映画

30年ぶりの同窓会「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」レビュー

3.0
劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師 映画
(C)尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会
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評価 ★★★☆☆(59点) 全90分

あらすじ タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった土井先生が消息を絶った。山田先生と6年生が捜索を開始する一方、担任不在の1年は組では、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門と尊奈門が教壇に立つことに。引用- Wikipedia

30年ぶりの同窓会

本作品は忍たま乱太郎の映画作品。
忍たま乱太郎としては3作品目となる劇場版だ。
監督は藤森雅也、制作は亜細亜堂

ミリしら

はじめに断っておくと、私は忍たま乱太郎に関しての知識があまりない。
子どもの時に忍たま乱太郎の放送自体は見ていたものの、
大人になってからは放送が続いていることは知っているものの、
忍たま乱太郎を見る機会はなかった。

原作漫画自体は終了しているようだが、
アニメ自体は1993年に始まり、30周年を迎えている。
クレヨンしんちゃんのほうが1年先輩であり、
名探偵コナンは3年後輩だ。それだけ歴史ある作品であり、
映画はこの作品含めて3作品しか無いのは意外ともいえる。

忍たま乱太郎は女性人気も高く、
特にミュージカルなどは、いわゆる2.5次元舞台として
テニプリのような人気があるということは話には聞いていたものの、
それくらいだ。

30年くらい前にちょこちょことみていて、
メインキャラの一部は覚えてるけど…というような状況で
この映画を見ていることをご理解いただいてレビューをご覧いただきたい。

懐かしい

映画が始まると戦国時代という設定らしい
重苦しい戦の描写から始まる。

真っ赤な花やかかしなど、死体や血液を移さずにあえて
比喩表現のように戦を描写するのは面白く、
一瞬、子供向けの作品だからこその配慮なのかな?とも思ったが、
あとで普通に血液表現が出てくるため勘違いだったようだ(笑)

そんなシーンから一変、いつもの光景が描かれる。
乱太郎、きり丸、しんべヱ。
忍たま乱太郎の主人公、メインキャラとも言える3人が
「土井先生」と下校時に出会い、いつもの掛け合いをする。

このいつもの掛け合いが非常に懐かしいノリだ。
いわゆる落ちこぼれな3人であり、
土井先生が担当する「一年は組」は成績も悪く、
手裏剣すらろくに当てられない子ばかりだ。

そんな生徒たちをしかりつつも、
逆にからかわれたりもする、それが「土井先生」であり、
生徒に愛されていることを感じさせる。

懐かしいノリ、ギャグとボケとツッコミが
30年前のあの頃を思い返すような郷愁感にすら駆られるような気持ちだ。
メインキャラクターの中には覚えていないキャラももちろんいる、
私が見ていたときには登場していないキャラもいるかも知れない。

しかし、それでも覚えているキャラクターも多く、
「キャラクターが出てくるたびに、あーこんなキャラいたなー
懐かしいなー」という感覚になる作品だ。

ミリしらで、にわか状態ではあるものの、
話についていけないということはなく、
子供の頃になんとなく見ていたという人でも問題なく楽しめる部分がある。
ただ、完全に忍たま乱太郎を見たことがないという人向けではない。

忍者アクション

そんな中で土井先生が果たし場をもらい決闘する流れになる。
圧倒的な実力差で、刀も手裏剣もマキビシも使わずに、
出席簿や黒板消しやチョークで戦う姿が
「土井先生」というキャラクターを象徴しているかのようだ。

そんな土井先生が果たしあいの最中に
ちょっとしたきっかけで崖から落ち、とるものに頭をぶつけてしまい
行方不明になるというところから物語が動き出す。

この果たし合いのシーンもそうだが、映画全体として
きちんと「忍者」のアクションというものをしっかりと
描こうとしていることを感じられるシーンが多い。

中盤では記憶を失った土井先生が敵として
忍術学園の面々と相対することになるのだが、
その中で多数の忍具によるアクション、
それをよけ、いなし、反撃してくる土井先生のアクションなど、
1ツ1つのシーンがきちんと外連味のあるアクションに仕上がっている。

そのアクションが映画としての見ごたえにつながっており、
同時に忍者としての実力が土井先生や、
「雑渡 昆奈門」などのキャラ立ちにもつながっている。

特に雑渡 昆奈門はタソガレドキ城に属する忍者であり、
ミリしらな私にとっては初見なキャラではあるものの、
3人の忍者を相手に圧倒する姿が
ミリしらな私にも思わず「かっこいい」と思わせるだけの魅力を
きちんと感じさせてくれた。

鬼滅の刃や呪術廻戦のようなド派手なエフェクトで
CGを多用し、とんでもない作画枚数をかけてえがくような
ぬるぬるとしたアニメーションではない。

静と動、メリハリを意識した忍術アクションが
忍たま乱太郎という作品にあっており、
それがキャラ描写にもつながっている。

日常

土井先生が記憶を失い、敵であるドクタケの軍師になっていることを
忍術学園の下級生たちはしらない。
そんな彼らのいつもと少し違う日常を序盤は描いている。
「忍たま乱太郎」というギャグアニメらしい日常ギャグは
映画冒頭と同じく懐かしさを感じる部分だ。

