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THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!

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評価/★★★★★(84点)

これぞアイドルアニメ、これぞアリーナライブだ!

本作品はTHEIDOL M@STERの劇場版。
最近流行りの総集編ではなく完全な新規ストーリーで描かれる

基本的なストーリーはTVアニメの続編。
トップアイドルとして日夜活動を続ける「765プロ」のアイドルたち、
そんな彼女たちは初のアリーナライブを行うことになる。
後輩のアイドルたちをバックダンサーに迎え合宿を行うことになるが・・・
というところからストーリーが始まる。

冒頭から思わず笑ってしまうシーンだ。
劇中映画の予告PVから始まるのだが、
この映画の内容が最初は百合ものかとおもいきやサスペンスになり、ファンタジーになり
最終的には魔法少女モノになる
必要以上に動かしまくりな戦闘シーンは思わず劇中映画でありながら少し見たいと感じるくらいだ
なお、同時上映はハム蔵の冒険というおまけつき(笑)

そんな予告からお馴染みの生っすかへと流れていく展開でTHEIDOL M@STERの雰囲気を思い出させる
一人ひとりの現在の活動にスポットを当てつつ、
画面いっぱいに彼女たちのアイドルとしての活動が描写される。

1シーン1シーンに気合が入りまくっており、
高いレベルの作画で描かれるアイドルたちの表情や細かい動きのおかげで
「1シーン1シーンの中でアイドルたちがキラキラ」しているのだ
彼女たちの何気ない日常風景だったり、テレビに出ている様子だったり、
朝のトレーニングだったり、合宿風景だったり、様々な場面でキャラクターが生き生きと輝いており
これぞアイドルアニメだ!という制作側の意思が伝わってくるような気合ぶりだ

そして輝く彼女たちは次のステージである「アリーナライブ」に向けて合宿を始める。
この作品ではアイドルマスターの派生作品でもあるミリオンライブ!、
通称グリマスのキャラクターたちが765プロのアイドルたちのバックダンサーとして選任される。
彼女たちはまだアイドルの卵だ。
765プロのアイドルにとっての「後輩」というたちばのキャラクターを出すことで
アイドルたちのキャラクター描写が一歩踏み込んだものになっている。

先輩アイドルとしての態度やセリフ、後輩との実力差を描写することで
TVシリーズからの彼女たちの「成長」をしっかりと実感することが出来る。
後輩という立場のキャラを出すことで対比する描写を盛り込み、
キャラクター描写をより深いものに仕上げている。

それがもっとも序盤で感じられるのは「雪歩」だろう。
TVシリーズの序盤では男性恐怖症というエピソードのあったキャラクターだ
後半ではライブの練習についていけない体力不足の面も描写された。
私ははっきりいってこのキャラクターはあまり好きではなかった。
だが、この劇場版で私は雪歩というキャラクターが好きになってしまった

彼女は成長している。
後輩アイドルたちが肩で息をするような厳しい練習にもきちんとついていき、
後輩アイドルたちが悩んだり疲れた表情を見せたり、愚痴をこぼすと
彼女は「先輩アイドル」としてしっかりとアドバイスを送る。
彼女の成長ぶりはTVシリーズから見ている私達にとって不思議な親心すら感じさせる。
「あの雪歩が立派になって・・・」と涙腺の弱い方なら来るかもしれない(笑)

そんな先輩たちに憧れる後輩たちと成長したアイドルたち。
2つの立場のキャラクターをうまく交互に描写することでその両方をうまく見せる、
テレビの中で活躍する765プロのアイドル、そんなテレビを見ている後輩アイドル、
この両者の立場がより765プロのアイドルたちの成長を実感させる。

物語序盤から中盤まではシリアスな要素はなく、
キラキラと輝くアイドルたちと、そんなアイドルに憧れるアイドルのたまごたちを
しっかりと味わうことの出来る内容になっている。

中盤からは2つのシリアス要素が入る。1つは別れ。
今作で765プロのアイドルたちには1つの別れが訪れる、
売れなかった時からずっと共に頑張ってきた「彼」との別れは
苦楽を共にしたからこそ彼女たちの喪失感も強く、落ち込む。
だが、彼女たちは確実に成長している。
今の彼女たちが出来る精一杯のアイドルとしての自分を見せることで彼を気持よく送り出そうと決意する。
だからこそ「アリーナライブ」を完成度の高いものに仕上げようとより気合が入る。

