評価 ★☆☆☆☆(19点) 全12話
あらすじ 私たちは手を伸ばし、空へと飛び立てることを知った――。生まれたばかりの4つのユニット。手を取り合う個性と個性。引用- Wikipedia
お遊戯会
本作品はアイドルマスターシャイニーカラーズの2期。
監督や制作に変更はない。
お葬式BGM
シャニアニ1期はまるでお葬式のようだった。
まるでお通夜のような雰囲気、BGMの異様な暗さが
陰鬱な雰囲気を醸し出しており、EDではボーカル無しのエンディングが流れる。
意味不明すぎるアニメだ。
いわゆる質アニメ的なニュアンスが強く、
ねっとりとした心理描写をしたいのはわかるものの、
見る側に察させるシーンが多く、そのせいで分かりづらさが生まれており、
多くのアイドルたちの印象が残らない結果になった。
どことなくダイジェスト的な盛り上がりの薄さは
致命的であり、視点の切り替えの多さも欠点であり、
WINGというアイドル同士の戦いも結果が描かれず、
最初から最後まで意味不明で、キャラの多さに
振り回されている感じがすごい作品だった。
そんな1期を経ての2期だ、どこか改善されている部分はあるのか、
2期から面白くなるのか。
どんなアイドルに?
2期の1話は回想から始まる、
1期の内容をざっくりと曲に乗せながらみせることで、
軽く復習できるようになってはいるものの、
必要かどうかは判断しかねる部分だ。
無事に16陣でのファーストライブを行った彼女たち、
相変わらずタイトルがクソダサフォントで表示されるのは
かなり気になるところだ。
主人公的立ち位置である「櫻木 真乃」のポエミーな台詞も
相変わらずであり、2期になっても全キャラをもれなく映すように
カットの連続、視点の変更の連続だ。
お葬式のようなBGMももちろんつきものであり、
1期からまるで変わっていないことを2期の1話では感じる。
「櫻木 真乃」の心理描写は情景をたっぷりと見せながら、
台詞をではなくアニメーションによる演技で見せており、
1期からの主軸?である「櫻木 真乃」のアイドルとしての思いも
ふわっとしている、アイドルとはなんなのか、
彼女がどんなアイドルになりたいか、その答えを模索している。
ストーリー的には1期の最終話でやったような
ライブをまたやるという展開になり、
前回の会場よりも大きな、ファンと一緒に楽しめるハロゥインライブだ。
それが決まったということを知らせるだけなのに
全キャラにもれなくお当番制で喋らせるテンポの悪さも
相変わらずであり、まるで幼稚園園児のおゆうぎ会だ。
そんな中で唐突に新ユニットが加わることになる。
プロデューサーからそんなことをいわれ、
当然既存のアイドルたちは気になる。
「ストレイライト」がどんなアイドルなのか、
思いを馳せるというシーンをまた当番制でセリフを喋らせる。
この作品はフルCGで制作されているが、1話からその欠点を感じる。
別に風が強く吹いている理由でもないのに、
ただ河原で二人で話してるだけなのに
髪の毛が常にゆらゆらゆらゆら大げさに揺れすぎだ。
無駄に揺らすためそちらに視線がいってしまう。
淡々とした会話劇をアンビエントなピアノでつづり、
情景たっぷりなシーンで構成している。
そのせいで1話1話の内容が薄いのは1期と同じだ。
1話の終盤ではストレイライトのライブシーンが描かれるが、
フルCGなのにアップばかりで本当につまらない構図ばかりの
ライブシーンは見ごたえが一切ない。
フルCGの利点は多くのアイドルアニメで実証されている、
フルCGだからこそのカメラワークというものがこの作品にはない。
2話
ただ2話だけはこの作品の中でも異質なストーリーだ。
1期から2期の1話に至るまで、まるでお遊戯のような
キャラクターの見せ方をしているのだが、
2期の2話では「ストレイライト」の黛 冬優子を主軸に描いている。
ストレイライトを結成する前の彼女、いわゆるぶりっ子系のアイドルだ。
