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ポケットモンスター THE ORIGIN

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評価/★★★★☆(66点)

ポケットモンスター THE ORIGIN 評価

全4話
監督/川崎逸朗,黒田幸生,高橋秀弥,冨安大貴
声優/竹内順子,江口拓也,森功至,杉田智和,小山力也ほか

あらすじ
本作の主人公はレッドという少年で、冒険の舞台となるのはカントー地方。レッドはオーキド博士から初めてのパートナーとなるポケモン・ヒトカゲをもらい、博士からポケモン図鑑の完成を託され、レッドのライバルである少年・グリーンとのバトル、ジムリーダー・タケシへの挑戦、悪の組織・ロケット団とそのボス・サカキとの壮絶な戦い、その先に待つ未知のポケモンとの遭遇など様々な出会いと戦いが繰り広げられる壮大な冒険が始まる。

これぞ正統派ポケモンアニメ、ポケットモンスター赤・緑をやった貴方が楽しめる作品

始まって早々やられる。
初代ポケモンをやりこんだ方にはお馴染みの
「はじめからはじめる」
「つづきからはじめる」
という選択技が出て物語がスタートする。
そして懐かしのストーリーが始まる。
主人公であるレッドとライバルであるグリーンはオオキド博士研究所でポケモン図鑑を受け取り
オオキド博士の夢を受け継ぎ、そして3匹のポケモンから1匹を選ぶ。

もちろん、3匹のポケモンはあの3匹だ
「ヒトカゲ」「フシギダネ」「ゼニガメ」
あまりにも懐かしすぎてちょっと感動すら覚えた。
「レッド」という主人公の名前、「グリーン」というライバルの名前、
まるで「ポケットモンスター赤・緑」をやり始めた子供の頃を思い出し方のように
本当になぞるように初代のストーリーを最初から描写している。

戦闘シーンの描写も素晴らしい。
「なきごえ」「ひっかく」などヒトカゲを使ったことのある大人ならお馴染みのワザと
「たいあたり」「あわ」「かみつく」などゼニガメの技がぶつかりあう。
文章で表せば本当に単純なバトルシーンをきちんと描写しており、
それが純粋に面白く懐かしい。

主人公である「レッド」は最初は相性もわからず技を出すばかりだ
まるで「ポケモン」を初めてやったあの頃の私たちと同じように闘いながら学び、
ポケモンセンターで傷を直し、ゲットしたポケモンはパソコンに送られる。
本編のポケモンアニメでは当たり前になっているため省かれている箇所を
あえて「何も知らない視聴者に教える」かのように描写する

そして、ジムリーダーと戦う。
もちろん最初のジムリーダーは「タケシ」だ、岩タイプを使う彼に対し彼はヒトカゲを出す
最初に「ヒトカゲ」を選んだ多くの子どもと同じような事をレッドも経験する
更にお馴染みの「がまん」まで出てきる始末だ(笑)

細かい点ではポケモンアニメ本編では描かれない
体力ゲージがきちんと描写される点は好感が持てる
本編では採用されなかった設定や演出をきちんと「本作品」で描写し、
初代をやった人の記憶を呼び覚ますかのようにポケモンアニメを楽しまさせる

タケシを倒した後に「わざマシーン」のディスクを受け取るシーンが出てきた時は
どこまで細かく描写するんだとちょっとにやけてしまったほどだ
更にCM前には「レポートに書き込む」というシーンまで描かれるw

みていて懐かしく、みていて楽しい。
これは初代ポケモンをやりこんだ私たちだからこそ感じる面白さであり、
最近の初代をリアルタイムでやったことのない子供には伝わらない面白さかもしれない。
平日19時からの1時間30分スペシャルで本来の視聴者は幼稚園生~中学生なのだろうが
内容自体は完璧に20代後半以上の大人向けだ。
むしろ、リアルタイムで初代ポケモンをやったからこそ面白いと感じる部分が多すぎる

そしてレッドの冒険は続く。
ダイジェスト風になっているもののテンポよく進む展開は面白く、
小ネタも拾いつつダイジェストでどんどんと冒険を進める。
カスミを倒し、船長からわざマシーンをもらい、自転車を手に入れる。

1時間30分という尺の都合上、ダイジェストが入るのは仕方ない・・・仕方ないが・・・
このダイジェスト部分もガッツリ見たかったと感じてしまう。
尺の都合だというのは重々承知でダイジェストも面白いのだが・・・見たい(笑)
それほどこの作品は魅力的だ。

そして多くの子供のトラウマにもなっている「ポケモンタワー」に場所は移る。
ここで大人向けとひしひしと感じるシーンが有る。
「ガラガラがロケット団に殺される」というのをレッドは聞き
ロケット団に怒りを覚えるシーンだ

本編のアニメなら「殺される」という表現は使われない、ポケモンは「倒される」だけだ。
しかし、この作品では濁さずに「殺される」という表現をストレートに使っており
ロケット団の残酷さや凶暴さが描写される

