物語が終った主人公はどこへ向かうのか
前編は総集編+新規ストーリーだったが、
後編は完璧な新規ストーリーとなっている
見出して感じるのは「主人公」の存在が薄まったことだろう。
TVシリーズとOVAはレドの視点で描かれているが、
この作品に関して言えば「レド」の視点ではない
あくまでも「ガルガンティア」に集う全てのキャラクターに因る群像劇となっており
様々なキャラクターの「生活」がきちんと描かれる
チェインバーを失ったレドはすでに「主人公」ではなくなった
そういう寂しさを少し感じつつも、
「チェインバー」が居ないレドのガルガンティアでの生活がきちんと描かれることで
ガルガンティア一人ひとりのキャラクターにきっちりと焦点を当てている
そして世界観が広がる。
「陸」の存在だ。この作品は基本的に海での船の上での生活、
船での移動を基本としており「陸地」の描写はなかった。
個人的に「海の惑星」と化したと思っていたのだが、
陸あるという世界観が広がる事実は長年続いたジャンプ漫画が
新展開を迎えたような感覚だ。
ただ、これも私の「勘違い」ではあるのだが
前編のラストのシーンで「リーマ」の正体と臭わせる描写と
謎のロボットが映る描写があった。
そのロボットが「チェインバー」と同じマシンキャリバーに見えてしまったために
前編を見た段階で私は勝手に「リーマ」の正体を
「レド」が所属していた軍の人間だと勝手に解釈してしまった
恐らく私だけでなく同じように思った人も多かったはずだ
若干ネタバレになるが、それは勘違いだ。
そう匂わせる描写ではあったものの
世界観が広がったことにより生まれた「陸」の存在がリーマと繋がってしまい
レド関係の宇宙の話などは一切ない。
勝手に勘違いしてしまい期待感をふくらませてしまったこちらに責任もあるのだが
「そう解釈してしまう」シーンを前編のラストで描いてしまっただけに
若干引っかかるものが生まれてしまった。
更に明らかに「2期」へ繋げたいための展開が多すぎた
新しい「陸」という要素、ユンボロでもマシンキャリバーでもない新しい兵器の存在、
たった1時間という尺の中で色々な要素を増やしすぎてしまっており、
その増やした要素で話を作ってしまっている。
その増やしや要素は確かに面白い。
「長年国家間で戦争をしている陸」という新しい世界観の広がり、
マシンキャリバーではなく、マシンキャリバーの旧型とも言える機体の存在、
海と陸同士の関係性など増やした要素で広がるストーリーは
「ガルガンティア」という作品に対する期待感に十分応えてくれている
特にマシンキャリバーではない「オーグメンテッドボディ」の存在。
性能はチェインバーには明らかに劣っている
言語も動きも固いオーグメントボディ「マズル」に乗り
レドのように操縦できない「リーマ」が動かす。
既に主人公ではなくなった「レド」は
あくまで彼女をサポートするだけにすぎない。
だが「レド」と「チェインバーの意思」に影響された1人と1体の行動と
2人の最初で最後の戦闘と行動ははかつての「レド」と「チェインバー」を彷彿とさせ
1時間という尺の中で素晴らしい物語を作り上げてくれている
この作品、前編を含めて「レド」が主人公でなくなる物語だ
特殊な機体も特殊な力ももはやないレドが
「ガルガンティア」という場所で暮らしていくことを決意する
翠星のガルガンティアの後日談としては素晴らしい展開といえるだろう
全体的に見て前編のラストで妙に期待感を強めてしまったが、
その強い期待感さえ抱かなければ素晴らしい後日談といえるだろう
主人公ではなくなったレドとガルガンティアで暮らす人々のストーリー、
「陸」という新しい世界観の広がりを感じ、
色々な先のストーリー展開を感じさせつつもも
「レドが主人公」の物語を締めている。
ただ、2期につなげるための要素が非常に気になってしまう。
「2期」につなげるためのOVAというストーリー展開は悪くはない、
ガルガンティアという作品が好きな人にとっては
嬉しいストーリー展開といえるだろう
だが、それは2期があればの話だ。
残念なことに2期は「制作困難」な状況になっているらしく、
2期のストーリーは小説で発売されるらしい。
これだけ2期を匂わせる要素を入れてしまって、続きは小説で・・・というのは
あまりにもがっかりだ。
これで2期の情報があればもっと高い評価ができただけに本当に残念だ
私はガマンできずに前編を先に見てしまって
後編までずいぶん時間が開いてしまったが、
一気に見てしまえば強い「期待感」を膨らませすぎずに
スムーズに見ることができるだろう。
ただ、個人的にはハードルを上げすぎてしまった感じは強い
あの前編の引きから想像できるストーリーが面白そうなだっただけに
この後編の展開も間違いなく面白いのだが、
どうにも消化しきれない感じが残ってしまった
2期がないのは本当に残念だ・・・
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