だが、それはあくまでアイドルとしてのプロの仕事をしているに過ぎない。
そんな彼女の前に「芹沢あさひ」が現れる。
彼女もまたプロだ、元気で真っ直ぐでオモテウラがない、
黛 冬優子とは真逆のキャラであり、正論をぶつけてくる。
表裏のある少女と表裏のない少女。
どちらが正しいとは言えない、だが、どちらも正しく、
どちらも間違っているとも言える。
「芹沢あさひ」と「黛 冬優子」。
この二人の討論、哲学のぶつけ合いが心地いい。
アイドルとして人気になるために生き残るために仮面を被る黛 冬優子と、
ありのままの自分を見てもらおう、認めてもらおうとする芹沢あさひ。
そこにさらにゴリゴリのギャルが加わる(笑)
3人共バラバラだ。そんな3人の物語がきちんと
「アイドルマスターズ」としてのアイドルのドラマを描いている。
1期から2期の1話までなかったものが2期の2話にはある。
当番制で多くのキャラクターを喋らせるわけでもない、
あえて台詞で説明しないわけでもない、
きちんとアニメとしての「見せ方」が2話には詰まっている。
逆に言えばどうして、この2期の2話のようなことを
これまでできていなかったのかが疑問でしか無い。
この二人の哲学のぶつけ合いの中で、
ギャルな和泉愛依がいい緩衝材として機能しており、
アイドルとしての生き方、哲学を見せつけてくれるようだ。
自分らしさやありのまま、そのままの自分を好きになってくれる。
たしかにそれが1番かもしれない、
だが、それは自分の全てをさらすようなものだ。
あえて仮面を被り「アイドル」というものを演ずることもまたプロだ。
大人の社会では出来レースもある、
すでに誰が受かるかは決まっているオーディションもある。
そこに抗うことが正しいわけでもない。
すごいダンスができても、歌がうまくても、
アイドルとして売れないこともある。
「芹沢あさひ」と「黛 冬優子」、
この二人がぶつかり合い、和泉愛依が取りまとめることで
ストレイライトというアイドルユニットとして花開く。
この2話だけで3人のキャラクターが一気に掘り下げられ深まる。
1期から2期の1話までのアイドルたちはほとんど
印象に残っていないのに、ストレイライトだけは印象に残る。
どうしてはじめからこれができないのか、本当に疑問でしか無い。
もとに戻る
だが、3話からはそんなストレイライトが
お遊戯会に加わってしまう。
3人だけの物語、ドラマは興味深くキャラの印象もついたのだが、
16人の中に加わってしまえば、途端にお遊戯会だ。
3話からはもっと輝くために、
ハロウィンイベントで何をするのかというのを自分たちで考える。
しかも、既存のユニットではなくシャッフルされたユニットだ。
そのせいでもうめちゃくちゃだ。
ユニットごとにある程度まとまりがあったからこそ、
この人数のキャラをなんとか記憶できていたが、
せっかくユニットごとに覚えていたのにバラバラにされたせいで、
もうストレイライト以外誰が誰だかわからない。
馬鹿みたいに視点を変更し、それぞれのキャラに台詞と当番ではなさせる。
まるでダイジェストのようにストーリーを進行していく様は
1期から変わらない。
「櫻木 真乃」がうじうじうじと
「どんなアイドルになりたいかわからない」と悩む様が
余計に陰鬱な空気感を加速させており、
何回「プロデューサーと出会って新しい世界が開けて」という
バカの1つ覚えな台詞を使うんだろうと思うほどだ。
色々と考えてあっさりと本番になる。
これもリアルなライブシーンを元に描かれているようだが、
シャッフルされた組み合わせの意味もよくわからず、
ストレイライト以外のキャラに思い入れもないため、
ライブシーンはあいも変わらず盛り上がらない虚無だ。
原作から思い入れのあるキャラが居る人ならば楽しめるかもしれない、
我が子の出番と台詞と歌を心待ちにする親御さんでなければ楽しめない、
まさにお遊戯会だ。
そんなお遊戯会もなんのトラブルもなく終わる。
3話も、4話も何のドラマもない。
