河の果てまで移動が可能となった時代。開拓の限りを尽くし新天地を失った人類は、「戻るべき場所」となった地球の居住権をめぐって争いを始める。紛争を終息させる最終兵器として4隻のデス・シャドウ級宇宙戦艦が建造され、その4番艦の艦長としてハーロックが任命される
制作費数十億円規模をかけた滅茶苦茶な駄作。もはやシュールギャグアニメだ。
過去に何度かアニメ化されており、本作品は2013年に公開されたフルCGによる劇場アニメ作品
なお原作とはほとんど内容が違う。
私個人としては残念ながら「宇宙海賊キャプテンハーロック」を原作、アニメ共に見たことがない。
本レビューはネタバレがふんだんに含まれています。
本来ならなるべくネタバレをシないように書きたいのですが、
本作品に限ってネタバレを許していただきたい、あまりにも内容がひどすぎた・・・
基本的なストーリーはSF。
遥か未来、人類は宇宙への銀河へと旅立って行った
しかし人類は故郷である「地球」を忘れられず、宇宙に旅立っていった人類は戻ってきた
しかし、宇宙で増えすぎた人類は地球には多すぎるため移住権を争い宇宙での戦争が起こった。
そんな中で「地球を聖地」とする考えが生まれ、誰一人地球へ降り立たないことを条件に戦争が終わった。
時は過ぎ、宇宙では「ハーロック」が海賊して現れた・・・
というところからストーリーは始まる
見だして早々、がっかりする。
前述したストーリーの基本的な設定をナレーションではなく「文字」で見せてしまっている。
せめてナレーションがついていれば問題ないが、せっかく見だして早々の映像美を楽しもうと思っているのに
CGではなく文字を読む作業をしなければならないのは残念だ。
この文字も別に「フォント」にこだわってるわけでもなく字幕と変わらない
しかしながら、映像は素晴らしい。
フルCGで描かれた背景や小物、人物など非情に高いクォリティで描かれており
ガラスや肌の質感が分かるようなぐらい繊細に描かれているのは好感が持てる。
ただ・・・凄いのは分かるのだが一切ワクワクしない。
確かにCGの質はいいのだが質がいいだけで中身の無いアニメーションばかりだ
例えば「ハーロック」の乗るアルカディア号がとある惑星に降り飛びだつというシーンが有るのだが
あっというまに飛び上がってしまい重量感が一切感じられない。
更にアルカディア号が豪快に敵の戦艦にぶつかるシーンも確かに迫力はあるのだが
演出が弱すぎるため本来なら迫力のあるワクワクするシーンのはずなのに「軽く」感じてしまう
10年前のCGのレベルならこの軽さを感じることは多々あったが、
最近のCGで久しぶりにCGの欠点である「軽さ」を味わうハメになってしまった
簡単にいえば全てミニチュアのようだ
綺麗な建物が描かれている時には特にそれが感じやすく、
確かに綺麗で質の高いCGだが「軽さ」が出てしまっており作り物のおもちゃのように見える。
どんなに迫力のある戦闘シーンを描写しても演出とミニチュアCGのせいで
オモチャ同士の派手な戦いにしか見えない。
更に人物描写。
戦艦だけではなくパワードスーツや生身での白兵戦も描かれているのだが、まあ・・軽い(苦笑)
まるでゲームのPVを見ているかのようなかっこいいだけで中身の無いシーンの数々、
FFの戦闘シーンを彷彿させるかのような動きとキャラのキメ顔、
一切「重み」を感じない戦闘シーンの数々は見ていて一切ワクワクしない
CG自体の質はものすごく高い、これは確実だ。
しかし、その質の高いCGを上手く動かしうまく演出することを一切していないため
どれもこれも地に足の付かない戦闘シーンばかりだ。
確かに綺麗だが、綺麗なだけ。
恐らく別の監督がやればもっと使いこなすことができたはずだ、本当にもったいない。
更に極めつけはストーリーだ、もう、はっきり言って滅茶苦茶なストーリーとキャラクターだ
ここまで物語やキャラとして「ぶれまくり」「破綻しまくり」の内容は
80年台のOVAのシナリオもびっくりなレベルだ、本当にプロの脚本家がやっているのかすら疑わしい。
序盤からストーリー構成が悪くグダグダだ。
アルカディア号が惑星に降りたと思ったら人員を募集しているらしく
