何が√Aだよ、馬鹿馬鹿しい。
監督は森田修平、アニメーション製作はstudioぴえろ
分割2クールで放送された作品だが、当サイトでは1作品として扱いレビューする
見だして感じるのはグロテスクさだろう
いきなり1話冒頭で血だらけのキャラクターが出てきて
むしゃむしゃと死体を頬張り、血をすする様が描かれる
画面を「暗く」することで直接的に見えないようにはなっているものの
音やキャラクターのセリフから想像できる描写がグロさを醸しだしており、
グロいのが苦手な人には厳しい作品だろう
そんなグロさを後押ししているのは「花澤香菜」さんの演技だ
かわいい演技やおとなしめの演技をするキャラクターが多い中、
この作品における彼女が演ずるキャラクターは「グール」だ
外見は人間と同じだが人を喰らい、血を吸う、人間にとって
敵でしかない存在が主人公に襲いかかる。
そんなこの作品における「恐怖」の印象を植え付けるのに彼女の演技が後押ししており
「花澤香菜」の演技の本気をゾクッっとするほど感じることが出来るだろう
そして、そんな襲われた「グール」に主人公が変化することからストーリーが始まる
恐怖を植え付けられた対象に物語の主人公が変貌する、
きちんとした恐怖の「インパクト」があるからこそ淡々としたストーリー展開が
「先が気になる」と思えるようになり、
ホラー要素もある本作品において「つかみ」の部分は成功している
苦手な人にとっては嫌悪感を懐きやすいが、
こういったグロさのある作品が好きな人にとっては「グッ」とくる描写だろう
そして、そんな掴みの後にわかる世界観が面白い。
この作品における「グール」は人を主食にしているが、
一度食べてしまえば2ヶ月くらいは何も食べなくて住む。
見た目も人間と変わらないため、普通に人間のように暮らしており
人を襲わずに「自殺」したものだけを食べるグールも存在する。
だが、人にとって脅威であることには変わらない。
それゆえに「グール」を倒す組織も存在する。
グールは生きるために人を食べなければならず、人はグールに恐怖を感じ倒す。
互いに「正義」があり互いに生存のために戦っている
そんな「間」に主人公が存在し、グールである自分を悔やみつつも、
人間であった自分を忘れられない。
最初は恐怖の対象でしかなかったグールに自らもなり、
グールとして日々を暮らすことで「恐怖の対象」ではなくなり、
逆に自らや自らの親しいグールが人間に殺されることで
人間が「恐怖の対象」になる。
単純な正義と悪ではなく「表裏一体」のストーリーが描写されており、
見る側の感情と主人公の感情がきちんと一致することで
きちんと物語の「主人公」に感情移入することができる
ただ、面白い世界観であると同時にややわかりづらい部分も多い。
「用語」的なものが説明もなしに会話の中に現れて、
その用語の説明がされないことも多く「?」というワードが多い
原作ならばきちんと説明されている部分もあるのだろうが、
アニメだと限られた尺の中で説明シーンや説明セリフを省いてしまっており、
原作未読の人にとってはWikipediaで保管するか、何となく察するしかない
次回予告の場面で「用語の説明」などが少しでもあれば印象は違っただろう
更に言うならストーリーの引き伸ばしが酷い。
この作品を純粋に素直に「面白い」といえるのは1クール目の8話までだ
9話以降、非常に大量の登場人物が脈絡もなく登場する
分割2クールが決定していたため尺的な余裕があるのはわかるが、
この作品の「終着地点」を描くのに必要なキャラとは思えないほど
がっつりとキャクターを追加する。
それだけならまだいいのだがキャラクターが増えるのに従い、
「回収する気があるのか?」と思うような設定や伏線をガンガン追加する
連載漫画の引き伸ばしによくある「後付」が話が進むにつれて
どんどんと目立つようになってきている
そもそも「グール」という存在が曖昧だ。
例えば吸血鬼のように太古の昔から存在するという設定があるならばわかるが、
グールの存在がいつどのようにして現れたのかがよくわからない。
太古の昔から居るのか、それとも何らかの要因で50年や100年以内にでてきたのか
「グール」と「人間」の歴史が描かれないため、
両者のバックボーンがいまいち飲み込み難く、
作品の「芯」となる部分がつかめないまま風呂敷をドンドンと広げられている感覚だ
1クール目の締めといえる12話も、とんでもなく中途半端な締め方だ
分割2クールというのが予め決まっていたのはわかるが、
もう少し「早く続きが見たい!」と思わせるような流れにすべきだ
あまりにもぶつ切りすぎて「え?これで終わり?」と思うような
歯切れの悪いラストになっている。
更に2クール目からのストーリーはかなり問題だ
原作とは違うオリジナル展開となっており「√A」と題している
簡単に説明するならば、もし主人公が自分を拷問し、人間を支配したがってる組織に