5話になるとまた新ユニットが出てくる。
ノクチル
2期の5話は2話と同じく新ユニットの掘り下げだ。
登場人物が一気に減り、無駄な視点変更、
お遊戯会のような台詞回しがなくなることで一気に見やすくなる、
結局、この作品は群像劇ができないのに無理やり群像劇をやってることが
最大の原因だ。
2話や5話のように特定のユニットだけに絞って、
キャラ数も4人くらいに押さえれば一気に良さがでてくる。
新人としてのデビューライブがかかっている、
音楽番組ではないものの有名な番組での
デビューライブに不満のある部分もある。
女子高生4人組、彼女たちはそれぞれ幼馴染だ。
アイドルとしてデビューすることへの不安、
「浅倉透」というカリスマを中心とした3人だ、
だが、それでは人は生きていけない、アイドルとしては売れない。
新人のアイドルゆえの芸能界での不遇、
しかも、番組は「口パク」でのライブだ。
ダンスで精一杯のメンバーも居ることを見抜かれ、
「浅倉透」というカリスマだけが売り出される番組のやり方に
3人はそれぞれ思うところがある。
必死に練習したのに、できるようになったのに、それを評価されない。
幼馴染アイドル、平等のはずなのに不平等な扱いをされる。
生々しいともいえるアイドルの仕事仕草ではあり、
そんなドラマは見ごたえがあり、キャラの掘り下げにもなっている。
ただ一点、プロデューサーの無能さだけが際立つ。
2話では出来レースのオーディションに自社のアイドルを参加させ、
5話ではアイドルに対して扱いの悪く音楽番組ですらない
知名度だけある番組で自社のアイドルをデビューさせる。
アイドルたちがなんとかしたからいいものの、
プロデューサーとしては失格だろう。
1期では存在感がなかっただけだったが、
2期では無能さが際立ってしまう。
2期では特に
「自分たちの気持ちを確かめてどんなアイドルになるか考えてほしい」
というぶん投げスタイルのプロデュースなのも余計に厄介だ。
5話のノクチル回のエンディングでは
またボーカル無し曲であり、せっかくドラマを楽しめても
アニメとして楽しめないものになっている。
掘り下げ
中盤になると全ユニット曲収録のアルバム制作と、
ツアーが決定している。
そんな曲作りやアイドルとしての自分を見つめ直すのだが、
特に盛り上がるわけでもドラマがあるわけでもない。
人気になってソロの仕事も増えてるユニットもいるのだが、
そもそも思い入れのないアイドルなため、
彼女たちがここまで売れている理由もイマイチ納得できない。
中盤からは特定のユニット、キャラに絞った話を展開しており、
おゆうぎ会じゃない分、ましではあるものの、
淡々と平坦なストーリーを暗いBGMでお届けされる。
2話や5話はきちんとキャラの掘り下げとドラマがあったのだが、
同じようなことをしている7話と8話は、ひたすら薄い。
過去のアイドルマスターシリーズのアニメでも
シリアス回があり、この7話や8話はいわゆるシリアスな雰囲気はある、
だが、過去のアイドルマスターシリーズのシリアス回は
そこに至るまでのキャラの積み重ねがあったからこそ意味があった。
しかし、今作にはそれがない。だからこそ響かない。
アイドルたちは泣いているものの、
見てる側は涙腺を一切刺激されない
それぞれが自分のアイドル像を見定めるというのが
中盤からのストーリーではあるものの、
キャラクターに思い入れがあるならば楽しめるかもしれないが、
思い入れがなければ楽しめない。
その思い入れを本来はアニメで1クールかけて
生まれてしかるべきなのだが、この作品はその1クール目で
それをやれていないため、
中盤以降のシリアスもお通夜のような雰囲気だ。
テンポも悪くだらーっと見せられるシーンの数々は
ストレートに退屈だ。
ガッツリ掘り下げられるキャラもいれば
そうでもないキャラも降り、格差が生まれているのも気になるところだ。
浅倉透
11話では浅倉透について掘り下げられている。
