評価 ★★★☆☆(58点) 全2話
あらすじ 中学1年生の大室櫻子は学校でも家でも元気いっぱいで、クールな姉・撫子やしっかり者の妹・花子にあきれられながらも、楽しい毎日を過ごしている。引用- Wikipedia
集え百合豚
本作品はゆるゆりのスピンオフである「大室家」の劇場アニメ作品。
大室家としての初のアニメ化であり、
ゆるゆり3期から9年のときをへてのアニメ映画となった。
dear sisters / dear friendsと2本の映画として上映された。
監督は龍輪直征、制作はパッショーネ スタジオリングス
おかえり
先に上映されたdear sistersの冒頭では懐かしいキャラが勢揃いだ。
おなじみの4人のおなじみの会話。
「ゆるゆり」という作品をあじわった私達にはたまらない
あの頃のままの彼女たちの姿がそこにはある。
ゆるゆり1期は2011年に放送され話題になった作品だ。
百合姫などの作品やけいおん!ブームからの日常系アニメブームで、
多くの日常アニメが制作された。
その中の1つがゆるゆりであり、この作品がヒットしたからこそ、
日常アニメブームがしばらく続いたと言っても過言ではない。
毒にも薬にもならない女の子たちの会話、
一人ひとりのキャラクターが生き生きと作品の中で活きており、
多くの人の心を掴んだ作品だ。
だが、この作品のメインは4人ではない。
ゆるゆりではあるものの、本作品は「大室家」だ。
大室 櫻子、大室 撫子、大室 花子。
3姉妹の彼女たちの物語が描かれている。
確かにメインはあの4人ではないものの、「空気感」はゆるゆりそのものだ。
制作会社は動画工房から変更されたものの、
可愛らしいキャラクター描写は変わらない。
あの頃のオタク、あの頃ゆるゆりを見ている人に向けた作品である
ということが強烈に伝わる冒頭だ。
dear sisters
ゆるゆりといえば日常だ、そこにほのかな百合があるのが
ゆるゆりという作品のテイストではあるものの、
大室家はあくまで「姉妹」を描いている。
家の中にあるアイスやお菓子、そんなことで争う、
仲睦まじい姿が描かれている。
ときに家の中で、ときに学校の中で。
それぞれの姉妹の日常が描かれている。
そんな日常は毒にも薬にもならない、だが、
ニヤニヤと楽しめてしまうキャラクターの可愛さがある。
3姉妹それぞれ歳が違うからこそ、
それぞれの日常も違う。
小学生の日常、中学生の日常、高校生の日常、
そんなそれぞれの学校での日常を思わず楽しめる。
更に気になるのは1番上の姉である「大室撫子」だ。
彼女には彼女がいる。同じ学校の中で付き合っている相手がいるようだが、
それが誰であるかは描かれていない。
学校では見せない好きな相手にだけ見せる表情や態度がたまらず、
それを隠そうとしている大室撫子の姿がたまらない。
大室撫子の彼女は誰なのか、明かされることはないものの、
彼女の日常の中で「誰」なのか思わず考え、想像してしまう。
高校生同士のそんな大人な百合を匂わせつつ、
小学生同士の可愛らしい百合も描かれる、シンプルにたまらない。
中学生同士の子供らしくも大人な百合も描かれており、
この3姉妹だからこその「ゆるゆり」な空間、
そこに姉妹愛もたされることで、
大室家という作品の面白さを感じられる。
dear friends
後編である dear friendsはタイトルの通り、
3姉妹の友人たちとの話が多くなる。
dear sistersで匂わされた大室撫子の彼女の気配も強くなり、
大室撫子の友達が出るたびに自然と誰が彼女なのか考えてしまう。
巧みな仕掛けだ。一人ひとりの表情、セリフ、
目配せ、その一挙一動が見過ごせない。
ゆるゆりから続く「櫻子」と「 向日葵」の百合な関係性も
もうニヤニヤしてしまう。
久しぶりのゆるゆりの百合をどストレートに味わうと
懐かしさも相まって強烈に響き渡る感じだ。
後編ではそんな友達との関係に悩む二人がが描かれつつ、仲直りして終わる。
特になにか大きな出来事がおこるわけではない。
日常の中でのちょっとした出来事、ちょっとした変化、
ちょっとした百合を9年ぶりに味わうことができる作品だった。
総評:かつて百合豚だったオタクたちへ
全体的に見て久しぶりに味わう「ゆるゆり」の空気感が素晴らしい作品だ。
スピンオフであるためおなじみな彼女たちの出番は殆ど無いものの、
大室家を中心とした3姉妹の日常と百合が、
スピンオフではあるものの「ゆるゆり」らしさを感じさせてくれる。
シンプルになつかしい作品だ。
制作自体の変更はあるもののキャラデザの変更などの
違和感もそこまでない。
直前に3期などを見返していると違うかもしれないが、
自然にこの映画を楽しめる印象だ。
声優さんたちの演技も相変わらずであり、
そんな相変わらずな空気感で相変わらずな物語が描かれる。
唯一違うのは大室撫子の彼女問題くらいだが、
これはあえて明かさないからこその面白さが出ている。
1つ気になるのはなぜ映画として、
しかも前後編に分かれて上映したのかというところだが、
かつて百合豚だったものたちならば、
大画面で大迫力の音響でこの作品を味わいたいだろうという
制作側の配慮なのかもしれない(笑)
個人的な感想:ひたすらに
懐かしいという感覚が常にある作品だった。
ゆるゆりなど私のようなアラフォーオタクにとっては
ついこないだのように感じるが、すでに9年もたっている。
そう考えれば奇跡的なアニメ映画化だ。
原作のゆるゆりも大室家も未だに連載が続いており、
もしかしたらゆるゆりの4期、大室家の映画の第二弾が
生まれる日もそう遠くない未来なのかもしれない。
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