メインキャラの1人である「ヤマ」と他3名がアルカディア号にかけつける。
だが駆けつけたと思ったら、Googleもびっくりな鬼面接だ
「なぜアルカディア号に乗りたいか」
この問に正しい答えを出さなければ船から突き落とされる(苦笑)
彼らは別に悪人ではなく、ただアルカディア号が人員を募集しているらしいという噂を聞き行っただけだ。
面接に落ちたからといって船から突き落として殺すことはない。
更に落ちるシーンは「意味のないスローモーション」のおまけつきだ。
キャラの表情を見せたいのかわからないが、
このスローモーションは映画の中でふんだんに多様される、意味もなく。
戦闘やシーンのテンポを崩してまでスローモーションで
「ほら、このCGすごいだろ!どうだ?すごいだろ~?」と言わんばかりの
押し付けがましい演出はスローモーションが入る度にイライラを募らせる
ストーリーがダラダラ続く中で、この「ヤマ」というキャラが
ハーロックを狙う組織のスパイだったことが分かる。
この「ヤマ」というキャラ、3回裏切ります(苦笑)
ハーロックに惚れ込み自分の組織を裏切ったかと思えば、
ハーロックの本当の目的を知ってまた裏切り、そうかと思えばまた裏切る。
わずか115分の映画で3回も裏切るのはブレすぎだ。
30分に1回は裏切っている計算だ、あと5分映画が永ければ、もう1度裏切っただろう
そんな主役であるハーロックの目的もぶっ飛んでいる。
彼はもとの地球に戻すため「タイムスリップ」したい(笑)
そのために爆弾をあらゆる星につけ、それを全て爆発させるとタイムスリップ・・・というよりも
時間そのものがリセットされ人類の歴史なども0からになるらしい。
ハーロックがありとあらゆる事をリセットしたいのは自分が
「地球にコネで勝手に降りてた奴が居たのでむかついた」ので
むしゃくしゃして地球を壊してしまった為。もう・・・なんだそれ(苦笑)
これだけ見ていてキャラクターの行動や言動に一切感情移入できないのは珍しい。
どこかしら、誰かしらに見ている側も納得できる台詞や行動があるはずだ
しかし、それを一切させない、むしろ苛つかせることしかしない
私はあまりのくだらなさぶりに途中からまじめに見るのをやめギャグアニメとして割り切った
もっとも笑えたのは唯一の敵キャラである「イソラ」だ。
ちなみに人類の存亡をかけるような戦いなのに名前のある敵キャラは彼しか居ない
あとは役職名とザコ敵という役割だけしか存在しない無名キャラばかり。
人類の存亡をかけるような戦いなのに敵は中間管理職的な「イソラ」だけだ
この「イソラ」、まあ笑える(笑)
彼には寝たきりの妻がおり、未来の技術で寝たきりでもホログラムで会話できる
しかし、そんな妻は自分のせいで彼が悩んでいると感じ彼をわざと怒らせる
そして彼女の生命維持装置を怒りに任せて外すイソラ(苦笑)
そこまでの持っていき方や「イソラ」というキャラに感情移入できていれば
衝撃的かつ、妻の彼を思うがゆえの行動と泣けるシーンなのかもしれないが
キャラ描写が甘すぎてギャグにしかなっていない
更にそんな「イソラ」が所属する組織もめちゃくちゃだ
ハーロック達によって「地球の真実」がバレると自分たちが聖地と崇めているはずの
地球ごと超兵器で撃ちぬいてハーロックを倒そうとする。聖地のはずなんですけどね(苦笑)
あまりにもすべてのキャラの行動や言動が滅茶苦茶で唐突で整合性を求めるほうが難しい内容だ
ストーリーとして、キャラクターとして成り立っていない
「かっこいいシーン」「かっこいセリフ」
それだけを描写しているような感覚で中身が無い。
極めつけがラストだ。
私はこのラストの展開は「お、そうくるのか」とちょっと面白くなりそうに感じた。
ネタバレ中のネタバレになってしまうがひどすぎるので敢えて書く。
こんな気持ちは始めてだ。
ハーロックはアルカディア号の動力である「ダークマター」という力で100歳を超えて生きていた、不死身だ
しかし、終盤で地球を破壊させないため船の動力である「ダークマター」と
その「ダークマター」を操る事のできる「ミーメ」のちからを最大限に開放し
超兵器の攻撃から地球を守る。
その最中で「ミーメ」は消滅し、アルカディア号は動力が停止し地球へと落下してしまう。