そんな彼女たちを「後輩アイドル」が足を引っ張る。
大きなステージに必要なバックダンサーの彼女たちはまだまだアイドルの卵だ
昔の765プロのアイドルのように体力的にも精神的にも未熟だ
トップアイドルとしての練習やライブを目の当たりにし、彼女たちは焦る
焦りはプレッシャーに変わり、時間がない中で葛藤する
その葛藤は一人のアイドルが「逃げる」という展開へと変わる

そんなアイドルをリーダーとして「春香」が支える
今回のアリーナライブでリーダーになった彼女はまだリーダーとして未熟だ、
焦る後輩たちの気持ちを受け止めることが出来ず、リーダーとしての行動もできない。
だが、彼女はそんな中でも「リーダー」として成長し、春香として行動する。
TVシリーズから通したキャラクター描写の積み重ねが、キャラクターの魅力をより深め、
キャラクターへの感情移入が高まっていく。

アイドルを諦めようとする「矢吹可奈」、そんな彼女を説得するトップアイドルの「天海 春香」
二人の電話での台詞の掛け合いは緊張感があり、「中村繪里子」さんの演技も光る。
後輩アイドルの葛藤に反応する細かい心理描写の変化や、説得できない焦り、
細かい感情の変化を見事に演じている。「切らないで」の一言の表現など見事だ
その演技を終盤で思う存分魅せてくれる。

アリーナでアイドルたちが佇む中、
リーダーとして、トップアイドルとして、天海春香として
自分の思いを強く熱く、語りかけるシーンはTHE IDOLM@STERという作品のキャラクター描写が
最大限に高まるシーンだ。
客の居ないアリーナに佇む「アイドルたち」は、見ている側にも不思議な感情の高揚感を感じさせ
感動でも悲しみでもない、何ともいえない感動を産んでおりアイドルたちも涙をこぼす。
彼女たちの活動、彼女たちの成長を見てきたからこそ
まさに「プロデューサー」という立場に見ている側もなったかのような感覚だ

そしてアリーナライブシーン、ココは強調したい「アリーナ」の「ライブシーン」だ
昨今、作中でライブシーンを取り入れるアニメも増え、アイドルアニメも増えてきた
しかし、そんな多くのアイドルアニメやライブシーンの完成度をはるかに超える
「アリーナライブ」シーンをこの作品は見せてくれた。
他のアニメのライブシーンが一気にどうでもよくなるほどもの完成度だ。

アリーナという広い会場を舞台に彼女たちは動きまわる。
客席一人ひとりに自分たちを魅せるように、踊り、歌い、汗を流し、笑顔を振りまき、手を振る。
まるで本当にライブ映像を見ているかのような錯覚を生むほどの目まぐるしいカメラアングルで
1シーンたりとも目の離せないアリーナライブシーンを劇場スクリーンいっぱいに描写する
ファンの掛け声、ファンのサイリウムの描写も素晴らしく、
1瞬足りとも妥協をしていない最大限のアリーナライブを見せてくれる。

本当に残念なことに「1曲」のみだが、その1曲を素晴らしい物に仕上げてくれた
おそらく2曲や3曲にすることも出来た。
だが「1曲」フルで彼女たちのアリーナライブシーンを描くことで
大胆なカメラアングルや会場の見せ方、アイドルたちの細かい動きや表情の変化を
これでもか!と描き込み、これでもか!と見せつけてくれた。

全体的に見てこれぞアイドルアニメ、これぞライブシーンだ!というような作品だ。
TVシリーズから成長した彼女たちを後輩アイドルを出し対比することでより強く成長を実感させ、
成長したからこその彼女たちのセリフや行動の数々が光る。
昔の彼女たちを見ているかのような後輩アイドルの葛藤の数々と
その葛藤を受け止め「天海春香」としての答えを出す展開は
ライブシーンまでの感情移入を強く高めてくれた。
そして最後に過去に類を見ない「アリーナライブ」のシーンでアイドルアニメとして締めてくれた作品だ。

ただ欠点がないといえば嘘になる。
特に中盤からの後輩アイドルの葛藤はやたら長い(苦笑)
正直、「矢吹可奈」のキャラクターが面倒くさいと感じるほど葛藤が長く
葛藤した結果の「意外な姿」もめんどくさく感じる原因になってしまった。

ただ、そんな「矢吹可奈」を支えようとする「天海春香」の描写は素晴らしかった。
いや、何よりも中村繪里子さんの演技だろう。
おそらく中途半端な声優や演技力のない方ならば説得のシーンや
アリーナでのセリフが軽いものに感じられるだろう。
細かい感情の変化や心理描写を見事に演じられており、
「矢吹可奈」の葛藤はめんどくさかったものの、
めんどくさかったからこそ「天海春香」というキャラククターが輝いていた。

更に言うならキャラクターによってはセリフに差がある事だろう。
全員平等とは行かないのはTVシリーズからだが、キャラクターによってはセリフの量が少ないと感じる。
しかし、そんな少ないセリフの中でも成長を感じられるものだったり
セリフを喋っていなくても細かい表情の変化や何気ない姿で他のアイドルとともに描かれており、
喋っていなくとも存在感のあるアイドルとしてのキャラクター描写が際立っていた。

これは私個人に目に入ったポイントになるが、
「響」のメイクされているシーンだったり、ソファでいつもの髪型と違う姿で座っていたり、
美希がさりげなく春香にライバルとしての期待やセリフを問いかけるシーンだったり、
律子の一瞬のアイドル姿だったり、小鳥の妄想だったり(笑)
何気ないシーンの中でもキャラクターが際立ち、少ない描写の中で「輝いていた」と感じることが出来た
今作の主役はあくまで「天海春香」であるが、それを支える彼女たちの細かい描写も見所の1つだろう
もう1度見れば新たな発見があるかもしれない

この作品はTVシリーズがあってこその劇場版だ。
TVシリーズを見ずにこの作品単体だけ見ても感動やキャラへの感情移入は弱いだろう
TVシリーズから彼女たちの成長を見てきたからこそ
「劇場」という大きなスクリーンでアニメ、THE IDOLM@STERの集大成を見せてくれた作品だった

今から見に行こうか迷っている方はぜひ見に行っていただきたい。
ガチガチなファンのかたはすでに見に行っているはずなので言うまでもないが、
私のように「アニメでしかアイドルマスター知らない」&「グリマスなんてやってない」という
にわかアイマスファンでも思う存分楽しめた作品だ(笑)
逆にガチなアイマスファンのかたはキャラ描写の差や、グリスマスキャラが出ることで
アイマスキャラの尺が減ったしまったことで不満を感じやすいかもしれない。

本当にもう1回見たい作品だ
特にライブシーンは家でDVDではなく、劇場スクリーンでもう1度見たい。
アニメが好きなひとりとして、アイドルマスターというアニメが好きなひとりとして
あのアリーナライブは「劇場アニメ」として「アイマスのライブ」として、
もう一度見たいと感じさせるシーンだ。
このライブシーンを超えるアイドルアニメがいつか現れるのだろうか?
それとも「THE IDOLM@STER」自身がこのライブシーンを超えるライブを見せてくれるのだろうか?

THE IDOLM@STERの新規映画や2期をやるならぜひ見たい。
このライブシーンを超えるライブシーンをぜひ創りあげてほしい。
そう強く感じる最高のアイドルアニメだ

余談だが劇中映画のOVAが出ないか密かに期待している(笑)
あのカオスなストーリー展開やバトルシーンの激しさは
まじめに作られたら意外に面白そうだw

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください

  1. ベルキー より:

    YouTubeから来ました。この映画僕も好きです。僕の友達にアイマスガチ勢がいるのですが、そのひとのこの映画の見所は、アイーナでのライブシーンでは、よく見ると結構CGが使われているのですが、作画とCGのつなぎ目が余りにも自然すぎる所だと教えてもらいました。特に徐々にアングルが引いていく所とかは、わかりやすいです。長いコメントすいません。何が言いたいかと言うともっと楽にできたのかも知れないカットも妥協せずこのライブシーンを作り上げた製作陣に感謝が尽きないと言うことです。