評価 ☆☆☆☆☆(3点) 全12話
あらすじ 三宅島で「女子高校レーシングニーラー全国大会」が開催される。地元の三宅女子高等学校の宮田ゆりと目黒めぐみはじめ、全国から集まった女子レーサーたちはマン島TTレース出場権を賭けた優勝を目指して走り出す。引用- Wikipedia
視聴ストレス耐久レース
本作品はTVアニメオリジナル作品。
SILVER LINK.の10周年記念作品となっており、
サイドカーレーシングを題材にするというかなりの意欲作。
監督は田村正文、制作はSILVER LINK。
見出して感じるのは、このアニメ大丈夫だろうか?という不安だ。
開始3分間背景描写ばかりでキャラクターが写ったかと思えば止絵。
1話冒頭という大事なシーンにも関わらず、
惹きつけられるシーンや要素がまるでない。
更に1話から大量の登場人物を出す。
この作品はサイドカーによるレースをやってる女子高生たちの大会が話の主軸であり、
二人一組が基本でレースに参加するのが6チームだ。
1話からその全てのチームとキャラクターを出す。
12人+他のサブキャラを一気に出すため
名前を覚えきれるわけもなく印象にも残らない
世界観ははっきりいって恐ろしい。
サイドカーレーシングというニッチな競技がある程度一般化しているようで、
高校に「側車部」なんて部活まであり、
特区指定されている地域では公道だろうがスピード制限なし、
ヘルメットをしなくてもおまわりさんに怒られない。
サイドカーレーシングという題材自体は面白い。
一人はドライバー、一人はパッセンジャーという役割があり、
ドライバーはその通り運転、パッセンジャーは「体重移動」により機体のバランスを
取るという役目があり、一見すると凄い絵面のレーシング模様であり、
興味がある方は画像検索などをすると実写の様子が見られる。
まるで曲芸のような乗り方でバランスをとるというのは面白い要素なのだが、
この作品はそれをまるで活かさない。
6チームも居るのにワンパターンな体重移動しか描写せず、
アニメなのだからアクロバティックな体重移動方法があってもいいはずなのだが、
リアルに描写したいからなのかそういった要素がなく、
最初のインパクト以上の印象はなく、見れば見るほどレースがつまらない。
そして最悪なストーリー構成。
重要な1話ですら、レース模様と回想を織り交ぜながらストーリーを展開するため、
ストーリーに集中できず、レース中に何度も回想を入れまくり話の腰を折る。
回想をいれまくる意味や効果がまるでない。
更に2話ではまた時系列が戻る。ストーリー構成が本当に最悪だ。
演出も最悪と言っていい。
例えば1話のラストで同じサイドカーにのっていたキャラ同士が殴り合い
クロスカウンターで倒れるというシーンが有る。
文章だけで見れば非常にインパクトが有り、1話の重要な引きのシーンだ。
女の子同士が本気でパンチを繰り出しお互いが地面に倒れる。
そんな印象的なシーンですら演出が弱い。
互いが本気のクロスカウンターをしっかり描写すればインパクト上がるのに、
ギャグアニメのような軽い描写になっており、
盛り上がりに欠けインパクトも薄れてしまっている。
レースシーンの誤魔化し方も酷い。
妙な所で手抜きで3DCGを用いており、バイクではなく背景やカメラを動かすことで
スピード感を出そうとしていたりと効果的な演出ではなく、
誤魔化すような演出が非常に多く、キャラクターの動きなども硬い
キャラクターデザインは可愛らしい感じがあるものの、
「バイクに乗る」ために頭身がやや高くなってしまっており、
原案段階での絵と比べるとアニメで動かすために仕方なくはあるものの、
ややゴツくなってしまっているのは残念だ。
ストーリー的にはずっと痴話喧嘩だ。
常に喧嘩、常にギスギス、女性キャラクター同士の痴話喧嘩を永遠と見せられる。
どうでもいい喧嘩の原因が多く元コーチをめぐる恋のライバルだったり、
双子の喧嘩だったり、心底どうでもいい内容で喧嘩し、なんか知らないが和解する。
、
1チーム当たり約2話構成で痴話喧嘩を描いている。
その痴話喧嘩が青春アニメのようにしっかりとしたキャラ描写で描かれているなら
まだ面白いと感じられるかもしれないが、
「岡田麿里脚本」のようなドロドロもねちっこさのようなものなく、
ただ喧嘩しているだけだ。
喧嘩して仲良くなってタイムが上がった!というようなお決まりの展開があるが、
全て練習試合でのことだ。
肝心のレースが練習試合ばかりで順位すら出ないレースばかり見せられる。
描写の割合としては痴話8割、レース2割くらいなのにもかかわらず、
作中のレースはほとんど練習だ。
終盤ではようやく大会でのレースが描かれるが演出の力不足が終盤でも響いており、
練習ではない本レースでも盛り上がらない。
最後のレースは茶番中の茶番であり、もう少しちゃんとしたストーリーに
ならなかったのか、本当にこのストーリーで制作側は面白いと思ったのか、
センスを疑ってしまうラストだ。
ネタバレになってしまうが主人公チームがクラッシュし一人が怪我をする。
そこでドライバーとパッセンジャーの役割を交代し決勝に挑む苦肉の策に講じる。
途中諦めて停止し、殴り合いの喧嘩までする。もはや優勝はできないはずだ。
しかしあっさり優勝する、何たる茶番だろうか(苦笑)
他のチームも散々痴話喧嘩し掘り下げたのに、
役割を交代した主人公チームにあっさり負ける。
他のチームの痴話喧嘩を描写した意味がまるでないラストで終わる。
総評
全体的に見て純粋に酷い作品だ。
SILVER LINKの10周年記念作品でありながら監督経験の少ない監督に任せ、
女性キャラクター同士の浅い痴話喧嘩を1クール見せられる。
サイドカーレーシングである必要が無いほどないがしろにしており、
コレが別にテニスのダブルスとかでも何も問題がない内容だ。
突っ込んではいけないかもしれないがヘルメットを彼女たちはあまりかぶらない。
ロングヘアーのキャラクターが車高の低いバイクに乗って地面すれすれに
走ってるさまを見ると「タイヤに髪が絡まるんじゃ・・・」とヒヤヒヤしてしまう。
いくら作中の世界の中の法的に許されてるからと言って
ノーヘルでレースするさまを平気で描写するのはアウトだろう。
最初から最後まで見ても1話の印象より良くなることはない。
1話の時点で「何だこのアニメは・・・」と思ってしまったら1話で
視聴中止しても何ら問題はない。
お手軽に見たいのなら1話をみたあとに10話を見ればいい。
10話が総集編のようにお手軽に痴話喧嘩をまとめてくれている。
サイドカーレーシングをやってる方に対してコレほど失礼な作品はない。
真剣にやってる人から見ればオマケ扱いかつ、茶番すぎるレースシーンは
苛立ちを隠せなかっただろう。
個人的な感想
個人的には評判は聞いていたがここまでとは思わなかった。
もう少しレース描写を真剣に描いたり、サイドカーレーシングというものを
真剣に扱っていれば面白くなったかもしれないが、
1クールで痴話喧嘩を描いただけで本当につまらなかった。
題材は良かっただけに優秀な監督がきちんとした形で
サイドカーレーシングをいつかアニメ化してくれることを期待したい。
あの曲芸乗りはアニメで活かせる部分は多いはずだ。
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