サスペンス

棒立ち会話地獄「多数欠」レビュー

1.0
多数欠 サスペンス
画像引用元:©宮川大河/COMICSMART INC./多数欠製作委員会
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評価 ★☆☆☆☆(13点) 全24話

TVアニメ「多数欠」本PV 7/2(火)より放送開始!

あらすじ ある日、突如として全世界に向けて始まった「多数欠」。毎夜、人々が半数以下に死んでいくなか、首謀者の「皇帝」を倒すべく、実篤は仲間たちとともに立ち上がる引用- Wikipedia


棒立ち会話地獄

原作はGANMAで連載中の漫画作品。
監督は佐藤竜雄、制作はサテライト

OP

この作品はいわゆるデスゲームものだ、
多くの死者が出るようなシリアスな作品なのだが、
そんな作品のOPが無駄に明るく作品にあっていない。
普段OPやEDの曲に言及することはないが、流石に耳障りに感じるほど
OPの合って無さがすごい。

OPだけでなく、BGMやSEなどどこか間の抜けた音が非常に多く、
作画のクォリティもかなり悪い。
キャラクターデザインもふるさを感じるのだが、
コレに関しては原作が10年以上前から連載してる作品と考えれば
仕方ない部分はあるだろう。

だが、音の悪さと作画の悪さは別だ。
いわゆるモブキャラなどは色塗りすらされておらず、
頻繁なカットが目がチカチカするほどだ。
シンプルにアニメーションとしてのクォリティが低い。

そんなクォリティが悪い中で唐突にデスゲームが始まる。
親友を迎えに行くと親友は死んでおり、
親友だけでなく、多くの人が死んでいる。

街でも多くの人が死んでおり、
主人公が学校に行くと10名ほどしか生存者がおらず、
生徒会長が説明を始めるのだが意味がわからない台詞回しだ。

「結論から言うと何がなんだかわからない」

そのセリフは必要なのか?と思うような変な台詞が多く、
作画の悪さや演出の悪さも合って色々と引っかかりが生まれる。

多数決

謎の大量死の原因は多数決にある。

「今これを見ている?
 YES NO」

これに応えたものだけが生き残っている。
二日目の多数決で生徒会長がためしに明らかに多数派の
応えに投票した結果、あっさりと生徒会長が死ぬ。

「皇帝」と呼ばれる人物によるデスゲーム、「多数欠」が始まる。
生き残りによって質問が募集され1件が採用され、
その質問で多数派が死ぬ。
特権と権利と呼ばれる特殊な能力もあり、
最後まで生き残れば「皇帝」を謁見できる権利を与えられる。

主人公は速攻で「皇帝を倒す!」という目的が生まれており、
サクサクとした展開自体は悪くないものの、
サクサクとしすぎてはないについていきづらく、
いつ亡くなるかわからないから!とぽっと出のヒロインが
主人公の下の名前を呼び出したりもする。

主人公の学校の生徒が拳銃で生徒を殺しだしたりと、
状況の変化があまりにも早く、そんなシリアスな状況なのに
作画の悪さも相まってシュールなギャグにすら見える。

そうかと思えば主人公が死ぬ(苦笑)
1話の時点であまりにも怒涛の
展開すぎてちょっと話についていけない

生き返るんかい!

1話の時点でもキャラが多いのだが2話でも更に増え、
2話で主人公や死んだキャラが生き返る。
そうかと思えば別のキャラが死んだりと、
もうキャラも把握しきれていないため、誰が生きてて死んだのかが理解できない。

更に設定も増えていく、特権というものがでてくる。
質問の数が増えたりと色々と能力があるのだが、
ろくに説明もなく唐突に出てくるため、
もう話にシンプルについていけない。

特権の中にも拒否権や命令権など人間に対する強制力があり、
その代償として人体の一部などを捧げる必要があったり、
確保権というものを手に入れれば銃の弾をいつでも確保できたりする
魔法のような能力だ。

そういう権利自体がキャラクターとあわせてポンポンでてくる。
本来は細かい掘り下げや描写もあるのだろうが、
この作品はとにかく話を進めたがる。
そのせいで話についていけなくなる。

主人公の仲間の中で裏切り者は誰なのか、
皇帝は一体どこの誰なのかと、多数決を進める中で
話が進んでることはわかるのだが100%理解できないまま
話が常に進んでしまう。

このあたりは少し調べてみた所、
原作での説明パートをだいぶ端折っているようだ。
アニメだけだと説明が足りないのも当然だ。
端折られているからわからない(苦笑)

