株式会社XEBECが吸収合併されてなくなってしまったようです。
株式会社ジーベックは、2019年5月31日を持ちまして株式会社プロダクション・アイジーに吸収合併されました。
今までジーベックの作品を愛し支えてくださったみなさま、クリエイター&スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
版権業務に関するお問い合わせは下記まで
[email protected]— XEBEC (@xebec_info) June 3, 2019
元々プロダクションIGの子会社ではありましたが、
色々な事情から吸収される事になったようです。
少し寂しさを覚えてしまい、追悼の意もこめてXEBECという
制作会社を振り返ってみたいと思います。
ここから始まった爆れつハンター
引用元:(C)あかほりさとる/臣士れい/アスキー・メディアワークス/爆れつ委員会・テレビ東京・創通
XEBECは1995年にプロダクションIGの小会社として設立され、
第一作目に爆れつハンターを制作しました。
原作はあかほりさとる、キャラクターデザインは後藤圭二という
組み合わせはあの時代そのものであり、
OPは林原めぐみさんと古本新之輔さんが歌っています。
今もあのOPをきくと懐かしさの塊でしかありませんね(笑)
後にOVA化もされており、OVAでは色々と見えており、
あの時代のOVAらしいセクシーな作品でもありました。
90年代のアニメらしい雰囲気と内容は
強烈なインパクトを残すほどのものではありませんでしたが、
今でもこの作品を好きな方はいるはずです。
俺たちXEBEC、機動戦艦ナデシコ
引用元:(C)ジーベック/ナデシコ製作委員会・テレビ東京
XEBECという制作会社を世に轟かしたのはまさにこの作品でしょう。
90年代を代表するロボットアニメとしてエヴァンゲリオンと、
この作品の名前が出ないことはありません。
いわゆる「ハーレム」的な要素のあるロボットアニメでした。
主人公であるテンカワアキトといういい意味でまっすぐな主人公と、
明るい幼馴染であるミスマル・ユリカ、
ちょっとボーイッシュなスバル・リョーコ、
極めつけは「ホシノ・ルリ」と魅力的なヒロインが多く登場しました。
ヒロインの魅力だけでなく複雑な設定で進んでいくストーリーは面白く、
「3話」でメインキャラが死ぬという今なら珍しくない展開ですが、
早すぎる死と唐突な死の描写は衝撃を与え、
敵の正体、主人公の秘密と話が進めば進むほど引き込まれる作品でした。
劇場版ではメインキャラの変わりっぷりに驚きつつ、
色々ともやもやした感じの残る作品になってしまいましたが、
私は今でも「ブレックサレナ」の無骨すぎるデザインが大好きです。
続編は相当に権利関係がややこしいようで難しいようなのが残念ですね。
思い出深い地球防衛企業ダイ・ガード
引用元:(C)XEBEC・フライングドッグ
この作品は知名度としてはあまりないかもしれません。
しかし、ロボットアニメでありながら敵は自然発生した「災害」であり、
そんな災害に対し民間の警備会社がロボットを使って対処するという話です。
民間であるがゆえに「上の承認」が必要だったり、
事後の処理があったりと妙にリアルであり、
アニメという媒体でなおかつロボットというジャンルではありますが、
どこか「実写ドラマ」じみたストーリーを繰り広げており、
それが面白く、同時にダイガードの戦いに胸を躍らせました。
私はこの作品の「ロケットパンチ」が未だに忘れられません。
3人でまるで「重機」を動かすように操縦する様や、重厚感、
そして、あんな斬新なロケットパンチはみたことがない(笑)
時代を先取りした3DCG、ゾイド
引用元:©1983-2006 TOMY ©ShoPro
XEBECといえばロボットアニメ、そんな印象が付きつつある中で
ゾイドが生まれました。
動物の機械化ともいうべきデザインと存在感は多くの子供心を魅了し、
バンとフィーネの物語も多くの人の心にいまだに残ってるでしょう。
当時としてはまだ出てきたばかりだった3DCG技術を取り入れており、
動きの硬さはあるものの、今見ても遜色のないレベルの出来栄えの3DCGは
ゾイドの存在感と魅力にも繋がりました。
3DCGの欠点を「演出」でしっかりとごまかせてるのは流石XEBECです。
「ウルトラザウス」の圧倒的な存在感は子供の心にワクワクしたものです。