ただ、この日常描写はややテンポの悪さを感じる部分でもあった。
上級生やプロの忍者たちが土井先生を探しつつ、
同時に乱太郎たちの日常が描かれるのだが、
なかなか土井先生の消息がつかめないという展開が続く。

このあたりはなるべく多くのキャラを出そうとしている部分もあるのだろう。
上級生やプロの忍者など忍たま乱太郎のメインキャラクターが
多く登場しており、ファンサービス的な意味合いも強い。

個人的にミリしらであるため、懐かしいキャラもおり、
「くノ一」のキャラもいたような?と思ってたのだが
今作では出ていない。

そんな日常の中で「きり丸」だけが土井先生の真実を知ってしまう。
果たし合いの中で死んだと思われていた土井先生が
記憶を失い敵であるドクタケの軍師になっている、
きり丸にとって土井先生は親代わりだ。

きり丸はいわゆる「戦争孤児」であり、
そんな彼を思い土井先生は目をかけている。
一緒に家に暮らし、まるで弟のように、息子のように、
そして生徒と先生として接している。

土井先生を取り戻したい、
そんな思いをクラスメイトたちも受け取ってくれる。

一年は組

一年は組は決して優秀ではない。
ろくに忍術も使えず、手裏剣すらも扱えない。
そんな彼らが自らの担任の先生を助け出すために、
クラスメイトだけで情報を収集し、敵地に乗り込んでいる。

その姿は基本的にコメディタッチで描かれており、ギャグ全開だ。
3人で肩車して大人になりすましたり、
樽の中に入り込んで敵地に侵入したり。
忍たま乱太郎らしいコメディタッチな展開でストーリーを描いている。

大好きな先生のために、先生に教わったことを胸に秘めながら
彼ら必死で命の危険がある場所に赴いている。
その姿はどこか可愛らしさがあると同時に、
思わず応援したくなり魅力を兼ね備えている。

伏線回収

90分の映画であり、忍たま乱太郎という子供向けのアニメだからこそ、
誰かが命を落としたりすることはない。
しかし、今作では以外とシリアスな部分も多く、
戦いの中で血が流れるキャラクターも多い。

そんな中で乱太郎、きり丸、しんべヱの3人が捕まり、
ドクタケの軍師となった「土井先生」の眼の前につれてこられる。
たとえ記憶が戻ったとしても、3人を斬り殺したという事実があれば
土井先生はもう土井先生ではいられない。
そんな残酷な作戦を考え出す八宝菜もまた頭を打っており
普段とは少し違う。

土井先生を前にして3人は必死で訴えかける。
自分たちのことを思い出してもらおうと、
先生が自分自身のことをもい出せるように。

この台詞の数々が見事な伏線回収になっている。
映画の冒頭の「いつも」の日常、「いつも」の3人のボケ、
そんな「いつも」の3人のボケに、
記憶を失ってもいつものように突っ込んでしまう土井先生。

「まきびしはもったいなくて巻けません!」

涙ながらにいつもの言葉を発するきり丸に
思わず涙腺を刺激されそうなほどだ。

いつものボケが、いつもの日常が、
シリアスな展開を呼び戻すきっかけになるという
きれいな伏線回収が心地よく、
映画のラストでは「勇気100%」が流れる。

あの頃と変わらない忍たま乱太郎の姿に、
どこか懐かしくも、新鮮な気持ちで楽しめる作品だった。

総評:ミリしらが忍たまの映画に行った結果…

全体的に見てミリしら状態で見に行ったが、
普通に楽しめる作品だった。
あの頃と変わらない忍たま乱太郎のノリとギャグ、
愛すべきキャラクターたちの変わらない姿は
どこか懐かしささえ感じられる部分がある。

映画だからこその見ごたえもしっかりとある。
アニメーション部分ではしっかりと忍術アクションを描いており、
それがキャラクターの魅力にもつながっている。

ストーリー的にも記憶喪失になって敵になった土井先生を中心に、
きり丸との関係性を描いており、
映画冒頭の会話が伏線になっているという気持ちの良い
ストーリーになっていた。

ただ、名作と言えるほどの作品ではなく、
あくまでも「忍たま乱太郎」という作品が好きな人に向けた作品だ。
昔見たことがある位の人でも楽しめるようにはなっているものの
全然知らないという人が楽しめるといえばそうではない。

そういう人たちがわざわざ予習してまで見に行く価値があるのかと
言われると難しいところで、
あくまでも忍たま乱太郎のファンムービーの域は出ない作品だ。

それでも見に行ってよかったと感じるものがあり、
あの頃、そして今も忍たま乱太郎を見ている人ならば
ぜひ劇場に足を運んでいただきたい作品だ。

個人的な感想:10億?

しっかりとしたストーリーと魅力のあるキャラクターがおり、
それを考えると30年もアニメをやっていて3作品しか
映画になっていないのはもったいないと感じる部分がある。
興行収入も好調のようで、この調子が続けば
最終的には10億を超えてもおかしくない。

この興行収入ならば忍たま乱太郎のアニメ映画が
クレヨンしんちゃんや名探偵コナンのように
毎年やるアニメ映画として収まるかもしれないだけに、
今後の伸びに期待したいところだ。

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監督:芝山努, Writer:浦沢義雄, 出演:高山みなみ, 出演:田中真弓, 出演:鈴木みえ, 出演:大塚周夫

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