能力バトル

序盤の時点で多数決に関しては色々と試行錯誤して
少数派になるように仕組みつつ、特権による
能力バトルになっている。

裏切り者を追い詰めたかと思えば権利権というもので
なんかよくわからない青鬼みたいな化け物を召喚したり、
ジオングみたいなのが召喚されたり、もうなんでもありだ。
多数決により心理戦などほとんどない。

なにせ1話で死んでいた主人公の親友は
融合権というものを手に入れており死んだ両親の細胞を融合しており、
彼がもし多数決で多数派を選んでも、少数派の人の細胞を
融合すれば生き残るという、もはや意味不明な設定まででてくる。

キャラクターたちは必死に色々と策略をめぐらせるのだが、
唐突に死んだり生き返ったりジオングや青鬼がでてきたり、
色々な能力がでまくってるせいで本当に話についていけない。
なんとなく、ニュアンスで話を噛み砕くしか無い。

放送当時は原作者がtwitter上で解説ツイートを出すなどしているが、
原作者のTwitterを観なければ理解できないアニメに
価値はない。

収容所

序盤をすぎると収容所というキーワードがでてくる。
特権利という魔法のような力、
そんな力を多数欠が行われる前に持っている人物たちが居た場所だ。

収容所にいた人間は何かが欠落しており、
自ら以外を殲滅しようとしたり、自らを含む全人類を殲滅しようとしたり、
わかりやすく「悪」なキャラの目的を持っており、
収容所育ちのキャラは強い権利を持っている。

もはや多数決など誰もしていない、
セカンドステージになると多数決をするための
質問は特定のノートパソコンによってしか行えず、
質問さえ投稿しなければ多数決も開催されない。
ゆえにひたすら能力バトルだ(苦笑)

そんな能力バトルのなかでメインキャラが死んだりもするのだが、
掘り下げ甘いせいで、そんなキャラの過去回想とともに
死亡シーンを描かれてもなんの気持ちもわかない。
肝心のバトルシーンも作画が死んでるため
特に面白みもない。

バトルシーンの間には「実はこういう設定です」や
「こんな過去があります」などの説明台詞も多く、
キャラの掘り下げがきちんとしていれば
それも面白さになるが、カットの多さも合ってか
キャラの印象がろくにつかない。

主人公には実は自覚していないものの
子供の頃に腎臓をなくし特権をもっている。
そういった設定や伏線がわかってくると
ストーリー自体の面白さは伝わてくるのだが、
作画もどんどんひどくなる。

制作のサテライトは作画が悪いというイメージはなかったが、
この作品はシンプルに作画が悪く、
中盤くらいになると棒立ちでの会話のシーンも目立ちまくるのに
いろいろな権利の説明をひたすらしている。

権利に関しても多すぎる上に似たような能力も多いため、
名前が違ってちょっと違うみたいな権利があまりにも多い。
そんな権利による作戦を立てていざ動いても作画が死んでおり、
あっさりとキャラクターも死ぬ。

皇帝

1クールの終盤になると皇帝が出てくる。
皇帝によって特権利などの説明もされるが、
相変わらずキャラクターたちは棒立ちで会話をし続けている。
会話劇というのはアニメーション映えしないものだが、
それにしても動かない。

せっかく皇帝という存在がでてきたのに、
1話くらいで死ぬ(苦笑)
そうかと思えば主人公も死ぬ。ついでにヒロインと悪役の一人も死ぬ。

キャラクターの死というものに対する重み、説得力がなく、
ポンポン生き返るため、誰が死のうが生きようが心底どうでもいい。
1クールが終わると新キャラがでてきて第二章が始まるが、
新キャラが出てくると新キャラに対して色々と説明したり、
探り合いの会話劇が始まり、女王というものが現れる。

その間もずっと棒立ちだ。絵代わりがしないにもほどがある。
戦闘シーンになっても棒立ちなこともあり、
もはややる気を感じない。
新たな勢力である女王たちとの権利バトルが始まるが、
もうタイトルの多数決要素すら2クール目からはなくなる。

蘇生

1クール目の終盤で主人公もヒロインも皇帝も死んだはずなのだが、
皇帝は2クールの中盤くらいであっさり生き返り。
主人公とヒロインも終盤生き返る。
ついでに1クール目の序盤の方で死んだキャラも生き返る。
どいつもこいつもあっさり死んだり生き返ったりしすぎだ。

