評価 ★★★★☆(70点) 全12話
あらすじ 東京上野にある芸能事務所、ホルベイン芸能株式会社に就職した美大出身の新卒1年目・石本美希 引用- Wikipedia
動かない?いや動けない。 斬新すぎるアイドルアニメ
本作品はKADOKAWA、ザリガニワークス、ホルベイン画材の
3社共同プロデュースによる日本のバーチャルアイドルグループを元にした
テレビアニメ作品。監督は宅野誠起、制作はライデンフィルム。
ライブシーン
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
1話開始早々には「うたプリ」のようなライブシーンが描かれる。
男性アイドルの名前とシルエットがモニターに映し出される中、
ライブ会場で女性たちが黄色い声援がとどろき、
煙とともに石膏ボーイズたちが現れる。
彼らのユニット名は「石膏ボーイズ」だが、まさしく彼らは石膏だ(笑)
もはやなにを言ってるのか意味不明だが、
「美術の授業でデッサンの題材などに使われる石膏の胸像」である彼らは、
口は動かず自分でも動くことは出来ないが喋り歌うことができ、
自らの意思を持って「アイドル」をやっている。
はっきりいってメチャクチャすぎる設定だ。
彼らのファーストインパクトはあまりにも強烈だ。
主人公
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
この作品の主人公は芸能プロダクションに入社した新入社員だ。
彼女は入社早々「石膏ボーイズ」の担当になってしまうという
ところから話が始まる。
彼女は美大出身であり、はデッサンで飽きるほど「石膏像」を描いており
石膏像に飽きてしまっていた。
そんな彼女は「心機一転」して芸能プロダクションに入った。
彼女の石膏に対する怒りは半端無く、そのリアクションの描き方は
まさしくギャグアニメのようなオーバーリアクションでありながら、
短編アニメにありがちな「テンポが早いだけ」のリアクションではない。
見ている間に短編アニメであることを忘れるほどの、
絶妙なテンポで描かれるギャグは素直に面白い。
石膏
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
石膏に飽きて「イケメン男性アイドルグループ」のマネージャーになれると
思ったが矢先、石膏な彼らの担当になってしまう。
イケメンには間違いない(笑)
聖ジョルジョ、メディチ、ヘルメス、マルス。
軍人でありセレブであり神である彼らはモチーフになった人物の
正確や設定を引き継いでいる。
素性がすっかりしており、身持ちが固い彼らの存在感は圧倒的だ。
石膏であるがゆえに口は動かないがもちろん喋れる上、無駄にいい声だ(笑)
杉田智和、立花慎之介、福山潤、小野大輔と
これが石膏でなければ大人気声優アイドルグループになれるほどの
イケボな彼らが「石膏」のアイドルを演じており、
無駄にいい声な石膏の姿だけでくすくすと笑えてしまう。
彼らの演技力があるからこそ、表情の変化もなく動きもない石膏な彼らの
「感情」をしっかりと感じることができる。
動かない、いや動けない
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
ギャグアニメにおいて「動かない」というのは本来は致命的だが、
その致命的にもなりがちな欠点を敢えて取り入れている。
なにせ彼らは石膏像なのだから自分では動けない。
マネージャーである彼女がマンションに迎えに行くと、
石膏が佇んでいる、全く動いていない。なのに面白すぎる(笑)
玄関を開けたら1秒で石膏だ。
刀、戦国武将など数々の「イケメン化」「擬人化」がされている中で、
この作品のキャラはもともとの石膏そのままである。
持てば重く、だが、誰かに持ち運ばれなければ動くことはできない。
基本移動はマネージャーに抱っこされるかカートで運ばれるしかない。
一切動いていないギャグアニメなのに
その動かないからこそのシーンづくりと、
動けないからこそのギャグの数々はこの作品でしか味わえない面白さだ。
ちなみに照れると頬は染まる、謎だ。
石膏たちは大げさに表情や動きにリアクションやギャグは一切できない、
その分、マネージャーであるヒロインが「わたわた」と動きまわり、
あくせくと必死に働く要素が石膏ボーイズとのシュールさと
良い意味でギャップが生まれている。
絶対に動かない彼らと動き回るマネージャーがいい対比になっている。
パロディ
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
