あらすじ 一希夫妻と、まもなく6歳になるその双子の兄妹は天高く浮かぶ浮遊島「宝島」で「ブランキ」という巨大生命体を監視するという宿命を背負いながらも、他に人がいない自然豊かな環境で伸び伸びと平和に暮らしていた。引用 – Wikipedia
センスのない制作陣に台無しにされた記念作品
監督は小松田大全。
一応、サンジゲン10周年記念作品と銘打たられている。
分割2クール形式で全24話放映された
見出して感じるのはCGの凄さだろう。
サンジゲンといえば蒼き鋼のアルペジオだが、
あの作品よりもさらに質が上がっており、
特に「キャラクター」のCG描写の質は驚くほど自然でレベルが高い。
蒼き鋼のアルペジオの1話からすれば、技術の発達を強く感じる。
しかし、1話からストーリーに完璧に置いていかれる。
世界観や設定を1話から大きく広げて見せてしまっており、
こちらが把握できないままストーリーがどんどん進んでいく。
時系列も一気に1話のAパートからBパートで十年経過し、
キャラクターも無駄に多い。
映像的にはインパクトはあるのだが、そのインパクトのある映像に対し、
内容の理解が追いつかず、結局印象が薄い。
1話だけ見ると、これはロボット物なのか?能力バトル者なのか?
判断することが出来ないだろう。
ストーリー構成の下手さ、引きの弱さが1話から目立つ。
2話の序盤で「主人公が心臓を撃たれる」という、
本来ならば次回への引きとして素晴らしいシーンが有るのにそれを引きに使わない。
1話1話の抑揚がなく、盛り上げ方も甘い。
根本的なストーリー構成ができていないのを序盤からビンビンに感じてしまう。
脚本・シリーズ構成を担当されている「イシイジロウ」「北島行徳」だが、、
イシイジロウ氏はゲームのシナリオライターであり、
北島行徳はあの「極黒のブリュンヒルデ」の脚本家であり、
彼も基本はゲームのシナリオライターだ。
つまり、アニメにおけるストーリー構成、脚本の経験、及びセンスがほぼない。
そんな人達にアニメにおける1話1話の引きの重要さや、
1話の中での抑揚の付け方など分かるはずもなく、
2期からは急遽、監督もシリーズ構成及び脚本に参加してはいるものの、
監督も脚本の経験はなく、
2クールのストーリーを描く上で、きちんとしたアニメの脚本家が
この作品には居ない。
だからこそ話が唐突に感じてしまう。
主人公そっちのけでロボット同士の戦闘が始まったかと思えば、
特に魅力も感じないキャラの過去話や復讐全開で敵に戦いを挑んだり、
敵も狂った感じのキャラで言ってることがよくわからない。
そうかと思えばシーンが飛ぶ。
唐突に場面が切り替わり「ん?」となるようなシーンが多く、
話と話の間もなく、視聴者を置いてけぼりで勝手にストーリーが進んでいく。
簡単に言えばゲームで言う「イベント」と「イベント」を繋いでるだけであり、
監督と脚本家の頭の中だけでストーリーが進んでいる。
設定や色々な要素も、はっきりいって使いきれてない。
扱いきれないのに設定だけをストーリーに盛り込んでしまうため、
キャラクターの行動理由がいつまでたってもよくわからず、
いわゆる「ツッコミどころ」も生まれる。
例えばブブキという武器を持った能力者たちの1VS1のバトルがある。
これは負けるとブブキを奪われるうえに、1VS1で他者は邪魔できない。
ブブキはロボットの各パーツになっており、
奪われるとそこが欠けてしまう。
この設定だけ見ると、異能能力者バトルとロボットバトルを
うまく融合させるための設定に見えるが、
この作品は最初から1VS1の戦いにあっさりと主人公を乱入させる。
「え?邪魔できないんじゃないの?」という視聴者のツッコミを無視し、
主人公はヒロインをかばう、
それだけならまだしも他の仲間が列車による物理攻撃で敵を邪魔する。
もう、この時点でまともに見てる視聴者は居ないだろう。
ちなみにこの1VS1バトルは2クール目からほぼなくなる。
演出の悪さも際立つ。
