ファンタジー

会議は続くよ、どこまでも 「転生したらスライムだった件 3期」レビュー

2.0
転生したらスライムだった件 第3期 ファンタジー
©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(29点) 全24話

あらすじ クレイマンを倒し、正式に魔王となったリムル。魔王たちの宴(ワルプルギス)を経て、リムルの支配地域はジュラの大森林全体に広がった。引用- Wikipedia

会議は続くよ、どこまでも

本作品は転生したらスライムだった件の3期。
2期は2021年に放送したが、
それから約3年の時を経ての3期となった。
監督は中山敦史、制作はエイトビットと2期からの変更はない。

3期

2期終盤では「クレイマン」とバトルや、
魔王になったリムルが他の魔王と出会ったりして終わった、
3期ではそのままその続きだ。

1期では異世界転生した主人公がスライムとなり、
徐々に強くなっていきながら多くの仲間と出会い、国を作り、
2期ではそんな国が大きくなったからこそ狙われることになり、
仲間を失い、もう仲間を失わないためにも魔王となる覚悟をした。

1期と2期で細かい問題点や欠点などはありつつも、
それぞれ描きたいこと、主人公の「リムル」の成長も描かれており、
そこに魅力的なキャラが絡むことで、
たとえ2期のように会議ばかりしていても面白みを感じることができた。

そこからの3期だ。
3期では魔王となったリムルがどう仲間たちと国を安定させ、
発展させていくかが主軸となっていく。

戦後処理

2期から3年のブランクがあるため、
ファン以外は細かい部分を忘れてしまっている部分がある、
、色々なキャラが出てきても
「あー…なんかこんなやついたな」くらいの印象のキャラも多い。

2期でリムルたちの国を襲ったキャラが
ディアボロによって復活させられ、なおかつユニークスキルで
強制的に従わせているということが3期の1話で説明される。
3期の1話から会話地獄だ、現状はこんな感じです、
各国はこういう反応をしています。そういった説明をひたすらしている。

リムルを襲った彼らは復活し、自分たちの国に帰り、
リムル達によって殺されたのではなく
「復活した邪竜ヴェルドラ」によって
敵味方関係なく殺され、そこから助けてくれたのはリムルであり、
敵対するのではなく協力関係を築いたほうがいいと画策する流れだ。

それを各キャラが説明しつつ、嘘を交えつつ、
各国の上層部を説得している。
その会話がひたすら長く、特にそれが面白いわけでもない。
1話でも2話でも各勢力がリムルに対してどうするかという
話をひたすら繰り返しており、話が進むようで進んでいない。

2期でリムルが出会ったヒナタサカグチの過去なども描き、
新たな勢力も現れと、色々と大局に向けて
話が進んでいるのはわかるが、会話だらけでじれったさが極まる。

いわゆる戦後処理のような話がグダグダぐだと、
1話も2話も3話も、続いたかと思えばリムルから
ききたくない言葉が飛び出る

「明日はみんなでも集めて会議でもするか!」

あの2期の悪夢の再来である。

会議地獄

2期の3話からは会議だ。
ちなみに4話も、5話も、6話も、会議だ(苦笑)
2期もそうだったが、戦闘シーンがろくに無いままに、
キャラクターの会話劇が3期の1話から6話までずーっと続いてしまう。

2期では味方同士の会議ではあったが、
3期ではリムルの敵となるもの同士の会議も行われる。
敵も味方も会議ばかりだ。

戦況や国の周辺の情報、勢力の情報、開発したものの報告、
そういったことを「報連相」しているだけで、
なにかが起こってたとしても、主人公であるリムルが結果だけを知り、
アニメーションとしては回想シーンでそれがさらっと
描かれることが多い。

主人公たちはこういう思惑でこういう風に動こうとしています、
敵はこういう思惑でこういう風に動こうとしていますというのを
1から100まで全部説明しているような印象だ。
確かにわかりやすくはあるものの、丁寧すぎてグダグダだ。

主人公たちの会議が描かれつつ、主人公と敵対する神聖法皇国の鍵が描かれ、
更にロッゾ一族の会議が描かれと、
ありとあらゆる場所で会議をしていて、それを見せられる。

再戦

そんな会議が終わると、ようやく戦闘シーンになる。
2期で1度戦った「ヒナタ・サカグチ」との再戦であり、
2クールで放送された本作品において
1クール目の最大の盛り上がりどころとも言える。

会議で溜めに溜めて戦闘シーンで解放する。
よく言えばカタルシスであり、
1期や2期でもそんな展開はあったものの、
3期ではその「溜め」が更に長くなってしまっている。
溜め過ぎだ。

