あらすじ パラレルワールド的な“ニッポン”に溢れる問題や不満に何ひとつ対策を打てない政府を立て直そうと、アイドルたちが立ち上がる。引用 – Wikipedia
アイドル議員!?それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?
ソシャゲ自体もリリースまでに色々あったらしい作品だ。
監督は吉田大輔、制作はMAPPA / VOLN。
見出して感じるのは「バカバカしさ」だろう。
立木文彦氏によるナレーションで「格差が広がっている日本」というのを、
全力で解説されたのち、いかにもな悪徳議員っぽいやつが死ぬ。
新潟の議員であった彼の代わりを探しているうちに、
アイドル性抜群な女子高生を発見し、アイドル議員としてスカウトする。
「なんだそれは」と多くの人が思うだろう(苦笑)
スカウトされた女子の理解も異常に早く、あっさりアイドル議員になることを
承認するのだが、見ているこっちは完璧に置いてけぼりで、
世界観の把握が一切追いつかない。
「アイドルの素質を持った女の子が議員になり、政治をする。」
というアイデア自体はいいのだが、
そのアイデアを押し切るために色々と設定的な無理が多く、
「荒唐無稽」な感じが物凄く出てしまっている。
そんな荒唐無稽な始まりと設定だからこそストーリーが読めない。
あっさりとヒロインがアイドル議員になってしまうのだが、
そこから普通に政治家としての日常が描かれる。
「政治家」というものを扱った作品は実写のドラマなどではたまにあるが、
「アニメ」という媒体で日本の政治家というものを描くのは非常に珍しく、
もちろんアニメらしい「アイドル議員」という設定は有るのだが、
国会答弁など、意外と普通に政治家としての日常を描いている。
例えば地方のごみ問題、難しそうな問題ではあるのだが、
「握手券」を餌に市民に「放棄されたゴミ」に色を塗らせて芸術作品にする展開など、
アイドル議員だからこその解決方法であり、斬新だ(笑)
他にも最近問題にもなっている「保育園問題」にも突っ込んで議論したりと、
政治家アニメとしての側面と解決方法などが予想外にも面白い。
邪魔してくる議員をライブで魅了して有耶無耶にするような展開も有るのだが、
わかりやすい敵キャラをわかりやすくライブで洗脳してしまう様子は、
この作品の設定の練り込み浅さから生まれる安易な展開なのだが、
その安易な展開が妙に癖になる(笑)
そんな政治家としての日常を描いている一方で
アイドルとしての部分はかなり荒唐無稽である。
他のアイドル議員とのゴタゴタの解決法として「バンジージャンプ」をやったり、
国会議事堂からペットボトルロケットを発射したりと、
ちょっとよくわからない(笑)
話が進んでくるとその荒唐無稽なストーリーが癖になっては来るのだが、
同時にその荒唐無稽さを押し通すだけのテンポが足りない。
正直、1話30分という尺はこの作品には長い。
15分位ならば勢い任せで押し切れる部分が冗長になっており、
この作品の根底にあるぶっ飛んだ内容が伝わりにくくなっている。
しかし、終盤のストーリーが更にこの作品を面白くしている。
なにせ元からツッコミ所が多かったアイドル議員たちの政治活動と、
問題の解決方法が「問題の後回し」にしかなっていなかった事実が判明し、
世論が「アイドル議員」禁止という流れになっていく。
荒唐無稽なアイドル議員という設定のある作品の世界が、
その荒唐無稽さに気づき、アイドル議員そのものを否定する(笑)
敵キャラのいる「楼凱党」は悪徳議員は多いのだが、
言ってることは結構まともだったりする。
「どれだけ素晴らしいライブをしても、それはまやかしにすぎない」という
視聴者が序盤で感じていた事をズバッ!と突っ込んでくれる。
本当に敵キャラの言っていることが的確すぎて笑えてきてしまうのだ(笑)
「お前らライブに夢中で政治活動、最近してないじゃん」というような
明確すぎるツッコミに、アイドルたちが「はっ!」となるシーンは
本気で爆笑してしまった。
そんな状況に対して、どうなるのか!?と非常にストーリーが気になってくる。
アイドル議員禁止法案まで可決されアイドル議員たちはどうなるのか、
こんな荒唐無稽な作品なのに続きのストーリーが気になって仕方ない。
ただ、そこまで作品の根底にある問題点に突っ込んでおきながら、
結局は「ライブ」で解決してしまったのは残念でも有るのだが、
ある意味で、この作品らしい終わり方だった(笑)
全体的に見て設定自体はむちゃくちゃで、
アイドル議員という設定そのものの荒唐無稽さを、
1話30分1クールのアニメでは勢い任せに推しきれなかった感じはあるものの、
その荒唐無稽さが癖になるストーリーや、
敵である議員の的確なツッコミのお陰で中盤以降のストーリーは
素直に面白い上に先が気になる。
肝心のアイドルアニメとしての面白さは薄く、
キャラが非常に多いため一人ひとりの印象があまり深まらなかった。
さらに言えばにライブシーンは作画の質は高いものの
演出が派手すぎて動きが硬いダンスが多く、一辺倒なカメラワークなのは残念だ。
ライブをすると議員などが洗脳される展開は面白いのだが(笑)
色々と惜しいのだ。
キャラクターは可愛いが多い、設定はバカバカしく面白いのだが勢い不足、
ストーリーは先が気になる展開を見せてくれるのだが冗長、
ライブシーンは作画の質は高いのだが動きが硬い。
その惜しさが素直に面白いと言いにくい原因となってしまっていた
個人的にラスボス的存在だった「桜庭 統一郎」のセリフがいちいち
的を得ていて、彼が喋るたびに笑ってしまうような感覚だった(笑)
アイドルが議員をやっているような世界観の中での、
彼のセリフがこちらだ
「国会議員にパフォーマンスなど不要!議員たるもの、
国政にのみその身を削れば良い」
素晴らしくアイドル議員という設定に突っ込んでおり、
まともな政治家だ(笑)
色々な意味でぶっ飛んでいる作品であり、
そのぶっ飛び具合を楽しめる感性をお持ちの方なら、楽しめる作品だ。
真剣に見ると突っ込みどころしかないが、
肩の力を抜いてこの作品の荒唐無稽感に浸ってほしい。
最終的には「桜庭 統一郎」と同じ感覚になるだろう(笑)
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