どうもみなさん、今回は「魔法少女」アニメについてのアニメコラムになります。
世代によって魔法少女に対するイメージは大きく違い、
今の10代から60代まで、多くの人が子供の頃から
「魔法少女」というものと
接点があるのが今の日本人かもしれません。
そんな偉大なる魔法少女アニメを振り返りつつ、
魔法少女アニメとはなんなのかを考えていきたいと思います。
いつものように長いコラムになりますので、
お時間のある時にお読みいただければ幸いです。
戦わない魔法少女
そもそもの魔法少女というものはなんでしょうか。
ざっくりとしたイメージだと杖をもった女の子が変身して
きらびやかな衣装を身にまとい魔法を使って悪いやつと戦う、
そんなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
魔法少女は大きく分けて2つ流派があります。
魔法少女のアニメの起源とも言えるのが「魔法使いサリー」です。
1966年に放送された本作品は魔法の国のプリンセスが人間界にやってきて
魔法で人助けをするという作品でした。
このサリーちゃんに関しては生まれ持った魔法少女です。
いわゆる純血種ですね。
一方でもう1つの起源ともいえるのが「ひみつのアッコちゃん」です。
この作品の場合は「鏡の精」から魔法のコンパクトをもらった主人公が
魔法で変身して人助けを行います。
人助けという部分は変わらないのですが、
この初期の魔法少女によって2つの流派が生まれます。
サリーちゃんの系譜である純血種と
アッコちゃんの系譜である非純血種です。
人助けをするというフォーマットや、
当時の時代背景から「女の子」に向けた作品が多い時代でした。
この時代はあくまでアニメは子供が見るものという考えがあり、
いわゆるホビーアニメ的な要素として変身グッズなどを
販売するのが目的の作品も多かった印象です。
東映が手掛ける魔女っ子シリーズ、
スタジオぴえろが手掛ける魔法少女シリーズと
主な制作会社も2つに分かれており、
1966年頃から1990年に至るまで1年に1本は魔法少女アニメがある時代でした。
今でこそ製作されるアニメの数は多いのですが、
当時の制作数を考えれば魔法少女アニメブームが起こっていたことを感じさせます。
「キューティーハニー」も魔法少女アニメと捉えられることもあるのですが、
個人的にはキューティーハニーはちょっと違うかなと感じています。
あくまでハニーはアンドロイドですしね(笑)
元祖とも言える2作品で魔法少女というのが
ある程度定義づけられ、2つの流派が生まれ、
その後に多くの魔法少女アニメが生まれることになりますが、
この時代の魔法少女アニメは「子供」、特に「女の子」の
憧れと言うなの夢を詰め込んだ作品でした。
戦う魔法少女
そんな「子供向け」な魔法少女アニメが変わるきっかけだったのが
美少女戦士セーラームーンです。
変身する女の子が5人いて、悪い奴と戦う、
要素としては「戦隊もの」を魔法少女アニメに導入したことで
大ヒットした作品でした。
セーラームーン以前は子供向けだった魔法少女アニメという
ジャンルが、子供だけではなく大人もこっそり楽しむ
ジャンルの1つになりつつあり、
小さな子供だけでなく大きなお友達のファンも獲得することで、
今もなお多くのファンがいる作品なのがセーラームーンです。
セーラームーンの影響が非常に大きく、
戦隊ものを掛け合わせたことで「人助け」という
平和的なストーリーが多かった魔法少女が
バトルものへとシフトしていく流れが生まれます。
シフトしていくさなかで
「おジャ魔女どれみ」など初期の魔法少女アニメの
プラットフォームらしい王道の魔法少女もヒットしており、
1990年代というのは多種多様な魔法少女アニメが混合し、
多くの名作が生まれた時代でもありました。
特に「カードキャプターさくら」は
多くの人を「オタク」の道に引きずり込んだ名作といえるでしょう。
特に主人公が毎回「衣装」が変わるというこだわり具合や
単純な恋愛要素だけでなはなく、年の差や同性愛要素まで
盛り込んだオタク要素の強い作品でした。
そんなカードキャプターさくらにも戦闘要素があり、
セーラームーンから魔法少女はシンプルに人助けではなく、
何かと戦うのがデフォルトになりつつありました。
「おジャ魔女どれみ」や「Cosmic Baton Girl コメットさん☆」、
このあたりの作品を最後に戦わない魔法少女アニメは衰退し、
「ふたりはプリキュア」で完全に魔法少女といえば
戦うものというイメージが定着したような印象があります。
深夜な魔法少女
2000年代に入ると深夜アニメが盛り上がってきます。
当然、魔法少女というジャンルも深夜アニメに殴りこんできます。
その中でもやはり印象的なのは「魔法少女リリカルなのは」でしょう。
戦う魔法少女アニメという90年代後半からの要素を取り込みつつ、
深夜アニメ的な萌え的要素、勧善懲悪ではないストーリーと
ど派手で熱いバトルシーンは子供向けではなく、
完全に大人向けの魔法少女アニメとして君臨しました。
さらに魔法少女という要素が世間一般として
浸透したからこそ
「撲殺天使ドクロちゃん」や「大魔法峠」といった
いわゆるギャグアニメも放送され始めます。
こうやって振り返っていくと非常にわかりやすいのですが、
「魔法少女」というジャンルは時代ごとに、
その時代らしさを吸収しつつ、その年代を代表するような
