日本を揺るがすテロ事件が勃発する中、デートの最中だった笠原郁と堂上篤に緊急招集がかかった。新たな任務は、小説家・当麻蔵人の身辺警護。テロの手口に小説の内容が酷似しているとして、メディア良化委員会は作家狩りを始めたのだ。
図書館戦争としてはいい、ただアニメ映画としては・・・・
本作品は図書館戦争の劇場版。
TVアニメ版が2008年なので4年越しの作品となる。
なお、ストーリー的にはテレビアニメ版の続編と考えて問題ない。
(テレビアニメ版が原作3巻まで、劇場版は4巻の内容となっている)
基本的なストーリーはアクション。
「メディア良化法」に立ち向かう図書隊がある日、作家の護衛につくことになる。
その作家が書いた本の内容そっくりの方法でテロが行われたことで
「メディア良化隊」は彼の身柄を拘束し執筆活動の停止させようとしていた
というところからストーリーは始まる
見だして感じるのはメディア良化法のわかりやすさだろう。
テレビアニメ版では設定の甘さもあり、
具体的にどんな本なのかがわかりにくかったが
メディア良化法が本を横暴に検閲していくという印象があったが
本作ではきっちりと「テロを行う犯罪者に影響を与えた」という理由があり、
だからこそ弾圧されるべき作家と本なのだというメディア良化法の横暴さがわかりやすく
それに立ち向かう図書隊という図式が見ている側が理解しやすい。
ただ序盤から「会話」で物語が構成されてしまっており、
キャラクターたちの会話をする中で裏で「弾圧は違憲」とする裁判が行われ
その裁判中に「作家」を保護しているというシーンが描かれるのだが、
基本的にはキャラ同士の会話でストーリーを構成してしまい
序盤から中盤までの約50分、ほとんど会話劇になってしまっている。
ただ、その会話の中で「メディア良化法」に巻き込まれた作家の心情が描かれる
彼はそれまでエンターテイメント性の強い作品を書いており
自分がまさか「メディア良化法」で検閲される対象になるとは思いもしなかった
当然、図書隊の活動や大勢の犠牲者を出した「日野の悪夢」もほとんど知らず、
警護されている中でそれを知り、自分もメディア良化法に立ち向かっていくという
心理の変化はよく描けていた
しかし、その反面、ストーリー的にダレてしまい
ご都合主義や突っ込みどころのあるシーンも多くも目立つ。
特に序盤のヘリコプターをメディア良化隊が墜落させようとするシーンや
終盤のいい所で「領事館」の車が登場するシーンなど
かなり色々と言いたくなってしまうシーンだ。
大阪に行く展開も必要性をあまり感じなかった。
全体的に見て図書館戦争のファンならば見て損はない作品だろう。
しかし、その反面、会話ゲキで構成されてしまった序盤から中盤までは
キャラクターに感情移入していなければ楽しみづらく、
恋愛模様を描いている展開も多い。
アニメ映画としてみると微妙な点も多い。
確かにアクションシーンはそれなりに激しく動いているが、
あくまでも「それなり」でしかなく、このシーンが凄いんだよ!と語るべき点はない
とてもじゃないがスクリーンを意識したシーンがあるとはいえない。
ストーリー的にも会話劇で構成されているので序盤から中盤まで地味な展開が多く、
わざわざ「映画」という媒体で描くほどの内容だったのか?と感じてしまった
これがTVアニメの2期として放映されたのであれば印象が違っただろう。
原作でまだ描いていないエピソードもあるようなので
そういったシーンをつなぎあわせて2期として放映しても良かったはずだ。
あくまでもファン向けの映画作品に鳴ってしまったのは残念だ
ただ「図書館戦争」として「メディア良化法」にある程度結末を描き、
「図書館戦争」という作品を終わらせたことは評価したい。
今年、本作品が実写化されるようなので
それに合わせたアニメ映画だったのかもしれないが、
本作品はどちらかといえば「実写向き」の作品とも言えるので
アニメより実写のほうが面白いと感じられる作品かもしれない。
アニメの実写化の場合は強烈な駄作かそれなりに面白いもののどちらかが多いので
本作品が後者になることを切に願いたい。
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください