あと60分欲しかった
監督は川又浩、制作のアンサー・スタジオ。
見出して感じるのは「ほのぼの」した雰囲気だろう。
「ミカ」という5彩の少女を主人公に据えることで
彼女の小さい体がピョコピョコと動き回る様子が可愛らしく、
歳相応の「わがまま」な行動や言動が愛くるしく、
世界観にすんなりと入り込める。
ストーリー的にはありがちな導入といえるだろう。
休日にパパと海に行く約束をしたがパパは接待ゴルフが入ってしまいキャンセル。
海の代わりに「おうちプール」で楽しむミカちゃんだったが
やはりパパと遊びたかった、そんな彼女の前に「ジュジュ」が現れる
というところからストーリーが始まる
このあらすじから分かる通り
「女の子の妄想」のアニメ化のような内容だ。
浮き輪のジュジュが動き出し、夢の中で海へ行く、
ジュゴン式の泳ぎ方を教わりながらパパの代わりにジュジュと遊ぶ
コミカルで可愛らしい作画で柔らかいタッチでありがながら
「アニメーション」としての動きの面白さはきっちりとある。
ただストーリー的に妙に早足で描かれてしまっており、
あっさりと展開が変わっていく。
本来はジブリのように1時間や2時間の尺で描けそうな内容を
30分で色々な部分を省いて描いているせいか
早足ぎみのテンポになってしまっている。
話が進むとキャラクターもドンドンと追加されていくのだが、
トントン拍子で話が進む中でトントン拍子でキャラが増えていくので
ストーリー展開に必死についていくような感覚になる。
ミカちゃんの夢の中の不思議な世界観で話が展開し、
その中で唐突に「ミミカ様」という偉い存在が現れてパパとミカちゃんをいじめる。
急に現れてわがまま放題するため、せっかくそこまで馴染んでいたほんわかした世界観が
せせこましくなってしまい、現実の世界に戻る。
夢の中の話はなんだったと言いたくなるほど現実の世界でのストーリーに
あまり影響しておらず、話が終わってしまう。
全体的に見て30分という尺に対して設定やキャラが多すぎた感じが強い
女の子の夢の世界での壮大な冒険ファンタジーは
コミカルで迫力満載で描かれているものの、
序盤から中盤までのほっこりした雰囲気から終盤で急にせせこましくなり
物語が急に終わってしまった感じだ。
ただ「みかちゃん」という主人公のキャラクターが非常に愛くるしく
彼女の言動や行動が可愛らしい。
彼女のキャラクターがきっちり立っているからこそ
「父と娘」の関係性の描写がありがちではあるのだが
そのありがちな部分をじっくりと楽しめる。
だからこそ中盤のファンタジーな世界観でのストーリーが
目まぐるしく展開した割にはあまり本筋のストーリーに関わってきておらず、
夢の世界のキャラである「ミミカ様」などのキャラの必要性をあまり感じなかった。
90分位の尺があればもっと夢の中の世界観も広がり、
現実の世界との繋がりももっときちんと描けたかもしれないが、
30分という尺では足りなかったという印象だ。
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