伏見いなりは同級生の丹波橋紅司に片想いしているが、その想いをなかなか打ち明けられない日々を送っていた。ある日、いなりは宇迦之御魂神の御使いの狐・コンが川に落ちかけているところを助け、そのことをきっかけに宇迦之御魂神から変身能力を授かる。その日から、いなりは友人や神々の助けを得つつ、丹波橋との仲を縮めようと奮闘する。
京都弁の女の子は好きですか?
京都電鉄などのタイアップなども行われており、
京都が舞台の作品だ。
見だして感じるのは「方言」の可愛らしさだろう。
本作品の舞台は「京都」ということでキャラクターたちが京都弁をしゃべるのだが
コレが純粋に可愛い(笑)
アニメでよく作ったような大阪弁をキャラクター設定の1つとしてたまにあるが、
本作品の「京都弁」は方言指導がきちんと入っており自然だ。
その京都弁に「繊細に描き込まれた背景」が京都の雰囲気を醸し出しており
冒頭から「ぐぐっと」引き込まれる世界観だ。
そんな世界観の中で京都弁をしゃべるヒロインが一人の男子に恋心を抱いている。
ドジっ子といよりドン臭いヒロインに対しスポーツが特異という分かりやすい特徴の男子だが、
ストレートな女子の恋心の描写とわかりやすい恋愛対象、
更にその男子には明らかにヒロイン以外のキャラクターが好きそうと
最近のアニメといよりも90年台のアニメを彷彿とさせるような始まり方で
分かりやすいが重苦しい描写はなく、ストレートなキャラクター描写が
何の引っ掛かりもなくキャラクターへの感情移入を強め作品の世界観に浸ることが出来る
そんなヒロインの目の前に「狐」の神様が現れ「能力」をもらったことでストーリーが動き出す。
狐の神様からもらった能力はシンプルだ、狐の神様らしい「変化」の能力。
好きな人が好きな女子だったり、同級生の男の子だったり、
素直に好きな人と接することの出来ない恥ずかしがり屋なヒロインは
意中の相手と接するために変化し接したり、友人を助けるためだったり変化する。
そんな中でヒロインの可愛さや他のキャラクターの魅力がどんどん深まっていく。
ヒロインのウブかつ健気な魅力は物語のヒロインらしいストレートな魅力だ
そして狐の神様である「うか様」の魅力は予想外の魅力といえるだろう。
最初こそ威厳のある狐の神様のように見えるのだが、
「乙女ゲーム」をいつもプレイしてらっしゃったり、お見合いさせられそうになったりと
神様の威厳などどこへやらな神様だ(笑)
作品中の一人ひとりのキャラクターが「萌え」とは違う自然な可愛さを醸しだしている。
ストーリーにも「違和感」がない。
アニメ特有のわざとらしさや不自然さ、そういったアニメを見ている最中に感じやすい違和感を
この作品では感じさせず、自然なストーリーを展開しており
そこにストレートなキャラクターの魅力が出ていることで、
違和感なくすんなりとストーリーを自然に楽しむことが出来る。
特にヒロインの可愛さは顕著だ。
はっきりと好きな男子に告白することなどは出来ないが、
二人きりお祭りデートをしたり、劇の練習したり、
ウブで可愛らいい態度や表情の数々は本当に可愛らしい。
時折「顔芸」と言いたくなるほど表情が劇的に変わるのも魅力の1つだ(笑)
コロコロと表情が変わるヒロインは萌えとは違う小動物的な愛らしさを感じる。
そんなヒロインが少ない話数の中できちんと成長しているのを感じられる所も面白い。
序盤こそ彼女は「意中の相手の好きな人になりたい」事を神様に願ってしまった。
だが、中盤ではそんな意中の相手の好きな人が自分と同じよう願いを自分にぶつけてくる
自分と同じような彼女の願いを「神様からもらった能力」を使わずに自分なりに解決したり、
自分が無意識に使ってしまった力に罪悪感を感じたりと、
彼女の成長模様や心理描写がストレートに見ている側に伝わってくる。
ストレートなヒロインなだけに好き嫌いはわかれるかもしれない
更に恋愛要素。
1話からの続く「丹波橋」と「いなり」のなんとも純粋な恋愛の展開は徐々に徐々に丁寧に進み
きちんとした積み重ねと心理描写の中で丹波橋くんが「恋心」を自覚するシーンは
なんとも温かい気持ちになるシーンだ。
同時に神様である「うか様」とヒロインの兄である「燈日」の恋愛模様。
人間と神様という違いから最初はすれ違いが多かったが徐々に惹かれ合う様は微笑ましく。
「うか様」の可愛らしい表情で顔を真っ赤にする「燈日」は男でありながらある意味で萌えキャラだ(笑)
終盤の展開も全10話と言うことを考えればすっきりとした終わり方になっており、
2期があれば続きを見たい、逆になければ1期だけでもすっきりと楽しめる作品であり、
続きは原作でという角川アニメらしい内容に仕上がっている。
全体的に見て素晴らしい「雰囲気」アニメだったといえるだろう。
きっちりと描き込まれた神社や京都の背景、キャラクターたちの違和感のない京都弁、
そういった作品の雰囲気作りに、キャラクターたちの素直な性格と魅力があいまって
1話1話のストーリーが暖かく、時にはほっこり、時にはほろとさせ
ヒロインやうか様の恋愛描写も歯がゆさすら覚えるほど距離感の素晴らしい描写と積み重ねだ。
そして全10話という尺の中でひねりや癖がないストレートなストーリーを展開し、
最終話も少し寂しさの残る切なさを感じさせて終わらせてくれた。
ヒロインの同級生のキャラクターも癖がなく魅力的だ。
特にすみぞめさんのキャラクターは1話の印象からどんどん変わっていく、
中盤以降は「百合」要素を含む女性キャラとしてどんどん活躍し
ヒロインやうか様とは違った魅力を出している。
ただ全10話ということであっさり、すっきりしすぎているという点はある。
ヒロインやうか様の恋愛模様はかなりいいところまで行っているのに決着はついておらず、
終盤の展開ももっと序盤で「力を使う代償」を教えておけばよかったのでは?と感じる点もあり、
すっきりしすぎていることで逆に好き嫌いが分かれやすい。
しかしながらキャラクター、京都という舞台、ストーリー、
そのどれもが素晴らしい雰囲気が芯にある中で描写されており、
最初から最後まで「いなり、こんこん、恋いろは。」という作品の雰囲気を味わうことの出来る作品だ。
終わり方もこの続きが気になる方は原作でという感じで自然な原作宣伝にもなっている。
私も今読みたくて仕方ない(笑)
2期があるかどうかは微妙なところだが、あればぜひ見たい作品だ。
ただ1期の段階で1つの作品としてある程度綺麗にまとめており、
最終話の少し寂しい感じもこの作品の良さであるため
コレ以上続くと蛇足になってしまいそうな感じもある。
個人的には最初はそんなに魅力的ではなかった「墨染」さんが
中盤以降いっきに魅力的なキャラクターになっておりすっかりやられてしまった
彼女の恋模様も気になるところなので原作に今から手を出してみたいとおもいます
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