームの目的は母親と仲良くなることだ。
しかもクリア条件は「親子が仲良くなること」だ。
そうしなければ元の世界にも帰れない。
とんでもないゲームである。
母と娘
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
このゲームに参加してるのは主人公たちだけではない、
色々な母と娘がこのゲームに参加している。
当然、主人公たちの仲間になっているヒロインたちにも「母」がいる。
しかし、彼女たちの母親が問題ばかり抱えている。
あるヒロインの母親は「筋肉好きのホスト狂い」であり、
あるヒロインの母親は娘に対して「過剰に干渉」にしている。
このゲームに出てくる母親の中では主人公の母親が「過保護」という点を除けば
1番マシな母親であり、ゲームを通してそんな母と娘の関係性を
修復するというのがこの作品の趣旨でもある。
ただストーリーがどうにも飲み込み難い。
例えばホスト狂いの母親、彼女はホスト狂いが原因で離婚して
父親と暮らしていた娘のもとにいきなり現れ、
ゲームに参加させ娘が自分の思い通りにならないと娘をゲーム内で殺し大暴走だ。
子供に対して「産まなきゃよかった」という言葉すら投げかけている。
こんな最低とも言える言動や行動をしてる母親に対し、娘が謝る始末だ。
明らかに非があるのは母親なのに娘が謝る流れは理解不能だ。
そんな理解不能な状況から、どう「娘」との仲を改善させる流れにするかと
思いきや、割とあっさり改善されてしまう。
正直、取り返しのつかないレベルまでの暴言を吐いているのに
「親子だから」仲良くできましたという雰囲気になってしまい、
どうにも飲み込み難い。
この作品でやりたいことはわかるものの、それをやるための状況づくりが過剰で
本来なら取り返しがつかないレベルの暴言を吐きまくっており、
そのわりにはあっさりと親子関係が修復されるのは納得行かない。
モンスターペアレンツ
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
中盤になるとわざわざゲームの世界で学校に通う流れになる。
中盤から出てくるヒロインの母親が過干渉な母親であり、
いわゆる「モンスターペアレンツ」な母親だからこその学校という舞台だ。
母親が来る場所ではない「学校」に授業参観でもないのに訪れて授業を監視する。
「こんな母親は嫌だ」と誰もが思うような母親像だ。
母親たちの「毒親」っぷりの描写は素晴らしい。
ホスト狂いの母親も、モンスターペアレンツな過干渉な母親も、
娘たちに同情してしまうほどの「嫌悪感」をいだくような母親たちだ。
しかし、結局、やってることがずっと同じだ。
母親たちの暴走に娘や主人公が振り回されるものの、
「真々子」の聖母のような母親力とチートな能力で解決してしまう。
「毒親」の問題は非情に重いのに、解決方法が毎度毎度軽い。
子供と親の問題を、「真々子」という親が全て解決してしまう。
本来は親と子で向き合って解決すべき問題なはずが、
向き合わずになんか解決してしまってることが多く、
どうにもすっきりとしない。
しかも引き伸ばしすぎだ。
このモンスターペアレンツ問題だけで3話も使ってしまっており、
本筋を進めないためにどうでもいいギャグを盛り込んで
話を引き伸ばしてる感じが非情に強い。
「何者かに操られてた」というオチもあり、
操られてたからこそ言動や行動が普段よりも極端になってるらしいのだが、
その「操られてた」事実だけでは納得できない部分も多い。
この作品で描きたいことに対して「脚本力」がついていっていない感じだ。
終盤
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
中盤に散々、割と思い親子問題をギャグを交えつつ描写していたのに
終盤は親子問題なんてどこへやらで、ギルドを作ったり,
なぜか「母親」自体に恨みを持ってるキャラとの対決を3話掛けて描き終わる。
どうでもいい家事対決をするさまは何の面白みもなく、
キャラクターとして魅力があるわけでもない敵とのバトルは退屈だ。
この作品は「毒親」という要素が重要だったはずなのだが、
終盤ではその要素すらなくなってしまう。
序盤の「お母さんがチート」という面白さから「中盤の毒親」という面白さまでは
まだこの作品らしい面白さと魅力を感じる部分はあったが、
終盤ではこの作品らしい面白さがなくなってしまった。
結局は色々な要素や伏線を残したまま終わってしまう。
作品の方向性がストーリーが進むたびに変わってしまい、
やりたいことが見えるようで見えない、なんとも掴みきれないままに
終わってしまった作品だ。
総評:バブみはどこいった?
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
全体的に見てタイトルのインパクトだけの作品だ。
作品としての方向性がブレブレでこの作品でやりたいことが
話が進みながら二転三転しており、重いシリアスな親子問題と
軽いギャグのバランスが釣り合っておらず、
主人公の薄ら寒いツッコミも相まって笑えそうで笑えない。
正直、物語のピークとしては異世界には母親がついてきて
しかも「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さん」だったということが
分かったときくらいで、あとはその最初のインパクトをどうにか越えようと
必死に色々やってるだけの作品に思えてしまう。
「母親がチート」という設定は面白いのに、それをうまく使いこなせておらず、
母と娘の重い問題を解決するという要素は面白いのに解決法が甘く、
終盤は「母親がチート」という設定自体を使い余してる感じがある。
セクシーシーンもそれなりにあるものの、
2話で母親が「スライムに服を溶かされる」シーンがピークであり、
それ以降は印象に残るようなセクシーシーンはない。
一言で言えば「出落ち」だ。
おそらく多くの人が期待する「バブみを感じてオギャれる」作品ではなく、
期待ハズレで終わってしまった作品だ。
個人的な感想:オギャれない
引用元:©2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
茅野愛衣さん演じる「お母さん」の声自体は素晴らしかったが、
2話以降はどうにもこの作品の面白さを掴みきれないままに終わってしまった。
結局、ゲームをサービス停止しようとしてる黒幕の存在も謎のまま、
序盤からずっと主人公たちと旅をしてる「ポータ」はろくに掘り下げられない。
結局は出落ちな作品だった。
タイトルのインパクトはあるが、そのインパクトは超えられず、
そのタイトルのインパクトにふさわしい内容とも言えない。
1つ1つの要素は悪くないはずなのに、
それがきちんとストーリーの中で活かしきれていないような
残念さを感じる作品だった。
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