作品が生まれながら多くの作品が生まれていく
ジャンルの1つなのかもしれません。
残酷な魔法少女
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「まじかるカナン」「もえたん」「ストライクウィッチーズ」、
そんな深夜アニメらしい、オタクっぽさの詰まった
魔法少女アニメが多く生まれ煮詰まりに煮詰まり、
2010年代に突入して生まれたのが「魔法少女まどか☆マギカ」でした。
マスコットキャラに魔法少女になることを誘われるものの、
主人公はなかなか魔法少女にならず、
何か怪しげな雰囲気が漂いながら魔女との戦いが描かれ、
そして3話でメインキャラが衝撃的な死に方をします。
主人公にとって残酷ともいえる展開が次々と起こり追い詰められていく。
この2010年代を代表するアニメが生まれたことで、
魔法少女というジャンルに新たな方向性が生まれました。
「結城友奈は勇者である」「魔法少女育成計画」
「魔法少女サイト」「魔法少女特殊戦あすか」など
シリアス要素やゴア表現を強めた作品が多く生まれていきます。
ただ、このゴア表現強めの魔法少女アニメブームは
そこまで長く続かなかった印象があります。
「魔法少女まどか☆マギカ」が2011年に放送され、
「魔法少女特殊戦あすか」が放送された2019年以降は
こういった要素の強い魔法少女アニメは制作されていません。
確かに刺激的な要素ではあるものの、
刺激的であるがゆえにマンネリになるのも早かったのかもしれません。
この時代には「美男高校地球防衛部LOVE!」や「魔法少女 俺」など
女性ではなく男性が魔法少女ならぬ魔法少年になるという作品も生まれており、
魔法少女の多様化が一気に広まった時代かもしれません。
迷走する魔法少女
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2010年代はそんなシリアスな魔法少女アニメがブームでしたが、
2020年から今に至るまで「これ」という時代を代表するような
作品は生まれていないような気がします。
はやりつつあるのかな?と感じるのは
「まちカドまぞく」「アクロトリップ」「魔法少女にあこがれて」など
主人公が「魔法少女」ではない魔法少女アニメという
逆転の発想な作品が増えています。
主人公が魔法少女ではなく、魔法少女にとっての敵。
そんな敵の目線で魔法少女を描く面白さは三者三様にあります。
特に「魔法少女にあこがれて」はそんな逆転的発想に
「エロ」を追加しています(笑)
アダルトなアニメのおいては魔法少女が
そういった目に合うことは多いのですが、
一応は地上波の普通のアニメでセクシー要素を強めにしているというのは
かなり刺激的な作品に仕上がっていました。
そういった鮮烈な印象を受ける作品もあることにはあるのですが、
第一次魔法少女アニメブームに生まれた「サリーちゃん」や「アッコちゃん」、
第二次魔法少女アニメブームに生まれた「美少女戦士セーラームーン」や
「プリキュア」、
第三次魔法少女アニメブームに生まれた「魔法少女まどか☆マギカ」のように、
ブームを引き起こすほどの作品は生まれていないようなイメージです。
2020年代もそろそろ折り返しを迎えつつあり、
そろそろ、なにかブームを巻き起こすような魔法少女アニメが
生まれることを1オタクとして期待したいと思います。
時代と共に生きた魔法少女アニメ
こうやって振り返ってみると「魔法少女アニメ」というものは
時代ごとの特徴がしっかりとあり、
その時代に流行っていた要素を吸収したような作品が生まれ、
その時代を代表するようなアニメが生まれていくジャンルです。
世代ごとに印象に残っている魔法少女アニメは違うと思います。
私個人としては魔法少女アニメといえば
「カードキャプターさくら」であり「おジャ魔女どれみ」ですが、
私より上の世代の人たちはまた違うでしょうし、
世代や性別、個人個人によって何かしら1つは
思い入れのある魔法少女アニメがあると思います。
それが魔法少女アニメというジャンルの偉大さを感じる所でもあります。
見る人の心にいつまでも残る、子供時代に見たからという
部分もあるのかもしれませんが、そんな思い入れのあるアニメの
1つになりやすいのが魔法少女というジャンルの特徴でもあります。
その時代らしさ、その時代の雰囲気、その時代に流行っている要素、
魔法少女というジャンルは「進化」していきながら、
ときおり王道に回帰するような作品も生まれつつ、
多くの人に愛されるジャンルになっています。
アニメ業界の変化、ターゲット層の拡大など、
アニメ業界そのものの歴史を魔法少女アニメで感じる所もあり、
アニメは子供向けという認識から深夜アニメが増えたことによる
視聴者層の拡大による作風の変化や放送作品の増加による多様化など
日本のアニメの歴史そのものを感じるられる部分もあります。
子供向け、いわゆる女児向けの魔法少女アニメとしては
「プリキュア」シリーズ一強の時代が長く続いていますが、
「プリンセッション・オーケストラ」という作品が
4月からプリキュアと同じ日曜朝アニメに殴りこんできています。
2020年代を代表する魔法少女アニメは
今のところまだ生まれていませんが、
あと5年のうちに何かとんでもない
魔法少女アニメが生まれるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。