アフターウォー (A.W.) 15年。人類と地球に壊滅的な打撃を与えた勝者無き大戦争、
第7次宇宙戦争後の荒廃した地球が舞台。戦争で孤児となった少年ガロード・ランは、
ジャンク屋やモビルスーツ狩りを生業として逞しく生きていた。
そこにある依頼が来る。内容はバルチャー艦「フリーデン」に誘拐された
ティファ・アディールという少女を取り戻してほしいというものだった。
たいがいの問題はコーヒー一杯飲んでいる間に心の中で解決する
テレビシリーズとしては7作目となる。
監督曰く、この作品はガンダムを考えるガンダムらしい
基本的なストーリーは戦争が終わった後の世界を舞台に描いている
壊滅的なまでの被害をもたらした戦争が終わり、
地球は疲弊し、まさに世紀末と言える状態だ。
そんな中で主人公はジャンク屋としてモビルスーツのパーツを売ったりしていた
そんな彼がとある事情から、ティファ・アディールを奪還する依頼を受ける。
ここから彼とニュータイプをめぐる物語が始まる
この作品は簡単にいえば90年代のラノベ的、私がそう感じているだけかもしれないが
ひとりの少年が不思議な力を持った少女と出会ったことにより運命が変わり
やがて世界をも揺るがす展開になっていく。
このボーイミーツガール的なわかりやすくもストレートな描き方、
そして個性豊かなキャラクターなど90年代のラノベを彷彿とさせる
序盤のストーリーはボーイミーツガールのとおり。
主人公であるガロード、彼がヒロインであるティファと出会い
更には月からエネルギーを受け取り強力なキャノンを打つことができるモビルスーツ、
ガンダムXを手に入れたことにより彼の日常がドンドンと変化していく
序盤はインパクトで責めている印象が強い。
特に主人公機であるガンダムXのサテライトキャノンは打っただけで
何体ものモビルスーツを消炭とかしている。
もはや反則としかいいようのない武器と「月は出ているか?」
という印象的なセリフが、序盤から視聴者を釘付けにする。
主人公であるガロードは不器用だ。
過酷な世界で果敢にもひとりで生きてきており、そのせいで共同生活に慣れない
慣れないがゆえに人の気持ちを察することが出来ず、
だが、悪いという気持ちを持つことは出来る。そのせいで彼は空回りをし続ける。
しかしながら、彼は主人公だ。
間違えながらも、戸惑いながらも、惚れた女であるティファと共に成長していく。
ヒロインであるティファも最初は寡黙な少女なのだが、
ガロードと共にいることにより徐々に変化し、最終的には彼と共にありたいと願う。
私の中ではガンダム史上もっともヒロインらしいヒロインだと感じる
この主人公とヒロインという二人のキャラはこの作品において重要だ。
なにせ、他が厳しい。
ガンダム作品と言えばガンダムに一番注目する点だ
しかしながら、本作品の主人公機であるガンダムXのチート級な
サテライトキャノン以外、非常に地味。
一話からガンダムが3体出てきて、ライバル敵も2体のガンダム。
初っ端からガンダムだらけな世界になってしまっている。
更には物語の中盤で主人公機であるガンダムXからガンダムDXに乗り換えるが
サテライトキャノンが2機になっただけでパワーップした感じが薄く、
最終敵までサテライトキャノンを持ちだしてきて、
サテライトキャノン以外に何かなかったのかと言いたくなる。
ガンダムだらけなのはいい、だが戦闘シーンも地味だ。
戦闘シーンはたしかにサテライトキャノンなどは派手なのだが、
動きの面でガンダムXは全体的に不足。
簡単にいえば「ワクワクする戦闘」シーンがガンダムXにはない
この点において他のガンダム比べガンダムXが地味と言われる所以だろう
ロボットアニメとしても戦闘シーンが面白くないというのは致命的だ
また作画的にも当時の作品と比べると厳しい。
同年代で有名な作品だと機動戦艦ナデシコ、るろうに剣心などがあるが
これらの作品と比べるとこの作品の作画は微妙だ。
極端に崩れることがないだけが救いといえる
だからこそ、本作品はキャラクターとストーリーを楽しむしか無い。
キャラクターの面では上記でも述べた主人公とヒロインはよく描けており
ボーイミーツガールとしても最終話までしっかりと描いている。
それに対し、大人である周囲は大人として対応する。
各キャラクターはぶれずにしっかりと描かれており、好感を得やすい
更に敵キャラ、これに関しては印象が薄い敵が多いが
最初から最終話まで敵として対立するフロスト兄弟は
キザっぽいセリフやその目的など、このフロスト兄弟の印象が強すぎて
他の敵キャラの影が薄すぎる。
この点に関してはもう一人くらい魅力的なキャラがいればと感じてしまう。
最初から最終話までフロスト兄弟を引っ張りすぎた印象だ
ストーリー的にもニュータイプをめぐる争いが軸に置かれ展開する。
ニュータイプとは?ニュータイプの生き方とは?
というような内容を含めつつ、ストーリーを進めるが
展開がワンパターンになってしまっていた
序盤はニュータイプの少女のティファをめぐるストーリー。
彼女がさらわれたのを助けたり、またさらわれたり・・・w
この中で主人公であるがロードの成長ももちろんあるのだが、
主軸のストーリーが繰り返しなパターンで厳しい。
中盤のストーリーはニュータイプを探し接触パターン。
敵であるニュータイプ、イルカのニュータイプ、
と多種多様なニュータイプが出てきて話を展開するが
単発な話でつなげている感もある。
もちろん、その話の中でも主人公やティファの成長や心情の変化もあるが
やはり主軸のストーリーが弱い。
全体的に話しとしてのインパクトが多く、前途したように戦闘も地味なため
ガンダムXとしての印象が「地味」になってしまう。
だが、決して面白くないわけではない。
各キャラをしっかりと立てたストーリーはキャラクターに感情移入しやすく、
丁寧にわかりやすいストーリー展開は子供でも理解しやすい。
このガンダムXという作品は他のガンダム作品と違いラノベ的だ。
ボーイミーツガール、キャラクターに依存したストーリー、
わかりやすいストーリー展開、主人公機の必殺技、特殊能力としてのニュータイプ。
ガンダムというとGをのぞけば、戦争要素が強く
連邦軍やジオン軍など軍隊が絡みあい、多くの登場人物たちが描かれるという
作品が多いが、限られた登場人物たちによるシンプルなストーリーだ。
しかしながら、この作品は打ち切り作品だ。
当初は50話ほどの作品の予定だったが、
放送当時、放送期間の1クール短縮と放送時間の変更という
かなり厳しい現状があり、後半のストーリー展開が早い。
特に宇宙に上がってから出始めたキャラクター、新武装、新組織など
描写不足な点も多く、いきなり出てきた「DOOME」に関しても
もう1クールあれば唐突に感じなかったかもしれないが、
あまりにも突然「DOOME」が出ててきて物語の核心を握る。
しかしながら、話としてはDOMEが出てきたことによってまとまっている
全体的に見てガンダムとしては微妙だが、ロボット物の1つと考えると楽しめる。
だが、ニュータイプにこだわりすぎたストーリーや
面白みのない戦闘シーンが地味という印象がついてしまった。
だが、決して面白くないわけではない。
ラノベ的なわかりやすい展開と魅力的なキャラによるストーリーは面白く、
印象に残りやすいセリフの数々は、この作品がもしガンダムではなく
別のロボット物作品として作られていたら、もっと高い評価になったかもしれないだけに
いろいろな部分で惜しいところだ。
個人的にこのガンダムXで好きな部分は各話のタイトルだ。
各話のタイトルはその話で出てくるセリフから引用されており
1話「月は出ているか?」
3話「私の愛馬は凶暴です」
10話「僕がニュータイプだ」
27話「おさらばで御座います」
33話「どうして俺を知っている!?」
39話「月はいつもそこにある」
などなど、非常に印象的かつ記憶に残る。
毎話の次回予告で次回のタイトルが告げられるたびに感じるワクワク感は
DVDではなく、毎週見ていた視聴者を惹きつけるものとしては魅力的だった
個人的には嫌いじゃないんですが、どうも最後までハマりきれない。
そんな作品の1つです。
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