しんのすけや幼稚園の子供たちも夢中になっている『アクション仮面』の映画最新作「南海ミレニアムウォーズ」が公開される。アクション仮面の敗北を示唆する予告にしんのすけはどぎまぎし、野原一家・風間と風間のママ・ネネとネネのママ・マサオとマサオのママ・ボーちゃん(いつも通り親は不在)は、映画の完成を記念した豪華客船ツアーに参加し、船の旅を満喫する。一方、いつもの春日部は、しんのすけ達がいなくて一部はのんびりしたり、少し寂しかったりする人達もいたのであった。
最終兵器小林幸子
監督はお馴染みの原恵一氏。
なお「嵐を呼ぶ」というタイトルがのちの作品のもつけられているのは、
この作品で興行成績が上がったから「縁起担ぎ」でつけているらしい。
基本的なストーリーはアクションコメディ。
しんのすけ達は新しいアクション仮面の映画の上映ツアーに参加し
船で南の島へと向かっていた。
船の中で上映会が始まると、突如大量の猿が船の中に潜入し「大人だけ」を連れ去ってしまった
子供だけ取り残された状況で、しんのすけ達はジャングルへと足を踏み入れる・・
という所からストーリーは始まる
序盤から子どもたちだけでストーリーが展開する。
かすかべ防衛隊のメンバーだけで誰もいない無人島を突き進むのだが、
誰が隊長かで喧嘩したり、激しく歌いながら歩いたり、そして迷子になる(笑)
子どもたちだけという状況をうまく生かし、適度な笑いと緊張感を生んでいる
またジャングルならではのハプニングシーンがどんどんと連続して起こる、
そんな中で「まさお君」だけが他の子供に比べると、より悲惨な状況になり、その悲惨な状況が面白い
愛しのアイちゃんにもう1度出会うため
彼はジャッキー・チェンもびっくりな超絶アクションを繰り出す(笑)
この後の映画でも続く「まさお君の悲運」はこの作品から始まったんだなと感じさせるシーンだ
そして「ひまわり」も動き出す。
彼女はかすかべ防衛隊のメンバーではないため、船に置いてけぼりにされていたが
暑さに我慢できず、ぶちぎれて「シロ」と共にしんのすけを追いかける。
彼女とシロの二人だけのジャングルシーンは描写されていないが、
汚れまくったひまわりと「しんのすけ」に出会って安堵して泣いてしまうシーンは
彼女の苦労を感じさせ
子どもたちだけのジャングルシーンは「ありえない」と感じさせるシーンはあるものの
クレヨンしんちゃんだからこそ許される笑いを生むためのありえないシーンの連続だ(笑)
終盤はバトルシーンが多いため、序盤から中盤までギャグで固めたのは正解だ。
この作品は「ファンタジー」ではない、故に「アクション仮面」はただの人だ。
彼は画面の中ではアクションビームを撃つことの出来る正義のヒーローだが、
現実では格闘技が出来る役者にすぎない。
そんな彼は今回の敵である「パラダイスキング」に苦戦する。
パラダイスキングは無人島で猿を相手に戦ってきた猛者だ。
しんのすけは苦戦するアクション仮面を見て叫ぶ。
「正義のヒーローは最後には必ず勝つんだ」「アクション仮面が負けるわけはない」と
彼の目は子供の頃の私達のように「正義のヒーロー」を信じる純粋な子供の目だ
そんなしんのすけに触発され、アクション仮面は奮起する
しんのすけの懸命な応援は大人たちをも感化させ、
「ヒーロー」であるアクション仮面を必死に応援する
最後の空中戦のシーンも素晴らしい。
アクション仮面としんのすけ、そして「パラダイスキング」による
空中でのやり取りはコミカルに動きまわり展開を予測できない面白さがあり、
同じようネタを繰り返すことで更に強い笑いを生んでいたりする(笑)
更に冒頭で気合の入ったアクション仮面の映画の予告編が流れたが、
それが最後の映画のオチに使われているのは素直に評価したい
恒例になっている「芸能人」を上手く使いすぎており、
そういう展開で来るとは予測できないオチだ(笑)
全体的に前述したようにいいポイントはたくさんあるのだが、 このいい所を活かしきれていない、ストーリー展開がややグダグダっとしており、
そのせいで中盤のジャングルと終盤の戦闘シーンの繋がりが弱く
急に中盤ではメインであったかすかべ防衛隊が終盤では蚊帳の外になってしまったりと
「アクション仮面」と「春日部防衛隊」という要素が
うまくストーリーの中でからみあっていなかった。
終盤の戦闘シーンでしんのすけだけではなく、春日部防衛隊のメンバーも活躍するような
そんな展開があれば「ジャングルを子供だけで歩いてきた」事による成長などを
感じられたかもしれないが、ストーリー構成が若干甘かったと感じてしまった。
ただこれは大人目線で見ればの話だ。
子供見線で見れば前述した良いポイントで十分に笑うことができ
ヒーローへの憧れという子供の視線ならではの終盤の展開は熱いものがある。
これまでのクレヨンしんちゃん映画に比べればインパクトは薄いものの 子供なら楽しめる出来栄えだ。
しかし、この作品も次回作へのパワーを貯めるための前菜と考えれば、
次回作が次回作だけに納得できるかもしれない(笑)
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください