評価 ★★★☆☆(56点) 全60分
あらすじ ポールダンスの世界に飛び込んだ星北ヒナノ、西条リリア、東坂ミオ、南曜スバルの4人の少女たちは、全国から屈指のポールダンサーたちが集まる大会「ポールダンスジャパンカップ」に、チーム「ギャラクシープリンセス」として出場することに。 引用- Wikipedia
唯一無二のポールダンスアニメ
本作品は、エイベックス・ピクチャーズと
タツノコプロによるポールダンスを題材とした
オリジナルアニメーション企画。
Webアニメが配信された後に映画として本作品が上映された
これまでのあらすじ
この作品は一応Webアニメからの続編となっている。
主人公は祖母のプラネタリウムを潰さないためになにか
手段はないかと模索していると野良のポールダンサーと出会い、
ピザを届けてきた仲間と出会ったり、
プラネタリウムでポールダンスの発表会をしたら
大勢のお客さんが来て大成功したというのがWebアニメのあらすじだ。
このあらすじだけ見ると理由のわからない作品なのだが、
その通りなのだから仕方ない(苦笑)
ちなみにWebアニメはフルCGの作品だが、
なぜか映画ではフルCGではなくなっており、ポールダンスのシーンだけが
CGになっている。
そんなWebアニメのあらすじを主人公がものすごく丁寧に解説してくれる。
回想シーンで出てくるのはフルCGの映像で、
本編に戻ると普通のアニメの作画になる。
回想すると次元が変わるという独特すぎる作品だ。
Webアニメ版のフルCGはややクセがあったが、
映画になって日常シーンの作画がCGではなくなったがゆえに、
キャラクターデザインの良さが際立ってる部分はあるものの、
手書きの作画のクォリティ自体はそこまで高くないのは残念なところだ。
これならWebアニメのままフルCGで良かったのではと感じるものの、
予算の問題など会ったのだろう。
そんなポールダンスの魅力にハマった主人公たちは
ポールダンスの大会に出場することになるというところから
物語が動き出す。
あくまでもWebアニメを見ていることが
前提になっている部分もあるものの、
さっくりと振り返りがあるため未視聴でも問題ないかもしれないが、
Webアニメはたったメインストーリーは8話しかないうえに、
1話あたりも8分ほどしか無いため、履修をおすすめしたい。
日常
野良のポールダンサーの先生はかつては有名な選手ではあったものの、
怪我故にダンスを諦めた過去がある。
そんな先生の熱心な指導を受けつつ、
主人公たちの日常と特訓シーンが描かれている。
日常シーンの中でライバルであり、
大会4連覇チュウのチーム「エルダンジュ」のダンスシーンなども
さり気なく描かれている。
エルダンジュには主人公にとって因縁の相手がおり、
スポーツアニメなどではベタな要素ではあるものの、
丁寧ではあるものの、サクサクとしたテンポで物語を描いている。
映画自体が60分しかないからこそのテンポ感だ。
このテンポ感はWebアニメのときから変わっていない。
余計な間がなく、削ぎ落としたストーリー展開だ。
映画が始まって15分で
ポールダンスを始めたばかりの主人公たちが
あっさりと予選を通過するなどのご都合主義もあり、
そのあたりは気になるものの、Webアニメから展開の強引さは
目立つ作品だったがゆえに、この作品らしいとも言える。
Webアニメでは全8話で1時間くらいの尺があったが
映画では同じくらいの尺ではあるものの、
ライバルキャラの掘り下げもしないといけないがゆえに
余計に忙しい感じになっている。
メインキャラ同士の悩みや関係性の変化なども
かなりサクサクと描かれてしまっており、
もう少し長い尺で丁寧に描かれていれば
もっとキャラの掘り下げと魅力を感じられるのになと思う部分も多い。
それぞれのトラウマや悩み、仲間と出会い、
ポールダンスをすることで、そんなトラウマや悩みを乗り越えて
成長していく、やりたいことは王道であるものの、
それをサクサクと描いてしまっているのが本当にもったいない。
総集編ではないのに総集編映画でも観ているような感覚だ。
大会本戦
終盤になると本戦での模様が描かれる。
ポールダンスシーンはフルCGでヌルヌルと動き、
指先からつま先までの動きの「所作」を感じるほどだ。
アイドルアニメのライブシーンとは違う、
「ポール」という中心に伸びるものがあるからこそのダンスは
非常に魅力的で、この作品だからこその魅力を感じられる。
きちんと「重力」を感じるように体はポールにはりついているものの、
衣装が重力にそうからこそ、「重力」を感じられる。
CGは軽さと硬さが欠点だ、だが、この作品はそんな軽さと硬さを
「ポールダンス」という体の固定が重要なもので活かしており、
同時に衣装を重力にそわせることで、魅力的なダンスシーンに仕上げている。
だが、気になるのは歌うシーンが長いことだ。
Webアニメ版では尺が短いゆえにそこまで気にならなかったのだが、
彼女たちが踊りながら息1つ荒げずに歌っており、
キャラクターによってはポールに触らずに
ポールの前で歌ってるシーンのほうが長いキャラも居る(笑)
思わずポールに触れよと突っ込みたくなるほど
キャラクターによっては歌いまくりだ。
エフェクトもかなりド派手であり、
エルダンジュの1人は刀を振り回しながら踊る(笑)
しかもヒノカミカグラのごとく刀に炎までまとう始末だ、
キャラクターによって当たり前のように背景も変わっており、
大会の美術スタッフの大変さを突っ込みたくなるものの、
色々とぶっ飛んだ演出とツッコミどころが独特の面白みを生んでいる。
この作品だからこそ、ポールダンスというものを
テーマにしたからこそのライブシーンとこだわり。
もっと観たいと感じさせる魅力のある作品だった。
総評:野良のポールダンサーに出会って人生が変わりました
全体的に観てもったいないと感じる作品だ。
ポールダンスというものを扱った唯一無二の作品であり、
その唯一無二であるポールダンスの表現に最大限に力を入れている。
ステージの中央に存在する天高く伸びるポールを活かした
ポールダンスだからこそのダンスの表現は本当に素晴らしい。
だが、ストーリーがそのダンスシーンについていっていない。
Webアニメからの続編であり、Webアニメを見ていることが
前提なメインキャラの掘り下げや、
まるで総集編のような日常パートと予選カットなど色々ともったいない。
60分ではなく90分のアニメ映画なら
もう少し掘り下げられたのかもしれないと感じる部分もあり、
ライブシーンのクォリティは本当に素晴らしいものの、
そのライブシーンだけの作品になってしまっている。
TVアニメ、日曜朝アニメあたりでがっつりと4クールくらいの
尺でアニメ化されたら、もっと人気が出るかもしれない。
そういう可能性を感じる部分もあり、日常シーンの
「手書き作画」や60分という尺などもふくめて
この作品はある意味「パイロットフィルム」といえるのかもしれない。
CGによる映像表現、ポールダンスというテーマ、挑戦的な要素の数々だ。
この作品がもっと多くの人に観てもらって、
多くの人が「ポールプリンセス」にハマれば、
いつかTVアニメ「ポールプリンセス」もあるかもしれない。
そういった可能性と挑戦心を感じる作品だった。
個人的な感想:隠れた人気
興行収入は伸びなかったものの、カルト的な人気も生まれているようだ。
こういう作品には熱狂的なファンが付きやすい、
そんなファンが増えれば増えるほどシリーズ展開にもつながる。
この作品の今後があるのかどうかはわからない、
だが、今後があってほしいと感じる作品なだけに
期待したいところだ。
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