ゾイドはその後、シリーズ化されておりシリーズごとに違った魅力があります。
特にゾイドジェネシスは大きなお友だちも大人気であり、
同人誌がたくさん出てたことを何故か覚えています(笑)
深夜アニメなロボットアニメ、宇宙のステルヴィアと蒼穹のファフナー
引用元:(C)XEBEC・竜宮島役場
2000年代になってしばらくして深夜アニメが活発になってきました。
そんな中でXEBECは「宇宙のステルヴィア」を制作します。
おそらくこの作品の評価は二分することが多いでしょう。
いい意味でも悪い意味でも、あの時代の深夜アニメらしい作品です。
特に主人公の「しーぽん」はややいらっとくる描写も多く、
中盤移行はシリアスなシーンも多く、賛否は分かれる作品でした。
そして、今もなお続いている蒼穹のファフナー。
これはあの時代の暗い深夜アニメを更に煮詰めたような作品であり、
シリアスかつ絶望的な雰囲気の漂うロボットアニメです。
謎の敵「フェストゥム」との戦い、
そんなフェストゥムと戦うために乗る「ファフナー」に乗る代償、
多くの犠牲を払いつつも進んでいくストーリーには蠱惑的な魅力があり、
深夜アニメの、大人のロボットアニメとして確立した存在感のある作品です。
私はこの作品を見ると色々な意味で体力を使うので、
未だに最近放送されたものが見れてません(苦笑)
やや暗い作品の多かったあの時代の
深夜アニメらしさのあるロボットアニメをXEBECは2作品も作り上げています。
エロと萌えのTo LOVEる -とらぶる-
引用元:©矢吹健太朗・長谷見沙貴/集英社・とらぶる製作委員会
2000年代後半に入るといわゆる「深夜の萌アニメ」が活発になってきます。
そんな中でXEBECは圧倒的なエロスを持って殴り込みます(笑)
「かのこん」はもうR18な作品と言ってもいいくらい過激であり、
「れでぃ×ばと!」の特典映像は大変に大変なことになっていました。
規制が厳しくなる前のあの過激な表現の数々は
XEBECという会社が持っていたロボットのイメージを瓦解させました(笑)
極めつけは皆さんご存知の「To LOVEる -とらぶる-」でしょう。
ラッキースケベてんこもりなシーンの数々と
魅力的なヒロインの描写は多くの男子を虜にしました。
2000年代後半の深夜アニメ全体が色々と過激な傾向にあり、
To LOVEるやれでぃ×ばと以上に過激な作品もありましたが、
肉勘的なむちっとしたXEBECの描写がXEBECらしさを生んでいました
読み間違えた 輪廻のラグランジェ
引用元:(C)ラグランジェ・プロジェクト
2010年代に入るといわゆる「聖地」という言葉が流行りだします。
そんな中でXEBECがうちだしたのが輪廻のラグランジェです。
ちょっとエロ方面に走っていたXEBECが我に返り真面目なロボットアニメを
制作しました。
ロボットデザインはあの「日産自動車」、
総監督は機動戦艦ナデシコの佐藤竜雄と間違いなく面白いはずだと
感じさせる要素はありつつも完全に失敗。
原因は色々ありますが「分割2クール」という悪しき風習や、
見てる側が置いてけぼりになるようなストーリー展開、
明らかに2期前提のストーリー構成なのに2期決定!などという告知をしたり、
最終話まで見ても「結局なんだったんだ?」という要素が
あまりにも多すぎました。
「鴨川」を舞台にして聖地にしようとした作品ではありましたが、
結局、鴨川のイメージはよく人が溺れてるくらいの印象しか残らず、
色々と方向性を間違えた感じのある作品でした。
私はこの「輪廻のラグランジェ」という作品が
XEBECが吸収される原因だったのではと感じます。
元気がなくなったXEBECと振り切った競女
引用元:©空詠大智・小学館/日本競女振興会
輪廻のラグランジェのあとからのXEBECは
どうにも「らしさ」がなくなってしまいました。
白銀の意思 アルジェヴォルン、東京ESP、トリアージXと
印象の少ない作品を作り続け、
To LOVEる -とらぶる- ダークネスの2期などはありつつも、
いまいちこれという感じの作品がありませんでした。
しかし2016年になると「競女!!!!!!!!」を制作します。
女の子同士の尻相撲をスポーツ化するというバカバカしさの極みのような
作品ではありましたが、XEBECらしい肉勘的な描写と
バカバカしさは輪廻のラグランジェの失敗を
振り切ったような作品でもありました(笑)
XEBEXという会社の終わりを告げるクロックワーク・プラネット
