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男と女の間には、海よりも広くて深い川があるってことさ「ME!ME!ME!」レビュー

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評価/★★★★☆(64点)

男と女の間には、海よりも広くて深い川があるってことさ。

本作品は日本アニメーター見本市という企画の中の一本、
監督は吉崎響、製作はスタジオカラー
作品はこちらからみることができる
http://animatorexpo.com/mememe/

見出して感じるのは小物のこだわりの描写だろう。
これまでは第一作がファンタジー、第二作が青春スポーツと
「外」でのシュチエーションのシーンが多かった
この作品は冒頭から主人公の「部屋」から始まる。

男性にありがちな「乱雑」した部屋の中には
様々な小物が広がっており、
思わず一時停止してみてみたくなるほど細かい背景描写が目につく
「スタジオカラー」らしい「遊び心」も見つけて欲しいポイントだ
無機質に部屋に転がる青年はモニターに映る少女の世界に入りこむ

この作品はジャンルとしては「アニメ」というよりは「ミュージックビデオ」だ
曲に合わせて「少女」が踊る。
目まぐるしく変わる不思議な主チーエションの数々は
「エロティシズム」の塊のようなシーンばかりだ
明らかに「地上波」では流せない妖艶な踊りと、性的描写の数々。
規制が厳しくなった今ではミュージックビデオとしても絶対に流せない

そんな音楽が流れる中でときおり音楽が止まり
「現実」世界の男に不思議なことが起こる。
画面の中で踊っていた少女が画面から飛び出し興奮気味に襲い掛かってきたり、
現実化のか彼の妄想なのか、
見ている側に「どういうストーリー」なのかどういう「意味」なのかを
考えさせながら物語が進む。

意味ありげに描かれる男の過去、意味ありげに描かれる少女の叫び、
意味があるのか無いのかわからない「性的描写」の数々。
この表現を「規制すべきセクシー描写」や「下品な表現」として受け止めるか
「アニメーションという名の芸術的表現の1つ」として受け止めるか
人によって受け止め方は違うが、
大胆すぎるだけでなく「芸術性」すらひめた過激な性的描写の数々は
思わず「ゾクゾク」っとする背徳感のある描写だ

そして「最後のシーン」と「最初のシーン」の仕掛け。
自動的に「リピート再生」される仕組みがウェブでは仕掛けられており、
それが主人公自身が囚われているものの正体というのに最後の少女のセリフで気づく。
ストーリー的にはなんてことのない話だ。

だが「リピート」させることによって
主人公が振りきれないものに縛られていることを表現する
「ウェブ媒体での放送」というこの企画ならではの放送形式を
演出として利用する仕掛けは思わず終わった後にニヤっとしてしまうものだ。

全体的に見てセンス溢れる作品だ。
台詞の少ない「ミュージックビデオ」という形式の中で
セリフがないからこそ「絵」と「シュチエーション」の変化から
主人公の状況、心理状態、そしてストーリーを読み取らせ
過剰なまでの「性的表現」を叩きつけることで
ストーリーを感じ痩せやすくしている。

非常に好みの分かれる作品だろう。
くせのある「グロ」と「性的表現」は好みの分かれる描写であり、
ストーリーとしては大したことがない。
だが、その大したことがないストーリーをアニメーションという表現と
「エロ」という下劣さすら感じる描写で「魅せる」作品に仕上げており、
意味のないエログロではなく意味のあるエログロを積み重ねることで
きちんと「ストーリー」と「キャラクターの心理」を描いている

思わず4回ほどリピートで見てしまった作品だ。
好みが分かれる作風ではあるのだが、気に入る人は極端に気に入ることができるはずだ
今から見る方は「周囲」に誰も居ないことを確認してご覧頂きたい(笑)

「」は面白い?つまらない?

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