21世紀初め、遺伝子組み換え施設を襲った爆破テロにより特殊なウイルスが流出する事件が発生。その結果、人の脳構造が突然変異し、『ファントム』と呼ばれる幽霊や妖怪を認識できるようになった、そして子供たちの中には、ファントムに対抗できる特殊な力を持つ能力者も現れた。
面白さと、つまらなさと、退屈さと
監督は石原立也、制作は京都アニメーション
見だして感じるのは非常に丁寧な説明だろう。
どんな世界で、どんな人が主人公なのか。
導入部分で作品の雰囲気をくどさを感じさせず、さらりと紹介し、
「主人公とヒロインの登校シーン」で始まる。
どこか懐かしい。
90年台や00年代の夕方アニメのような明るく、分かりやすく、
謎の怪物と素手で戦うヒロインと、その模様をスケッチする主人公という
主人公とヒロインの「立ち位置」もしっかり分かりやすく伝えてくれる。
ストレートな始まり方は清々しすら感じる。
そして清々しいまでのエロ。
まるで80年台の少年ジャンプを見ているような
「ブルマ」の描写、分かりやすく揺れまくる胸の描写など
最近の深夜アニメの「フェチズム的エロス」ではなく、
「健康的エロス」にこだわった描写は心地いいセクシーシーンだ。
この作品はまっすぐだ。
深夜アニメにふさわしくないと感じるほど
愚直なストレートさは人によっては凡庸に感じてしまうかもしれない。
この作品ならでは、この作品だからこその特長があるのか?と問われると
答えに困る部分もあるのは確かだ。
だが、変にこらず、変にひねらず、
あえて原点回帰のようなアニメにおけるまっすぐな面白さを感じさせてくれる。
そのまっすぐな面白さを「京都アニメーション」による作画の豪華さが
後押しする。
単純な戦闘シーン、単純なギャグシーン、単純な会話のシーン。
そういった他の製作会社ならこの作品の凡庸性が強く出て
つまらなくなってしまうようなシーンを、
京都アニメーションの作画だからこそできる細かい動きと、
「キャラクターの可愛さ」が凡庸性を抑えつつ、
王道の面白さを醸し出している
ただ、同時に話によって「凡庸さ」が強く出過ぎている回もある。
基本的に1話完結の話であり、ドタバタしながら、
トラブルの原因になっている「ファントム」を倒すという流れであり、
それ以上でもそれ以下でもない感じが強い。
いわゆる面白いわけではないがつまらないわけでもないという、
なんとも言えない話も多く1クール尺の作品としては
1話1話の内容が薄い。
能力を使う際の詠唱や、各エピソードに関連する知識の解説など、
毎回お約束のようなシーンがあるが、これがグダグダだ。
そのせいでテンポが悪い回も多く、内容も薄い事が重なると
はっきりいって退屈に感じてしまう。
面白くもつまらなくもない、だが、退屈。
もう一歩踏み込んだセクシー描写や、もう一歩踏み込んだストーリー展開、
もう一歩踏み込んだ何かがこの作品にあれば面白さに変わるのに
踏み込まずにずっと留まったまま終わってしまった感じだ。
全体的に見て色々残念な作品だ。
ストレートかつ王道な面白さの片鱗を感じることは出来るのだが、
その面白さが最大限に生かされず、小ぢんまりとまとめてしまった感じが強く、
1話完結のストーリーは悪くはないが、話によって当たり外れが大きく、
退屈な話はとことん退屈だ。
決して駄作ではない、決してつまらないわけではない。
だが面白いとも言い切れないもどかしさを常に抱えつつ、
1クール終わってしまった感じが強い。
この作品が2クールないし4クールくらいの尺がアレば化けたかもしれないが、
深夜アニメとしてはいささか刺激に欠ける作品に仕上がってしまった感じだ
キャラクターが気に入れば最後まで見ることができるが、
逆にキャラクターが気に入らないと厳しい部分も多い。
ストーリー的にもキャラ掘り下げの回と
ドタバタ1話完結の回で構成されているので、
本筋のストーリーというのが合ってないようなもの気になる所だ。
メインのストーリーだけ知りたいなら1話と12話と13話だけ
見れば把握できるような内容であり、
終盤のシリアスな感じの内容を中盤に持ってきて、
終盤で更にもう1盛り上がりストーリーが欲しかった所だ。
あまりにも1クールの作品としては薄いストーリーなのは残念だ。
売り上げ的にも2500枚前後と中途半端な売れ行きだ。
現状の所京都アニメーション制作のアニメとしては1番売れてない。
京アニの作画のレベルを考えれば爆死とも言えるかもしれない、
2期はあまり期待できないだろう。
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください