成田国際空港。ホステスの一団が、飛行機から降り立った男を出迎えているところに、奇妙な3人組が乱入し、彼らからあるものを奪い去っていった。 この怪事件に際し、閑職に追いやられていた千葉県警の女刑事「東松山よね」が担当をさせられることになった。 その翌日。シロと散歩していたしんのすけは、寝ているオカマの側で光る玉を拾った。しんのすけはこの玉を家へ持ち帰るが、いつの間にか紛失してしまう。その夜、3人組のオカマが家に上がり込み、一家をニューハーフパブに連れ出した。
オカマに始まり、オカマに終わる。そんな映画(笑)
今作から「ひまわり」が登場しており、今作では重要なキャラになっており
兄妹愛のようなものも描いている
監督は今作から原恵一氏。
基本的なストーリーはファンタジーコメディ。
しんのすけはシロの散歩をしている最中に土手で眠る「おかま」を発見する
そのおかまの横で拾った「玉」を持ち帰ると、ひまわりがそれを飲み込んでしまう。
じつはそのたまには邪悪な存在が封じ込められていて・・
という所からストーリーは始まる
序盤からオカマだらけだ(苦笑)
今作ではオカマ3人がしんのすけ一家の味方だが、
彼らが家の中に侵入してきたり、オカマバーのショーのごとく状況を説明してくれたりと
画面のケバさというか濃ゆさが異常だw
一度見たら忘れられないトイレのデザインなど強烈に印象に残るシーンが多い
ストーリー展開的には追いかけっこだ。
ひまわりが飲み込んでしまった玉を狙って敵が追っかけてきて、おかま3人と一緒に逃げる。
オカマバーや健康ランド、スーパーなど刻々と状況が変わり、
その都度強烈なギャグシーンを盛り込んでくる
本来なら「ひまわり」を狙ってくるという緊迫感のあるシーンのはずなのに
敵が銀座のホステス風で三波春夫の曲にあわせて現れるたり
新体操格闘術という意味不明な格闘術を用いたりと腰をおられるようなシーンも多いw
そんな中で「しんのすけ」はひまわりのことばかりを心配する周囲に少しやきもちをやく。
しかし、そんな気持ちを父親である「ひろし」が優しく諭し、ひまわりを守ってくれと頼む
シーンとしては短いが、このシーンは私の中で強く印象に残っている。
兄妹を持つ人が見ればどこか共感することができ、子供の居る親が見れば思わず頷くシーンだろう
しんのすけがきちんと兄としての自覚を持つ展開は
「ひまわり」が初登場する映画としてふさわしいシーンだ
終盤ではもはや定番となった「追いかけっこ」もあり、本当に全編にわたってギャグが盛り沢山だ。
描き方によっては緊張感のあるシーンばかりの展開だが、
そこをオカマ3人のキャラ性とクレヨンしんちゃんならではの明るさとギャグでカバーし
シリアスになる1歩手前で強烈なギャグを入れる(笑)
最後の敵との戦いもそれは変わらない。むしろ最後にイケば行くほどギャグは加速する。
特に最後の敵対策として「歌を歌いながら戦う」というシーンは強烈だ
おかまの歌から始まり、ひろしとみさえによる「愛は傷つきやすく」は
歌いながら戦うシーンとあいまって強烈なインパクトだ
1度見たら忘れられないシーンや曲がふんだんに映画の中に盛り込まれている
もとの曲を知らない子供でも楽しめ、知っている大人は曲を知っていることでより楽しめる。
年代差があってもきっちりと笑えるのがクレヨンしんちゃんの映画の凄さだろう
そして最後の最後でアニメーションとしての面白さも発揮される。
巨大な屋上のビルの上から投げされるひまわりを捕まえ、みんなで繋がって引き上げる。
爽快感溢れる作画と大胆で素早いカメラワークでビルの屋上という迫力が生まれる。
本来なら現実味ないシーンではあるのだが、クレヨンしんちゃんだからこそ許される
大胆なシーンだ。
全体的に見て本筋のストーリーに強烈なギャグをたくさん盛り込んだ作品だ。
ストレートにキャラクターが面白く、ストレートにギャグで笑える。
緊迫感のあるシーンの次にはギャグをいれ、きちんと「しんのすけ」の兄としての自覚も描写する
しっかりとしたストーリー構成があるからこそギャグが生きており、
1時間半笑いっぱなしになるほど笑える。
ただあまりにもギャグに走りすぎている感はある(苦笑)
しんのすけの兄としての自覚も若干軽くなっており、これはこれでクレヨンしんちゃんらしい
とも言えるのだが、ギャグに走りすぎたせいでオカマ以外の印象が薄いという結果になっている
確かに子ども向け考えればここ2,3年のクレヨンしんちゃん映画の変に感動路線に走る展開よりはマシだが
もう1つ何か欲しかったと感じてしまう作品だ。
残念なことにこの作品以降「おかま」がメインで活躍するクレヨンしんちゃん作品はなくなってしまった。
次作である「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」や「爆発!温泉わくわく大決戦」にも出ては来るものの
サブキャラとしての意味合いが強く、ここまでオカマがメインになる作品はこの作品でおしまいだ。
残念ながら本作品がテレビ放映される際は「オカマ」という言葉はカットされているらしい
やはりオカマあってこそのクレヨンしんちゃん映画と感じる人には
この「オカマ」で始まり「オカマ」に終わる本作品は
90年台のクレヨンしんちゃんの面白さ&笑いが詰まった作品とも言えるかもしれない。
ちなみにだが原作者である臼井儀人氏がゲストキャラとして出ており、
前半は歌いまくり、後半は自分が作り上げたキャラに殴られると
原作者とは思えない扱いを受けている(笑)
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