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「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」レビュー

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評価 ★★☆☆☆(31点) 全12話

あらすじ 180センチを超える長身にコンプレックスを抱えてきた女子大生・小比類巻香蓮は、数少ない友人・篠原美優の薦めでVRゲームを始める引用- Wikipedia

圧倒的な主人公補正に萎える

本作品はソードアート・オンラインのスピンオフ作品。
作中でも描かれたVRゲーム「ガンゲイル・オンライン」がスピンオフされ、
原作はキノの旅でお馴染みの時雨沢恵一が手がけている。
監督は迫井政行、制作はStudio 3Hz

見出して感じるのは地味さだろう。
簡単に言ってしまえばこの作品は「VR」で楽しめる「FPS」ゲームの世界だ。
全身ピンクのアバターの主人公は印象には残るものの、
肝心のゲームの内容が微妙だ。

FPSのゲームをしているというよりは、
どちらかとえいば「サバゲー」っぽい感じが強い。
作中のゲーム内にもモンスターなどはいるのだが、
基本的に対人戦ばかりが描かれ、ゲーム内の特殊能力や
ステータスという概念はあるものの、やってることはサバゲーだ。


引用元:© 2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

淡々とした作戦で淡々と銃撃戦をする1話は正直地味であり、
見ていて退屈かつ面白みが薄い。
主人公の特徴が「高速移動」できるというのもあるのだが、
アニメーションとしての描き方が地味で、主人公の強さというよりは
ズルさのほうが際立ってしまっている。

そもそも主人公のゲーム内のキャラの等身が
他のキャラクターの半分しかない。
FPSゲームにおける「ヒットポイント」が他のキャラの半分しかなく、
高速移動だけでもずるいのにアバターが小さいという点で
FPSゲームでのは強みしかない。

しかも、ゲームのキャラメイクはランダムらしい。つまりは運である。
身長の低いキャラが圧倒的に有利なFPSでキャラメイクがランダムで、
主人公のキャラが1番、背が小さい。
他のプレイヤーにとってはただのチートでしかない。
ちなみに中盤から出てくる主人公の友人も小さいキャラだ。
とんだランダム性である。


引用元:© 2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

本家本元の主人公の「キリト」もチートと呼ばれる事が多い。
だが、彼の場合はきちんとした設定と強くなる理由がストーリー中に有り、
その強さがある程度、納得できるようになっており、
俺TUEEで無双しても、それがきちんと面白さとして消化できる。
しかし、本作の場合はただのチートかキャラ優遇でしかない。

これまで他のゲームをしたことがあるわけでもなく、
ただの大学生でしか無い主人公がゲーム内でたまたま最小キャラを手に入れ、
俊敏性にガン振りしてるだけで無双できてしまうのは納得できない要素だ。
彼女は超至近距離で頭部を狙われても絶対に当たらない。

主人公だから死なないし、物語に勝つ流れだから当たらない。
銃を破壊されても、初めて使うナイフで無双できてしまう。
これで主人公があらゆるゲームをやり尽くしたゲーマーだったり、
現実の世界で軍人なら納得できる戦闘シーンかもしれないが、
説得力の無さ過ぎる主人公補正MAXな戦闘シーンは見ていてつまらない。

こういうご都合主義や無理のある描写や主人公補正を
「運」の一言でこの作品は片付けているのも厄介であり、
主人公が強いのか敵が弱いのかいまいちよくわからない。
そんな違和感や納得できない要素を感じつつストーリーが描かれる。


引用元:© 2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

根本的にストーリーは面白くない。
SAOのようにログアウトできないわけでも、PKで人が死ぬわけでもない。
何らかの企業が悪いことを企んでるわけでもない。
そうなってしまうと大きなストーリーというものがない。

特に序盤は盛り上がり所というものがなく、
癖のあるプレイヤーたちのキャラクター性は面白いものの、
FPSゲームという名のサバゲーを淡々としているだけにすぎず、
それをダラダラと描かれても特に面白みはない。