主人公など2回は死んでいるが2回生き返っている。
主人公はともかく「ヒロイン」などほとんど掘り下げがないため
別に死んでようが生きてようが心底どうでもいいのだが、
この作品はあまりにも「死」がかるすぎる。

そのせいでバトルシーンの緊張感が亡くなる。
死んでいようが生きていようが、命の価値が低いため物語の重みも軽い。
そのせいもあってどうでもいいいざこざバトルは本当に盛り上がらず、
色々と心理戦や頭脳戦を繰り広げていることはわかるが、
いつまでたってもキャラの掘り下げ不足のままで
ストーリーの盛り上がりも生まれない。

キャラクターの「死」というのは本来丁寧に描かないといけない部分だ。
そんな死を描いておきながら、あっさりと生き返り、
また死んだかと思えば生き返る。
この生死の描き方はギャグならば許されるものの、
それ以外のジャンルでは死の価値を貶める行為だ。

終盤になると女王側との戦いが激しくなり
主人公側のキャラもぽんぽん死んだりするが、どうでもいい。
どうせ生き返る。そう思ってしまう状況が生まれており
物語に入り込めない。

ちなみに本当に全員生き返る(苦笑)

説明説明

終盤になっても棒立ちで説明や会話劇が続く。
敵にはこういう事情がありました、実はこうだったんですというのを
キャラクターが棒立ちで話して、棒立ちで聞く。
もう全話にわたって棒立ちで会話し続けている。

棒立ちで会話しないと説明できないのかと思うほど同じような構図で
同じような絵代わりしない絵を終盤になってもひたすら見せられ、
ぽんぽんとキャラが死んでいく。
別に飛ばしてみても問題ないほど戦闘シーンに意味がない。

タイトルにもある多数決も開催してた皇帝が
多数欠によって大事な人を殺したことをしり、
多数欠をやめているため、もう多数欠は一切行われない(苦笑)

終盤になると終盤ですと言いたいのか、
雑に戦闘シーンが描かれ雑にキャラが死んでいき、
主人公とヒロインが最終決戦で生き返る。

皇帝も改心しており、最終的には時間を巻き戻している。
しかも記憶など都合よく残し、特権利などもきえ、
色々と振り出しに戻ったものの多くのものが生き返り、ハッピーエンドだ。
生き返るだけじゃなく、
時間も巻き戻すというのはもはやなんでもありすぎな作品だった。

総評:デスゲームなのに生き返ります(?)

全体的に観てシンプルにひどい作品だった。
多数決というものをデスゲーム的に取り入れるという要素は面白いのだが、
結局、多数決をやっていたのは1クール目の序盤くらいで、
あとはずっと異能バトルをしている。

その異能バトルが面白ければよかったかもしれないが、
ガタガタの作画で戦闘シーンに見応えなんてものはなく、
それ以外のシーンはキャラクターが棒立ちであーだこーだ
会話をしているだけのシーンばかりが続いてしまう。
作中の7割は棒立ち会話だった印象だ。

デスゲーム、異能バトルな作品なだけにキャラの死の描写もあるが、
ポンポン死んだかと思えばポンポン生き返り、
終盤もどんどん人が死に、結果的に全員生き返り
色々なことを無かったことに都合よくしてしまう。

とにかくキャラ数も多く、死んだり生き返ったりも激しいせいで、
誰が生きてて死んでるかをイマイチ把握しきれず、
この作品における命の価値があまりにも低く、
そのせいで、死んだ所で結局生き返るんだろうという気持ちが生まれ
バトルシーンも盛り上がらない。

ラストの展開もハッピーエンドなのはいいものの、
色々と都合が良すぎて終っている感じも強く、
この2クールはなんだったんだ…という感覚が残る作品だった。

個人的な感想:デスゲームモノ

デスゲームもアニメという媒体で様々な作品が生まれたが、
近年はヒット作に恵まれていない。
この作品もデスゲームというよりは異能バトルものであり、
本来はきちんと描けばもう少し面白くなりそうな部分もある。

原作にはある説明シーンを省いたりしているせいで、
アニメだけ見ると理解が追いつかず、かといって
それを知りたくて原作を読みたいともならない。
放送中は原作者がTwitterで補完していたようだが、
それをさせてしまったら終わりだ。

佐藤竜雄監督という大ベテランで多くの名作を生み出した
監督とサテライトという中堅どころの制作会社で
なぜこんなアニメが生まれたのか。
色々と謎な作品だった。

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