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中途半端な劣化GT「ドラゴンボール DAIMA」レビュー

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ドラゴンボールDAIMA アクション
画像引用元:©バード・スタジオ/集英社・東映アニメーション
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評価 ★★☆☆☆(35点) 全20話

アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」 孫悟空キャラクターPV / 2024年秋 展開!

あらすじ 主人公・孫悟空たちによる活躍によって魔人ブウは倒され、世界に平和が訪れた。一方、大魔界では暗黒魔界の王であったダーブラの死により、新たにキング・ゴマーが王へと即位した。引用- Wikipedia

中途半端な劣化GT

本作品はドラゴンボールのアニメシリーズ作品。
『ドラゴンボール超』以来6年ぶりのテレビアニメとなる。
監督は八島善孝、制作は東映アニメーション。
原案として鳥山明先生が本作に関わっている。

これまでのお話

ドラゴンボールといえば、日本では知らない人はいないくらいの有名な作品だ。
しかし、ドラゴンボール超自体は6年前であり、
最近の子供の中には知らない人も増えてきているだろう。
そんな子供や新規層を意識した「あらすじ」から本作は始まる。

最初のドラゴンボールのアニメをみた方なら
中盤から毎週のようにこれまでのお話として
先週の話を長々と振り返るのがAパートのお約束だったことを覚えているだろうが、
それを少し彷彿とさせる冒頭の説明だ(笑)

ドラゴンボールの説明、サイヤ人の襲来、孫悟空がサイヤ人であること、
恐ろしい敵が次々と現れたものの、仲間たちとともに戦い、
地球を守ったということが語られる。
そんな孫悟空たちに新たな脅威が迫っているところから
物語の幕があがる。

魔界

今作は時系列的に魔人ブゥと戦ったあとの話だ。
ドラゴンボール超などもあったものの、
その世界線とは違った世界線のストーリーを展開している。
魔界の王だったダーブラが死に、魔人ブゥが倒された光景を
目にしていた暗黒魔界の住人たちは、孫悟空に脅威を感じる。

懐かしい魔人ブゥ編のエピソードを令和の時代に
見れるのは感動を覚えるものの、
超もGTもなかったことにされるのは、やや疑問だ(苦笑)
ただ超に関してはインフレが凄まじかったため、
リセットしたことは正解だったのかもしれない。

ダーブラが死に暗黒魔界の情勢も変わり、新たな王も生まれた。
そんな新たな王が孫悟空たちを脅威に感じ、
地球の神龍に頼み孫悟空たちを「子供」にしてしまう。
大人だったのに子供になる、この作品はまさに
「ドラゴンボールGT」の路線だ。

子供

子供の姿になったメインキャラたちは可愛らしいものの、
同時に孫悟空以外の「声優」さんも変わってしまっている。
子供の声を演じるのが難しい声優さんが居るからこそなのか、
ドラゴンボールの「今後」を見据えた声優の変更なのかはわからないものの、
未だに子供の頃の悟空の声をしっかりと出せる野沢雅子さんに驚いてしまう。

子供の姿になったせいもあって戦闘能力も当然下がっている。
誘拐されたデンデを助けるため、元の姿に戻るためにも、
孫悟空たちは大魔界へとたび立つことになる。

大魔界という新たな設定の掘り下げ、
耳が尖っている種族は大魔界出身など新たな設定もたされている
一方で、子供の姿の孫悟空だからこそ下がった戦闘力を
補うために「如意棒」を携える姿など懐かしい姿も
見れるファンサービスもしっかりとある。

ただ孫悟空に同行するのが、孫悟空と魔界から来た新キャラと
界王神という組み合わせはいまいちテンションが上がらない。
ドラゴンボール超がZからの延長線のバトル路線ならば、
この作品の場合はドラゴンボールGTからの冒険路線にしたいのはわかる。

だがドラゴンボールGTの場合は、孫悟空とトランクスとパンという
組み合わせだからこそ盛り上がった部分もある。
界王神と新キャラという組み合わせはいまいち盛り上がりにかけてしまう。

大魔界

3話になると、ようやく魔界に行くことになるのだが、
そこに行くまでも長い。
孫悟空たちが居る地球とは別の宇宙にある大魔界にいくためには
ワープという存在に頼み暗証番号をいってワープさせてもらい、
なおかつ大魔界も3つの層に分かれており、孫悟空たちは最上層からスタートだ。

冒険させるためのお膳立てが非常に回りくどく、
GTのように地球を助けるために宇宙に散らばったドラゴンボールを
集めるという壮大な設定に比べると、
ただただ回りくどいだけの設定に感じてしまう。

GTの場合は色々な星を回るからこそ絵面にも変化が生まれたが、
この作品の場合は層はかわれど大魔界という場所は変わらない。
だからこそ徐々に飽きが生まれてしまう。

子供の姿になった孫悟空の姿だからこその
コミカルな戦闘シーンは素晴らしく、
肉をくわえながら一騎当千する姿は懐かしさも感じ、
ドラゴンボールZや超にはなかった懐かしい雰囲気は
この作品らしい面白さを作り出してはいるものの、テンポが悪い。

テンポ

大魔界にいったかとおもえば目的地までは遠く、更に飛行機まで盗まれる。
大魔界の空気は重く、舞空術も気軽に使えない。つまり「徒歩」である。
その最中に魔界の生物に襲われたり、トラブルに合ったりと、
グダグダとストーリーを展開しており、盛り上がりが薄い。

RPGでいえばメインクエストではなく、
寄り道なサブクエストばかりが描かれる印象だ。
移動して、途中で敵と戦って、何かを食べて、
また移動して…これの繰り返しだ。

この敵自体も雑魚敵が多く、
初期のドラゴンボールのようなユニークな敵もおらず、
子供になってるとはいえ孫悟空の強さのせいもあって特に苦戦もしない。
戦闘シーンのアニメーションは素晴らしいものの、
シチュエーション的に盛り上がりを感じない。

大魔界には「仙豆」のようなものや
「くっつき虫」というポタラやフュージョンのようなものができる
「虫」が都合よくでてくるものの、特にそれが使われることもない。
だったら、そのシーンは必要だったのか?と思うような要素だ。

途中でパンジというキャラも追加されるものの、
5話になっても6話になっても盛り上がりが薄い。
これで4クールくらいの作品ならば、テンポの悪さも
そこまで気にならなかったが、2クール、しかも全20話という
微妙な尺故に制作側も考えあねいた結果なのだろう。

これで1クールなら冒険譚部分をもう少しコンパクトにして
テンポも上げられる、逆に4クールあれば冒険譚部分を
もっと盛り上げるようにエピソードを積み重ねられるが、
全20話という中途半端な尺故にどちらにもできずに、
テンポの悪さだけが残ってしまっている印象だ。

特に6話くらいまでは話が進んでるようで進んでいない。
6話では子供の姿のままで超サイヤ人になり模擬戦を行ったりと
一瞬盛り上がりが生まれるものの、
6話くらいまでの内容を3話くらいまででやってほしいと思うほど
グダグダしてしまっている。

特に飛行機トラブルに関してはいい加減にしろと思うほどだ。
飛行機で魔界にいったかともえば、飛行機を盗まれて、
新しい飛行機を手に入れたかと思えば壊されて、
新しい飛行機をまた手に入れてと飛行機に振り回されすぎだ。

タマガミ

大魔界にも大魔界のドラゴンボールがあるものの、
強力な守護者のような存在が守っている。
中盤になると、そんなタマガミとの戦闘シーンが描かれる。

この戦闘シーンのクォリティ自体は非常に高く、
それまでの雑魚敵に比べて強敵であるがゆえに戦闘シーンも盛りあがるが、
敵のデザインが完全にロボットであり、いまいち強敵感が薄いものの、
魔人ブゥの破片が回収され魔人クウが生まれたりと、
終盤に向けての盛り上がりにつなげている。

ただ、その裏でベジータやピッコロたちも大魔界に
訪れるのだが、また飛行機を盗まれる。
飛行機を盗む、手に入れるという展開をこすりすぎだ。
中盤になっても飛行機が壊れて…という問題を繰り返しており、
いいかげんにしろと思うほどこすり倒す。

それだけでなく、細かいイベントや別にいらないと感じる
サイドクエストが多く、せっかく盛りあがる展開になっても
すぐにまた盛り上がらない展開になってしまう。
せっかく生まれた魔人クウも特に強くない。

そういうダレる展開がある一方で
「ベジータ」の「超サイヤ人3」など
今作ならではの魅力のあるシーンはあるものの、
そういう盛りあがるシーンに対してダレる展開が多い。

そもそも小さい体で弱体化しているという設定だったはずなのに、
超サイヤ人だけでなく、超サイヤ人3にまでなれるのは
パワーバランス的にどういう状態なのかいまいち飲み込み難い。

そういったパワーアップ展開があって盛り上がりは生まれるのに、
その次の話では大魔界の巨大生物相手に苦戦しており、
パワーバランスの設定がいまいちなうえに、
盛り上がらない戦闘シーンや展開が多すぎる印象だ。
ギニュー特戦隊のパクリのようなキャラもでてきたりするが、特に意味はない。

終盤

終盤になるとバトルシーンも過激化してくる。
魔人ブゥのかけらから生まれた魔人との戦いなどもあるものの、
そんな戦いを邪魔してくるのがパワーアップした大魔界の魔王だ。
きちんと魔人との戦いを見たかったのに中途半端なところで介入される。

このパワーアップした魔王の姿もデザインとして微妙であり、
過去のボスキャラ的存在と比べると拍子抜けだ。
戦闘シーン自体のクォリティは高く、魔人やタマガミ、
仲間たちと協力して大魔王に挑むという展開自体は悪くないのに
デザインのせいでいまいちしまらない。

