評価 ★★☆☆☆(23点) 全12話
あらすじ 転職のため東京にやってきた天月みちる(20)。
上京した彼女は、女性専用シェアハウスに住むことに!引用- Wikipedia
ダイレクトマーティングはほどほどに。
原作は4コママンガな本作品。
監督は小林智樹、制作はプロダクションアイムズ。
1話10分ほどの短編アニメ。
見出してそうそう、アニメ業界でおそらくはじめての注意事項が出る。
「私達は二十歳以上です」
タイトル通りお酒を飲むシーンの多い作品であり、
年齢の分かりにくいアニメキャラクターへの苦情の回避もあるのだろうが、
お酒のラベルの裏側に書かれているような注意事項が1話早々
大きく画面いっぱいに描かれるのはちょっと衝撃的だ
引用元:©2018 火野遥人・小学館/「たくのみ。」製作委員会
だが、ややうるさい。
昼間から飲んでいるキャラが出てくれば
「昼間の飲酒はほどほほどに」と出てきたりする。
実際のメーカーの商品が出てくることが多いため、
こういった注意事項をきちんと強調して描いているのは分かる。
だが「エビスビール」や「氷結」など実際の商品が出ることで、
はっきりいって萎えてしまう。
特にエビスビールなど別に「ビール」でいいはずだ。
わざわざエビスビールという商品名を出す必要性は感じない。
更にエビスビールを飲んでエビスビールがいかに「美味しいか」を
女性キャラクターに言わせている。
ステルスマーケティング、通称ステマは一時期うるさいほどネット上を震わし、
ちょっとでも宣伝行為のある記事があればステマステマと騒がれた。
この作品はそんなステマを超えたただのダイレクトマーティングだ。
作者が考えたキャラクターのセリフやキャラの感情ではなく、
「お酒の宣伝のために考えられたセリフ」を
キャラクターに「言わせてる」感が非常に強い
引用元:©2018 火野遥人・小学館/「たくのみ。」製作委員会
同じ枠で放送されていた「だがしかし」でも実際の商品が取り扱われている。
しかし、この作品と違い、だがしかしはきちんと「駄菓子」への熱意を感じ、
キャラクターが駄菓子を本当に好きなんだと感じさせるセリフであり、
ステマやダイレクトマーティングといった言葉は
見てる側の頭の中には浮かんでこない。
しかし、この作品はそういった「お酒に対する熱意」が伝わってこない。
シャアハウスを舞台に「今日もお疲れ様でした」とキャラが集まって、
各話違った商品を飲み、商品の雑学を付け加え、
まるでお酒のCMで流れるようなセリフで味の感想を言って終わりだ。
言われなくても原作が4コママンガと分かるほど1話1話の内容が薄く、
だらーっとどうでもいい話を描いている感じが強い。
「たくのみ」というタイトル上、家で以外飲まないせいもあるのだが、
早い段階で作品が「ワンパターン化」しており、
少ないメインキャラで話を広げることが出来ていない。
引用元:©2018 火野遥人・小学館/「たくのみ。」製作委員会
同じお酒を扱った作品では「ワカコ酒」があるが、
あの作品は余計な雑学がなく、淡々としたひとり酒の話ではあるものの、
短い尺の中でしっかりとおもしろさがあり「美味しさ」も伝わる。
この作品とは月とスッポンほどの差だ。
押し付けがましい雑学、わざとらしい極端な反応と
この手のグルメアニメでは嫌われがちなポイントも多く、
一部のキャラが食べ物を食べるときには「微エロ」の要素もある。
女性だらけのシャアハウスということで若干の「百合」要素もあり、
好みの分かれる部分や嫌われやすい要素が目立つ作品だ。
引用元:©2018 火野遥人・小学館/「たくのみ。」製作委員会
話が進めば進むほどキャラのセリフが宣伝文句のようになってくる。
これは3話のセリフだが・・・
「あ!そのかわいいデザインの缶ビールは水曜日のネコ!」
「名前の由来が週の真ん中水曜日、ネコのごとくくつろぐビールだからだ!」
「水曜日のネコは色も香りも楽しめるんだ!」
「苦味も少なくてビールが苦手な人にもおすすめ」
と、もはやCMくささ全開のセリフをキャラに言わせている。
飲んだ後のセリフもわざとらしさの塊のような称賛セリフばかりだ。
引用元:©2018 火野遥人・小学館/「たくのみ。」製作委員会
ストーリー的には全12話だが内9話は実際の商品が出てくる話だ。
残りの3話はキティやカルーアなどのカクテルや焼酎ハイボールなのだが、
逆に言えばなぜ全話実際の商品の話をせずにぶれてしまうのか?という
疑問も生まれてしまう。
ネタの幅も狭すぎる。
百歩譲って実際の商品のダイレクトマーティングなアニメでも構わない。
きちんとそれを美味しそうに熱意を持って見せることができれば、
宣伝であろうと楽しめたはずだ。
しかし、全12話の内4話ビールだ(苦笑)
実際のお酒は数多星の数ほどあるのに、ビールばかり出てくる。
話の引き出しの無さが致命的であり、話もネタも展開もワンパターンだ。
お酒の雑学も調べれば商品の公式サイトに乗ってるくらいの雑学であり、
それを短い尺の中で長々と解説させるのは面白さを薄めてるだけだ
このステマ臭、ダイレクトマーティング感を
気にしなければ楽しめるかもしれない。
だが日常物としてはキャラの掘り下げがやや甘く、
特に何も起こらず淡々とした社会人キャラたちの日常は
お酒という要素があるからこそぎりぎり見れる感じが強かった作品だ。
引用元:©2018 火野遥人・小学館/「たくのみ。」製作委員会
総評
全体的に見て「実在するお酒」を作中で出すという試みは悪くなっただろう。
キャラクターデザインも可愛らしく、おつまみで出てくる料理や
お酒自体の作画も頑張っている。
しかし、「実在するお酒」の魅力を伝えて
見てる側に思わず買って飲みたくなる風に描けていない。
結局の所ただのダイレクトマーティングだ。
キャラクターのセリフがセリフではなく宣伝文句でしかなく、
宣伝口調で商品の紹介をしている様は
わざとらしい深夜のテレビショッピングのような感じだ。
ストーリーもはっきりいってあってないようなもので、
主人公は一応、転職で上京してきたという設定があるが、
特にそこで大きなストーリーが展開するわけでもない。
シャアハウスと言う設定も女性キャラに飲み会をさせるためだけの設定であり、
作品を構成する「設定」があるだけになってるものが多いのも致命的だろう。
キャラクターは可愛いだけに色々ともったいない感じが強く、
10分ではなく5分アニメで勢い任せにやれば、
欠点が隠せたかもしれないだけに残念だ。
引用元:©2018 火野遥人・小学館/「たくのみ。」製作委員会
個人的な感想
個人的にはグルメなアニメは好きな部類だ。
ワカコ酒、甘々と稲妻など何度も見返してる作品も少なくはない。
しかし、この作品はもう1度見ようとは思わない。
既存の商品の魅力を公式サイトの紹介文をコピペしたようなセリフではなく、
きちんと生きたキャラクターの感想として伝えてほしかった所だ。
売り上げ的には507枚と爆死。2期の可能性は無いだろう。
余談だがこういったグルメ系作品はすぐに実写化されるが、
ストーリー部分の薄さと「実際の商品を扱う」という要素は
テレビのスポンサーなどへの配慮から色々と難しそうだなと感じてしまった。
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