引用元:©榎宮祐・暇奈椿・講談社/クロプラ製作委員会
しかし、2017年、XEBECという会社らしくない作品が生まれました。
それがクロックワーク・プラネット
時代錯誤の古すぎるキャラクターデザイン、ご都合主義全開なストーリー、
作画崩壊ギリギリな手抜きの数々、古臭さの塊のような作品であり、
その次代らしいアニメの制作を手がけてきたXEBECが
なんでこんな作品の制作をシてるんだ?と思うほどにひどい作品でした。
そもそも原作が2015年で止まっているのになぜ2017年にアニメ化したのか
ちょっとよくわからない作品であり、
正直「どうしたXEBEC」と言いたくなるような作品です。
その時代らしいアニメを作ってたはずなのに、
時代錯誤の作品を作ってしまいました
露骨に作画も悪くなってしまったのも残念でなりません。
最後は私らしく
引用元:©ミウラタダヒロ/集英社・ゆらぎ荘の幽奈さん製作委員会
2018年には「フルメタル・パニック! Invisible Victory」と
「ゆらぎ荘の幽奈さん」を手がけています。
90年代から2000年代前半までのXEBECといえばロボットアニメという部分と、
2000年代後半からのセクシーなアニメを手がけてきたXEBEC。
硬派なロボットアニメを手がけつつ、
ラッキースケベもりもりなアニメも手がける。
XEBECという制作会社らしい2作品であり、
XEBECらしいラストの2作品だったのではないでしょうか。
XEBECは時代にあったアニメを作ってきた
引用元:(C)XEBEC
XEBECという会社はその時代らしいアニメを作り上げてきました。
その次代の空気感、アニメ業界内での流行りを取り入れつつ、
各年代に1つは代表作品がある。そんな存在感のある制作会社でした。
実情としては子会社が親会社に吸収されただけであり、
XEBEC単体の売上などはあまり関係ないのかもしれませんが、
やはり、こうやって見ていくと「輪廻のラグランジェ」が
鬼門だった感じがします。
あの作品がかつての機動戦艦ナデシコのように売れたら、
XEBECという会社は吸収されずにすんだかもしれません。
時代を読んだ作品作りをしてきた会社が読み違えた結果、
会社ごと、無くなってしまった。
ある意味、皮肉のような結果になってしまいました。
しかし90年代から2018年までXEBECは多くの作品を制作してくれました。
その時代を感じさせるアニメを作りつつ、
機動戦艦ナデシコ、ゾイド、宇宙のステルヴィア、ヒロイック・エイジ、
輪廻のラグランジェ、白銀の意思 アルジェヴォルンと多くのロボットアニメも
作り上げてくれました。
XEBECがいなければロボットアニメは本当に衰退していたかもしれません。
時代を代表する大作と大作の隙間をぬうようにロボットアニメを作り続けた
XEBECには熱いロボット魂を感じます。
この魂がプロダクションIGにしっかりと受け継がれている事を願うばかりです。
最後に
引用元:(C)XEBEC・フライングドッグ
XEBECという会社が無くなってしまうのは本当に寂しいですね。
確かにここ5,6年はToLoveる以外目立った作品がなかった印象ですが、
完全にプロダクションIGに吸収されるとは思っても見ませんでした。
スタッフに関しては半分ほどはタツノコプロへ移籍するようです。
蒼穹のファフナーの制作はプロダクションIG内で続くようですが、
幸いというか2期がありそうな作品は「ゆらぎ荘の幽奈さん」くらいですが、
あの作品の雰囲気とXEBECの肉感的な描写はマッチしていただけに、
2期があるなら制作会社がどこになるか気になるところです。
アニメ制作会社もこの20年くらいでどんどん増えて、
最近では把握しきれないくらいになってきましたが、
今後は「プロダクションアイムズ」のような倒産や
XEBECのように吸収されるところが増えるかもしれませんね。
余談ですが、XEBECのスタッフが吸収されたサンライズやタツノコプロ、
プロダクションIGさんにはぜひ
「競女」2期を制作していただきたいところです(笑)
XEBEX死すとも、その魂は死んでいないという所を
2期か「劇場版 競女」を制作することで見せつけていただきたい(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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