ご注文は人外娘ですか?
監督は吉原達矢、アニメーション制作はラルケ×セヴァ
開始1分でセクシーシーンになる作品が昨今では珍しくない。
だが、この作品は開始一分で主人公がモンスター娘に絡みつかれている(笑)
おそらく長い日本のアニメ歴史史上でここまで早くモンスター娘に絡まれているのは
この作品の主人公くらいだろう。
この作品はいわゆゆる「人外娘」と呼ばれるヒロインが中心の作品だ
獣耳や犬、擬人化などではなく、
いわゆる「モンスター」の女体化とでもいえばいいのだろうか。
基本的に「上半身部分」は人間で下半身部分が蛇だったり、馬だったりする。
人間とはいえないヒロインがメインの作品だ。
ファンタジー系の作品ではこういった人外娘が出ることもある。
だが、この作品の場合はそんな人外娘を「メイン」に据えている
私の記憶に間違いな無ければ、この作品が初なはずだ
ジャンルとしては「ハーレムセクシーラブコメ」な作品だ
セクシーシーン、いわゆる「エロ要素」も非常に多いのだが
普通のハーレムラブコメと違い「人外娘」だからこそ
よくある「シチュエーション」がよくある展開ならない
ヒロインが恍惚な表情をしているのに、主人公が死にかけているなど珍しくない(笑)
この作品の序盤の根幹はまさにそこだ。
「よくあるエロラブコメシュチエーションでヒロインが人外娘だったら」
この1点に物凄いこだわっており、シュチエーション的にはベタベタなのに
人外娘だからこその展開、人外娘だからこその描写、
人外娘だからこそのセクシー描写が「ギャグ」にもなっている。
そんな人外娘に対して主人公の設定がちょうどいい。
特にこれといった特徴にない人間の男性キャラクターではあるものの、
エロシュチエーションになっても相手が人外娘だからこそ
普通の反応や展開とは違う。
更に彼は「外交問題」を抱えている。
主人公の家にミスでホームステイしてきた人外娘たち。
彼女たちは「種族を代表として人間と交流」しに来ており、
彼女たちに何かあれな外交問題へと発展する
「何か」というのは手を出したらという点も含んでおり、
誘惑しまくってくる人外娘たちの誘惑に必死に堪える(笑)
よく、こういうハーレムラブコメの場合は
主人公が「EDなんじゃないのか?」というような疑問が生まれるほど
性的に冷静な主人公も少なくない。
だが、手を出さない理由をきちんと設定に取り込むことで
「誘惑されても手を出さない」理由がきちんと納得できる。
だが、そんな設定があるのにもかかわらず
ヒロインたちはガンガン主人公を襲ってくる(笑)
非常にストレートなエロ描写も多く、セリフ的にもかなり際どい
作画的にもきちんと妥協なく、
肌の質感からモンスター部分の質感まできっちりと描いており
妙に「フェチズム」めいた部位の描写へのこだわりを感じるほどだ
セクシー描写が嫌いな方も居るだろう。
だが、通常のセクシー描写とは違い人外娘であるがゆえに
オチが「ギャグ」になっていることも多く、
通常のラブコメのセクシーシーンに比べると嫌悪感は出づらいかもしれない。
ただ中盤以降は過激な要素もあるので一概には言えない。
ついでにいえば暴力表現も本来は賛否が別れる所だろう。
私個人は別に気にならないのだが人によっては
ヒロインが主人公に対して殴ったり蹴ったり、激しく突っ込んだりする
暴力要素が嫌いな方も居るようだ。
この作品の場合「モンスター」だからこそ過剰な暴力になってしまうという
建前があるため、そういう要素が本来は気になる人も気にならないかもしれない
また「規制方法」も素晴らしい。
単純に光で隠すようなことはせずに手でうまいこと隠したり、
カメラアングルを絶妙に変えて、隠すのではなくギリギリ映さない
シーンづくりに仕上げている。
ギリギリ見えないもどかしさがほどよい「エロス」を生んでいる
この作品は設定作りが非常に上手い。
「人外娘」という思いつきと勢いだけの設定だけではなく、
その「人外娘」を活かすための世界観を作り、設定を作っている
きちんとした「下地」があるからこそ、ストーリーが自然に描かれており
だからこそ「キャラクター」に対してきっちりと感情移入できる。
ヒロインが主人公に惚れる理由もきっちりと描いており
「なんでこんなやつのことが好きなんだよ」という
ハーレムラブコメでよくある欠点がない。
強引なセクシーシーンづくり、無理のある設定によるストーリーではなく、
あくまでも「自然」な流れで作品を作り上げている
話が進めば進むほどヒロインは増えていく。
きちんと「モンスター」部分の設定を活かしたキャラクター作りになっており、
キャラクターかぶりのない多種多様なヒロインたちは
素直に「可愛く」、素直に「エロい」(笑)
各ヒロインともモンスター部分が違うため、
そのモンスター部分による「特性」を活かしたシーンづくりが良く出来ており、
よくある「ヒロインがアイスを舐める」というシュチエーションを
単純に舐めさせるのではなく、きちんと「手が翼のハーピーだから仕方ない」という
