ファンタジー

奇跡の闇鍋「魔王2099」レビュー

3.0
魔王2099 ファンタジー
画像引用元:©2024 紫大悟・クレタ/KADOKAWA/魔王2099製作委員会
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評価 ★★★☆☆(57点) 全12話

『魔王2099』2024年秋放送|ティザーPV

あらすじ 定命と不死の覇権をかけた不死戦争での最終決戦において魔王ベルトールは、勇者グラムに敗れ滅びを迎えた。引用- Wikipedia

奇跡の闇鍋

原作はライトノベルな本作品。
監督は安藤良、制作はJ.C.STAFF

勇者と魔王

1話冒頭、この作品の世界観の「過去」が語られる。
命に限りがある種族と、不死の種族、
両者が争い、勇者と魔王が戦い、魔王が負けて終わる。
ありがちなファンタジーの物語、どこにでも転がっている話だ。

だが、この作品は「その後」が描かれている。
勇者に負けたはずの魔王は500年の月日を経て復活する。
世界を支配しようとした矢先に、そんな世界がほろびている(笑)
別次元の世界と融合してしまった結果、戦争も何度もあったものの、
魔法文明の世界と、機械文明の世界が融合した結果、
技術が発展し、我々の世界の近未来のような世界になっている。

非常に面白い設定だ。
いかにもなファンタジーな世界観から、1話の冒頭であっさり
「サイバーパンク」な世界観、SFへと世界観が一気に変わってしまう。

だが、同時にファンタジーでもある。
オークなどの人外種も存在し、魔法も存在しているが、
機械文明と融合した結果、町中での大魔法の使用は禁止され、
「不死者」は差別、駆除対象になっている。

そんな世界で主人公、魔王の配下はほとんど散り散りになっており、
かつての四天王的存在の六魔侯も一人は裏切り、4人は行方不明であり、
たった一人しか彼のそばにいない。
500年という月日の経過、2つの次元が交わった世界、
主人公にとっての「常識」が通用しない。浦島太郎状態だ。

それどころか「力」も落ちぶれている。
機械文明と交わった世界で魔法技術も発展しており、
そんな技術をつかえない魔王はかつての部下にすら、
町中のチンピラにさえあっさり負けてしまう。

1話は淡々としているが、きちんと基盤となる世界観を
説明しており、2話以降、ここからどうなるかという
期待感をしっかりと感じさせてくれる。

ほとんどの部下を失い、富も名声も失い、知識も力も失った。
それでもたった一人の部下だけは、
500年のときが過ぎようと、世界が変わろうと、
彼のために尽くしてくれた。

そんな彼女のために、彼は再び「魔王」として君臨しようとする。

変化

魔王は現状を理解し、時代の変化を肌で感じ、
「今」をなんとかしようとする。決して世界征服を諦めたわけではない、
未来につなげるために今の努力が必要だ。
そのために恥も外聞もなく、彼は仕事につこうとする。
本当に丁寧なストーリーだ。

500年前の知識しかなく、ファミリアという
この時代に欠かせない機械を彼はつけることができない、
そんな中でなにをするのか。

Youuberである(笑)
1話で世界観が逆転したかと思えば、2話でそんな世界を
更に変化させる、激しいアニメーションやとんでもない展開などは
少なく、刺激的なシーンなども少ないのだが、
この展開の転がし方が愉快だ。

魔王が下の力を取り戻すためには信仰心、知名度が必要だ。
確かにYouTuberというものは成功すれば
とんでもない知名度と信仰心を得ることができる。
500年前の魔王が現代でYouTuberをする、
もはや意味のわからない展開なだけに先が一切読めない。

ややご都合主義ではあるものの、
不死者であるがゆえに時間の経過が早いという部分はあり、
あっという間に登録者が100万人に到達する。
あくまで配信業は信仰心をえる目的であり、
そこは重要ではないからこそ描写もサクっとしている。

展開自体もコロコロと毎話のように変わり、
ファンタジーからサイバーパンクになり、
YouTuberをやりだしたかと思えば、「勇者」と再会する。

勇者

勇者は魔王を倒した結果「不老」の存在になり、
現代でも生き延びている。
だが、魔王と同じく勇者の存在はこの世界では不要なものだ。
500年という月日、世界の変化に勇者はついていけていない。

しかし、魔王は違う。
この世界に、この時代に順応し、登録者100万人の魔王として
4話の時点で力を取り戻しつつある。
友のために力を使い、ヤクザと戦う姿はもうなんでもありだ。

ヤクザが持つパワードスーツ相手に500年前の魔王が挑む。
サイバーパンクな世界であり、魔法の世界である
この作品らしい「戦闘シーン」をきちんと見せてくれる。

魔王の友に依頼をしたものは殺され、
依頼人が探していたものの中には「不死者」のリストがある。
4話からサイバーパンクもののゲームをやっているような感覚だ。
なぜ不死者は迫害され、狩られたのか。
序盤の伏線がきちんと中盤で生きてくる。