戦闘シーン自体のクォリティは高く、
ぬるぬると動くアニメーションで高速な戦闘シーンを
描いているものの、リムルの思考にあわせて
スローを取り入れることでメリハリがきちんと生まれている。

ただ、必殺技といえるスキルなどを
「演出」で誤魔化している感じがあり、
作画のクォリティ自体はしっかりとしているのだが、
1期のような戦闘シーンの面白さはかなり薄れている印象だ。

このあたりはリムル達が「強くなりすぎた」という
部分もあるのかもしれないが、
2期はそれでもリムルの仲間が殺されるという展開があったため
緊張感があったが、それさえ乗り越え蘇り魔王となったリムルや
他の仲間たちに負ける展開が予想できないため緊張感が生まれない。

リムルの仲間も1期や2期と増えたためもあるのだが、
戦闘になれば彼らの活躍、出番も当然あり、
そんなメインキャラたちと戦う敵キャラも出てくる。
結果的にキャラクターで溢れかえっている。

公式サイトを見ればわかりやすいが
1期から3期までで死んでいるキャラや二度と出ないキャラも
数名いるものの、100人近いキャラが出てきている。
メインキャラもどんどん話が進めば進むほど増えていき、
それに伴い敵キャラも増えている。

戦闘シーンもリムル自身が知略を巡らせて
強敵やピンチを打開するのではなく
彼の中のスキル「ラファエル」頼みになってしまっており、
ピンチになったら彼女が全てやってくれるため
リムル自体の存在感がやや薄れてしまっている印象だ。

ここまでで約1クール使っているものの、
会議しまくって、会議してた敵が襲ってきて、
なんだかんだあって敵だったヒナタとも和解をしてるだけだ。
会議がなければ4話くらいで終わる話を会議しまくって
水増ししている、そんな印象すら受ける。

会議がもう少し短ければもう少しテンポよくストーリーが進むのに、
会議が大好きなこの作品はひたすら会議を続ける。
会議を続けまくり、戦闘を間にはさみ、
終わったら何が始まるのか、会議だ。

踊り続ける

戦闘後に敵だった相手からの情報も踏まえて、
今回の事件の黒幕や裏にいたのは誰なのかという会議が行われる。
戦闘終了後のお風呂シーンなどもあるような日常などもあるようなのだが、
そういうシーンは本編で描かずにEDで流したりする。

1話で戦いのあとの処理をどうするのかの話し合いが行われたが、
戦闘が行われたら当然、また戦後処理についてはなされる。
宴会などの日常回も描かれるが、唐突に同じ日本から
やってきていた転移者のパティシエが出てきたりする。

あまりにも脈絡なく出てくるのは意味不明でしかなく、
会議は丁寧だが、その他が雑だ。
しかし、テンポはいい。戦闘にしろ日常にしろ、
会議以外のシーンだとテンポよく描かれる部分はあるものの、
会議が始まるとまたテンポが落ちる。

2クール目からは「開国祭」を開こうという流れになる。
どういうイベントを行うのか、どこの国を呼ぶのか、
色々なキャラと話し合いながら祭の内容を決めていく。

久しぶりに出てくるキャラなどとも会話しつつ意見を取り入れ、
祭を盛り上げようとするという流れなのはわかるものの、
ずーっとひたすら会話を繰り広げており、
「招待状」が届いた各国の反応、会議などもいちいち描かれる。

リムルたちの国の「開国祭」に参加する意味はあるのか、
逆に参加しないとどんなデメリットが有るのか、
そういった各国の事情や現状を踏まえた会話劇が
61話など10分以上も展開される。

少人数、1対1の会話などが多いため会議ではないかもしれないが、
対談シーンが多すぎるうえに、キャラ数も多く、
そんな多いキャラを描くための会話と視点変更が多すぎる印象だ。

2期では会議はしつつも最低限「リムル」という主人公が
画面に映っていたが、3期では敵陣営やリムルがいない場所での
会議や会話も多いため、主人公であるリムルの存在感が薄くなっている。
キャラを増やしすぎた結果、主人公でさえ影が薄い。

ダンジョンと会談

そんな中でリムルたちの国に「ダンジョン」を作ろうという話になる。
彼らの国に多くの冒険者がやってきてお金を落とす、
そんなダンジョンづくりは面白くはあるものの、
いわゆる日常回でありメインストーリーではない。