アニメで描写する初代ポケモンのポイントが本当に細かい。
わざマシーン、懐かしい技の数々、ジムリーダー、小ネタ、イベント、
シルフスコープや笛、自転車などのアイテムなど
初代ポケモンをやった人なら確実に「印象に残ってる」設定から
忘れてた設定まで細かく描写し、楽しまさせる。

ただ盛り上がってきたところでまたダイジェストがあるのは本当に残念だ。
キャラクター的にもポケモン的にもイベント的にも美味しいシーンの数々が
ダイジェストになってしまってきちんと楽しみきれないもどかしさがある。
「ああ!このシーン懐かしい!」と思ってもすぐに切り替わってしまう

だが、物語が進めば進むほど「ポケモン」も進化し、技も派手になっていく。
特に中盤の最大の盛り上がりであるロケット団とのボス「サカキ」とのバトルの激しさは
最近の「怪獣大戦争」でしかない本編のポケモンアニメでは絶対に味わえない面白さだ
きちんとポケモン同士が技を出しあい、ぶつかる。
ポケモンバトル本来の面白さが「アニメとのしての面白さ」できちんと描写されている

そして、その面白さは「登場人物」たちにも影響する。
ポケモンをビジネスとしか見なかったサカキとポケモンを信じるレッドのぶつかり合い、
サカキ純粋なレッドとの戦いで自分を思い出し見直す。

ただこの部分はサカキのキャラ描写が不足している。
ストーリー展開として素晴らしいのだが、
ダイジェストになってしまった部分のせいでサカキの掘り下げが甘い。
終盤の「四天王」とのバトルですらダイジェストになってしまっており、
総集編ちっくな感じになっているのはこの作品最大の欠点だろう。
1時間30分という尺がせっかくの面白い作品を
きっちりと楽しまさせてくれないもどかしさが常につきまとう

ただ、マサラタウンから旅立ち「殿堂入り」まで描いた点は評価したい。
本来なら三部作ほどで映画で見たいクォリティだったが
1時間30分という制限で最大限のことをしている
そしてレッドは「伝説のポケモン」をゲットするために旅を続ける
この部分もダイジェストになってしまっているが仕方ない。

なにせ「ミュウツー」が現れる(笑)
初代ポケモンをやっていて、このポケモンに思い入れのない方などいないだろう
恐らく、この時点で多くの初代ポケモンプレイヤーがダイジェストに納得したはずだ。
1時間30分で「ミュウツー」まで描くためにはダイジェストは致し方ないと。

ただ最後の最後で萎えさせる。
この作品は今度出る「ポケットモンスターXY」の宣伝も兼ねており、
その作品では今度「メガ進化」という新しい要素が出る、簡単にいえば進化の進化だ。
その「メガ進化」を初代ポケモンの話である本作品に最後の最後で持ちだしてしまった
せっかく、初代ポケモンの雰囲気をタップリと味わっていたのに
最後の最後で全然知らないメガ進化が出てきてしまって萎えてしまった

全体的に見て初代ポケモンをやった方にはたまらない作品だ。
1時間30分という尺の都合上、ダイジェストぎみに
ストーリーを展開してしまっているのは残念だが
ゲームの内容の細かい部分までアニメに取り入れ、
しっかりと「初代ポケモン」のストーリーを展開し
最近のポケモンアニメでは味わえなくなったポケモンバトルの面白さを
アニメーションでしっかり描写してくれる。

更に懐かしのBGMもきっちりとアレンジして使用されている
本編では忘れがちなワザをきちんと描写し、懐かしい気持ちに浸りながら
1時間30分しっかり楽しめる作品だ。
しかし、最後の最後で「メガ進化」という要素が邪魔で仕方ない。
初代ポケモンの世界や設定をしっかり使った世界観で
いきなりXYの要素を出されるのは本当に萎えてしまった。

ただダイジェストと「メガ進化」を除けば、本当に面白いポケモンアニメだ。
是非ダイジェストにされてしまった部分をしっかりと見たいと感じさせるほど魅力的だ
三部作での映画化などぜひやってほしいのだが・・・今回限りで終わりそうなのが残念だ。

個人的にはアニメ本編はどうでもいいのでこの作品をがっつりと5クールくらいでみたい(笑)
思わずそう感じさせるほど懐かしさとポケモンアニメの面白さを感じることの出来る作品だった
現在、DVD及びBDも発売されてますので、
ポケットモンスター赤・緑世代の方はぜひ!

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  1. ちくわとなすび より:

    原作のストーリーをやっているのに終盤で新要素をぶちこまれるのは確かに萎える。
    しかしストーリーの展開からしてもミュウツーをそのままリザードンで倒すというのも何かこう、味気ない気もするし、『強化形態で逆転』の流れは割りと王道ではなかろうか。

    (ポケモンは作品の世界観を共有しているものであり、きちんと考察すれば時系列や世界線の話など面白い話が沢山出てきます、是非一度調べて見るといいですよ♪)