SNSでバズリ、話題沸騰のアイドルとなった彼女ではあるものの、
彼女はいわゆる天然だ、ふわふわと自由気ままにアイドルをしている。
この11話は本当に意味がわからない。
多忙の中で、頑張り続ける中で、本当にアイドルを続けたいのか。
どんな仕事にも本気で挑む、それがアイドルなのかもしれないが、
頑張れない自分もいる。自分はどんなアイドルになればいいのか。
それ自体はいいのだが、問題は「櫻木 真乃」だ。
完全にここまで空気で、急に終盤で彼女のことを心配しだし、
彼女と絡みだす。
なにきっかけでそこまでの仲になったのか教えてほしいと思うほどだ。
関係性が薄い二人のふわふわした会話を聞かされても何も刺さらない。
浅倉透回であり、「櫻木 真乃」回にしたいのはわかるが、
そもそも「櫻木 真乃」というキャラを掘り下げきれておらず、
彼女がグダグダとどんなアイドルになりたいのかを悩み続けても
見てる側としては知らぬ存ぜぬだ。
いつまで同じ話を続けてるんだと言いたくなる。
11話の終盤は浅倉透が唐突にポエミーな台詞を
モノローグで喋りだし、ダッシュしだす。
意味不明すぎて大混乱だ。新手の薬物でも決めてるような気分だ。
知らないうちにアルバムの楽曲も出揃っており、
ツアーもいきなり始まる。
最後はライブで終わりだが、最初から最後まで虚無な作品だった。
総評:虚無の向こう側へ!
全体的に見て1期は本当に虚無感を感じるような演出、
アニメーション、ストーリーの数々でろくにキャラの印象も
つかないようなアイドルアニメを1クールお届けされたが、
2期ではその虚無の向こう側へとたどり着いたような感じだ。
まるでお遊戯会のように当番制で喋る台詞、
頻繁なカット割り、相変わらずのお葬式BGMで
1期と変わらない虚無なお遊戯会を見せられたかと思えば、
2話や5話などキャラの掘り下げがしっかりしてる部分もある。
だが、それ以降は1期で掘り下げられなかったキャラクターが
内面に向き合う話であり、1期で印象がついてないキャラの
内面など一切興味がなく、虚無の向こう側へとたどり着いてしまう。
原作のゲームをプレイしていてキャラに思い入れがあれば、
まるで我が子のお遊戯会のような親目線で楽しめるかもしれないが、
アニメだけを見た段階では、
ちょっと街で見かけたくらいの子どものお遊戯会をみてるような感覚だ。
そこに何の感動も思い入れも生まれない。
11話は本当にわけが分からない感じになっており、
12話では再びお当番制で楽屋で台詞を喋りながら
ライブを進行するため、カットの嵐だ。
そこまで各キャラが内面と向き合い、
自分なりのアイドルらしさを見出し、
その成果を見出すはずの最終話のライブなのに
ユニットのライブシーンが描かれるのはノクチルと
イルミネーションのみで後はカットだ。
グダグダと会話してる暇があるなら多くのユニットの
ライブシーンを描けばいいのにそれをやらない。
意味不明な11話を削って11話の後半からライブを描けば
多くのユニットのライブシーンが描かれたかもしれない。
そういうことをやらないのがこの作品だ。
1期よりは改善された部分はあるものの、
別の酷さもあり、五十歩百歩な2期だった。
個人的な感想:無能P
本当に1期から2期の最後までプロデューサーの無能さがやばい作品だった。
アイドルマスターシリーズはプロデューサーももう一人の主人公だ、
しかし、この作品はただただ無能なだけで存在感もない。
なにがしたい?どうしたい?と聞くだけ、
撮ってきた仕事は難ありと厄介でしか無い。
アイドルとともに成長していく、そんなプロデューサーが
作品を締めるポエムを最終話で綴っているのも
本当に薄寒かった。
原作ゲームをやっていれば、
もう少し違った見方はあるかもしれないが、
ゲーム未プレイには厳しい作品だった。
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