第五次大戦後、国家や情報網は破壊され尽くし、デュナンとブリアレオスは廃墟となった無人都市を転々としながら流浪の日々を送っていた。
圧巻のフル3DCG
本作品は2004年に公開された映画作品。
初めてフル3Dライブアニメという手法によって作られた作品だ
公開当時は話題になり、DVDも全世界で42万枚以上売り上げている
まず見だして感じるのは3DCGの滑らかさだろう。
ヒロインである「デュ」が序盤からサイボーグ兵士と戦うシーンが流れるが
銃を打ちながらバク転、側転と柔らかい体で激しく動きシーンは、
3DCG特有の硬さが一切無い。
だが、逆にロボットやサイボーグといった硬さが必要な部分は
きちんと硬い描写がなされており、無骨なサイボーグや兵器と
柔らかい「デュナン」の戦闘シーンは対比がきちんとなされており見ていて面白い。
キャラクターの表情に関しては若干、物足りなさというか硬さを感じたが
動きに関しては2004年という年代を考えても完成度が高いといえるだろう
特に終盤の山場ともいえる「多脚砲台」との戦闘シーンはスクリーンで見たかったほど
迫力抜群に描写されており、細かく動く多脚砲台の動きはこの作品の
集大成とも言えるシーンだろう。
しかしながら、その反面ストーリーが王道すぎる。
1時間40分という尺ではもったいないほどの世界観や設定があり、
その設定や世界観、更にレベルの高い3DCGに見合ったストーリーだったといえるほど
練られたストーリー展開とはいえない。
特に序盤は主人公の過去や世界観の説明描写が多く
序盤から中盤までは刺激のあるシーンが少なく、映画としては退屈だ。
しかし、その序盤から中盤までの説明描写がなければ
王道のストーリーではあるものの設定が複雑であるためついていけなくなってしまう。
作られた人類=バイオロイドと闘いを続ける人類、
この2種類の人類が存在する街で主人公は過去に共に戦ったブリアレオスが
サイボーグになったことを知る。
主人公である「デュナン」はなぜかその街で的に狙われまくるというような序盤だ。
中盤以降は前半の伏線を生かしつつ終盤の展開につなげている。
しかし、王道のストーリーを魅力的なキャラクターでつなげるならまだ見れるが、
キャラクター自体もありがちなキャラクターでしか無く、
意外にあっけなく死んだり展開が進んでしまったりして深みがない。
結局、主人公とサイボーグがどういった関係だったのかもはっきりせず、
敵もあっさりと和解してしまったりと雑な部分が多い。
全体的に見て3DCGを描くことに夢中でストーリーが雑になってしまった印象だ。
確かに完成度の高い3DCGや動きはスクリーンという大きな画面では
見栄えもよく迫力もあり、印象に残るシーンも少なくはない。
だが、その完成度に吊り合うようなキャラクターやストーリーではなかった
また、3DCGも完成度は高いがキャラクターの表情はかなり違和感があり、
キャラクターに感情移入することができず、見ている側がどこか蚊帳の外だ
見終わった後の感想が「映像はすごかった」という感想は思い浮かぶだろうが
「ストーリーが面白かった」や「「感動した」というような感想は出てこない。
本当にあと二推しくらいストーリーに深みがあれば、
随分と作品の印象も違ったはずだ。
フル3Dライブアニメという技術の凄さはわかったが、
その凄さにストーリーがついていってなかった。
しかし、1度は見て損はない作品だ。
この映像美はなかなかお目にかかれない、特に終盤の多脚砲台に関しては
こういうのが好きな方にはヨダレモノだろう。
個人的には何年か前に見てストーリーが思い出せずにもう1度見たのだが、
ストーリーを思い出せなかった理由がはっきりした(苦笑)
印象が薄くて忘れていただけだったようだ。
この作品の後に映画とTVシリーズがあることを知ったので
見てみたいと思います。
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