評価 ★★★☆☆(56点) 全12話
あらすじ 主人公である雨野景太は、人見知りで他の人と遊ぶことはしないが、ゲームを人一倍楽しむ男子学生。引用- Wikipedia
コント仕掛けのラブコメアニメ
原作はライトノベルな本作品。
生徒会の一存で有名な葵せきなによる作品だ
監督は岡本学、制作はPINE JAM。
見出して感じるのは主人公の意外性だろう。
男子高校生が主人公なのに女性声優が演じており、
この手の作品としてはちょっとめずらしい。
ただ外見が高校生という設定にしては幼なく童顔であり、
演じている声優さんの演技や声との違和感はない。
引用元:©葵せきな・仙人掌・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/ゲーマーズ!製作委員会
更に文字による演出の多さ。後半からはなくなってしまい、
序盤の段階でしかこの文字演出は無いのだが、
キャラクターたちを紹介しながらキャラクターの詳細なデータや
補足説明のようなものをコミカルに入れている。
同時に多くのキャラに「このあと壊れます」という気になる
文言が入れており、「後の展開」をあえて文字で見てる側に伝えている。
そうすることで、その後の展開がいつくるかの期待感がつのり、
彼らが文字演出で言われている「壊れる瞬間」がいつなるのか気になる。
引用元:©葵せきな・仙人掌・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/ゲーマーズ!製作委員会
ストーリー的には序盤からかなり意外な展開を見せてくれる。
クラスの美少女に誘われてゲーム部を見学することになる主人公、
普通ならばこの流れだと「ゲーム部」に入って日常ラブコメが描かれるのが
この手の作品のお決まりだが、この作品の場合は違う。
なにせ主人公はゲーム部に入らない。
可愛すぎるヒロインに誘われてるのに、まさにラブコメが始まりそうなのに、
べたべたな日常部活モノが始まりそうなのに、
主人公が「部活に入らない」という選択技を選んだことで
見てる側の予想が大きくハズレる
引用元:©葵せきな・仙人掌・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/ゲーマーズ!製作委員会
見ていない人に言うならばゲーム部の人はいわゆる「ガチ勢」だ。
FPSで大会に出まくる男の先輩、アケコンでカクゲーを楽しむ女の先輩、
だが、主人公は普通に「ゲームを楽しみたい」だけで
切磋琢磨しガチ勢のようにゲーム技術を向上させたいという気持ちはない。
ゲーム部の面々はソシャゲーに対してもやや否定的であり、
主人公がやってるソシャゲーに対しても「そんなの」と言い放つ。
だが、主人公は「そんな」ソーシャルゲームだって楽しんでいる。
ゲームを純粋に楽しみたいからこそゲーム部の誘いを断り、
ヒロインが泣こうが怒ろうが全く関係なく自分の信念を貫く。
この部分がこの作品の最大の特徴でもあり、同時にきっかけにもなっている。
クラスでも人気の美少女が凡人なゲーム好きな主人公に振られる。
スクールカースト上位な女子がスクールカースト下位な男子に、
「部活への入部」を断られるという構図ではあるものの、
周りのクラスメイトからすればそれは「振られた」ようにも見える。
それが発端となり大きな誤解につながり、
今まで主人公とは関係性のなかったキャラとの新たな交流を生む。
その交流がまた誤解とスレ違いにつながり、そして新しい交流を生む。
キャラが増えると更に誤解とスレ違いがややこしくなり・・・・と
複雑なすれ違いコントのような状況になっていく
引用元:©葵せきな・仙人掌・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/ゲーマーズ!製作委員会
そんな中で主人公がぶれないのも素晴らしい。
ゲームを純粋に楽しむためにゲーム部には入らない。
安易に1度断ってからすぐにやっぱり入りますというような展開にはならず、
そこは絶対に譲らない。
外見こそ平凡で普通な主人公だがきちんと主人公としての「芯」がある
だからこそ、その芯を中心に人間関係が形成され、
その周りを他のキャラクターがぐるぐると周り、
すれ違い、変化していくさまが非常に面白く、
意固地すぎる主人公の信念があるからこそ周囲も振り回される。
物語の中心にきちんと「主人公」が居ることを感じられるキャラクターだ
すれ違いと勘違いがきっちりとギャグにもなっており、
話が進めば進むほどキャラクターが増えるおかげでより複雑になってくる。
その複雑さがこの作品の面白さにもなっており
分かりやすく言うならば「アンジャッシュ」のコントを見てるような感覚だ。
引用元:©葵せきな・仙人掌・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/ゲーマーズ!製作委員会
見てる側は誤解と勘違いであることはわかっている。
だがキャラクターたちはすれ違い勘違いしっぱなしであり、
そのさまが面白く、慌てふためくキャラクターの魅力がしっかりと伝わる。
いわゆるツッコミ役が居ない。
なにせ全キャラ何かしらの勘違いとスレ違いを起こしているため、
突っ込むことも出来ない。そもそも彼らは別にボケているわけではない。
複雑な関係性をすっきりさせようと動くキャラも居るが、
それすらも余計なすれ違いと勘違いを生む原因にもなっていく。
ただ、スレ違いこそ面白さでもあるのだが逆に引き伸ばし過ぎな感じもある。
ずっと勘違い、ずっとすれ違いっぱなしであり、見てて疲れる部分もある。
面白いのだが疲労感が生まれる関係性の描写だ。
7話くらいでようやく、勘違いやすれ違いが解消しだすのだが、
せっかくほぐれた関係性がまた終盤でこんがらがってしまいう。
前半までのすれ違いは面白いのだが、逆に終盤で新たに生まれるすれ違いは
「物語を引き伸ばすため」のやや強引なストーリー展開であり、
前半以上のすれ違いの面白さがない。
1クールできっちりストーリーが終われば評価ももっと高く出来たのだが、
余りスッキリと終わったとはいえないのが残念な所だ。
引用元:©葵せきな・仙人掌・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/ゲーマーズ!製作委員会
総評
全体的に見てすれ違いラブコメとしての完成度は高い。
特に6話までの登場人物同士の勘違いとすれ違いの完成度が非常に高く、
見てる側が「この先どうなるんだ?」と純粋にストーリーが気になり、
その中できちんとキャラクターの魅力が深まっていき、
ヒロインの可愛さもたっぷりと味わえる。
ただ、その反面でもう少しスッキリと終わらせてほしかったと感じる所だ。
最終話も最終話らしくない終わり方であり、
終盤で更に引き伸ばす展開を描く必要性が合ったのか?と感じてしまった。
結局のところ色々な部分を投げて終わってしまっており、
続きは原作を読んでね!と言う感じなのは本当に残念だ。
この作品は面白い。すれ違いラブコメも面白いしキャラもかわいい。
だが1クールにおけるストーリー構成がきちんとできておらず、
その面白さをしっかりと「面白かった!」と言い切れないもどかしさが
残ってしまう作品だった。
引用元:©葵せきな・仙人掌・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/ゲーマーズ!製作委員会
個人的な感想
個人的には好きな作品だ。
1話の段階で予想を裏切る展開になり、その後のキャラの
壊れっぷりも素直に笑ってしまった部分も多かった。
だが、終盤の展開だけは素直に楽しみきれなかったのが本当に残念だ。
ただ超個人的には最終話で一気に明かされたサブキャラの
「三角くん」のエピソードが大好きだ(笑)
無駄に壮大な彼の結末だけは原作が完結した頃にでも読みたい所だ。
ちなみに売上的には1000毎前後といわゆる爆死。
スッキリと終わってればもう少し売上が違ったかもしれないだけに、
もったいない作品だった。
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