評価 ★★★★☆(63点) 全12話
あらすじ 辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)にまで上り詰めた稀有な存在がいるという……。引用- Wikipedia
辺境の冒険者はゴブリンを狩り続ける
原作はライトノベルな本作品。
監督は尾崎隆晴、制作はWHITE FOX。
なお過激な描写が多かったせいかBPOに意見がかなり寄せられたようだ。
ゴブリン
引用元:ゴブリンスレイヤー 話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
タイトルにもある通り、この作品の敵は「ゴブリン」だ。
RPGの世界においてスライムと同等レベルか少し上程度のモンスターであり、
「雑魚」という言葉で片付けられることも多いモンスターだ。
この作品の世界のキャラクターも同じように思っている。
ゴブリンなんて体も知性も最弱、村の若者が追い払えるレベルと。
視聴者のファンタジーやゲームにおける「ゴブリン」の認識と、
作品のキャラクターが同じ認識を持っている。
しかし、この世界のゴブリンは甘くない。
弱いがゆえに知恵が働き、弱いがゆえに徒党を組む。
そうとは知らない初心者冒険者は「たかがゴブリン」と舐めてかかり、
その毒牙にかかる。
この作品で描かれる出来事は本来「ファンタジー」な作品では
描かれないような些細な出来事だ。
魔王を倒すわけではない、世界を救うわけでもない。
ファンタジーの世界での「日常」で起きている事件だ。
この作品はあえてそこにスポットを当て、
「ゴブリン」のみに執着し、「ゴブリン」のみを狩り続ける
ゴブリンスレイヤーを主人公にしている。
エログロ
引用元:ゴブリンスレイヤー 1話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
この作品に出てくる冒険者は基本的にあまり強くない。
それゆえにあっさりとゴブリンにやられる。
狭い洞窟の中で一気に囲まれ、串刺しにされ、殺される。
生々しい「音」は直接的な表現はされずともされていることが分かる演出だ。
こういったグロ描写は規制が当然厳しい。
「洞窟」という場所で暗がりの中、灯火に照らされたことで生まれる
「影」や「声」で何をされているかを視聴者に想像させる事で安易な規制をしない。
規制が厳しいTVアニメ業界で非常にうまい規制の仕方をしている作品だ。
ゴブリンにとって「女性」は繁殖のために必要な素体でしか無い。
当然、そういった「シーン」も描写される。
1話でこういう描写のある作品ですと視聴者にしっかり見せており、
好みは分かれる描写ではあるがゾクゾクとした排他的な魅力を感じさせる。
冒険者が無残に全滅し、女性がゴブリンにさらわれるのも
この世界では「当たり前のこと」だ。
そのファンタジー世界で日常的に起きてる当たり前のことを、
この作品は生々しく描いている。
ゴブリンスレイヤー
引用元:ゴブリンスレイヤー 2話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
この作品の主人公は特になにか特別な力があるわけではない。
しかし、ゴブリンに特化した知識と経験がある。
ゴブリンを憎み、恨み、殲滅したいという欲望が彼という存在を作り上げている。
戦闘方法は単純だ、一匹ずつ仕留める。
洞窟の中に住み着くゴブリンを確実に、一匹ずつ殺す。
そこに「派手さ」というものは薄い。
剣を投げ、突き刺し、爆破物を使い、罠を使い、確実に倒す。
はっきり行って地味だ。しかし、その地味さからにじみ出る無骨さと
彼がゴブリンに固執する姿やセリフ、行動の数々が
この作品の「主人公」たる魅力を作り上げている。
言葉数も少なく、コミュニケーションも下手だ。
「ゴブリンか?」という一言でクスっとさせられてしまうほどの
キャラクターはこの作品くらいだろう。
そんな主人公に魅力があり、他のキャラクターも彼に惹かれる。
主人公に魅力がある作品というのはそれだけで価値があると感じさせてくれる。
攻略
引用元:ゴブリンスレイヤー 7話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
この作品はまさにRPGの攻略を見ているかのような感覚だ。
ゴブリンの巣穴というダンジョンにパーティーを組んで挑み敵を殲滅する。
時折そこには「ボスキャラ」が居て苦戦しながらも勝つ。
ゴブリンスレイヤーは最強ではない。
ゴブリンには強いがその他のモンスターの知識はなにもないため苦戦する。
彼は魔法も使えず肉弾戦のみだ。
この世界における魔法は「回数制」だ。1日に3~5回しかつかえず、
限られた魔法と限られたアイテムでいかに攻略するか。
ある種の縛りプレイのような感覚すらある。
他のファンタジー作品のようなご都合主義な展開や、
主人公が突然パワーアップして敵を倒すという展開はない。
あくまでも「事前に持ってきた」アイテムとパーティーの魔法でなんとかする。
少ない手札でいかに困難な状況を攻略するかという面白さが生まれている。
最近はいわゆる「俺ツエー」な作品が
なろう系作品のヒットと合わせて流行っているが、
この作品はその逆を行く作品とも言える。
ヒロイン
引用元:ゴブリンスレイヤー 10話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
この作品のヒロインは可愛い(笑)