小さな孫悟空の超サイヤ人3など本来はテンションの上がる展開なのに、
敵の姿がふざけているせいもあって、
本来ならば盛りあがるところの盛り上がりが欠けてしまっている。
これで相手がジャネンバなどの姿ならば盛りあがるのに、
敵のデザインのせいで盛り上がりに欠けてしまう。

超サイヤ人3で一瞬は圧倒したものの、
大魔王も更にパワーアップするのだが、
パワーアップしても見た目の変化がない。
セル、フリーザ、魔人ブゥ、ジャネンバ、敵が強くなると
変化しスマートな姿になるからこそかっこよく、
盛り上がったんだなと感じてしまう。

超サイヤ人4

今回のボスともいえる大魔王はパワーアップして巨大化したあとに、
更に強くなっても同じ姿のままだ。
それなのに孫悟空だけは超サイヤ人3、そして超サイヤ人4になる。
孫悟空の姿はかっきょく、ドラゴンボールが好きな人にとっては
盛りあがる展開なのに敵に魅力がないのが本作の最大の欠点だ。

孫悟空のパワーアップはともかく、敵のパワーアップも
すごいアイテムの力を引き出してるだけであり、
孫悟空の力に呼応するように見た目が変わらずパワーアップしていくため、
せっかく孫悟空がパワーアップしたのに見せ場が少ない。
まるでRPGで自分のレベルに合わせて敵のレベルも自動調整される感覚だ。

超サイヤ人4というある意味、反則な姿まで見せているのに
盛り上がりに欠けてしまうというのはすごい。

最後もギャグ落ちで終わり、そのあたりは
鳥山明先生らしさを感じる部分があったものの、
色々なところが中途半端なあつかいで終ってしまう作品だった。

総評:DAN DAN 心離れてく、この悲しい作品に

全体的に見てドラゴンボールGTのような作品にしたいという
気持ちはわかるものの、2クール全20話という尺の中途半端さも
あいまって作品全体が中途半端になっている。

序盤の冒険譚部分も4クールならテンポが悪くても気にならないが、
2クール全20話という短い尺では寄り道ばかりしている印象で、
その寄り道が面白いわけでもなくグダグダしており、
「飛行機」問題を何度も何度もこすり倒すのは流石に厳しいものがある。

序盤から中盤までで色々と伏線のようなものをばらまいており、
例えば序盤ではヒュージョンするためのアイテム、くっつき虫というものが
でてきていて、魔人ブゥのかけらから生まれた存在が2ついたりと
「終盤」で起こりそうな展開を予想させてくれる要素がある。

しかし、魔人クゥーと魔人ドゥ、
この2体も結局なんだったのか?というようなキャラでしか無く、
孫悟空たちとのバトルも中途半端に終わり、合体もしない。

フュージョンするためのアイテムである「くっつき虫」も、
でてきたのに使われない(苦笑)
超サイヤ人4まででてきたのに、フュージョンするアイテムもあるのに、
フュージョン市内で終わるという展開は肩透かしでしかない。

明らかに必要のないキャラクターも多く、
本来は4クールくらいの予定の作品を2クールにしたかのように、
1つ1つの要素が中途半端にしか使われず、
結局なんだったの?という要素があまりにも多い。

もしかしたら本来は4クール予定だったのかもしれないが、
4クールだったら、序盤の冒険譚も中盤からの戦闘も、
終盤の展開も、もっと盛りあがる展開があったかもしれない。
そう感じてしまうほど、ありとあらゆる要素が中途半端な作品だった。

個人的な感想:GT

作画のクォリティは本当に素晴らしく、戦闘シーンだけ
抜き出してみると悪くないのだが、
それがストーリーの中に落とし込まれると盛り上がりに欠ける
シーンになってしまう。本当に惜しい。

ドラゴンボールGTも色々な問題はあったが、
かつての強敵の復活や、最終回など印象に残ってるシーンも多かった。
しかし、この作品にはそれがない。
やってることはGTでやったようなことばかりだ。

セリフや展開など色々とドラゴンボール自体の
セルフオマージュのようなシーンも有るのだが、
それが効果的に作用してるとも言えない。

段階的に超サイヤ人を見せるシーンなど、
あれは魔人ブゥに対する時間稼ぎもあったからこその
段階的な変化だ。しかし、今作でそれをオマージュしているものの、
特に時間稼ぎが必要なシーンではない。

テンポの悪さに関してはドラゴンボールアニメの伝統ともいえるかもしれないが、
それを指しておいても盛り上がりに欠ける展開の数々は
本当に残念でならなかった

やや続編を匂わしている部分もあり、
劇場版などドラゴンボールの今後の展開もまだまだ有りえるかもしれない。
だからこその「新声優」のお試しなどもあったのかもしれない。

鳥山明先生もなくなり、ドラゴンボールという作品が
アニメで今後どう展開していくかはわからないが、
劇場版などが作られ、この作品の不満点が解消されることを願いたい。

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