所属したらというifストーリーになっており、
原作が終わっていない作品だからこそ
2クールで完結するためのオリジナル展開なのでは?と誰もが思うだろう。
だが、根本的になぜ「人間を支配したがってる組織」に
主人公が入るのかというのがわからない。
アニメを見ていない人にわかりやすく言うならば、
「ガンダムSEDD」でキラヤマトがザフトにいきなり入ったり、
「NARUTO」でいえばナルトが暁に入ったりするような
かなり衝撃的な展開であるのにもかかわらず、その理由が「ふわっ」っとしている
主人公の描写があまりなく感情移入しづらいのもあるが、
その分、1クール目でスポットが当たりづらかったキャラクターのエピソードが
描かれるのは悪くはないのだが、
その反面で見てる間「終わらせる気はあるのか?」という不安がつきまとう
1クール目に比べると明らかに尺の使い方に余裕があり、
そのせいでテンポが悪く、グダグダだ
それだけでなく戦闘シーンのレベルも明らかに落ちる
スピード感のある戦闘シーンが特徴的だった1クール目に比べ
2クール目はスローテンポ過ぎて「尺稼ぎか?」と思うほどだらーっとしている
戦闘シーンだけでなく、明らかに尺稼ぎのような余計なシーンが非常に多く
テンポの悪さに拍車をかけている。
1クール目はかなり詰め込みが目立つ様なストーリー構成だったのにもかかわらず
2クール目でこうまで変わるのかと戸惑いを感じてしまうほどだ
さらに言えば私は原作を読んでいないのだが、調べた限り
オリジナルの展開やシーンは入れているものの
大まかなストーリーの流れが原作と同じらしい。
ならなぜ、アニメオリジナルの「√A」」と題したのか意味がわからず、
更にそこに「グダグダ」のテンポの悪さで原作の面白さすら薄めてしまっており
見れば見るほどつまらなくなっていく。
見ている最中にテンポの悪さで「舌打ち」したくなる作品も珍しい
グロテスクなシーンも放送するための規制や描写しない部分が多く
かなりの割合で「声優の演技」に頼ってしまっており、
これならば想像が働く分、音声のみきいたほうがグロさが伝わる
1クール目は演出の工夫で声優の演技だけではない映像面の面白さもあったが
2クール目はやる気をなくしたのかグロ演出も放棄している
明らかに2クール目でスタッフのモチベーションが下がっているのを感じることが出来る
1クール目こそ非常に力の入った戦闘シーンが多いのだが、
2クール目になると「ん?」と思うような戦闘シーンが多い
高速で動くグールの力とグールの力を武器化した武器を使う人間の戦いだったはずなのに
2クール目からはスローテンポだ
戦闘シーンの質がここまで1つの作品の中で劣化していく作品というのはなかなか無い。
全体的に何がしたいかわからなかった作品だ
1クール目は色々と問題点はあったものの、
グールと人間の正義のぶつかり合いは面白く
ぶつ切りではあるものの2クール目の期待を高めるには十分は1クール目だった
だが、2クール目では1クールで作り上げた期待をあっさりとぶち破り、
超えなければならないハードルを飛ぼうともせず呆然と立ち尽くしているような作品だ
これで2クール目でオリジナル展開で物語をきちんと締めていれば
もう少し高い評価ができたかもしれない。だが、ものすごく投げっぱなしだ。
原作と同じような展開であり、原作は第一章完というような形にしており
現在も連載中ではあるもののアニメにおいては別に3期の情報があるわけでもなく、
あまりにも投げっぱなしすぎるラストに呆然とするしかない。
1クール目のラストと、2クール目のラスト、
「え?これで終わり?」と思ってしまうような同じようなストーリー構成にしている
連載漫画における「引き伸ばし」の要素も非常に多く、
キャラクターを大量に追加しているわりには掘り下げられずに
「結局、あのキャラクターは何だったんだ?」と思うキャラがあまりにも多く
そんな大量に出した掘り下げの甘いキャラクターの最後の最後、持って行かれても
原作を読んでいない人にとっては「?」としかならず、
オリジナル展開とはなんだったのか本当に意味がわからない
売り上げ的にもいわゆる爆死。
1クール目の時点で売り上げがあまり芳しくなかったため
予算を削られたのかもしれないが、原作の売り上げはかなり伸びたようだ。
OVAなども製作されるようだが果たして3期はあるのだろうか?
オリジナル要素のせいで続きが作るのが難しいという情報もあるが・・・
個人的には1クール目の1話の期待感はものすごくたかっただけに
最終話でここまで評価が地に落ちるとは思わなかった。
声優さんの演技だけは素直に楽しめたが、
見終わったあとに「消化不良」感がすさまじい作品だった
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
拷問シーン(覚醒)が嫌いになって作品。