アクション

アイアンマン

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評価/★★☆☆☆(25点)

地味で無難で日本的なアイアンマン

本作品はハリウッド映画でお馴染みの「アイアンマン」のアニメ化。
マッドハウスがアニメーションを制作しており、
アニメオリジナルストーリーを展開する。
なお、トニー・スタークの声はもちろん「藤原啓治」さんだ。
時系列的には1作目の映画の後くらいだろう

基本的なストーリーはアクション。
世界平和プロジェクトの一環として来日したトニースターク、
燃料不必要の発電所の建設に専念することになった彼はアイアンマンとして引退する決意をしていた
同時に量産タイプの「アイアンマン・ディオ」を売り込みに来た
しかし、謎の組織ゾディアックに襲われて・・・というところからストーリーが始まる

見だして感じるのは「渋さ」だろう。
最近のアニメらしさは一切感じない渋く濃ゆいキャラクターデザインは
実写のアニメ化らしいキャラクターデザインだ。
特にトニースタークのキャラクターデザインは実写に似せている濃ゆいおじさんだ(笑)

その反面でかなり残念な部分もかなりある、1つは「アイアンマン」。
本家のアイアンマンは最新のCGを使い、迫力のあるシーンを展開していた。
しかし、アニメでもなぜか「CG」を起用してしまっている。
ハリウッドと日本のアニメ制作会社ではCGに欠ける予算が違うのは当たり前だ、
故にアイアンマンが「ちゃちく」見えてしまう。 せっかくのアニメ化なのだからCGを使わずにアイアンマンを描いて欲しかったのだが、
CGを起用してしまい、更にそのCGの質も話によっては悪い。

更に言えば日本のアニメの悪いところが出てしまう所。
舞台を日本にしてしまったことで世界観がやたら狭いものに見えてしまい
1話の時点で日本の女新聞記者がコケてトニースタークに触れる、
ここまではいいのだがそこで「ビンタ」という、
まるで日本のアニメらしいお約束イベントを盛り込んでしまい、
日本人のヒロインを出してしまうことで、より世界観が狭まる。

ストーリー的にも1話完結で何か事件が起こりアイアンマンが解決するという形なのだが、
話としては「壮大」な話も出てアイアンマンが宇宙に行くような展開もあるのだが
どうも終始地味だ(苦笑)
1話1話のストーリーの盛り上がりが薄く、演出が弱いせいか戦闘シーンも盛り上がりに欠ける
もう少し派手なシーンや迫力のある戦闘シーンがあれば見応えのある骨太な作品になるのだが
1話完結という尺の短さもあるのだろうが、ストーリーが広がる前に終わってしまう印象だ

序盤から中盤まで淡々とストーリーを展開してしまっているのも残念だ。
中盤以降はキャラクター描写も深まりストーリー的にも盛り上がってくるのだが、
それ故に中盤までの展開の地味さが致命的だ。
特に9話などは個人的に好きな話でトニースタークが少女に翻弄される内容は素直に面白かった
このクォリティの話をもう少し序盤から中盤まで描写されていれば
作品全体の印象は違っただろう。
終盤の展開も盛り上がってきたところでアニメオリジナルキャラが
「ほぼ死亡」という展開に逃げてしまった印象だ

ストーリーにも違和感がある。
トニースタークがアイアンマンを辞め「量産型のアイアンマンを作り売り込む」という展開は
武器商人を辞めた彼の考えと少し違う気もする、
映画一作目から感じられた彼の考えとズレてしまっている。
更に中盤で「死んだキャラクターがじつは生きていた」という展開になる。
映画一作目では重要な人物であり、明らかに死んでいた人物をアニメで無理矢理生き返らせ、
設定や性格を変えスタークと対決させる。
「アイアンマン」という作品が好きなほど違和感を感じる部分は大きい。

特にジャビスの描写が異常に少ないのも気になる。
トニー・スタークの優秀なAIであるジャビスは戦闘中にもサポートして
トニー・スタークとジャビスの戦闘中とは思えない軽い感じの会話が好きだった方も居るはずだ。
アニメでは戦闘中にジャビスと会話することはなく、申し訳ない程度の描写のみになっている

ただ、作画やアクション面では話によっては見どころのあるシーンも多く、
特に終盤辺りの戦闘シーンは序盤に感じた違和感や迫力の無さをカバーするような出来栄えだ。
作画や戦闘シーンの質は悪くない出来栄えなのにストーリー面で脚をひっぱてしまった印象だ

全体的に見て地味かつ無難な出来栄えだ。
分かりやすい黒幕を用意しストーリーを展開するのは悪くはないのだが、
序盤から中盤までの1話完結のストーリー内容は地味だ、
全体のストーリーとしても特に日本の要素を絡めすぎてしまったことでアイアンマンらしさが薄まっている

ヒロインの1人である新聞記者も必要性をあまり感じないうえに
ちょこちょこと出てくるためストーリーの面白さが希薄になっている要因であり、
トニースタークが国会に呼ばれたりするシーンも必要性を感じないうえに違和感がすごい、
色々と余計な要素を入れすぎてしまったためストーリー全体の面白さが薄れた印象だ。

純粋に「死んでいたはずのあのキャラの復讐劇」だけでまとめていれば、
もっとすっきりとこの作品を楽しめたはずだ。
そこに余計な新聞記者や日本の政治、黒幕の浅い目的などを入れてしまったことで
全体的に「地味」な内容になってしまっていた。

あくまでもファン向けともいえるが、
逆にアイアンマンを全く知らない人が見たほうがこの作品は楽しめるかもしれない。
変な先入観やキャラクターへの思い入れがない方が楽しめるだろう。
個人的には本作品オリジナルの日本のアイアンマン「羅門・零」の無骨さは好きなのだが
活躍シーンが少なく残念だ。

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