せっかくのCGの質を全く生かさない戦闘シーンの数々は見ていて純粋につまらない。
作画の質が良くとも動かし方のセンスが無ければ、宝の持ち腐れだ。
ロボットアニメの戦闘シーンにおける「見せ方」というのが全く分かっておらず、
動かし方が一辺倒かつ、キャラクターが無駄に叫んで、
盛り上がってるふうな戦闘シーンばかりだ。
せっかく5人で一体のロボットを動かすという戦隊ヒーロー的な要素があるのに、
その要素を活かした戦闘シーンもほぼない。
声優さんにお疲れ様と言いたいくらい、
声優の演技に救われている戦闘シーンが多い。
せっかくのCGなのにシーンとシーンの間がなく、動いてはいるがアップか薄暗い、
ゲームで言えばイベントCGばかりを見せられているような感じだ。
アニメーションなのに「動き」の面白さがなく、
CGによるアニメ特有の動きの速さによる迫力も出せていない。
同じサンジゲンの蒼き鋼のアルペジオでは、戦闘シーンの圧は素晴らしかった。
何気ないシーンでの戦艦の動きの描写などCGだからこその描写の魅力があったが、
この作品は大味であり、繊細さがない。
アニメの監督の必要な、執拗なまでの変態性も言うべきこだわりがなく、
監督がサンジゲンのセルルックCGを使いこなせていない。
全体的に見て記念作品とは思えない出来栄えだ。
サンジゲンのセルルックCGの作画という技術があるのに、それを生かせない監督、
アニメにおけるストーリー構成、1話1話の脚本作りができていない脚本家たちと、
せっかくのサンジゲン10周年作品を作り上げる主要スタッフが、
アニメづくりにおけるセンスと経験が欠落している。
なぜサンジゲンは彼らを起用したのだろうか?
せめて監督か脚本家に実績のあるセンスの有る人物が器用されていれば、
ここまでひどい作品にはならなかっただろう。
作品作りにおける「核」になる人物がおらず、
センスがあると勘違いした監督と脚本家の独りよがりを見せられている気分だ。
核がないのに2クールの作品をまともに作れるわけもなく、
話が進むほど、扱いきれない&さばききれないのにキャラと設定を追加しまくり、
結果的に主人公の影は薄くなり、ヒロインの影も薄くなる。
設定や要素も掘り下げずに出すだけ出して終わりみたいなパターンも多く、
ロボットがしたいのか能力バトルがしたいのか、ファンタジーにしたいのか、
話の規模も大きんだか小さいんだか、終盤は詰め込みすぎだ。
監督と脚本家のやりたい事だけを詰め込んで、それが形になっていない。
センスのある監督や脚本家なら、やりたい事だけを詰め込んでも、
それが形になったり、形にならな無くとも勢いで誤魔化したりもできる。
だが、この作品の場合は勢いで誤魔化すことも出来ていない。
売上的にはシャレにならないくらいの爆死。
1期の売上枚数は正確に出ておらず、Amazonランキングなどの予想だと166枚以下。
2期は少しでも赤字を防ぐためかBOX売りに切り替えているが、
1期以上に売り上げがある2期と言うのはないので爆死だろう。
個人的には「エンテイ」のデザインと礼央子のキャラは好きだった、
彼女がメインとも言える7話は一瞬、この作品の面白さが垣間見えたのだが、
7話以上の面白さはそれ以降になかった。
結局、序盤以外は忘れ去られたブブキ戦もなんだったのだろうか(苦笑)
2クールというストーリーの積み重ねもできておらず、
じっくり最後まで見ても結局アレはなんだったんだという要素があまりにも多い。
3作品くらい作れる要素や設定を無理矢理1作品にぶち込んだような作品だ。
ブブキ戦からの各国のロボット戦闘という流れで、
Gガンダム的な代理戦争というストーリーだけで十分面白そうなのに、
ロボットのデザインも無骨で、非常に私好みであり、
もっとシンプルなストーリーだったら素直に楽しめたかもしれないのに、
本当に残念だ。
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