ただ、言い方を変えれば非常に丁寧に説明してるとも言える、
とあるキャラクターが「敵にさとられずになぜ長距離射撃があたるのか」
という点を5分もかけて解説する。

文章にすれば
「エイムアシストを利用せず現実で射撃経験があるから」という
1行たらずで説明できることを5分も掛けてこの作品は説明している。
馬鹿にでもわかりやすい解説とも言えるが、
こういう1つ1つの解説があまりにも長いためテンポが悪くなっている。


引用元:© 2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

そもそもの物語の始まりとして主人公は高身長にコンプレックスを持ってお
り、VRなオンラインゲームの中で低身長キャラクターになることで
日頃のうっぷんを晴らしている。
しかし、そんな大したことないコンプレックスが大したことがないゆえに
5話の時点で吹っ切れてしまっている。この時点で彼女の物語は終わってる。

本来はその主人公の変化が髪型にも現れており、
吹っ切れる前はロングヘアーだが吹っ切れるとショートヘアになっている。
しかし、この作品は時系列をいじっているため1話から
その吹っ切れた後の姿が出てしまっており、彼女の心境の変化による
外見の変化という効果のインパクトもほとんどなくなってしまっている。

中盤からは「SAOのデスゲームに参加できなかった」狂ったキャラを
救うために主人公が奔走するのだが、
正直、デスゲームに参加したかった死にたがりに感情移入も同情もできず、
放っておけば良いのではと思ってしまうほどどうでもいい。
実際、主人公すらも最初はカウンセラーに任せろと言ったレベルだ。


引用元:© 2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

結局、描かれるのは序盤と同じような補正MAXのチートキャラによる
戦闘シーンでしか無い。個人戦でなくチーム戦がばかりが描かれ、
最低人数が二人で最大人数が6人というルールなのだが、
常に主人公は最小チーム構成で最大人数のチームを圧倒する。

ゲーム内のキャラのテンションもよくわからない。
別にゲーム内で殺されても死ぬわけでもないのに強キャラを目の前に
「こんな事をして楽しいのか!?」と
まるで本当に殺されるかのようなセリフを吐く。
ゲームのルールに従ってゲームをしてるだけにすぎず、
自キャラが弱いだけなのにとんだ言われようである。

ストーリーのオチもわかりやすい伏線のおかげで予測できてしまい、
消化しきれない部分と作品の世界観に入り込めないままに
終わってしまった感じだ。


引用元:© 2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

総評

全体的に見てあまりにも主人公補正とご都合主義がすぎる作品だ。
どんなに至近距離で撃っても物語の都合上当たらず、
「運」の一言でそれを片付けてしまい主人公の強さに説得力がなく、
死にたがりのサイコパスを救うために奔走する主人公の物語は
特に面白みがなく、どんな感情で見れば良いのだろうかと考えてしまう。

ストーリーのテンポも悪く、文章で1行で説明できることを
5分も使って解説するくらいグダグダかつ進行も遅い。
主人公の最初のチーム戦が終わるまで5話もかかっており、
5話もかけたわりには内容が薄く、
結局、チーム戦が2回描かれて1クール終わってしまう。

戦闘シーンの作画とアニメーションの演出は見ごたえのある部分があり、
これで主人公の強さに説得力があれば素直に楽しめたかもしれないが、
最後までチートで主人公補正でご都合主義で物語の都合上、
死なない主人公では戦闘シーンがいまいち盛り上がらず萎えてしまい、
「GGO」というゲームの面白さがわからずに終わってしまった。


引用元:© 2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/GGO Project

個人的な感想

個人的には時雨沢恵一とSAOの世界観ということで期待したのだが、
びっくりするほど期待はずれだった。
原作とアニメでどれだけ違うのかはわからないが、
主人公の強さの説得力は俺ツエーな無双作品においては必須であり、
それがなければ主人公補正とご都合主義で終わってしまう。

SAOという作品を好きで、この作品の世界観やキャラクターに
違和感を感じなければもう少し素直に楽しめたかもしれないが、
どうにも序盤から違和感やツッコミどころが多く、
馴染めなかった作品だった。

売上的には5000枚ほどとなかなか売れており、
2期の可能性もあるだろう。

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