そしてこの作品には強烈なパロディ要素がある。
相棒のパロディある「バディ」にドラマ出演したり、
節子の部屋のパロディだったりと、実際にある番組や芸能人のパロディを
似過ぎなほどに描いており、そこに「石膏ボーイズ」たちが出演する事で
より面白さが強まっている。
我々が普段見ている芸能界に「石膏ボーイズ」たちが紛れ込んでいるかのような
そんな感覚に仕上げており、そんな変にリアルな部分があるからこそ
より「石膏」な彼らの違和感が増し、その違和感が笑いにつながる。
新人アイドルだった彼らがどんどん人気になり、
どんどんと人気番組に出る姿がシンプルに面白い。
パロディネタの場合分かりづらいネタを使う作品の多いが、
この作品は「有名」でわかりやすい物を使い、
地味に細かい部分でもパロネタが使われており、
見てると思わず突っ込んでしまう。
芸能界の闇
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
売れれば当然「芸能界の闇」にも触れることになる
アイドルとデートをすればスキャンダルになり、
それをもみ消すために「枕営業」する。石膏が(笑)
これが石膏ではなくリアルな人間のキャラならば生々しさが出てしまうが、
「石膏」であるがゆえにそういった芸能界の闇が描かれても、
きちんとこの作品は笑いに仕上げている。
アイドルとマネージャー
この作品の主人公はマネージャーだ。
彼女は真剣に必死に「石膏ボーイズ」たちのマネージャーとして行動し、
1度は色々と放り投げたことも合ったものの、もう1度彼らのもとに戻る。
ある意味でこの手のアイドルものとしては王道のストーリーが描かれる。
最終話のラストシーンは人気になった彼らの「ライブ」だ。
1話冒頭のシーンに最終話できっちりつなげると言う憎い演出を魅せつつ、
1クールでしっかりと物語が終わる。
彼らのアイドル活動はこれからも続いていく。
石膏ボーイズよ、永遠に(笑)
総評:ジョルジョってる?
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
全体的に見て素晴らしいギャグアニメだ。
本来はアニメにおいて欠点でしかない「動かない」という要素を、
キャラクターを石膏にすることによって見事にギャグにしており、
なおかつ彼らがアイドルグループという設定を足しただけなのに、
そのキャラクターと設定だけで作れる日常風景がギャグになっている。
車に乗っているだけで面白い、メイクされているだけで面白い、
座布団に座っているだけでも面白い。焼き肉を食べようとしてるだけで面白い。
こんなギャグ&アイドルアニメが他にあるだろうか(笑)
彼らの日常風が見事にシュールなギャグになっており、
そこに過度な突っ込みを入れないがネージャーとして必死に働く
主人公が居ることでいい塩梅で作品のバランスが取れている。
石膏な彼らを実力が有り声の魅力がある男性声優が演じることで、
動かない彼らの魅力も引き出してるのも素晴らしい部分だ。
ギャグアニメの場合当たり外れがあったり、好みがあったりするが、
この作品はそういった部分がほとんどなく、
おそらく多くの人が1話を見てこの作品のとてつもないインパクトにやられ、
最終話まで一気に見てしまう魅力がある。
1話8分のアニメでありながらまるで30分アニメのような
作画のクォリティで描かれており、
1話8分だからこそダレずにスッキリと見れる作品だ。
個人的な感想:ツッコミを思わず…
引用元:©ザリガニワークス・KADOKAWA・ホルベイン画材/石膏ボーイズ製作委員会
石膏の彼らなのに食事をしてるように思わせる部分があったり、
動けないはずなのに「一人で帰る」と言い出したりと
その設定的な矛盾のあるシーンを敢えてこの作品はどんどんと描いており、
その矛盾を視聴者に突っ込ませることで成立ししてるシーンも多い。
細かいパロディや描写も非常に多く、見ているといろいろな部分に目が行ってしまい
いろいろな部分を思わず突っ込んでしまう。
最終話まで見るともう彼らの曲が頭から離れないはずだ。
私はこの作品を見てから4年経った今、再レビューしているが、
4年経ってもこの作品の記憶は全く薄れていなかった。
それほど強烈なインパクトが有り、1度見たら絶対に忘れられないアニメだ。
公式Twitterが3年前で止まってしまっており、続編の可能性は薄いかもしれないが
個人的にはまた彼らと彼女の物語がみたいなと思ってしまう作品だった
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