理由付けをしたうえでのシーンに仕上げている。
きちんとしたキャラクター設定によるキャラクターごとのシーン作りが
できているからこそ、ヒロイン一人一人に「愛着」を持つことが出来る。
本能、法律、種族の掟、発情期などキャラクターの周りにある設定を活かしながら
ワンパターンにならないモンスター娘の日常をきっちりと描いている
メインヒロインの数は最終的に6人と非常に多いのだが、
描写が散漫にならず、一人一人が本当に可愛いと思えるキャラクターだ
個人的な意見になるかもしれないが、
一人一人、それぞれ主人公の呼び方が違うのも好感が持てた
全体的に見て素晴らしい作品だ
「ラブコメによくあるシチューションを、もしヒロインが人外娘だったら?」という
作品の芯をきっちりと面白く仕上げるために、
不自然にならないようにきちんと世界観と設定を作った後に
「ラブコメあるある」シチュエーションを全力で描く。
妥協なく全力で描いているからこそベタなシチュエーションなのに
人外娘なヒロインたちの可愛さが光り、エロさが映え、ギャグで笑える。
中盤以降は「モンスターの特性」を活かしたシーンづくりが増える。
序盤の段階できっちりとキャラクターに感情移入した後に
この作品だからこそのシーンを描写することで
より深くこの作品に愛着を持てるようになっている。
終盤はややキャラクターが増えたことでごチャ付いてしまっている感は否めないが
それでも安定した面白さがあり、
キャラが増えても、そのキャラクターがきっちりと魅力のあるキャラなため
最後まですっきりと見終わることの出来る作品だ。
ちょっとストレートな表現になってしまうが
設定がきっちりと作りこまれた作品というのはやっぱり面白いなと
ひしひしと感じてしまった。
最近のアニメ作品は勢い任せのその場しのぎの後付け設定で
物語を作っている作品も多いが、この作品は「まじめ」に考えられて
作られているのをしっかりと感じることが出来る。
個人的に面白いと感じたのは主人公の設定だ。
こういうハーレムラブコメの場合「学生」にしたほうが
学校というシュチエーションが生まれるため話が作りやすい。
だが、この作品の主人公は学生ではない。
年齢はきちんと描かれていないが高校生でも大学生でもなくフリーターだ
「大人」だからこそ主人公としてきちんと魅力的であり、
「大人」だからこそ「外交問題」も気になる、
「大人」だからこそヒロインたちと結婚もできる。
「大人」だからこそ、きっちりと決断も出来る
安易に主人公を学生にしなかったことは
この作品が面白くなる重要なポイントだっただろう
これでウジウジ系の主人公だったり、状況に流されるままの主人公だったり、
安易に学生にして学校シチュエーションを使ってしまったら
この作品はここまで面白くならなかったかもしれない
ラブコメアニメとしても、セクシーアニメとして、ギャグアニメとしても
きっちりとバランスよく描かれており、
それぞれが、きちんと「モンスター娘たちのいるの日常」という
作品の面白さにつながっている
ベタベタなラブコメシュチエーションを人外娘で描いたらどうなるのか?
人外娘だからこその生体や本能から生まれるシュチエーションはどんなのがあるのか?
このレビューを見て少しでも、それが気になったら見て損はないだろう。
その期待感を裏切らない面白さがこの作品にはある。
個人的には「脱皮」がここまでエロいとは思わなかった
先っぽだけだからの表現の使い方などこの作品ならではのギャグや
脱皮させるというシュチエーションの物凄いエロさは凄い(笑)
はっきりいって直接表現したら間違いなく「アウト」なのだが、
前述した表現規制の上手さと相まって
きちんと「エロ」+「ギャグ」になってるのは感嘆してしまった
あのシーンでこの作品の評価が決まったと言っても過言ではない。
2期も期待したい作品だが売り上げ的には5200枚、
イベント優先券付きでこの枚数なので2巻以降の売り上げ次第だろう
ついでに言えば原作ストックがあまり無いようなので
すぐに2期ということはないだろう。
しかしながら、人外娘という特殊なジャンルで
これだけ売れたのは個人的には驚きだ。
きっちりとまじめに作られている作品がきちんと売れ評価されるのはいいことだが、
「人外娘」という特殊なフェチズムに目覚めた&もともとの猛者が
少なくとも5000人以上はいということだろう(笑)
もしかしたら来年、再来年辺りに人外娘アニメが
この作品以外にも出て来るかもしれない。
セクシー要素が中盤以降、かなり過激になるため
その部分で好き嫌いが別れる&人外娘という特殊なジャンルなため
万人受けはしがたいかもしれないが、
お試し感覚で3話、できれば6話くらいまで見て試していただきたい。
もしかしたら新たな扉が開いてしまうかもしれない(笑)
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