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長年演出家だった人が監督をやると・・・「ビッグオーダー」レビュー

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評価☆☆☆☆☆(8点)全10話
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あらすじ これは世界の滅亡からはじまる物語。天草市の男子高校生・星宮エイジには、ある秘密があった。それは10年前、謎の少女・DAISYに世界支配を願ったことで最強の能力者(オーダー)となり、その力を暴走させて世界を滅亡寸前にまで追い込んでしまったのである引用 – Wikipedia


長年演出家だった人が監督をやると・・・

原作は漫画な本作品、未来日記でお馴染みのえすのサカエが原作。
監督は鎌仲史陽、製作会社はアスリード。
監督は長年、演出家として活躍されており本作品が初監督作品。
なお、そういう監督の作品は総じて駄作になるジンクスが私の中にある。

基本的なストーリーはサスペンスファンタジー。
「DAISY」と呼ばれる謎の存在は人の願いを
「オーダー」という能力に帰る存在が居た。
そんな存在のせいで「世界を壊してしまった」主人公は
余命半年の妹が居た・・・
というところからストーリーが始まる。

見だして感じるのはトントン拍子に進むストーリーだろう。
本来はシリアスな雰囲気が出てもおかしくない設定や展開なのだが、
そのシリアスさを感じさせない異様なまでのテンポの速さのおかげで
さくさくと進む。

ただサクサク進む中で説明描写が非常に多く、
説明描写とシリアスな雰囲気とラブコメ的展開と
1話から雰囲気が変わりまくる。
はっきりいってしまえば展開の切り替え方が下手で、
ストーリーのつなげ方も下手だ。

サクサク進んではいるはずのにごちゃ混ぜにされた感じのシーンが
強い違和感を生んでおり、統一感のない演出や
BGMが妙に明るかったりするせいで作品の
「ノリ」や「空気感」が掴みきれない。

この作品は全10話の作品だ。ちなみに原作は9巻まで出ている。
詰め込みまくりなストーリー構成になるのは仕方ないのだが、
それにしても1話から大量の登場人物を出し、
ブレる演出と雰囲気の中で厨二チックなストーリーが展開されると、
かなり厳しい。

見ている間に「なんだこの曲」「なんだこの演出」「なんだこの描写」と
思わず口から出てしまうほど1つ1つがズレている。
わざと古臭い演出にしているのはこの作品の特徴を出そうとしたのかもしれないが、
その古臭い演出や曲も相まって「ギャグアニメ」のようになっている。
2話の冒頭の段階でこの作品をまじめに見てる人は減っただろう。

ただ逆に本当のギャグシーンはテンポの速さと演出の弱さが相まって
笑いに繋がっていないという本末転倒な感じになっており、
予算の少なさをごまかすような演出も見え見えだ。

この作品は能力バトルものであり、
いわゆる知能戦的なバトルシーンもある。
だが、そんな知能戦敵バトルシーンも無駄に早いテンポと、
明るすぎる曲、解説満載になってるせいで
バトルシーンの緊張感が0だ。
そこに作画の悪さも相まってもはやギャグにしかなっていない。

ストーリー的にも中盤以降は急展開の連続と、
詰め込み過義な展開のせいでついてくのがやっとだ。
一部キャラが性格が急変したり、
尺がないはずなのに食事シーンが尺たっぷりで描かれたり、
突っ込みだすときりがないほどストーリーがガバガバになっていく。

本来はもう少しきちんと描かないといけない部分や、
本来はもう少し掘り下げて描写しないといけないキャラなど、
メインのストーリーを進めるのがやっとで
細かい部分の描写が雑すぎる。
全10話という尺に囚われすぎて結果的に作品自体が崩壊している。

全体的に見てなんで作ったんだろう?と感じる作品だ。
予算の少なさを感じる作画、その予算の少なさをごまかすための演出、
シリアスなストーリーのはずなのに的外れの演出のせいで雰囲気ぶち壊し、
緊迫感にかけまくる戦闘シーンの数々、
全10話という尺では明らかに足りないストーリーetc…

制作する前から「面白くなるはずがない」要素ばかりで、
制作側の作品に対する愛情や本気度を感じない。
きちんとしたアニメ化ならもう少しマシな作品になっただろう、
原作からの問題点はもちろんあるのはわかるが、
その問題点を誇張しギャグアニメとしてしまい、
作品本来の面白さを感じさせないアニメ化は失敗としか言えない。

長年演出家をやった人とは思えないほど、
演出面での酷さが目立つ作品だった。
初監督作品がこんな出来栄えで良いのだろうか?

長年演出家をやった人が監督をやると駄作になったり、
自己満足な演出、いわゆる「質アニメ」的な作品になることが多いが、
それでも演出家だからこそのプライドから生まれる描写は面白みがあり、
「演出家」ということを感じさせるが、
この作品にはそういったプライドやこだわりが感じない。

原作とは違うラストを迎えており、所々違うようだ。
全10話にまとめるためのストーリー構成なのはわかるが、
きちんと原作準拠でしっかりとした尺で別監督で
見たかったと感じる作品だ。

売り上げ的には300枚前後と爆死、
最初からBOXで販売してることを考えると売上は
最初から期待していなかったのかもしれないが、この枚数は酷い。
きちんと作ればもっと面白くなった作品なだけに残念だ。

ビッグオーダー Blu-ray BOX 1
KADOKAWA / 角川書店 (2016-07-29)
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