不死身の力がなくなったハーロックは片目を怪我した「ヤマ」に自分の眼帯を託し
ハーロックという象徴はこれからもあり続ければならないと言い艦長席に横たわる・・・
この文章だけ見ると「おぉ、なんか良いシーンじゃん」と思う方は多いだろう。
ハーロックが死にハーロックを「ヤマ」が受け継ぐ・・・といういい感じの展開に見える。
「ヤマ」も意思を受け継いだかのように眼帯を受け取り舵を取る・・・。
ここでなぜか消滅したかに見えた「ミーメ」復活、理由不明。
更にダークマターの力も戻りアルカディア号も動き出す
そして死ぬ寸前だったハーロックもダークマターの力があるので生き返る(苦笑)
「ヤマ」に託して死ぬような展開ならばストーリーとしての締めとして意味があったのだが
ここで復活してしまえばそれまでのシーンが無意味だ。
最後の最後まで笑うしか無かった
全体的に見てひどすぎる作品だ。
フルCGアニメの皮をかぶった漫画実写化作品のようなひどい内容で
肝心のCG部分は無意味なスローモーションや演出が弱いせいで迫力がなく、ただ綺麗なだけ。
キャラクターも主人公であるハーロックというキャラを知っていれば違和感は凄いだろうし、
他のキャラも滅茶苦茶でブレにぶれまくる。
更には人類の存亡をかけている筈なのに数名だけで
人類が5000億居るとは思えない世界観の中で人類の存亡を掛けたストーリーを展開する(苦笑)
この作品の企画は2008年からあり、2009年あたりから制作が始まったらしい
約5年掛けてここまで浅いキャラクター描写と
滅茶苦茶なストーリーが出来上がることはむしろ奇跡に近いだろう。
褒めるべき部分が本当に見当たらない。
それこそ「CGの質が高い」ぐらいだが、本当にそれだけだ。その部分だけの評価点数だ
本来ならこのCGの質が生きるようなシーンがあればもっと評価できるのだが・・・
声優さんもハーロックは「小栗旬」が演じているが、演じていますという演技で違和感はある。
他の声優さんも名演と言えるシーンはない。
ストーリーは褒めるほうが難しい、むしろ、よくこれで映画を作ろうと思った。
脚本ができた段階でもう少し修正する事はできなかったのだろうか?
それこそこのレビューであえてネタバレして書いたが、これでも抑えたほうだ。
物語の最初から最後まで書こうと思えば全部欠点を書ける
簡単に箇条書するだけででも
・アルカディア号の強さを表現するために同じ手に2度も引っかかる敵
・唐突に流れる意味のないセクシーシーン、色気なし
・ピンチの状況のはずなのに長いセリフ
・世界観を出したいためSF用語多用
などなど、もう酷すぎる。
これが「劇場」で見たからまだ音響や大きなスクリーンでの映像美でごまかされたが、
DVDなど家庭で見る際はその効果も半減だろう。
キャラクターデザインや戦艦、武器などのデザインは素晴らしかった
それこそCGの質がそこに生きていたのだが、それを全く生かさない内容は宝の持ちぶされだ。
制作費数十億円規模をかけた作品で国外展開も考えているらしいが
こんな駄作を日本のCGアニメ作品として海外に晒してほしくない。
本当に書き出したらキリがない、見終わった後に思わず舌打ちしてしまうほど
「酷い」と感じてしまう作品だ
あらゆるアニメの中でこれほどツッコミ所のあるアニメは無い。
ある意味でシュールギャグアニメとしては優秀な作品だ(苦笑)
もし、このレビューを見たあとに見に行く猛者がいるならば
ツッコミ準備をしてからご覧頂きたい。
最後にはツッコムのすら疲れてしまうだろうが・・・w
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私も同感です。
登場人物たちの行動の動機にまったく共感できない。
2人の主人公のうち、一人がころころ裏切る。
お兄さんが勢いで妻の生命維持装置を切る。(あんだけ科学力が発達して意思を外に発信できるなら、妻はホログラムじゃなくて遠隔操作のサイボーグにすればいいんじゃないか?)
など諸々
そして何より、意味のわからない主人公たちの「正義(?)」の過程で、凄まじい数の兵士たちが殺されていることが気になりました。