多くのキャラが登場しながらダンジョンを考える様は楽しく、
お祭りに向かってワチャワチャしてる感じは
「会議」をしてるよりは数百倍マシな感じではある。

国が大きくなり、周辺国でもリムルたちの国が話題になったからこそ、
今まで関わり合いのなかった種族や国との関わりも生まれ、
そことの関係を取り持つためや利害のために、
リムルの配下が派遣され交渉をする。

中盤をすぎると新キャラもどんどん出てきて、
そんな新キャラのエピソードも描かれ、
メインキャラの以外な過去や恋愛事情なども進展し、
そんな各国の上層部とリムルの謁見という名の会談が続いていく。

中盤からはどちらかといえばキャラ萌えな感じが強く、
3期の序盤ではあまり出番のなかった各キャラが出てきて
日常を繰り広げている印象だ。
国として大きくなり、国としての力も強くなり、
多くの人と関わるようになる。

そういう流れをやりたいのは分かるが、
日常話ばかりでだんだんと飽きてくる。

武道会とダンジョン

そんなメインキャラたちが武道会にて戦うことになる。
新キャラとメインキャラ同士の戦いは盛り上がり部分ではあるものの、
1試合がそこまで長くはないためかなりさっくりとしている。
会議は長くやるが、戦闘シーンは短い。本末転倒だ。

終盤になると作ったダンジョンに挑む展開になり、
人魔関係なく、多種族が仲良く楽しめる国になる礎が
築かれていることを感じさせて終わる。

2クール目はひたすらワチャワチャしてた感も強く、
その裏で動いている敵もおり、暗躍しているものもおり、
リムルもそれに気づきつつ終わっているものの、
1クール目以上に話が進んでいる感じが薄く、
盛り上がりも薄いままで終わってしまった印象だ。

最終話でも会議をしており、
1話から最終話まで会議ばかりの3期だった。

総評:転生したら会議まみれだった件

全体的に見て2期以上に会話劇と会議にまみれた作品だ。
リムルが作り上げた国が大きくなり、多くの配下が集い、
敵も様々な動きを見せている。
だからこそ、そんな現状を把握し、今後どうするのかという話し合いを
敵も味方もやらなければならないのはわかるが、多すぎる。

特に2期は基本的にリムルたちの会議だったが、
3期では敵陣営の会議や会話のシーンも非常に多く、
3期の7話くらいまでは戦闘シーンと呼べるものもほとんど無い。
かなりじれったい展開であり、最近のアニメといよりは
90年代のアニメを見ているような感覚だ。

この感覚は2期でもあったが、3期はかなり顕著だ。
2期では仲間の死やクレイマンとの決着などの盛り上がりもあったからこそ、
会議が多くても盛り上がりがその分あったのだが、
3期ではヒナタサカグチとの戦闘シーン以降はリムルが
本気を出して戦うシーンはない。

3期の2クール目からはお祭りについて会議し、お祭りが開催し、
わちゃわちゃしているだけであり、話が進んでいるようで進んでおらず、
かなり淡々と地味な展開になってしまっている。

転生したらスライムだった件のキャラクターが大好きだという人は
この日常話を楽しめるとは思うが、それにしても長い。
4期になれば裏で動いている「ユウキ」などとの対決も
本格的になっていくのかもしれないが、その4期もいつになることやら。

一応は4期の制作決定と第二弾の劇場版の制作も決定したが、
2期から3期が3年も空いてたことを考えれば、
4期もそれくらいブランクが空いてしまうだろう。

もう少し一気にストーリーを見せてほしい、
もっとストーリーを進めてほしいと感じるほど
会議と日常にまみれた3期だった。

個人的な感想:面白さが…

1期ではこの作品が人気になる面白さを感じる部分もあり、
2期は会議はありつつも楽しめていた。
しかし、3期、特に2クール目からは色々と厳しい部分も多く、
作品全体としてのセリフ量が異様だ。

原作の小説という媒体やコミカライズならば
ある程度「読み飛ばす」ことも可能で、
同じような説明セリフや会議でもそこまで気にならないかもしれないが、
アニメーションという媒体で同じように
説明セリフや会議を描いてしまうと尺を食いすぎてしまっている。

もう少しシンプルに話をまとめられる、凝縮して描ける部分を
ダラダラとアニメと言う媒体で描きすぎている印象だ。
ただこれでも原作やコミカライズから
カットされている部分もあるようで、
アニメ制作側としても工夫した結果なのかもしれない。

流石にキャラクター数も増えすぎていて、4期を見る頃には
3期から出てきたキャラクターなど忘れてしまいそうだが、
私の記憶は果たして持つだろうか…

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