無骨かつコミュニケーションが下手なゴブリンスレイヤーという人物を
放っておけず一緒にパーティーを組んでいる。
彼と冒険をしゴブリンを倒し続ける中でゴブリンスレイヤーという
人物を理解し、理科しいたからこそ一緒にゴブリン退治を続けている。
女神官はかつてゴブリンに襲われ仲間を目の前で奪われ嘔吐し、
エルフは目の前で同族が陵辱されていた姿を目にし嘔吐している。
ここまで嘔吐している姿がきちんと描写されるヒロインも珍しい(笑)
彼女たちはゴブリンという敵を相手するがゆえに、
一歩間違えば繁殖のために利用されかねない。
ゴブリンスレイヤーがミスをし、もし死んでしまえば、その先の運命は悲惨だ。
そういった「リスク」を見てる側にも感じさせ、
一歩間違えば大変な目に遭うヒロインに蠱惑的な魅力を感じる。
そんなヒロインたちや仲間と出会い、ゴブリンを倒し、
孤高の存在だったゴブリンスレイヤーが少しずつ、
本当に少しずつ変化していくさまもこの作品の魅力だ。
ストーリー
引用元:ゴブリンスレイヤー 12話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
ただ、この作品は良くも悪くもメインのストーリーではない。
主人公たちはゴブリンたちを倒し続ける中で、
勇者が魔神を倒したりしてはいるが、このストーリーが交わるわけではない。
ゴブリンは無数に生まれ続け、人々に襲いかかる。
それは決して終わらない。
この作品のストーリーは何処へ行くのかが読めない。
結局、最初から最後まで基本はゴブリン退治をしており、
いい意味でも悪い意味でもそれ以上でもそれ以下でもない。
1クールの作品としては彼らのゴブリン退治はこれからだ!という感じで
終わっているが、この先、この作品がどういうストーリーを描くのか。
そこが非常に気になる、いい後味を残しつつ1クールが終わってしまう作品だ。
総評:ゴブリンを狩るモノたち
引用元:ゴブリンスレイヤー 12話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
全体的に見て着眼点が面白い作品だ。
魔王を倒す勇者や世界を救う話を描くわけではない。
ファンタジー世界の普通の住人にとって迷惑な「ゴブリン」に着目し、
そのゴブリンをかるためだけの存在をキチンと描いている。
簡単に言えば作品の芯がしっかりしている。
「ゴブリンスレイヤー」という作品名から想像できる内容の主人公像を、
きっちりと描き、彼と冒険する仲間を掘り下げ、より主人公の魅力を掘り下げる。
敵であるゴブリンを徹底的に憎むべき「敵」として描き、
ゴブリンをいろいろな方法で狩る姿が面白い。
グロ描写に関しては、そこまでダイレクトな表現はしていない。
TVアニメという最近では規制がやや強まっている媒体で、
「演出」と「声優による演技」で見てる側に想像させることで
グロテスクさを出している。
ゴブリンが住む巣穴の薄暗さを活かした演出が素晴らしい作品だった。
1クールである程度区切りはつけているものの、
この先、この作品のストーリーがどうなるのかは気になる。
ゴブリンを狩り続ける先に何があるのか。
ぜひ、2期に期待したい所だ。
個人的な感想:最終話
引用元:ゴブリンスレイヤー 12話より
©蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤー製作委員会
いい意味で印象に残ったのが最終話だった。
ゴブリンスレイヤーとその他大勢の冒険者で迫りくるゴブリンを退治する話だが、
かつてゴブリンスレイヤーたちが苦労した相手に、
強い冒険者が少人数で勝つ姿を描くことでゴブリンスレイヤーが
「特別に強い存在ではない」というのを明確にする話だ。
これをあえて最終話で描き、ゴブリンたちの驚異も普通の冒険者にも伝わり、
最後は宴会で終わる。気持ちのいい最終話だった。
最後の「帰ってくる」の意味が2期だという期待を込めて、
やや評価を高めにした。
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勘違いしやすいですが
ゴブリンスレイヤーはゴブリンに対する
憎しみとか恨み通り越して 義務感趣味生きがい
そして大好きだった姉とゴブリンが切り離せなくなった
事による被害妄想と強迫神経症という方が近かったり
ゴブリンのせいで青春を失い中身は少年ののまま
ゴブリンスレイヤーという名前を所為こんで
生き方下手糞になってしまった青年が
出会いを通して夢と青春取り戻していく
小ヒーローモノみたいな感じなんです
ちなみに時系列変えるて1部話の意図が
分かりにくい感じになってたと思います
少しでも気に入ったらならコミカライズから
読んでみて欲しいです 丁度やった範囲が同じくらい
原作のファンには割と渋い評価でしたねアニメ版は。
原作はかなり心理描写や情景描写に尺を割いている作品で。
管理者様の動画での指摘のように、その人物描写、成長描写自体がストーリーになってるんですよね。
つまりはアニメ化の難易度がそもそも高かった、というわけなんですが…。
それをアニメと同じ¨画¨の表現で再現しきったコミカライズ版の存在が既にあって。
原作の5倍か6倍くらい売れてる大ヒットコミカライズなのでおそらく原作ファンも大半は読んでます。
アニメの1話を見た時、自分は「コミカライズの再現をするんだ!凄い!」
と無邪気に喜んだのですがそのあとの再現度は低かった…。
最終話は良かったんですけどね。