500年という月日の変化に勇者と魔王が適応し、
現代で己の存在意義を確立しようとする。
なくしたものは大きい、だが、それでも魔王であり勇者だ。
己の存在意義のために、魔王であり、勇者であるからこそ、
彼らは手を取る。

かつては敵として戦った魔王と勇者が500年の時を経て手を組む。
この時代に勇者も魔王も必要ない、存在意義を失った
「勇者」を魔王は「勇者」と呼んでくれる。
魔王がいるからこそ勇者がいる、勇者がいるからこそ魔王がいる。
互いの存在そのものが互いの存在意義になる。

魔王

魔王が魔王である理由、それは圧倒的強者であり、
不死者たちの王だからこそだ。
圧倒的な力をもっていた500年前、そんな500年前に
勇者との激闘の末、敗れた。

勇者しか知らない真の姿、ファンタジー世界における
「ラスボス」だからこその「第2形態」には思わず笑ってしまう(笑)
確かにファンタジー世界においてラスボスが第2形態を
もってることがあるあるだ、そんなあるあるを
この作品ではきちんと取り込んでいる。

アニメーションのクォリティは最近のアニメとしては
やや物足りない部分はあるものの、
魅せるところは魅せる、メリハリのあるアニメーションがしっかりとあり、
サクサクとしたテンポで進むストーリーが心地良い作品だ。

秋葉原

中盤をすぎると行方不明になっている仲間を探すために
「秋葉原」に行くことになる。
この世界では新宿や秋葉原など都市ごとに国家が存在している。
そんな秋葉原は魔法国家のようなもので、
魔法を学ぶための学園が存在している。

1話冒頭でファンタジーな世界からSFな世界にいき、
中盤でSFからファンタジー世界にきりかわり、
中盤からはファンタジー世界のストーリーを描いている。
この2つの世界を自由に切り替えて描けるのが
この作品の魅力でもある。

このファンタジー世界になると、
ある意味「なろうっぽさ」をわざと出している感じがある。
魔力を図る装置をぶっ壊したり、魔法学園で貴族や、
イキった男性キャラがいたり。

そんななろう的なファンタジーな雰囲気を魔王である主人公が楽しみつつ、
それと同時に「秋葉原」の電気街というサイバーパンクな雰囲気も
同時に楽しんでいる。

女神

ただ、この秋葉原編は尺の問題か、
序盤から中盤に比べると駆け足になっている感じが強い。
原作の1巻が1話から7話まで、原作の2巻を8話から12話までと
尺の使い方もアニメでは違っており、そのあたりの影響を
如実に感じる部分だ。

しかし、女神の復活からのバトルシーンは熱く、
ややテンポの速さは感じるものの
1クールの終盤の盛り上がりどころをきちんと作っており、
1クールの区切りも生まれている。

色々と残っている要素もあり、
魔王の配下の一人が洗脳されさらわれたままの状態で
終わっているなど気になるところはあるものの、
この作品らしい面白さをしっかりと感じさせてくれる作品だった。

総評:魔王で浦島太郎でYouTuber!?

全体的に見て色々な要素がてんこ盛りな作品だ。
魔王と勇者が戦ったあとの世界、ファンタジーな世界でありつつ、
同時に別の次元の世界が融合したことで機械文明が入ってきたことで、
魔王が蘇った500年後の世界はサイバーパンクになっていて、
そんな世界で魔王様がYouTuberをやる。

この一見、散漫とも言える要素をこの作品はうまくまとめており、
魔王の力の裏付けとしての信仰心をYouTubeの登録者数に見立て、
ときにサイバーパンクに、ときにファンタジーにと
世界観を切り替えながら進むストーリーが素晴らしく、
それが飽きさせない要素にもなっている。

魔王と勇者、500年後の世界には不要な存在の二人が
互いを求めることで存在を確立する。
1話から7話までのストーリーの流れは素晴らしく、
メリハリのきいた戦闘シーンも見ごたえが生まれてる。

ただ、その一方で終盤の秋葉原編はやや駆け足になっており、
色々と放置してる要素も多く、
戦闘シーン以外の作画はやや不安定なのも気になるところだ。

2期があればこのあたりの要素が回収されながら
ストーリーが進んでいくんだろうなと感じる部分もあり、
2期があれば期待したいところだが、
今のところ、何のお知らせもなく、
いつか2期をやることを期待したい作品だ。

個人的な感想:いかにもな

タイトル的になろう系のような作品なのかなーと
思って見始めたのだが、意外と斬新な世界観が面白く、
ラノベらしい要素もありつつ、うまく作品としてまとめている。

魔王と勇者、この二人がきちんとキャラ立ちしており、
そこにヒロインも魅力的に存在することで
ドラマをきちんと見せてくれている作品だ。

アニメ放送中も盛り上がった感は薄い作品だったが、
ぜひ2期の製作を心待ちにしたいところだ。

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